テクニカル教室

第6回「MACD」

掲載日:2019年10月18日

MACDでは、短期と中期の2本の指数平滑移動平均の差を『MACD』、そのMACDを移動平均化したものを『シグナル』と呼びます。MACDでは、この2本の線の方向性・乖離・絡み具合に注目して相場の周期とタイミングを捉える手法であり、比較的"ダマシ"が少なく使いやすい分析手法として人気が高く、「マック・ディ」と呼ばれ、最近では人気上位の分析手法となっています。

売買のタイミングのヒント

①MACDがシグナルを下方から上抜いた場合(買い)

②MACDがシグナルを上方から下抜いた場合(売り)

③上記のサインが出た後に 0(ゼロ)ラインを2本の線が抜けると相場の流れが継続となることが多いです。

また、両線の乖離幅(チャート下段)にも注目、特に乖離幅が縮小し始めた場合にトレンドの終了が近づいていることを示すシグナルと見ることもできます。

MACDは、オシレーターの特性であるもみ合い相場で効力を発揮するだけでなく、トレンドの方向性を見ることにも使われます。特に、ストキャスティクスやRSIよりもパラメーターの日数が大きいことから、比較的中期的なもみ合いに有効といえます。

MACDの弱点

チャート①のポイントで売りシグナルのデッド・クロスとなり、その後②のポイントでは両線がゼロポイント下抜けで継続シグナル、③で両線がゴールデン・クロスとなり、買いシグナルとなります。ここまでは、きれいな形でシグナルが示されていますが、その後はさらに下落が続くとともに、2つのラインが絡み合い、有効なシグナルを示さなくなり、売買のタイミングが掴み難い状況が続きます。このようなケースでは、タイミングが掴み難いというオシレーター共通の欠点があります。

売買のタイミングのヒント

オシレーターは、ほかのテクニカル分析ツールと比較して相場の変化に敏感に反応しますが、短期のパラメーター(指数の構成日数)で構成されているものが多く、パラメーター以上の日柄を要するトレンドの場合には、逆に欠点となってしまうケースが多くなります。そのため、各オシレーターのパラメーター(構成日数)と相場の上昇又は下降日数を加味することが重要となります。

ストキャスティクスとMACDの比較

オシレーターの中で比較的パラメーター(指数の構成日数)の長いMACDと、パラメーターの短いストキャスティクスを同時に表示して比較すると、ここまで紹介したとおり、それぞれの特徴や弱点が現れています。MACDとストキャスティクスは、同じオシレーター系指標ですが、パラメーターが違うため、シグナルの出現のタイミングなどが異なります。また、それぞれに得意とする相場展開、不得意とする相場展開があることから、相場の状況を見極めて使い分けることが有効です。

①ではMACDの得意分野である中期的なトレンドを形成する相場展開となり、比較的きれいなシグナルが見られます。ただ、短期を得意とするストキャスティクスでは、②のように有効なシグナルが出にくくなります。 また、③のように振れ幅が小さく、小刻みに方向性が変わるもみ合いの展開ではMACDで有効なシグナルが出難くなりますが、ストキャスティクスでは有効なシグナルが見られます。

売買のタイミングのヒント

MACDとストキャスティクスは、同じオシレーター系指標ですが、パラメーターが違うため、シグナルの出現のタイミングなどが異なります。また、それぞれに得意とする相場展開、不得意とする相場展開があることから、相場の状況を見極めて使い分けることが有効です。その上で、自分の投資スタイル(短期で売買する、ゆっくり1~2週間単位で売買するなど)に合わせて使い分けをすることも大切です。そして、一つの指数だけでは判断が難しい局面でも、パラメーターの違う指数を使うことにより、相場の展開を見極めることもできます。このように、複数の指数を組み合わせて使うことで、より効果的な相場分析も可能となります。

【提供:SBIリクイディティ・マーケット株式会社】

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【筆者紹介】

竹内 友浩
SBIリクイディティ・マーケット 金融市場調査部 副部長
国際テクニカルアナリスト連盟(IFTA) 認定テクニカルアナリスト
日本テクニカルアナリスト協会 検定会員

証券会社などでコモディティー、証券業務に従事、為替部門ではカスタマーディーラーとして勤務。現在、SBIリクイディティ・マーケット 金融市場調査部に所属、日々ディーリングルーム内で為替動向をウォッチ。SBI証券、SBIFXトレード、住信SBIネット銀行、Yahooファイナンス、雑誌などに寄稿