米雇用統計特別レポート

掲載日:2019年12月02日

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2019年11月米雇用統計(12月6日発表)直前レポート

6月 7月 8月 9月 10月 11月
(予想)
非農業部門就業者数(万人) 17.8万人 16.6万人 21.9万人 18.0万人 12.8万人 18.8万人
失業率(%) 3.7% 3.7% 3.7% 3.5% 3.6% 3.6%
時間給賃金(前月比) 0.2% 0.3% 0.4% 0.0% 0.3% 0.3%
時間制給賃金(前年比) 3.1% 3.3% 3.2% 3.0% 3.0% 3.0%

米10月雇用統計の総括

堅調な米労働市場を確認、FRBの金融緩和休止を正当化

・8月(+5.1万人)、9月(+4.4万人)と合わせて9.5万人増と上方修正

・直近3ヵ月の月平均就業者数が17.6万人増

・GMストライキでの減少が4.2万人、政府の臨時職の雇用終了でも堅調持続

・労働参加率63.3%へ上昇、2013年8月以来の高水準、失業率の上昇の一因

・レストランを含む接客:6.1万人増、ヘルスケア:3.42万人増

・12月FOMCの追加利下げ観測が後退、FOMCでの利下げ休止を正当化

米11月雇用統計の注目点

米国の経済成長を支える好調な労働市場は継続するか?

今年9月に1969年12月以来の低い失業率となる3.5%を記録、10月も3.6%と低水準を維持しており、11月の市場予想も3.6%、さらに11月の就業者数は直近3ヵ月の平均である17.56万人増を上回る18.8万人増が見込まれています。足許の堅調な個人消費を下支えする低失業率と就業者数の増加に加え、時間給賃金も10月まで15ヵ月連続で前年同月比3.0%を上回る水準を継続しており、11月も引き続きこうした堅調な労働市場が継続すると見られています。しかし、製造業の空洞化が進んでいる中西部や南部では平均よりも高い失業率が続いています。ミシガン州・デトロイトにあるゼネラル・モーターズでは先月ストライキが行われたことも影響し、ミシガン州の失業率は全体(3.6%)を上回る4.1%を記録。さらに2022年6月に石炭火力発電所の閉鎖が決まっているほか、エネルギー関連企業の経営破綻の影響などからオハイオ州でも失業率が4.2%と高い失業率となりました。今回は前月ゼネラル・モーターズのストライキ収束もあり、就業者数改善に寄与すると予想されています。一方、10月の住宅着工件数は前月比+3.8%、住宅着工許可件数も12年5ヵ月ぶりの高水準となる146.1万戸(年率換算)と好調なほか、10月の中古住宅販売件数も546万戸と7月以降、月平均543万戸と高水準を維持。建設業での就業者増に寄与していると思われます。先週11月27日に発表された米7-9月期GDP改定値は前期比+2.1%と速報値+1.9%から上方修正される中、設備投資も速報値から改善が見られており、こうした米国経済の堅調な状況が労働市場にも好影響を及ぼしていると見られています。おそらく2019年の米成長率は+1.8%~+1.9%、来年は+1.8%と今年から若干減速すると見られているものの、米中通商交渉の進展による企業の設備投資への意欲が一段と回復するか注目されます。また、史上最高値を更新しているNY株式市場が堅調を維持するのか、低成長・低インフレの適温経済が持続するのか、大統領選の行方も含め米国経済の先行きに対する先行きを占う観点からも米11月雇用統計が注目されます。

米非農業部門就業者数(万人) 失業率(%)

米非農業部門就業者数(万人) 失業率(%)

米時間給賃金 前年比(%) 前月比(%)

米時間給賃金 前年比(%) 前月比(%)

前月10月雇用統計発表時のドル円の15分足チャート

前回10月雇用統計の発表を前後にしたドル円の15分足チャート

提供:SBIリクイディティ・マーケット株式会社

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