米雇用統計特別レポート

掲載日:2018年04月02日

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2018年3月米雇用統計(4月6日発表)直前レポート

10月 11月 12月 1月 2月 3月
(予想)
非農業部門就業者数(万人) 27.1 21.6 17.5 23.9 31.3 20.0
失業率(%) 4.1 4.1 4.1 4.1 4.1 4.0
時間給賃金(前月比) -0.2% 0.3% 0.4% 0.3% 0.15% 0.3%
時間制給賃金(前年比) 2.3% 2.5% 2.7% 2.8% 2.6% 2.7%

3月雇用統計の注目点

① 低インフレと好景気が共存する「適温相場」継続か、終焉に向かうのか

② 時間給賃金(前年比)が+2.8%以上であればFRBの年4回利上げ予想となりドル高・株安となるか

③ 時間給賃金(前年比)伸び悩みは低インフレ、緩やかな利上げ基調確認となりドル安・株高となるか

④ ドル円は107円台回復に向かうか、105円割れへの円高懸念再燃となるか

⑤ FRBのインフレや景気見通しに影響、先行きを占う上で重要な指標との位置付け

米非農業部門就業者数(万人) 失業率(%)

米非農業部門就業者数(万人) 失業率(%)

米時間給賃金 前年比(%) 前月比(%)

米時間給賃金 前年比(%) 前月比(%)

3月FOMC声明文とパウエルFRB議長の会見内容について

『インフレ率は今後数ヶ月で上昇』(12月FOMC:インフレ率は今年上昇)へ変更されましたが、インフレ見通しに関する文言の変更はこの点のみに留まりました。

また現状の景気認識に対して、家計支出や設備投資の伸びが昨年10-12月期から減速したとの評価でしたが、経済見通しはここ数ヶ月で強まったとし、先行きのGDP予想を上方修正しました。今回の雇用統計がこうしたFRBの見通しに変化をもたらすのか注目です。

また、パウエルFRB議長はFOMC後の会見で経済見通しの強まりを示す一方、緩やかなインフレ上昇、緩やかな利上げを示唆しており、1月雇用統計(2月2日発表)で見られた過度なインフレ加速への懸念は後退しています。さらに米国・中国を中心に通商政策を巡る市場の動揺に関して「米中の通商関係悪化の見通しは議題に上がらなかった』ことを明らかにしています。 その他、パウエルFRB議長は

・「経済見通しはここ数カ月で強まった」

・「インフレ低迷は昨年からの通常でない物価下落を反映」

・「インフレ率は2%を上回る可能性もあれば下回る可能性もある」

・「利上げに関して中立的な立場の方針」「中立金利は極めて低い水準にあると判断」

・「通商政策の変更が見通しに影響するとは考えず」

・「金融安定のぜい弱性は現時点で小幅」「一部資産価格は歴史的水準と比較し高い」

・「米中通商関係悪化の見通しは議題に上らず」「賃金の伸びみられないことに驚き」

などの認識を示しました。

こうした認識に今回の雇用統計がどの程度影響を及ぼすか不明ですが、やはり時間給賃金の上昇が持続的に上振れる兆候が見られるか最大の注目点だと思われます。

こうした中で今回の雇用統計では時間給賃金を中心に世界的な好景気と低インフレが共存する「適温相場」の様相が再度高まるのか、あるいは終焉が近いとの判断に傾くのか、NY株式市場や債券市場の反応が注目されます。

同時にドル円は先週一時的な回復に留まった107円台を再度試すことになるのか、あるいは105円割れへ向かいあらためて円高進行へのリスクが高まることになるのか注目です。
仮に時間給賃金(前年比)が+2.7%と市場予想の範囲に留まり、就業者数、失業率ともに過度なインフレ加速を連想させるような結果とならない場合でも、あらためてドル円の上値の重さを確認することになることも十分予想されます。

雇用統計の後は、4月末の南北朝鮮会談、5月中に実施が見込まれる米朝首脳会談など、政治イベントを中心にファンダメンタルズから離れた材料によって上下に振れる政治相場の様相を高めるイベントが予定されており、雇用統計の結果によりファンダメンタルズが相場の中心に存在し続けるということを確認できるかという点も注目です。

米雇用統計関連指標(数値発表後、随時更新)

米国雇用統計関連指標 前月分 予想 結果
3月ISM製造業景況指数(雇用指数) 59.7 54.5 57.3
3月ISM非製造業景況指数(雇用指数) 55.0 - 56.6
3月ADP雇用統計(就業者数) 23.5万人⇒24.6万人 20.0万人 24.1万人
3月企業人員削減数(前年同月比) -4.3% - 39.4%

提供:SBIリクイディティ・マーケット株式会社

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