米雇用統計特別レポート

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前回値 予想 結果
非農業部門就業者数(万人) 15.7万人増⇒14.7万人増 19.1万人増 20.1万人増
失業率(%) 3.9% 3.8% 3.9%
時間給賃金(前月比) 0.3% 0.2% 0.4%
時間制給賃金(前年比) 2.7% 2.7% 2.9%

8月雇用統計のポイント

① 就業者数は予想を上回った一方、7月、6月は下方修正、3ヵ月平均も18.5万人へ減少
② 失業率は2ヵ月連続で3.9%、労働参加率(62.7%)は前月(62.9%)から低下
③ 時間給賃金、前年比+2.9%と2009年6月以来の高水準へ上昇
④ 製造業の就業者数は0.3万人減、前月分の速報値3.7万人増から1.8万人増へ下方修正
⑤ 9月FOMC利上げを織り込み、今後のインフレ指標次第で12月利上げの可能性も

パウエルFRB議長

パウエルFRB議長は8月のジャクソンホールでの講演で「米国経済が強く、段階的な利上げが必要」との考えを示した一方、「米国経済が過熱している兆候は見られない」との認識を示していました。しかし、米8月雇用統計で時間給賃金が上昇していることが確認されたことに続き、今週13日に発表される米8月消費者物価指数(コア前年比)が 予想通り+2.4%となればFRBの掲げる物価目標(+2.0%)を今年3月以来6ヵ月連続で上回ることとなり、米10年債利回りが再び3.0%台を回復する可能性もあります。FRBの利上げペースが加速するのか、今後発表される米インフレ指標と米債券市場の動向が注目されます。

米労働市場の『スラック』解消、賃金上昇が本格化するか?

8月の雇用統計では就業者数が20.1万人増と予想を上回ったものの、7月、6月と直近過去2ヶ月の就業者数はで合計5.0万人下方修正されました。しかし、最大のサプライズとなったのは、平均時給が前年同月比2.9%増となり7月の2.7%増から加速、2009年6月以来の大きな上昇率を達成しました。こうした結果を受けて企業経営者が賃金など労働条件を改善しなければ優秀な人材確保や維持が難しい状況に直面したことを示す結果となった可能性もあり、こうした動きが9月の雇用統計でも確認されるのか注目されます。実際、報酬や福利厚生などを含めた所得の実態を反映するとされる4-6月期雇用コスト指数は前年同期比+2.8%と2008年半ば以来の大幅な上昇となり、企業が福利厚生や報酬面で優遇するなど他社との差別化を進めるなど労働条件の改善を示していただけに、時間給賃金にも表れたものかもしれません。

エコノミストの見方も修正を迫られる?

時間給賃金(前年比)は7月まで3ヵ月連続で+2.7%増と緩やかなペースでの上昇を継続していたものの8月に2.9%まで上昇したことで企業の利益率圧迫や、FRBによる想定以上の利上げペースを招く「賃上げ本番」につながるか注目されます。これまでも長らく、労働市場に明確なスラック(需給の緩み)の兆しはほとんど見られていませんでした。失業率は数十年ぶりの水準まで改善が進む一方、求人数は失業者を上回る水準に到達するなど企業経営者から、人材の確保が難しいとの声が漏れていました。しかし、賃金上昇率の伸びは緩やかな状況が続いていたことからエコノミストの一部からは、依然として未活用の隠れた労働力が存在し、拡大する雇用主の人材需要を満たしているとの認識が一般的となっていました。しかし、今回の時間給賃金の上昇によってこうした見方を修正せざるを得ない状況が生まれた可能性があります。

労働参加率の低下が意味するもの

さらに8月の労働参加率は62.9%から62.7%に低下したということは賃上げペースが加速しているにもかからず、労働人口が減少していることを示唆しています。すなわち、企業が労働市場を去った人々を呼び戻す、またはライバル社から人材を引き抜きたい場合には、給与を引き上げざるを得ないということになります。さらに米4-6月期GDP改訂値では成長率が速報値の前期比+4.1%から+4.2%へ上方修正されましたが、中でも企業の設備投資が速報値(前期比+7.3%)から+8.5%へ上方修正されており、企業は今後さらに雇用を増やす必要があると思われます。過去数年にわたる設備投資低迷が招いた生産性の伸び悩みを踏まえると、需要に追いつくにはおそらく増員で対応するしかなく、米国の減税や財政支出などを追い風に力強い成長を続けるとすれば今も調な労働市場が続くと予想される中で、賃金上昇が本格化するかもしれません。

米非農業部門就業者数(万人) 失業率(%)

米非農業部門就業者数(万人) 失業率(%)



米時間給賃金 前年比(%) 前月比(%)

米時間給賃金 前年比(%) 前月比(%)


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