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テクニカル教室

第2回「移動平均線編 その1」

掲載日:2019年07月11日

移動平均線は、あらゆるテクニカル指標のなかで最もポピュラーで幅広く用いられており、今日使われているほとんどのトレンドフォロー型のトレ-ド・システムの基礎を成しています。基本的にはトレンド追随型の分析手法であり、トレンドの開始やトレンドの終了・反転を確認する手法です。

下のチャートのように、①~⑤の終値の平均値を期間の最終日のAに記し、次に②~⑥までの終値の平均値をBに記します。これを結んだものが移動平均線となるわけです。下のチャートの場合は、5日間の平均ということで5日移動平均線になります。

移動平均線の期間としては、日足であれば5日・20日・25日・50日・90日・200日、週足では13週・26週・52週、月足では36ヵ月・60ヵ月・120ヵ月などが一般的に良く使われています。

グランビルの法則

移動平均線を使った売買には、グランビルの法則があります。

グランビルの法則は、J・E・グランビル氏が考案した法則で、移動平均線と価格の位置関係に着目した買い・売り8つのシグナルをいいます。

買いのシグナル

①価格が移動平均線を上抜ける

②価格が移動平均線を下抜けるが再び移動平均線を上抜ける

③価格が移動平均線を下抜けずサポートされる

④移動平均線と価格が下降している局面で移動平均線から大きく乖離する

①は主に新規買い、②と③は押し目買い、④は行き過ぎ狙いの買いや、売りポジションの利益確定などによく利用されています。特に、②、③、④の場合には、下影線(下ヒゲの長いローソク足)などのローソク足が出現する場合には比較的見極めやすくなります。

①は重要な転換シグナルとなり、③も比較的見極めやすいパターンです。ただ、②は相場の転換かどうかの判断がやや難しく、自身でのルール([例]2日連続で下抜け、3日目の足型などで継続かどうかを判断)を作って判断するとよいでしょう。また、④もやや判断が難しく、下影線などを参考にするなど複合的に判断することが望ましいです。

売りシグナル

①価格が移動平均線を下抜ける

②価格が移動平均線を上抜けるが再び移動平均線を下抜ける

③価格が移動平均線を上抜けず抵抗ラインとなる

④移動平均線と価格が上昇している局面で移動平均線から大きく乖離する

①は主に新規売り、②と③は戻り売り、④は行き過ぎ狙いの売りや買いポジションの利益確定、などによく利用されています。特に②、③、④の場合、上影線(上ヒゲの長いローソク足)などのローソク足が出現する場合には比較的見極めやすくなります。

①は重要な転換シグナルとなり、③も比較的見極めやすいパターンです。ただ、②は相場の転換かどうかの判断がやや難しく、自身でのルール([例]2日連続で上抜け、3日目の足型などで継続かどうかを判断)を作って判断するとよいでしょう。また、④もやや判断が難しく、上影線などを参考にするなど複合的に判断することが望ましいです。

現在のドル/円の日足チャートも見てみましょう。

まず、106.7799のボトムを付けた後に、112.3981からのトレンドラインや、20日移動平均線を上抜けていること、さらに重要なレジスタンスのポイントである108.7981を上抜けたことから、4月から続いた下降トレンドが終了したとの見方が広がりました。しかし、その後下落に転じ、108.7981のポイント、106.7799からのトレンドライン、そして移動平均線まで下抜けようとする動きとなっています。このことから、移動平均線における本格的な転換にはまだ時間を要すると考えられます。

Aのポイントと比較しますと、Aのポイントの時は、価格が移動平均線を上抜けた後に上値の重い動きとなり、その後一旦移動平均線を下抜けてしまいました。そして、再度上抜けとなってからは堅調な動きとなりました。最初に移動平均線を抜けた時の形状は、移動平均線の動きが下向きの動きの中で上抜けており、これは弱い抜け方と言えます。比較的強い抜け方としては、移動平均線が上向きの時に抜けるのが好ましいと考えらており、2回目に移動平均線を抜けるときは、移動平均線が上向きになった場面で上抜けており、その後トレンド転換となりました。

今回は、1回目、2回目ともにやや横ばい状態での上抜けとなっています。現状では、112.3981からの下降トレンドラインを上抜けている状態であることから、移動平均線が明確に上向きとなった場面での上抜けが待たれます。ここからは、グランビルの買いシグナルの②、③のパターンのプロセスの動きとなるのか注目されます。

【お客さまからのご質問にお答えします】

移動平均線の期間は何日を使いますか?

移動平均線の日数設定は、個人によっても違いがあり、また使用用途によっても異なります。個人的には、移動平均線を相場の方向性を確認するために使用することが多いです。「チャート1」のように、10日線と20日線の2本の移動平均線を使って、両線のクロス(ゴールデンクロス、デッドクロス)で相場の方向性、転換などを確認するために見ています。 2本の線を使用する場合、両線の日数を近づけると両線の間隔が縮まり、だましも多くなり判断が難しくなります。また、両線の間隔を広げると両線の間隔も広がりシグナルが遅くなり、10日線と20日線を設定することが多いです。1本線で使用する場合には20日移動平均線を使用して、上値抵抗線や下値支持線として見ています。

レポートとかで90日線とか200日線とかよく聞きますが、かなり形状が異なりますが、どう使うのでしょうか。

「チャート2」は90日移動平均線(青色)と200日移動平均線(赤色)です。「チャート1」で見たような10日線や20日線と違いなだらかになります。短期線と同じようには使えませんが、長期的なポイントとして上抜けや下抜け、上値抵抗、下値支持として使われることが多いです。

【提供:SBIリクイディティ・マーケット株式会社】

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【筆者紹介】

竹内 友浩
SBIリクイディティ・マーケット 金融市場調査部 副部長
国際テクニカルアナリスト連盟(IFTA) 認定テクニカルアナリスト
日本テクニカルアナリスト協会 検定会員

証券会社などでコモディティー、証券業務に従事、為替部門ではカスタマーディーラーとして勤務。現在、SBIリクイディティ・マーケット 金融市場調査部に所属、日々ディーリングルーム内で為替動向をウォッチ。SBI証券、SBIFXトレード、住信SBIネット銀行、Yahooファイナンス、雑誌などに寄稿