米雇用統計特別レポート

掲載日:2020年03月09日

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2020年2月米雇用統計(3月6日発表)結果

前回値 予想 結果
非農業部門就業者数(万人) 27.3万人 17.5万人 27.3万人
失業率(%) 3.6% 3.6% 3.5%
時間給賃金(前月比) 0.2% 0.3% 0.3%
時間制給賃金(前年比) 3.1% 3.0% 3.0%

米2月雇用統計の総括

労働市場の堅調持続が確認されたほか、賃金上昇にも懸念は見られず

・直近3ヵ月の就業者数の平均が前月(23.9万人増)から24.3万人増へ増加

・就業者数が予想比上振れ 1月(4.8万人上方修正)12月(3.7万人上方修正)

・ヘルスケア5.7万人増 レストラン・外食 5.3万人増 政府系4.5万人増

・小売り5千人減  輸送 7千人減

・民間部門22.8万人増

・U6失業率は前月の6.9%から7.0%へ悪化

・時間給賃金は前月から改善、週平均労働時間も前月34.3時間から34.4時間へ増加したことで個人消費減少への懸念はみられず、但し、ウィルス感染前であることから為替、株式、債券市場への影響は限定的

米非農業部門就業者数(万人) 失業率(%)

米非農業部門就業者数(万人) 失業率(%)

米時間給賃金 前年比(%) 前月比(%)

米時間給賃金 前年比(%) 前月比(%)

良好な米雇用統計への反応も限定、米経済指標どころではない!

先週末3月6日に発表された米2月雇用統計が市場予想を上回る良好な労働市場の持続的拡大を確認したものの、市場の反応は限定的。米国の経済指標がどれだけ良かろうとも、ウィルス感染拡大による米国経済、世界経済への深刻な影響が懸念される状況にある中、先週のカリフォルニア州やメリーゴーランド州に続き、先週末にはニューヨーク州からも非常事態宣言が発令される事態となりました。米国経済の感染拡大のみならず、中国のウィルス感染によるサプライチェーンへの影響による部品供給等の遅れが、既に先週3月2日に発表された米2月ISM製造業景況指数でも生産、新規受注、在庫の低下が明らかになっていました。さらに50.0を上回ると入荷が遅れていることを示す入荷遅延指数が57.3に上昇(前月52.9)し、2018年以来の高水準となり、新型ウィルスよる中国サプライチェーンの混乱している影響がこうした数値に表れていることが確認されました。。さらに、こうした中国からの部品供給の影響により、輸入指数は2009年以来11年ぶりの低水準となる42.6 へ低下、前月からの落ち込み幅は過去最大となりました。今後、徐々に、或いは急激に影響が顕在化する中で米製造業を中心とした生産への影響が設備稼働率の低下に留まらず、労働市場にも影響が及ぶ可能性があり警戒されます。企業が従業員の従業員の解雇に踏み切るのか、あるいは労働時間の短縮で乗り越えるのか、今後4月以降に発表される米雇用統計での就業者数の急激な減少につながるのか、あるいは雇用は維持されながらも週平均労働時間の縮小に留まるのか、3月、4月の雇用統計の数値が注目されます。

雇用統計を前後してのドル円の反応

雇用統計を前後してのドル円の反応

提供:SBIリクイディティ・マーケット株式会社

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