米雇用統計特別レポート
掲載日:2019年06月03日
2019年5月米雇用統計(6月7日発表)直前レポート
12月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 (予想) |
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非農業部門就業者数(万人) | 22.7万人 | 31.2万人 | 5.6万人 | 18.9万人 | 26.3万人 | 19.0万人 |
失業率(%) | 3.9% | 4.0% | 3.8% | 3.8% | 3.6% | 3.6% |
時間給賃金(前月比) | 0.4% | 0.1% | 0.4% | 0.1% | 0.2% | 0.3% |
時間給賃金(前年比) | 3.3% | 3.1% | 3.4% | 3.2% | 3.2% | 3.2% |
今週末の米5月雇用統計の注目点、その前に・・・
前回4月雇用統計のポイント
・就業者数は26.3万人増へ改善、2月の鈍化は悪天候による一時的要因と確認
・建設業やヘルスケアの雇用が好調を維持した一方、製造業の雇用は低位継続
・失業率は1969年12月以来、49年4ヵ月ぶりの低水準へ改善
・失業率の一段の改善にも時間給賃金は伸び悩み、インフレの改善は見込めず
・労働参加率が3月63.0%から4月62.8%へ低下、失業率の低下の一因
今週末の米5月雇用統計の注目点
①個人消費の腰折れ懸念の後退につながるか
米消費者信頼感指数
米小売売上高-(前月比 %) 除く自動車-(前月比 %)
5月28日に発表の米5月消費者信頼感指数は昨年11月以来となる134.1へ改善したほか、今月14日に発表される米5月小売売上高も改善が予想されます。メキシコ国境を巡る民主党との予算案を巡る対立による一部政府系機関の閉鎖が1ヵ月以上続いた影響からの不調からの改善が明らかになりました。一方、米中間に合意期待が持たれた4月下旬までの流れが5月5日のトランプ大統領が5月10日からの対中関税引上げの意向を表明して以降、米中通商問題はファーウェイに対する事実上の禁輸措置に対し、中国もレアアースの対米禁輸措置検討の報道もあり、6月28-29日のG20サミットでの米中首脳会談での合意期待が後退。さらに状況次第では米国が3250億㌦相当の更なる対中関税が検討されており、個人消費の腰折れへの懸念も聞かれます。それだけに就業者数、失業率、時間給賃金の堅調が確認できれば個人消費の腰折れ懸念の後退につながると思われます。
②米中通商問題の雇用への悪影響は?
米製造業PMI サービス業PMI
米鉱工業生産(前月比) %
製造業を中心に米中通商問題の影響が表面化しつつあり、企業の設備投資の抑制の動きが見られます。米中通商問題の影響による中国からの輸入品に対する関税引上げは製造業を中心に材料などの調達コストを引上げるなどの影響も顕著になっており、5月製造業PMIは2009年9月以来の50.6へ低下するなど製造業の経営者心理を冷やす結果となっています。こうした中で好調が続く雇用にも影響が見られるか、また調達コストの上昇が時間給賃金の抑制につながるなどの動きが見られるのか注目されます。
③個別の数値に注目
就業者数の直近3ヵ月平均(16.9万人増)を上回るか
失業率が2ヵ月連続の3.6%と堅調な労働市場継続を確認するか
3.0%を上回る時間給賃金(対前年比)を10ヵ月連続で継続するか
④FRBの利下げ観測を巡り債券市場の反応に注目
先週末5月31日、米10年債利回りは一時2017年9月以来となる2.12%台へ低下、さらに償還期限が2年~5年の中期債利回りが2%割れとなりFRBの金利目標値を0.25%超下回ったことで地合い悪化の回避に向けて年内複数回の利下げに踏み切る可能性も取り沙汰され、こうした点もドル円の円高を加速させて一因とされます。今回の雇用統計での米債券市場の反応が注目されます。
⑤ドル円は108円割れを回避?もしくは一段の円高加速となるか注目
5月31日に108円28銭まで下落したドル円は、週明け6月3日に108円17銭まで 下落、既に3月日銀短観で示された製造業の2019年度想定為替レート(108円87銭)を下回っており、消費税増税の先送り観測が高まる可能性も否定できません。黒田日銀総裁の講演も予定される中、消費税増税先送りを回避する目的で追加緩和の可能性を示唆するか、さらに米5月雇用統計がドル売り円買いの流れを反転させる切欠となるか注目されます。
米非農業部門就業者数(万人) 失業率(%)
米時間給賃金 前年比(%) 前月比(%)
前回4月雇用統計の発表を前後にしたドル円の15分足チャート
提供:SBIリクイディティ・マーケット株式会社
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