米雇用統計特別レポート

掲載日:2019年03月11日

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2019年2月米雇用統計(3月8日発表)結果

前回値 予想 結果
非農業部門就業者数(万人) 30.4万人増⇒31.1万人増 18.5万人増 2.0万人増
失業率(%) 4.0% 3.9% 3.8%
時間給賃金(前月比) 0.1% 0.3% 0.4%
時間制給賃金(前年比) 3.2% ⇒ 3.1% 3.3% 3.4%

2月雇用統計のポイント

・就業者数は2017年9月の1.8万人増以来の低水準となる2.0万人増

・直近3ヵ月の就業者数は月平均18.6万人増と堅調を継続

・建設業が3.1万人減、レジャー産業が0.0万人と厳冬下の悪天候の影響との観測も

・失業率は労働参加率が前月と変わらずの63.2%の中、前月の4.0%から3.8%へ改善

・対前年比時間給賃金は2009年4月以来の3.4%と高い伸びを記録

低失業率の下、個人消費は勢いつかず

昨年2018年の失業率は4月に4.0%を下回る3.9%へ改善、9月には3.7%まで改善が進み、1年間の平均失業率は3.89%と4.0%を下回り、1969年の3.5%以来の低水準となりました。今年1月には4.0%へ上昇したものの2月には再び3.8%へ改善、今後も低失業率が続き、昨年に続き2年連続で4.0%を下回ることになるか注目されます。

調査機関のコンセンサスでは米失業率は今年第4四半期までに3.6%への改善をピークに、来年末までには3.8%へ悪化に転じると見られ、過去のデータの試算では失業率が四半期平均で0.25%上昇すれば景気後退に陥るといわれています。

また、4.0%を下回る失業率という労働市場の堅調地合いが継続しているにもかかわらず、これが個人消費支出の拡大につながっていない点が懸念されます。

昨年の自動車販売では、小型車販売台数が伸び悩んでいるほか、住宅販売も低調な結果につながっており、インフレ期待が上昇する気配が見られないのが現状です。

FRBの金融政策が利上げに忍耐強い姿勢を示すなどハト派色を強めています。

本来であれば低失業率に加え、時間給賃金の上昇が見られる中、個人消費の拡大につながれば好景気下の低金利という「適温相場」を背景にNY株式市場は昨年10月の史上最高値の更新を目指すシナリオが描くことができますが、今年1-3月期の企業業績が11四半期ぶりに減益に転じるとの予想も聞かれる中、今回の雇用統計での 時間給賃金が対前年比3.4%と2009年4月以来の高い上昇率となったとはいえ、消費拡大に結び付くことがなければ絵に描いた餅にすぎないことになるかもしれません。

米小売売上高に注目

今晩米1月小売売上高が発表されます。上記でも触れましたが、時間給賃金の上昇や低失業率が個人消費の改善に結びついていないことが懸念されています。政府系機関閉鎖の影響から昨年12月の小売売上高の発表は2月14日にずれ込み、前月比-1.8%とおよそ9年ぶりの下落率を記録しました。

今回、1月の小売売上高、1月雇用統計での就業者数が31.1万人増、時間給賃金も週間で950・48㌦と決して悪くはない労働市場の結果を踏まえて、あらためて堅調な労働市場が堅調な個人消費に結びついているか、注目されます。

米非農業部門就業者数(万人) 失業率(%)

米時間給賃金 前年比(%) 前月比(%)

雇用統計を前後したドル円の動き

提供:SBIリクイディティ・マーケット株式会社

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