米雇用統計特別レポート
掲載日:2018年10月01日
2018年9月米雇用統計(10月5日発表)直前レポート
4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 (予想) |
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非農業部門就業者数(万人) | 17.5 | 26.8 | 20.8 | 14.7 | 20.1 | 18.8 |
失業率(%) | 3.9 | 3.8 | 4.0 | 3.9 | 3.9 | 3.8% |
時間給賃金(前月比) | 0.1% | 0.3% | 0.1% | 0.3% | 0.4% | 0.3% |
時間制給賃金(前年比) | 2.6% | 2.7% | 2.7% | 2.7% | 2.9% | 2.8% |
米9月雇用統計の注目点
① 先週のFOMCでは予想通り、今年3度目となる0.25% の利上げを決定したほか、声明文から『金融政策スタンスは緩和的』との文言が削除されました。しかし政策金利見通しでは年内1回、来年3回の利上げを示唆するなど、依然緩和的であるからこそ利上げ継続という一見矛盾する内容となりました。こうした中で対前年比時間給賃金が前月(+2.9%)から鈍化すると予想(+2.8%)されていますが、予想を上回った場合、12月FOMCで来年4回の利上げ回数への変更やターミナルレート(利上げサイクルの最終地点:3.0%)の上方修正への思惑を高める可能性もあるだけに注目されます。
FRBの政策金利誘導目標(%)
2018年9月 | 2018年12月 | 2019年3月 | 2019年6月 | 2019年9月 |
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2.00~2.25 | 2.25~2.50 | 2.50~2.75 | 2.75~3.00 | 3.00~3.25 |
② ドル円は先週28日に113円64銭まで上昇し年初来高値を更新しました。 113円台後半に観測されると見られるまとまったドル売りをこなすことになれば 114円台回復も視野に入る可能性があるだけに、雇用統計に対する米長期金利 が先週付けた3.11%台を上回るか注目されます。米長期金利の上昇に伴い ドル買いが優勢となればドル円の一段高につながる可能性もあるだけに注目されます。
③ パウエルFRB議長は「緩やかな利上げが持続的な強い経済を支援」「インフレは低く安定、経済は強い」と発言し、8月下旬の「米国経済が過熱している兆候はない」との発言と比べ、インフレ上昇をやや懸念し始めているようにも思われます。ほぼ完全雇用の状況と低失業率の下、消費者信頼感指数の上昇や減税効果などによりインフレを未然に予防するための利上げ継続スタンスが維持されたとの今回のFOMCの結果を踏まえ、失業率の低下傾向をあらためて確認することになれば、インフレ期待の上昇につながるだけに年内2回および来年のFOMCでの金融政策が『正常化』から『引締め』への変更につながるだけに注目されます。
④ 2000億㌦相当に制裁関税を発動、中国も米国からの輸入品600億㌦に制裁関税を発動しました。こうした米中間を中心にした貿易問題が製造業を中心にした雇用に影響を及ぼしているのか注目されます。
⑤ 前月8月の雇用統計では、時間給賃金(前年比)は7月まで3ヵ月連続で+2.7%増と緩やかなペースでの上昇を継続していたものの、8月に2.9%まで上昇したことで企業の利益率圧迫や、FRBによる想定以上の利上げペースを招く「賃上げ本番」につながるか今月も時間給賃金の行方が注目されます。これまでも長らく、労働市場に明確なスラック(需給の緩み)の兆しはほとんど見られていませんでした。失業率は数十年ぶりの水準へ改善が進む一方、求人数は失業者を上回る水準に到達するなど企業経営者から、人材の確保が難しいとの声が漏れていました。しかし、賃金上昇率の伸びは緩やかな状況が続いていたことからエコノミストの一部からは、依然として未活用の隠れた労働力が存在し、拡大する雇用主の人材需要を満たしているとの認識が一般的となっていました。しかし、8月の雇用統計で時間給賃金の上昇によってこうした見方を修正せざるを得ない状況が生まれた可能性が生じることとなりました。さらに8月の労働参加率は62.9%から62.7%に低下したということは賃上げペースが加速しているにもかからず、労働人口が減少していることを示唆しています。すなわち企業が労働市場を去った人々を呼び戻す、またはライバル社から人材を引き抜きたい場合には、給与を引き上げざるを得ないということになります。さらに米4-6月期GDP確報値では成長率が+4.2%となり、企業の設備投資の堅調さも確認されたことから企業は今後さらに雇用を増やす必要があると思われます。過去数年に渡る設備投資低迷が招いた生産性の伸び悩みを踏まえると、需要に追いつくにはおそらく増員で対応するしかなく、米国の減税や財政支出などを追い風に力強い成長を続けるとすれば今も調な労働市場が続くと予想される中で、賃金上昇が一段と本格化するかもしれないとの状況を予見される結果となっただけに、9月雇用統計でもこうした前月からの状況が続くのか注目されます。
米非農業部門就業者数(万人) 失業率(%)
米時間給賃金 前年比(%) 前月比(%)
提供:SBIリクイディティ・マーケット株式会社
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