米雇用統計特別レポート

掲載日:2020年03月02日

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2020年2月米雇用統計(3月6日発表)直前レポート

9月 10月 11月 12月 1月 2月
(予想)
非農業部門就業者数(万人) 19.3万人 15.2万人 26.1万人 14.7万人 22.5万人 17.5万人
失業率(%) 3.5% 3.6% 3.5% 3.5% 3.6% 3.6%
時間給賃金(前月比) 0.0% 0.4% 0.3% 0.1% 0.2% 0.3%
時間制給賃金(前年比) 3.0% 3.2% 3.1% 3.0% 3.1% 3.0%

米1月雇用統計の総括

・就業者数は直近3ヵ月平均が前月(18.6万人)から21.1万人へ増加

・失業率が12月(3.5%)から3.6%へ悪化も、労働参加率の増加によるもので安心感

・20歳以上の失業率は女性が3.2%と男性の3.3%を下回り12月から逆転

・時間給賃金$28.44 (12月:$28.37 11月:$28.34  19年1月:$27.58)

・民間部門の就業者数が12月(14.2万人増)から20.6万人増へ大幅に改善

・財生産部門就業者数は3.2万人増、サービス業は17.4万人増と前月から改善

・就業者数の増加には建設業や教育・福祉関連業の増加が大きく寄与

米2月雇用統計の注目点

ウィルス感染による中国からの部品供給減が米製造業の雇用に影響しているか?

中国発の新型ウィルス感染拡大の影響からNYダウは先週一週間で12%程度下落したほか、2月12日の史上最高値から14%ほど下落するなど短期間での大幅な下落率に象徴されるように米国経済や企業業績に及ぼす影響は避けられそうもありません。米国でも感染経路の不明な感染者が確認されたほか、死亡者も発生するなど心理的な影響も含め、米国GDPの約7割を占める個人消費への影響などが懸念されるだけに、企業の設備投資が冷え込むことになれば労働市場への影響も免れないとの懸念も聞かれます。企業活動への影響が低失業率の継続や時間給賃金、さらには週当たりの労働時間の短縮などに影響を及ぼしていないか、あるいは先行きの労働市場に影響が及ぶ兆候が見られるのか、注目されます。仮に時間給賃金は大きく変わらない可能性はあるものの、週当たりの労働時間の縮小が見られるなど、実質的な賃金の低下が顕著になれば個人消費への影響が避けられず、ウィルス感染拡大の米経済への先行き懸念を背景に先週大幅に下落したNY株式市場の反発を抑制しかねません。それだけに今回の雇用統計では就業者数や失業率は勿論、労働時間の短縮がないのか、総合的な賃金に低下の影響が表れることはないのか注目されます。また、今週は3日に米大統領選の候補者選びの山場となるスーパーチューズデーのほか、4日には3月17-18日のFOMCを控え、ベージュブック(地区連銀経済報告)が発表されます。先週末、パウエルFRB議長は「経済を支援するために、適切に行動する」との緊急声明を発表しており、今回の雇用統計の結果次第では3月に続き、4月のFOMCでも利下げが実施される可能性も否定できないだけに、FRBの金融政策を占う観点からも今回の雇用統計が注目されます。

米非農業部門就業者数(万人) 失業率(%)

米非農業部門就業者数(万人) 失業率(%)

米時間給賃金 前年比(%) 前月比(%)

米時間給賃金 前年比(%) 前月比(%)

前月12月雇用統計を前後してのドル円の反応

雇用統計を前後してのドル円の反応

提供:SBIリクイディティ・マーケット株式会社

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