米雇用統計特別レポート

掲載日:2019年01月28日

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2019年1月米雇用統計(2月1日発表)直前レポート

8月 9月 10月 11月 12月 1月
(予想)
非農業部門就業者数(万人) 28.6 11.9 27.4 17.6 31.2 16.5
失業率(%) 3.9% 3.7% 3.7% 3.7 3.9 3.9
時間給賃金(前月比) 0.4 0.3 0.1 0.2 0.4 0.3
時間制給賃金(前年比) 2.9% 2.8% 3.1% 3.1 3.2 3.2

今週末の米1月雇用統計の注目点、その前に

①前回12月雇用統計のポイント

・就業者数は31.2万人増と10ヵ月ぶり高水準、直近2ヶ月も上方修正

・時間給賃金は、前月比+0.4%は2017年9月以来の上昇率、前年比も+3.2%

・ヘルスケア、レストラン、建設業など幅広い分野で雇用増を確認

・失業率は3.9%へ悪化したものの、労働参加率の増加(62.9%⇒63.1%)で説明可能

・3月など次回の利上げを決定付けるものではなく、FRBにとって参考材料の一つ?

②1月30日(日本時間午前4時00分発表)のFOMC

12月FOMCではトランプ大統領をはじめ複数の政府関係者からの利上げを牽制する発言が相次いだものの、FRBは昨年4回目の利上げを予定通り実施しました。さらにパウエルFRB議長は会見後の記者との質疑応答の中で「FRBの保有する資産圧縮ペースを変更することはない、FRBの金融政策の基本方針は物価の安定と雇用の最大化である」と発言するなどタカ派的トーンの発言が聞かれました。NY株式市場の下落が一段と進む中、トランプ大統領はパウエルFRB議長の解任の可能性に言及するなど政治的圧力を強めることになりました。さらに米12月ISM製造業景況指数も大幅に低下する中で、メキシコ国境を巡る壁建設に固執するトランプ大統領と民主党との主張の溝が埋まらないまま、政府系機関の一部閉鎖の長期化が懸念されたほか、米中通商問題による中国をはじめとする世界経済の減速懸念も聞かれる中、その後パウエルFRB議長は「インフレは抑制されており、柔軟な金融政策が可能、利上げありきが金融政策の規定路線ではない」とハト派的見解への大きく舵を切りました。こうした中で先週末、FRBがバランスシートの削減に関して2017年開始時の想定よりも早期に停止することを検討している(開始時4.5兆㌦、想定は1.5~3.0兆㌦へ)とウォールストリートジャーナルのFRBウォッチャーからの観測報道が伝えられました。FRBの金融正常化に向けたペースが想定以上に緩やかなものになるとの期待が浮上しているだけに、FOMCでのバランスシート圧縮の早期終了を巡る議論の行方に加え、FRBが望ましいと考える保有資産の規模についての言及の有無が注目されます。こうした動きはドル売りにつながっているだけに、FOMC、さらに雇用統計の結果次第で一段とドル安が進行するか注目されます。

◇今週末の米1月雇用統計の注目点

・就業者数は前月の31.2万人増から16.5万人増へ大幅に低下する予想

・政府系機関閉鎖の影響以上の悪化が見られるのか注目

・時間給賃金は、前月の2017年9月以来前月比+0.4%からどの程度鈍化するか

・製造業を中心とした雇用に注目、米国経済の底堅さをあらためて確認する内容か

・FRBの年内利上げ継続路線の可能性を残す結果となるか注目

米時間給賃金 前年比(%) 前月比(%)

米時間給賃金 前年比(%) 前月比(%)

米非農業部門就業者数(万人) 失業率(%)

米非農業部門就業者数(万人) 失業率(%)

提供:SBIリクイディティ・マーケット株式会社

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