米雇用統計特別レポート
掲載日:2019年06月10日
2019年5月米雇用統計(6月7日発表)結果
前回値 | 予想 | 結果 | |
---|---|---|---|
非農業部門就業者数(万人) | 26.3万人増⇒22.4万人増 | 18.5万人増 | 7.5万人増 |
失業率(%) | 3.6% | 3.6% | 3.6% |
時間給賃金(前月比) | 0.2% | 0.3% | 0.2% |
時間給賃金(前年比) | 3.2% | 3.2% | 3.1% |
①5月雇用統計のポイント
・就業者数は7.5万人増へ大幅鈍化、2月鈍化は悪天候、今回は景気減速?
・失業率は3.6%と1969年12月以来の49年4ヵ月ぶりの水準を継続
・景気に影響されない教育・ヘルスケアも2.7万へ鈍化(4月7.3万、3月7.2万)
・時間給賃金は前月比+0.2%、前年比+3.1%と予想比下振れ、低インフレ継続を確認
・内需に関係深い民間サービス部門雇用は前月(17.0万人増)から8.2万人増へ鈍化
米非農業部門就業者数(万人) 失業率(%)
② 今回の雇用統計を受けてFRBの早期利下げ観測、向こう1年回で0.25% x 3回
今回の雇用統計を受けて米10年債利回りは一時2017年9月以来の2.05%台へ、2年債利回りも一時2017年12月以来の1.77%へ低下、さらに米短期金利は既25bp= 1回とした場合、向こう1年間(2020年6月まで)に3回以上の利下げを織り込む水準まで低下しました。
具体的には、今回の雇用統計後に6月利下げ確率は前日の20%から35%へ上昇したほか、7月までの利下げ確率は79% 9月は90%へ上昇しました。2年債利回りは、FF金利の誘導目標(2.25~2.5%)の下限から0.5%程度低い水準に迫り、FRBによる年内2回以上の利下げを示唆しています。また、6月のFOMC では景気・インフレの見通しが示される中、3月時点からの下方修正が予想されるほか、米国経済の減速リスに対してどのような表現で声明文に盛り込むのか注目されます。
米ISM製造業景況指数
③低インフレを確認?
米時間給賃金 前年比(%) 前月比(%)
先週末の5月雇用統計での時間給賃金に続き、今週11日の5月卸売物価指数、12日の消費者物価指数、13日の輸入物価指数が発表されることから、FRBの年内利下げ観測に影響を及ぼす可能性のあるこうしたインフレ指標の結果が注目されます。さらに14日には米5月小売売上高や鉱工業生産も発表されることから米中通商問題の影響が製造業を中にした一段の米景気の下振れ懸念につながっているのか確認することになりそうです。こうした指標と同時に今週11日から13日にかけて3年債、10年債、30年債の入札を控えており、応札への需要の強弱が米長期金利の動向に影響を及ぼす可能性があると同時に米長期金利の下げ止まりを確認することになるのか、注目されます。いずれにしてもドル円は先週5日の107円81銭を当面の下値として反発に向かうことが出来るか注目です。
米鉱工業生産(前月比)%
提供:SBIリクイディティ・マーケット株式会社
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