米雇用統計特別レポート

掲載日:2018年03月12日

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2018年2月米雇用統計(3月9日発表)結果

前回値 予想 結果
非農業部門就業者数(万人) 20.0万人増⇒23.9万人増 20.5万人増 31.3万人増
失業率(%) 4.1% 4.0% 4.1%
時間給賃金(前月比) 0.3% 0.3% 0.2%
時間制給賃金(前年比) 2.9%⇒2.8% 2.8% 2.6%

2月雇用統計のポイント

① 就業者数は2016年7月以来の31.3万人増、1月、12月分も上方修正

② 失業率は5ヵ月連続の4.1%、労働参加率上昇の中で堅調な結果に

③ 時間給賃金は前年比+2.6%へ前月(2.9%⇒2.8%へ下方修正)から鈍化

④ 時間給賃金(26.75ドル)へ前月から上昇も前月比、前年比で鈍化

⑤ 時間給賃金の鈍化は週平均労働時間の前月比増加が要因

⑥ インフレ加速懸念が後退、NY株式市場は「適温相場」再来?大幅高に

米非農業部門就業者数(万人) 失業率(%)

米非農業部門就業者数(万人) 失業率(%)

就業者数が2016年7月以来の高水準となる31.3万人増と市場予想を大きく上回り、1月分、12月分もそれぞれ上方修正されました。3ヵ月平均も24.2万人増と20万人を大きく上回る堅調な結果となりました。製造業(1.5万人⇒3.1万人)、建設業(3.6万人⇒6.1万人)と大幅な伸びを記録したほか、医療・サービスが2.3万人、小売業も5.0万人増と堅調な結果となりました。
失業率が市場予想(4.0%)に届かず5ヶ月連続の4.1%に留まったものの労働参加率が前月(62.7%)から63.0%へ改善が進んだほか、自発的離職率も11.6%と前月から上昇するなど労働市場の拡大持続が確認されました。
中でも小売業の雇用が前月の5.0万人増へ大きく改善が進んでおり消費関連での堅調な雇用も確認されました。今週14日に発表される米2月小売売上高の前月からの改善予想(1月:前月比-0.3%、2月予想:+0.3%)を裏付ける結果となりました。今後も税制改革の影響が企業業績の上振れ、賃金上昇、さらに個人消費の拡大、雇用拡大へと持続的な改善が進むのか注目されます。

米時間給賃金 前年比(%) 前月比(%)

米時間給賃金 前年比(%) 前月比(%)

注目の時間給賃金は前月(26.74ドル⇒26.71ドル)から0.04ドル上昇の26.75ドルと上昇した一方、週労働時間が前月(34.3時間)から0.2時間増の34.5時間になったことで時間給賃金は前月比1.5%増、前年比2.6%増と前月(2.9%⇒2.8%へ下方修正)から鈍化する結果となりました。

前月は寒波の影響により労働時間が短縮された影響から時間給賃金の上昇につながった経緯があり、インフレ加速を懸念して長期金利が急速に上昇、NY株式市場が大幅な調整局面入りに至りましたが、今回の時間給賃金の結果を受けて景気拡大の中で緩やかな金利上昇が続くとの「適温相場」再来の期待もあり、ナスダックは1月26日以来1ヵ月半ぶりに史上最高値を更新、NYダウ、S&Pも大幅な上昇となりました。
ドル円は107円05銭まで上昇したものの伸び悩む結果となった一方で株式市場の堅調さを好感し、下値も106円68銭までに留まるなど底堅い値動きとなりました。

雇用統計を前後したドル円の動き

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提供:SBIリクイディティ・マーケット株式会社

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