テクニカル教室

第7回「一目均衡表」

掲載日:2019年10月30日

一目均衡表は、それぞれに異なった計算方法で算出された5つの線から構成されており、その名の通りひと目で相場の均衡状態を見分けるもので、均衡が崩れた時にその方向に値が動くという推論に基づくもで、特に投資家からの人気が高く、海外のトレーダーにも使われています。そして、一目均衡表は時間論・波動論・値幅観測論・型譜・スパンからなる総合的な分析手法と言えます。

一目均衡表 基本的な見方

① 転換線・基準線が交差する

一目均衡表の基本的な見方には転換線・基準線のクロスがあります。移動平均線やオシレーターのゴールデンクロス、デッドクロスと同じように、一目均衡表の転換線と基準線が交差(クロス)する場合に、相場における転換を示すシグナルの一つとなります。転換線が基準線を下から上抜けることを『好転』といい、転換線が基準線を上から下抜けることを『逆転』と呼びます。

転換線は、比較的価格と近い動きとなりますが、基準線はトレンドが出ているときなどは転換線よりも価格帯からやや離れた動きとなります。また、転換線、基準線が①~④のようにサポートやレジスタンスとなることも多く見られます。そして、基準線が上昇・下降が続いている時ほど、価格の動きは安定して上昇・下降を継続しますが、横ばいの動きとなる場合には、価格の動きも横ばいとなることも多くなる傾向があります。

② 日々線が雲を抜ける

一目均衡表の基本的な見方には、日々線が雲を抜ける場合があります。日々線が雲を上抜ける場合には、相場の方向性が『好転』、下抜ける場合には『逆転』すると言い、相場の転換シグナルと判断されます。よく天気に例えられ、"雲の上は晴れ"なので強気基調、"雲の下は雨"なので弱気基調と表現されます。

一目均衡表においては、雲を重要視するトレーダーが多いです。日々線の雲上抜けや下抜けは重要ですが、雲の上限や下限がサポートやレジスタンスとなる場合もあります。そのため、日々線が雲に接近する場合や、雲突入後、雲を抜けた後の動きにも注目です。

③ 遅行スパンが日々線を抜ける

一目均衡表の基本的な見方には、遅行スパンが日々線を抜ける場合があります。遅行スパンは、当日の終値を26日過去に記すことから、チャート上では、現時点から後方で起きる現象です。そして、帆相場の方向性に敏感とされる基準線が上向き(下向きに)変わっていることを条件に加えるとより効果的です。

➃ 三役好転・三役逆転

一目均衡表における重要な転換シグナルに『三役好転』、『三役逆転』があります。➀~➂に挙げた「転換線・基準線の交差」、「日々線が雲を抜ける」、「遅行スパンが価格を抜ける」というすべての条件をクリアした場合がこれに当たります。そして、特に信頼度の高いシグナルとして支持されており、3つの条件すべて揃うことから、国技に擬えて「三役揃い踏み」と呼ぶこともあります。

『三役揃い踏み』の場合には、大抵「日々線が雲を抜ける」という条件が最後になるケースが多く見られます。一目均衡表のシグナルに限らず、トレーダーの支持が高ければ高いほど、そのシグナルの信頼度は高まる傾向にあり、一目均衡表の場合も日々線が雲を抜けることは重要なシグナルであり、トレーダーの支持も高いため、雲を抜けた後に上昇や下降の動きが加速するケースも多くなる傾向があります。

➄ 基準線の動き

一目均衡表における注目すべきポイントに、基準線の方向性があります。基準線は、相場の方向性を示すラインとしても注目されており、基本的には基準線が上向きなら相場の方向性は上向き、基準線が下向きなら相場の方向性は下向き、基準線が横ばいなら相場の方向性も横ばいとなる傾向があります。また、価格帯が基準線を下抜ける、または上抜ける場合には方向性の転換をと見ることもできます。さらに基準線が上値の抵抗や下値のサポートとなることもよくあります。基準線の特徴(過去26日間の高値と安値の平均値)から、何営業日後に基準線の方向性に変化が起きる可能性があると予測することも可能であり、ある程度準備ができます。

⑥ 先行スパン1と先行スパン2のクロス

先行スパン1と先行スパン2のクロス(雲のねじれとも言われます)は、相場の流れを見るためのポイントとなることが多く、それまでの流れが転換する、又は加速するケースがよくあります。下のチャートでは明確な転換・加速に結びついていますが、やや信頼性に欠ける面もあるため、"転換・加速の可能性が高まる"程度に認識しておいた方がよいでしょう。また、先行スパンの特徴(現時点から26日先に記される)から、何営業日後に転換の可能性が高まるかを予測することも可能であり、ある程度準備ができます。

【お客さまからのご質問にお答えします】

テクニカル教室フィボナッチをご検討頂けませんか。
フィボナッチは使ってみて持論とほぼ以上考え方が一致し主要テクニカル線で使います。大体秒スキャやスキャルピングで使います。テクニカル線フィボナッチはフィボナッチリトレースメントでしょうか。
出来ればフィボナッチの使用方法の考え方(総合的な意味)+使い方の図解とかがあればありがたいです。

フィボナッチに関しましては、次回から3回に分けて目標値計算として
➀フィボナッチ・リトレースメント
➁その他のフィボナッチ
➂一目均衡表の計算
を予定しています。
この分野は、個人的にもよく使用しており、日々ディーラー向けのテクニカルポイントの作成時にも使用しています。個人投資家向けということで、基本的な見方が中心になりますが、ご参考にしていただければと思います。

【提供:SBIリクイディティ・マーケット株式会社】

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【筆者紹介】

竹内 友浩
SBIリクイディティ・マーケット 金融市場調査部 副部長
国際テクニカルアナリスト連盟(IFTA) 認定テクニカルアナリスト
日本テクニカルアナリスト協会 検定会員

証券会社などでコモディティー、証券業務に従事、為替部門ではカスタマーディーラーとして勤務。現在、SBIリクイディティ・マーケット 金融市場調査部に所属、日々ディーリングルーム内で為替動向をウォッチ。SBI証券、SBIFXトレード、住信SBIネット銀行、Yahooファイナンス、雑誌などに寄稿