米雇用統計特別レポート

掲載日:2020年01月06日

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2019年12月米雇用統計(1月10日発表)直前レポート

7月 8月 9月 10月 11月 12月
(予想)
非農業部門就業者数(万人) 16.6万人 21.9万人 19.3万人 15.6万人 26.6万人 16.2万人
失業率(%) 3.7% 3.7% 3.5% 3.6% 3.5% 3.5%
時間給賃金(前月比) 0.3% 0.4% 0.0% 0.4% 0.2% 0.3%
時間制給賃金(前年比) 3.3% 3.2% 3.0% 3.2% 3.1% 3.1%

米11月雇用統計の総括

堅調な米労働市場を確認、低失業率を維持しつつも低インフレの状況を継続

・就業者数は26.6万人、10月が速報値比+2.8万人、9月が+1.3万人上方修正

・民間セクターの雇用が25.4万人増(10月:16.3万人増、9月:18.3万人増)

・労働参加率が前月(63.3%)から63.2%へ低下した影響もあり失業率は3.5%へ

・時間給賃金$28.29 (10月:$28.22 9月:$28.12  18年11月:$27.43)

・賃金上昇は緩やかながらも低スキル雇用やパートタイマーの賃金も緩やかに上昇

・低インフレの状況に変わりはなく、FRBは当面の金融政策を維持する見通し

・レジャー産業の雇用が4.5万人増、個人消費の強さを反映したとの見方

・全産業に万遍なく雇用が拡大していることを確認 堅調な労働市場の持続に自信

米12月雇用統計の注目点

地政学的リスクを背景に原油価格が上昇する中、労働市場への影響は?

中東情勢を巡る地政学的リスクを背景に先週末1月3日に63㌦台まで上昇した原油価格は週明け6日の時間外取引で64㌦台へ上昇、実に昨年4月末以来の高値まで跳ね上がりました。12月雇用統計では影響はないと思われるものの、今後も原油価格が高止まりする状況になれば、個人消費の抑制を真っ先に受けやすいレジャー産業などサービス産業への雇用にも悪影響が及ぶ可能性が懸念されます。実際、直近のレジャー産業の雇用を見ると、9月の5.6万人増、10月の7.0万人増に続き11月も4.5万人増と前年同月(3.9万人増)と比べても堅調を維持。しかし、12月も原油価格が上昇していたこともあり、影響が注目されます。さらに、原油価格の上昇は、企業のコスト増を背景に時間給賃金の抑制につながる可能性もあるかもしれません。

一方で、地政学的リスクの高まりが一段と増すことになれば企業の設備投資意欲の抑制につながりかねず、雇用拡大にブレーキを掛けることになるか注目されます。

すなわち、12月の雇用統計が市場予想に近い堅調な数値となった場合でも、為替市場が素直に反応するか、先行きを懸念した動きがドル円の上昇を抑制する可能性もあるかもしれません。

一方で来週1月13日にも中国の貿易交渉団がワシントンに派遣される可能性も一部で報じられており、米中通商交渉の一段の進展期待が企業の設備投資意欲の回復につながるか、時間差はあるものの、先行きへの明るい材料が労働市場の堅調地合いを支援するか注目されます。さらに、雇用統計前日の9日には英議会下院でEU離脱関連法案の採決が行われる予定です。EU離脱後のEUとの新たな通商条約の締結までの一年間、明確な道筋を示すことができるのか、ポンドの対ドル、対円の影響が残る中で雇用統計を迎えることになるかもしれません。

米非農業部門就業者数(万人) 失業率(%)

米非農業部門就業者数(万人) 失業率(%)

米時間給賃金 前年比(%) 前月比(%)

米時間給賃金 前年比(%) 前月比(%)

前月11月雇用統計を前後してのドル円の反応

雇用統計を前後してのドル円の反応

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