米雇用統計特別レポート

掲載日:2018年06月04日

  ce_report.png

2018年5月米雇用統計(6月1日発表)結果

前回値 予想 結果
非農業部門就業者数(万人) 16.4万人増⇒15.9万人増 19.0万人増 22.3万人増
失業率(%) 3.9% 3.9% 3.8%
時間給賃金(前月比) 0.1% 0.2% 0.3%
時間制給賃金(前年比) 2.6% 2.6% 2.7%

5月雇用統計のポイント

① 失業率3.8%(3.75%)、2000年4月(3.84%)、1969年12月(3.53%)以来の低水準

② 失業率の低下も労働参加率低下(62.8%⇒62.7%)の影響のほか低学歴でも就職容易に

③ 時間給賃金は前年比+2.7%、前月比+0.3%。ともに予想を上回り鈍化傾向に歯止め

④ 就業者数は今年2月以来2度目の20万人超、労働市場の逼迫が賃金上昇につながるか

⑤ 失業率低下に伴い低学歴の賃金上昇も加速、失業率も大卒と高卒未満の差が過去最低に

ミネアポリス連銀カシュカリ総裁

・賃金の伸びは、失業率の低下を踏まえるとなお軟調

米非農業部門就業者数(万人) 失業率(%)

米非農業部門就業者数(万人) 失業率(%)

今回の雇用統計では非農業部門就業者数が前月比22万3000人増加。失業率は3.8%に低下し、2000年4月以降で最も低水準となりました。こうした改善は労働参加率が前月の62.8%から62.7%へ低下したほか、大卒と高卒未満の失業率格差が過去最低に縮小するなど企業が労働力確保に積極的に動いていることも明らかとなりました。労働力人口と失業者数の数値から算出した失業率は3.75%となり、2000年4月の3.84%を下回り、1969年12月の3.53%以来の低水準となりました。さらに平均時給も前月比+0.2%の予想に対し+0.3%、前年比でも+2.7%へ上昇するなど総じて堅調な内容となりました。 その後発表された米ISM製造業景況指数も予想を上回ったこともあり、10年債利回りは一時2.92%へ上昇しました。こうした結果を受けて6月FOMCでの利上げがほぼ確実視されるだけに今後はFRBが年後半に向けて年4回の利上げとなるのか、従来通り年3回の利上げの留めるのかに焦点が移行していきそうです。

米時間給賃金 前年比(%) 前月比(%)

米時間給賃金 前年比(%) 前月比(%)

今年1月の時間給賃金(前月比+0.3%、前年比+2.8%)の上昇は一過性に終わり、2月以降3ヵ月連続で伸び悩む状況が続いていました。今回の雇用統計で時間給賃金は、前月比+0.3%、前年比+2.7%と賃金上昇の兆しが見られます。失業率の低下に伴い、低学歴層の賃金上昇ペースに加速傾向が見られるなど、低失業率が本格的な賃金上昇に結びついていくのか、来月以降の動向がFRBの年4回の利上げ確率を高めることにつながるだけに注目されます。

雇用統計を前後したドル円の動き

雇用統計を前後したドル円の動き

提供:SBIリクイディティ・マーケット株式会社

お客様は、本レポートに表示されている情報をお客様自身のためにのみご利用するものとし、第三者への提供、再配信を行うこと、独自に加工すること、複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させることは出来ません。情報の内容については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。 また、これらの情報によって生じたいかなる損害についても、当社および本情報提供者は一切の責任を負いません。 本レポートに表示されている事項は、投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、勧誘を目的としたものではありません。投資にあたっての最終判断はお客様ご自身でお願いします。