本日の注目通貨トピックス Jul 17

◇中国人民元
 昨日発表された中国4-6月期GDP成長率は事前の市場予想通り、前年比+6.7%と前期(+6.8%)から小幅に減速した。トランプ政権による貿易問題の影響が懸念されたものの冬季の環境規制が終了したことを追い風に国内産業が持ち直したこともあり、輸出が持ちこたえた格好となりました。一方、設備投資は前年同期比6%増に留まり、伸び率として1990年以降で最低の伸びに留まったほか、実質成長率は地価上昇による名目GDPの膨張を背景に低下する結果となりました。シャドーバンキングへの規制強化により不動産業が影響を受けている点が懸念されます。

CNH

 習近平国家主席は国有企業を「強く、大きく」とのスローガンの下、規模の拡大を追求した結果、生産性が低下、リストラの遅れも影響していると見られているほか、中小企業の景況指数(PMI)は低下傾向にあることも確認されています。中国人民銀行は預金準備率を引き下げ、主要な短期借入金利は4月以降0.2%低下、銀行監督局が小規模企業向け貸出金利大幅な引き下げを銀行に求めたとされています。昨日の上海株は小幅安ながら2,800Ptsを維持していますが、節目の3,000Pts回復への道筋が見えて来ないのが実状です。

 7月5日、中国のエネルギー関連企業の永泰能源がコマーシャルペーパーの元本や利息を支払うことが出来ない債務不履行が発生、政府が債務を抑制する中で資金繰りが悪化する企業も増えており信用収縮への懸念も聞かれ始めています。

 米国との貿易戦争の影響も含めて、中国国内企業への影響も懸念される中で7月から12月に賭けての下半期の中国経済が一段と減速する懸念を払拭する手立てを打ち出すことができるのか、一段の人民元安への懸念も踏まえ、今後の動向に注意が必要です。中国と貿易面で密接なつながりのある豪州、中国の景気減速は豪㌦の金融政策にも影響を及ぼす可能性もあるだけに豪㌦の動向も注意深く見ていく必要がありそうです。

◇南アランド
米中貿易摩擦への警戒感を背景としたリスク回避ムードが一服する中、昨日のランドは対ドルで堅調に推移し、1㌦=12.2375ランドと6月14日以来の高値へ上昇、対円でも6月7日以来の一時8.4955円まで上昇しました。一方、IMFが世界経済見通しを据え置き、貿易問題が世界経済のリスク要因となると指摘したことも影響し、終盤にかけてやや伸び悩む動きとなった。ランド円は5日移動平均線(8.4313円)を下値支援に、一目均衡・日足・雲の下限(8.5409円)を回復し、一段のランド高が進むのか注目です。

本日の注目通貨トピックス Jul 13

◇英ポンド
 昨晩、英政府がEU離脱後の欧州との経済関係を巡る具体策が示された「白書」を公表しました。この「白書」にまとめられたEU離脱後の欧州との関係を巡り、メイ首相率いる与党・保守党内で意見が対立、デービスEU離脱担当相やジョンソン外相が辞任するなど依然として対立の火種が残ったままの状況にあります。

来年3月のEU離脱期限まで残すところ9ヶ月あまり、
①英政府は「白書」で示された具体策を議会で承認
②EUとの交渉を経て交渉期限内に合意を取り付ける
という二つの課題を果たすことができるか、ポンドの動向に大きく影響するだけに注目です。

 公表された「白書」ではEU離脱後に「英・EU自由貿易圏」の構築が盛り込まれ、NAFTA(北米自由貿易協定)のようなものを目指すほか、EUとウクライナとの連合協定のような新たな提携関係や紛争解決にあたる機関の設立などが提案されています。
 さらにEU金融当局との協力に関しては、国際法で定められた枠組みの交渉を目指し、金融規制に関しては英国の自主権維持の方針を示した上で、英国とEUが現行水準の相互市場アクセスを持たなくなることを意味するとしています。
 金融業界は以前から英政府とEU当局が広範に亘る現状維持の合意には至らない可能性を懸念していましたが、「白書」に記された提案でそうした懸念が一層高まることになりそうです。「白書」が議会承認を得ることが切るか?与党・保守党でのメイ首相に対する批判が高まるなど政治的に不安定になることはないか?さらに金融業界を巡るEUとの相互アクセスの否定に対して一部の金融機関は既に、中核的人材をEU諸国の首都へ移動するなど事前に動いており、こうした動きがポンド安につながらないか、慎重に見ていく必要がありそうです。

◇南アランド
 昨晩、議会下院金融サービス委員会の公聴会で証言したムニューシン財務長官は「我々は通商政策を巡り対立しているが、貿易戦争の状況にあるとは思っていない」などと発言、トランプ政権は、NAFTA(北米自由貿易協定)など従来の通商協定の見直しのほか、中国を確実に通商ルールに従うよう促すことに注力しているとの考えを明らかにしました。通商政策を巡る不確実性による影響を注視しているものの、マイナスの影響は見られていない、とも述べています。
 こうした発言を受けて市場では米中貿易問題への警戒感が緩和されたとして新興国通貨や商品市況が上昇した流れを引き継ぎ南アランド対ドルで13.32ランドとドル安・ランド高と上昇しました。また、対円でも6月7日以来およそ1ヵ月ぶりの8.4959円まで上昇するなど堅調な値動きとなっています。昨晩発表された5月鉱物生産高が前年比-2.6%と前月(-4.4%)から改善したほか、5月の製造業生産高も+2.3%と前月(+1.0%)から改善したこともランド高に寄与したようです。ランド円は5日移動平均線(8.3574円)を下値支持に一目均衡・日足雲の下限(8.5484円)を回復できるかポイントとなりそうです。

本日の注目通貨トピックス Jul 12

◇米ドル
doru

 昨晩のNY市場ではドルが対主要通貨で全面高となりました。昨日午前6時に米国が中国からの輸入製品、2000億㌦相当に10%の関税を課すとの報道を受けてドル円は110円77銭まで下落したものの、結果的にその水準が下値となり、昨晩のNY市場では112円17銭、今朝の東京市場で112円34銭まで上昇しています。
 昨晩発表された米6月卸売物価指数は前月比+0.3%、前年比+3.4%と予想を上回り、前年比ベースでは2011年11月以来の上昇となりました。背景にあるのはトランプ政権による鉄鋼/アルミの輸入制限による原材料価格の調達コストの押し上げが大きく影響したといわれています。これを受けてドル円は111円31銭まで上昇したものの、中国が米国からの輸入品に10%超の関税の賦課、米企業の合併承認を遅らせる措置、さらには米国製品の不買運動を展開など総合的な報復措置を検討するとの報道で、一時110円97銭へ反落しました。しかし、貿易摩擦問題を嫌気して昨晩のNYダウは一時255㌦安まで下落したほか、欧州株も軒並み下落したことで新興国の株価指数も下落しました。こうした動きを背景に新興国通貨のトルコリラや南アフリカランドも対ドルで下落、トルコ円は一時22円台前半まで下落しました。さらにリビア政府が原油輸出再開の意向を示したことで原油価格が大きく下落、豪㌦やNZ㌦など資源国通貨も対ドルで軟調な値動きとなりました。
 こうした中でドル円は重要な節目として意識された5月21日の円安水準(111円39銭)を上抜けたことで、短期投機筋らのドル買いを誘発、111円64銭まで駆け上がりました。その後、一旦利益確定売りに押され反落したものの111円50銭を下値に底堅さを確認、昨夜午前3時過ぎに112円17銭やトルコリラ/南ア・ランドなどの新興国通貨は軒並み対ドルで売られた。円はこの動きにつれて重要な下値メドであった5月21日の安値111円39銭を割り込み、短期筋の売りで112円17銭まで上昇し1月10日以来の円安水準を更新、今朝、東京市場の午前11時前に112円34銭まで上昇しています。
 この先、ドル円は今年1月10日の高値(112円78銭)を上抜け、今年1月8日に付けた年初来高値の113円38銭の更新を目指すのか、一方で新たな貿易問題に絡む報道が出た際に、週足・一目均衡・雲の上限(111円50銭)が下値支援となるか注目です。

本日の注目通貨トピックス Jul 11

◇豪ドル
 昨晩のNY市場取引終了直後、日本時間午前6時過ぎにトランプ政権は中国から輸入する2000億ドル相当の製品に対し10%の関税の上乗せする追加関税を行うと発表しました。既に先週6日に米国は340億ドルの対中制裁を発動したことに対して、中国も同規模の報復制裁という対抗措置をとったことで、新たに制裁を強化するとしています。しかし、この制裁発動までに約2ヶ月を要するとしているものの、仮に制裁合戦が激化することで世界経済への影響のほか、従来からの国際的な通商ルールが形骸化につながらないか心配する声もあります。中国経済にも影響が及ぶことは必至ですが、豪州は輸出全体に占める対中輸出の割合が全体の30%近くに達しているほか、輸出品の1位が鉄鋼石、次いで2位が石炭となっており、中国経済が貿易問題によって減速することになれば豪経済への悪影響は免れないと見られており、こうした思惑が豪ドルの下落につながらないか懸念されます。
 先週末6日に米国が対中制裁(340億ドル)を発動したことで、既に中国経済への減速懸念を背景に銅価格が昨年8月以来の水準へ下落、先週一週間で5%ほど下落しました。また鉄鉱石価格も昨年11月以来の安値まで下落しています。
 豪ドルは対ドルで先週7月2日に0.7310ドルと昨年1月以来の安値を更新しましたが、貿易問題に対する新たな報道が聞かれなかった安心感から今週初めには0.7480ドルへ反発するなど落着きを取り戻したと思われました。しかし、今朝の報道を受けて0.7406ドルへ豪ドル安となっており、日足・転換線(0.7397ドル)を割込むことになれば先週2日の0.7310ドルが意識され、更なる下落となる可能性もあるだけに注意が必要です。

◇ユーロ
 昨晩発表された独7月ZEW景況感指数(期待指数)は-24.7と前月(-16.1)から大きく低下、4月以降4ヵ月連続でのマイナスとなったほか、2012年8月以来の低水準となりました。さらにユーロ圏のZEW景況感指数も前月(-12.6)から-18.7へ悪化、こちらも2012年以来の低水準となりました。ユーロは今週9日の海外市場で1.1790ドルへ上昇したものの、あらためて1.18ドル台からの上値の重さを確認したほか、ドラギECB総裁も「政策金利は2019年夏までは現状の水準が維持されると予想する」とコメントしており、こうした発言もユーロの上値抑制の一因とされています。
 一方、ユーロ圏5月の消費者物価指数(HICP)は昨年4月以来の前年同月比+1.9%と高い伸びを示したこともあり、ECB関係者の一部から早期利上げの可能性に言及する発言が聞かれる根拠の一つとなっています。しかし、原油価格が74ドル台まで上昇するなど高値圏での推移が続いており、足許の物価上昇はエネルギー価格によって押し上げられているとの指摘もあり、エネルギー価格による物価上昇を差引くと実質的には1.0%台前半に留まり、早期利上げを正当化する根拠として疑問視する見方もあるのも事実です。さらにイタリアやドイツなど連立政権も落着きを取り戻しているとはいえ、今秋にはイタリアで新年度予算の審議が予定され、混乱するとの警戒があるほか、米国発の貿易問題の影響がドイツの輸出に悪影響を及ぼす可能性もあるだけに、ユーロ安再燃への警戒も引き続き必要かもしれません。


新興市場トピックス Jul 10

◇トルコリラ
 トルコリラは対円で昨日、欧州市場序盤の24円46銭から23円32銭へ大幅に下落しました。昨晩、日本時間22時30分からのエルドアン大統領が就任宣誓を行い、その中で前政権で副首相や経済担当相を務め、エルドアン大統領の政策運営を牽制していた腹心のシェムシェキ氏が閣僚から外され、財務相にエルドアン大統領の娘婿を任命したことで今後の政権運営に対する懸念がリラ急落の要因となりました。
 6月24日に行われた大統領選・議会選を通じて、長年続いた議員内閣制から大統領制へ移行され大統領権限が一段と高まっており、24日のトルコ中銀政策委員会での金融政策にも大統領の関与が及ぶ可能性も囁かれています。
 先週7月3日に発表されたトルコ6月の消費者物価指数は前年同月比15.39%と5月の12.15%から一段と上昇、インフレ高進に歯止めをかけるには利上げが必要とされますが、既に企業向け貸出金利は20%近辺に上昇しており、個人の新規借り入れが難しいとされる状況にあります。さらに昨年末時点での官民の抱える対外債務は約4500億㌦、過去15年のエルドアン大統領の長期政権下で当初から3.5倍に膨らんだことになります。トルコの外貨準備も向こう1年の資金需要の約半分(1,073億㌦)にまで減少、ドイツ公共放送は、6月21日の電子版でIMFがトルコの金融支援に備えて危機対応グループを立ち上げたと報じています。「トルコがIMFの金融支援を受ける!」といった報道が現実となればトルコリラは一段と下落する可能性を指摘する声もあるだけに、注意が必要です。

◇英ポンド
 前日のデービスEU離脱担当相の辞任に続き、昨晩はジョンソン外相が辞任するなど、EUからの明確な離脱を主張してきた英メイ政権の主要閣僚が政権を去る異常事態に発展しました。こうした動きにもかかわらず、英議会はメイ首相の不信任決議は行わないとしており事態の行方を見守る状況にあります。メイ首相はデービス前EU離脱担当相の後任にEU懐疑派のドミニク・ラーブ議員の若手を登用すると発表し、引き続き政権運営、EU離脱交渉に前向きな姿勢を示しています。
 メイ首相の不信任決議を行わない議会の一方、EU離脱後もEUとの緊密な経済関係を主張する首相の方針に反発する与党議員も多く、党首選を行うよう求める動きも見られており引続き英国の政局を巡る不透明感が残ることになりそうです。EU離脱担当相を辞任したデービス氏は新党首に名乗りを上げることは間違っているとして党首選の可能性を否定している一方、外相を辞任したジョンソン氏はキャメロン前首相が辞任した2016年6月の党首選で直前に立候補を見送った経緯があるだけに党首選の可能性もあり、引き続き今後の動向次第ではポンドが対ドル、対ユーロ、対円で上下大きく動く可能性がありそうです。


新興市場トピックス Jul 9

◇トルコリラ
 昨日8日、トルコ政府はテロ集団と関わりがあるとする約1.8万人の公務員を免職しました。一昨年のトルコ軍の一部によるクーデター未遂事件後にエルドアン大統領が継続している粛清の一環で、本日のエルドアン大統領の正式就任を前に処分が発表されました。粛清の発表は官報で行われ約9000人の警察官や約6000人の軍関係者、さらには約1000人の法務省職員が含まれており、こうした粛清に対する反発がエルドアン政権に対する不満爆発につながるか今後の動向に注意が必要かもしれません。さらに本日正式に大統領に就任するエルドアン大統領がトルコ中銀への金融政策への関与を強める可能性もあり、トルコリラの動向が注目されます。
 エルドアン大統領は低金利政策による緩和マネーをベースに建設投資を拡大させ、消費拡大を軸にトルコ経済の成長戦略を描き実行してきました。しかし米FRBが金融政策の正常化から引締め局面へと政策転換への道のりを進めるなど外部環境の変化に対応できないまま、外貨準備(1,073億㌦=5月時点)は経常赤字を加えた向こう1年の資金需要(約2000億㌦)を大きく下回っています。トルコリラは昨年9月に1㌦=3.4㍒にあった水準から先月には4.7㍒台へと対ドルで大きく下落しています。
 今月24日のトルコ中銀政策委員会で追加利上げは避けられないと見られる中でエルドアン大統領が金融政策について利上げに否定的な見解を示すことになればリラ安が再燃しかねないだけに注意が必要です。一方で急速な利上げの影響により企業への貸出金利は20%を上回っており、家計部門を見ても新規の借り入れが困難な状況になっているとも伝えられています。さらに来年のトルコ経済はマイナス成長に転じる可能性も懸念されるなど、国民の不満が高まりかねないだけに今回の公務員解雇などの強硬姿勢が政権の不安定要因となるか要注意かもしれません。

◇南アランド
 先週末発表の米6月雇用統計で時間給賃金が市場予想を下回るなど伸び悩みが確認されたことから、賃金上昇を背景にしたインフレ加速への懸念が後退しました。FRBの金融政策は緩やかな利上げペースに留まるとの見方が優勢となったことで新興国市場からドルへの資本流出懸念が後退したことも影響し、ランドは対ドルで13.50ランドへ4日続伸しました。対円でも5日移動平均線(8.14ランド)を下値支援に8.20ランド台へ続伸していり、上昇を続ける5日移動平均線に沿った上昇基調を続けるか目安となりそうです。

◇資源国通貨
 先週末のNY原油先物市場、OPECが足元で産油量を拡大しているものの、イランやベネズエラ、リビアなどの供給減を十分に補えるかどうか懐疑的な見方も根強く、73.80㌦と前日から上昇して取引を終えています。サウジアラビアには産油量を拡大する余力があるものの、厳しい制裁が科されているイラン産原油の供給減を十分に埋め合わる可能性は限定されるとも見られており、原油価格の上昇基調は継続すると見られています。
 こうした中でカナダは対ドルで1.30カナダへ上昇、豪㌦も0.74㌦台へ上昇しています。先週末発表された6月米雇用統計が賃金上昇の鈍化を示し、米利上げが緩やかなペースに留まるとの見方もドル売りに反応しています。

(出所:SBILM)

提供:SBIリクイディティ・マーケット株式会社
お客様は、本レポートに表示されている情報をお客様自身のためにのみご利用するものとし、第三者への提供、再配信を行うこと、独自に加工すること、複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させることは出来ません。情報の内容については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。 また、これらの情報によって生じたいかなる損害についても、当社および本情報提供者は一切の責任を負いません。本レポートに表示されている事項は、投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、勧誘を目的としたものではありません。投資にあたっての最終判断はお客様ご自身でお願いします。