米雇用統計特別レポート

掲載日:2019年11月05日

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2019年10月米雇用統計(11月1日発表)結果

前回値 予想 結果
非農業部門就業者数(万人) 18.0万人 8.5万人 12.8万人
失業率(%) 3.5% 3.6% 3.6%
時間給賃金(前月比) 0.0% 0.3% 0.2%
時間制給賃金(前年比) 3.0% 3.0% 3.0%

米10月雇用統計の総括

① 前月に続き米労働市場に対する過度な悲観が後退

・8月(+5.1万人)、9月(+4.4万人)と合わせて9.5万人増と上方修正

・直近3ヵ月の月平均就業者数が17.6万人増

・GMストライキでの減少が4.2万人、政府の臨時職の雇用終了でも堅調持続

・労働参加率63.3%へ上昇、2013年8月以来の高水準、失業率の上昇の一因

・レストランを含む接客:6.1万人増、ヘルスケア:3.42万人増

・12月FOMCの追加利下げ観測が後退、FOMCでの利下げ休止を正当化

米非農業部門就業者数(万人) 失業率(%)

米非農業部門就業者数(万人) 失業率(%)

・時間給賃金は前月から上昇、前年比∔3.0%、前月分も上方修正

・総雇用者数と広範囲U-6失業率は、前月に大きく低下後、10月には僅かに上昇

・FRBの当面の金融政策の現状維持継続を支援

・NY株式市場は「適温相場」再燃への期待を背景に上昇、リスク選好の動き

・貿易問題による製造業への影響、労働市場への影響は乖離

米時間給賃金 前年比(%) 前月比(%)

米時間給賃金 前年比(%) 前月比(%)

② FRBの金融政策、当面の現状維持政策を正当化

10月の雇用統計は、米国の経済活動が深刻な減速に見舞われるまで利下げを休止する可能性を示唆したFOMCの当面の現状政策の維持をひとまず正当化する結果となりました。自動車大手ゼネラル・モーターズのストライキによる4.2万人の減少のほか政府による国勢調査を終えた臨時雇用の増加が終了したにもかかわらず、就業者数が増加。FOMCでは7月、9月に続き3ヵ月連続で利下げを決定したものの、パウエルFRB議長は会見で金融政策の「適切な道筋を見極める上で、この先は見通しに関するその他の情報と合わせ、当局の政策措置の効果を注視する」としたほか「もちろん、見通しの大幅な見直しを招くような状況になれば、適切に対応する」と発言。こうした発言を踏まえた上で、今回の10月雇用統計からは、見直しを生じさせる材料は見られなかったこともFRBの金融政策の現状維持継続を正当化するものとなったといえるでしょう。12月FOMCまでには12月6日に発表される11月雇用統計を見極める必要があるものの、FF金利先物から見た12月FOMCの利下げ確率は大幅に低下、今後、個人消費の堅調持続や設備投資の鈍化に一定の歯止めがかかるか、加えて米中通商交渉に一定の進展が見られるか、先行きに明るい見通しが開けることになれば多少下振れする経済指標にも更なる追加利下げの必要性が後退すると思われるだけに、経済指標と同時に米中通商交渉の行方もFRBの金融政策の先行きを占う上で重要な要素であることは変わらないと思われます。

雇用統計を前後してのドル円の反応

雇用統計を前後してのドル円の反応

提供:SBIリクイディティ・マーケット株式会社

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