テクニカル教室

第4回「RSI」

掲載日:2019年08月28日

RSI(Relative Strengths Index)は、オシレーター系のテクニカル分析指標の代表的な指標で、買われ過ぎ、売られ過ぎを示すテクニカル指標です。特に、オシレーター分析の中では最も活用されている分析方法であり、考案者のW・ワイルダー氏は、14日間の指数が最適であるとしています。基本的には、70%以上で買われすぎ、30%以下で売られすぎと判断すべきとしていますが、よりシビアなシグナルを追及するため、パラメーターを14日に設定の場合には75%以上~25%以下、振れ幅のやや大きい9日に設定の場合80%以上~20%以下が使われています。

売買のタイミングとしては、売られ過ぎとされる30%以下、買われ過ぎとされる70%以上に到達した時点ではなく、「買われ過ぎ」や「売られ過ぎ」のゾーンから抜け出す時点の方が有効と考えられます(30%以下のゾーンに入っていても下げが続くケースや、70%以上のゾーンに入っても上昇が続くことがよくあります)。

移動平均線との比較

前回の取り上げました移動平均線は、トレンド追随型の分析手法であり、RSIなどのオシレーター系の分析手法に対して 転換のシグナルは遅行的であることがわかります。トレンド追随型のテクニカル指標は、主に大きな流れを見るのに有効であることから、比較的長期のスタンスのトレードに有効となります。テクニカル分析におけるシグナルは100%ではありません、俗に言う「だまし(シグナルが出たものの、その後に逆方向に動く)」も多く見られます。そのため、複数のテクニカル分析指標を組み合わせて、確率を高めていくことも重要と言えます。

下のチャートで例えると、RSIのシグナルである①を確認後、移動平均のシグナルである②で実際に「新規買い」、その後RSIのシグナルである③で手仕舞いする。①で「新規買い」ではなく、②で「新規買い」することでより確率を高める(2つの指標での買いシグナル)ことができます。そして、手仕舞いは遅行性のある移動平均でなく、RSIのシグナルを採用する。このように異なる2つの分析手法を組み合わせてトレードをする投資家も増えています。

RSIの弱点

RSIは、往来相場(上げ下げ繰り返す動き)の時は非常に有効ですが、ある一定の日柄以上の上昇や下降が続く相場の時などは、有効な売買シグナルが出難いという弱点があります。

チャート上の①のポイントでは、売られ過ぎゾーンを抜けたところで買いポジションを持ったと仮定します。そして、②のポイントでは、買われ過ぎを示す70%に到達したことで買いポジションを手仕舞い。ここまでは成功と言っていいでしょう。その後、買われ過ぎゾーンを抜けたタイミングで売りポジションを持つと、③のような上昇が続く場合には、大きなマイナスとなってしまいます。理論的には、すでに買われ過ぎゾーンに達していることから、その後の上昇もずっと買われ過ぎが続くことから、RSIは高値圏でもみ合いとなり、有効なシグナルが出難くなります。

比較的信頼度の高いとされる形

RSIは、通常価格と同じ方向に動きますが、高値圏や安値圏において価格の動きと逆方向に動く現象が見られる場合があります。これをRSIの逆行現象(ダイバージェンス)と言い、基本的には指数が70%以上または30%以下の時には重要な売買シグナルとされています。この逆行現象(ダイバージェンス)は、RSIの中で最も信頼性の高いパターンとして注目されています。そのため、この形の時を狙って売買をするという投資家もいます(日足だけでなく、時間足や分足を使用するケースも)。

現在のチャートでは?

現在のドル/円の日足チャートを見てみましょう。

RSIでは30%以下の水準から上昇傾向となっていますが、価格は低下傾向となっています。そのため、RSIでは比較的信頼度の高いとされる価格の指数の逆行現象(ダイバージェンス)となっており、ここから更なる上昇となるのか注目されます。目先の上値のポイントは、106.9768となり、ここを上抜ける場合には一段の上昇となる可能性が考えられます。そして、RSIの弱点となる展開には注意して、今後の動きに注目しましょう。

【提供:SBIリクイディティ・マーケット株式会社】

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【筆者紹介】

竹内 友浩
SBIリクイディティ・マーケット 金融市場調査部 副部長
国際テクニカルアナリスト連盟(IFTA) 認定テクニカルアナリスト
日本テクニカルアナリスト協会 検定会員

証券会社などでコモディティー、証券業務に従事、為替部門ではカスタマーディーラーとして勤務。現在、SBIリクイディティ・マーケット 金融市場調査部に所属、日々ディーリングルーム内で為替動向をウォッチ。SBI証券、SBIFXトレード、住信SBIネット銀行、Yahooファイナンス、雑誌などに寄稿