米雇用統計特別レポート
掲載日:2019年05月07日
2019年4月米雇用統計(5月3日発表)結果
前回値 | 予想 | 結果 | |
---|---|---|---|
非農業部門就業者数(万人) | 19.6万人増⇒ 18.9万人増 |
19.0万人増 | 26.3万人増 |
失業率(%) | 3.8% | 3.8% | 3.6% |
時間給賃金(前月比) | 0.1% | 0.3% | 0.2% |
時間制給賃金(前年比) | 3.2% | 3.3% | 3.2% |
4月雇用統計のポイント
・就業者数は26.3万人増へ改善、2月の鈍化(5.6万人)は悪天候による一時的要因
・失業率は3.6%と1969年12月以来の49年4ヵ月ぶりの低水準まで改善
・建設、ヘルスケア関連が好調を維持した一方、製造業の雇用は低位での推移継続
・時間給賃金は前月比+0.2%、前年比+3.2%と予想比下振れ、低インフレ継続を確認
・労働参加率(前月63.0%⇒62.8%)は前月から低下、失業率の低下に影響した可能性
雇用統計を含め米国の経済指標は強弱交錯、先行き下振れリスクも
米非農業部門就業者数(万人) 失業率(%)
米時間給賃金 前年比(%) 前月比(%)
米4月ISM製造業景況指数
米ISM製造業景況指数
2016年4月以来の低水準となり、米4月雇用統計でも製造業全体の就業者数は3.4万人増に留まり、3月(2.1万人増)、2月(1.9万人減)から改善しているものの前年4月(6.0万人増)と比べても伸び悩んでいることを裏付ける結果になりました。さらにISM非製造業景況指数も2017年8月以来の55.5と前月(56.1)から低下するなど先行きに不安も残す結果となっています。
米1-3月期GDP
米GDP前月比
日本が大型連休入り直前の4月26日に発表された米1‐3月期GDPは前期比+3.2%と前期から成長が回復、市場予想(+2.2%)を大きく上回る結果になりました。しかし内訳は輸出増や貿易赤字の改善に加え、米中貿易交渉の行方を懸念した在庫の積み増しがGDP上昇に寄与した一方、住宅投資や自動車などの耐久財消費が弱含んでおり、先行き懸念も見られる結果となりました。
そのほか、米2月ケース・シラー住宅価格指数も主要20都市の住宅価格指数が前年比+3.0%と前月(+3.5%)から低下、2012年9月以来の低い伸びに留まっており、低失業率や就業者数の改善にも米国経済全体で先行きに不透明感が見られます。また労働市場の堅調が続く中でも時間給賃金が伸び悩んでおり低インフレの状況が確認されます。4月29日に発表された米3月個人消費支出は前月比+0.9%と前月(+0.1%)から改善した一方、個人消費支出デフレーター、コアデフレーターとともに前月から低下、インフレ懸念が一段と後退、今回の雇用統計でもこうした動きを裏付ける結果といえるだけにFRBの金融政策の先行きに明確な道筋が見えないこともドル円上昇の足かせにつながっています。さらに、米中通商交渉を巡り対中関税引上げが現実になれば米企業の設備投資にも影響が及び、GDPの約7割を占める個人消費にも悪影響が及びかねず、インフレ期待が盛り上がらない状況につながれば先行きの労働市場にも陰りが見られる可能性もあるだけに今後の動向が注目されます。
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