米雇用統計特別レポート

掲載日:2019年09月30日

  ce_report.png

2019年9月米雇用統計(10月4日発表)直前レポート

4月 5月 6月 7月 8月 9月
(予想)
非農業部門就業者数(万人) 21.6万人 6.2万人 17.8万人 15.9万人 13.0万人 14.5万人
失業率(%) 3.6% 3.6% 3.7% 3.7% 3.7% 3.7%
時間給賃金(前月比) 0.2% 0.3% 0.2% 0.3% 0.4% 0.3%
時間制給賃金(前年比) 3.2% 3.1% 3.1% 3.3% 3.2% 3.2%

前回8月雇用統計のポイント

8月雇用統計は過度な悲観もなければ過度な楽観にもつながらず

・就業者数は13.0万人増ながら2.5万人は国勢調査のための政府の臨時的雇用⇒ FOMCで0.25% 引下げたものの、それまで以上の緩和観測が後退

・民間部門の雇用増が鈍化 8月9.6万人(7月:13.1万人 6月:16.1万人)サービス業の雇用の伸びが鈍化 8月8.4万人(7月:13.3万人、6月:13.4万人)

・全体的に就業者数は鈍化、6月分、7月分がいずれも下方修正

・製造業の就業者数の増加は0.3万人、伸びが前年同月の半分以下

・失業率は3ヵ月連続で3.7%、一方、労働参加率は63.2%(6月;62.9% 7月:63.0%)⇒ 実質的な失業率は低下、堅調な労働市場を確認

・労働時間 34.4時間(7月:34.3時間) 時間給 28.11㌦(7月:28.00㌦)⇒ 週間報酬額 966.98㌦(7月:960.40㌦)は上昇、個人消費を支援

米9月FOMCの総括

7月に続き0.25%の利下げを決定もタカ派的緩和?

・労働市場が強さを維持、経済活動は堅調なペースで上昇との前回の声明文を踏襲

・家計支出について「堅調なペースで上昇」と上方修正

・企業の投資や輸出は弱まったとして下方修正

・カンザスシティ連銀総裁やボストン連銀総裁が政策金利の据え置きを主張

・セントルイス連銀総裁は0.50%の利下げを主張、FOMC内部の見解の相違が鮮明に

・経済予測では成長率見通しが上方修正され、今年の成長率見通しも0.1%引き上げ

・潜在成長率見通し(+1.9%)前後で推移するとの見通し

・今年の失業率見通しは3.7%へ従来の3.6%から引上げ、来年以降3.7%から3.9%堅調

・個人消費デフレーターはコアも含め概ね2%目標への緩やかな収斂見通しを維持

・パウエルFRB議長の会見では先行きについて十分と思えば利下げを止める

・経済情勢が弱まれば大幅利下げが必要になる可能性もあるとして柔軟な対応を示唆

・マイナス金利の検討はなし

・足許の短期金利の上昇について経済や金融政策のスタンスに影響なし

米9月雇用統計の注目点

米中通商交渉を巡る不透明感を背景に米8月ISM製造業景況指数が3年ぶりに好不況の節目とされる50.0を下回る49.1へ低下。前月8月雇用統計でも民間部門で就業者数の鈍化が見られ、製造業のみならずサービス業へも波及したことから、一時的な動きなのか、9月雇用統計の就業者数の増減が注目されます。また、時間給賃金は前月比+0.3%予想と8月(+0.4%)から鈍化、前年比では+3.2%予想と前月から変わらずの予想となっています。前年比?3.2%と予想通りの結果となれば、今年8月までの平均(+3.21%)と同水準であり、堅調地合いの継続を確認することになり、低インフレへの懸念後退につながるかもしれません。また、9月のFOMCを前後して、米長期金利の低下に一服感も見られており、FRBの年内の更なる利下げの必要性を見極める点からも注目されます。

米非農業部門就業者数(万人) 失業率(%)

米非農業部門就業者数(万人) 失業率(%)

米時間給賃金 前年比(%) 前月比(%)

米時間給賃金 前年比(%) 前月比(%)

前月8月雇用統計発表時のドル円の15分足チャート

前回8月雇用統計の発表を前後にしたドル円の15分足チャート

提供:SBIリクイディティ・マーケット株式会社

お客様は、本レポートに表示されている情報をお客様自身のためにのみご利用するものとし、第三者への提供、再配信を行うこと、独自に加工すること、複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させることは出来ません。情報の内容については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。 また、これらの情報によって生じたいかなる損害についても、当社および本情報提供者は一切の責任を負いません。 本レポートに表示されている事項は、投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、勧誘を目的としたものではありません。投資にあたっての最終判断はお客様ご自身でお願いします。