米雇用統計特別レポート

掲載日:2020年02月10日

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2020年1月米雇用統計(2月7日発表)結果

前回値 予想 結果
非農業部門就業者数(万人) 14.7万人 16.5万人 22.5万人
失業率(%) 3.5% 3.5% 3.6%
時間給賃金(前月比) 0.1% 0.3% 0.2%
時間制給賃金(前年比) 3.0% 3.0% 3.1%

米1月雇用統計の総括

米労働市場の堅調持続が確認されたほか、賃金上昇率の鈍化も一服

・直近3ヵ月の就業者数の平均が前月(18.6万人増)から21.1万人増へ増加

・失業率は3.6%へ悪化したものの、労働参加率の増加(63.2%⇒63.4%)が影響

・20歳以上の女性の失業率は3.2%と男性の3.3%を下回り前月から逆転

・時間給賃金$28.44 (12月:$28.37 11月:$28.34  19年1月:$27.58)

・民間部門就業者:20.6万人(前月:14.2万人)

・財生産は3.2万人増(前月:0.5万人減) サービス業は17.4万人増(14.7万人増)

・建設業4.4万人増(前月;0.4万人増)、教育・福祉関連7.2万人増(2.2万人増)

米非農業部門就業者数(万人) 失業率(%)

米非農業部門就業者数(万人) 失業率(%)

・時間給賃金、前年比+3.1%へ改善、12月分も2.9%から3.0%へ上方修正

・10-12月期GDPでは個人消費の減速を確認、賃金上昇率の鈍化に歯止めがかかり、米GDPの約70%を占める個人消費の堅調持続への期待に寄与

・労働参加率の上昇は明らかに労働供給の高さを象徴、労働市場の堅調持続を確認

・今後の注目は新型ウィルスの米製造業や中国向け輸出減が雇用調整につながるか

・今週のパウエルFRB議長の議会証言、堅調な労働市場に自信を示す一方、先行きについてウィルス感染拡大の影響により、利下げの可能性に言及するか注目

米時間給賃金 前年比(%) 前月比(%)

米時間給賃金 前年比(%) 前月比(%)

良好な米雇用統計を打ち消したウィルス感染に対する先行き懸念

先週末2月7日の雇用統計を前に2月5日に発表された米1月ADP雇用統計が29.1万人増と事前予想を大きく上回っていたこともあり、楽観的な見通しが聞かれていましたが、それ以上に堅調な労働市場を確認する結果となりました。発表直後にドル円は110円02銭まで上昇したものの、あらためて110円台での戻り売りの強さを確認。さらにFRBによる議会への金融政策報告書の中で、新型ウィルスの影響が中国及び世界経済の下振れに波及する可能性があるとしたことでリスク回避の高まりが意識され、NY株式市場ではダウが一時322㌦安まで下落したほか、米長期金利が低下する中で109円53銭まで反落。中国発のウィルス感染拡大に収束の兆候が見られず、中国拠点のサプライチェーンへの影響が世界経済の生産活動に影響を及ぼすとの警戒感がリスク選好の動きに大きくブレーキを掛けてています。今週のパウエルFRB議長の議会証言でウィルス感染拡大の影響次第では追加利下げもあり得るとの強い警戒感を示すのか、さらに1 月 23 日の春節前の終値(2,976.53)を依然として約 3.5%程度下回る水準に留まっており、中国経済の減速懸念を払拭するには至っていない状況を象徴しています。それだけに今週の上海株が春節明けとなった2月3日の終値(2,746.61)を下回ることなく、堅調な値動きとなるか注意して見ていく必要がありそうです。

雇用統計を前後してのドル円の反応

雇用統計を前後してのドル円の反応

提供:SBIリクイディティ・マーケット株式会社

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