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テクニカル教室

第8回「目標値計算編 その1」

掲載日:2019年11月08日

経済指標の結果や要人発言などのファンダメンタルズでは、根拠ある目標値を算出することできませんが、テクニカル分析ではツールやパターンを使って目標となるポイントを算出することが可能となります。ある程度の目標となる水準を把握することは、トレードをする上で重要なポイントとなることがあります。そのため、ここでは、各種目標値の算出パターンをご紹介します。

1、フィボナッチ・リトレースメント

フィボナッチ数列は、1、1、2、3、5、8、13、21、34、55、89、144、233、・・・・と続く数列であり、この数列を使って導き出された比率が黄金分割比率(『1:1.618』、『1:0.618』)で、黄金比とも呼ばれています。

この黄金比は、古代ギリシャ時代から人間にとって最も安定した比率とされ、建築物や美術品にも多く用いられています。ギリシャのパルテノン神殿やエジプトのピラミッド、パリの凱旋門、ミロのビーナスなどの建造物、美術品にも見られることから、最も美しい比率とされています。この比率が相場の分析にも応用されています。

相場は一直線に上昇・下降が続くわけではなく、調整を入れながら動きますが、上昇相場における「押し」や下降相場における「戻り」の目標価格を予測するための手法として使われています(フィボナッチ・リトレースメント)。 下の図のように、①から②までの上昇・下降を「1」として、それに対して③0.382、⑤0.618、これに半値の④を加えて、どこまで「押し」や「戻り」があるのかを予測をします。チャート上の表示では、38.2%、50%、61.8%と表示されることが比較的多いです。さらに、上昇幅や下降幅以上の「押し」や「戻り」となる場合には、1.382(138.2%)や1.618(161.8%)を目標にします。

上のチャートでは、➀から➁までの値幅が12.5013円であり、その値幅の38.2%が4.7755円幅であることから143.3246円、50%は6.2507円幅であり141.8494円、61.8%は7.7258円幅であり140.3743円となります。これが押し目の目標値となります。

38.2%までの「押し」、「戻り」で止まる場合には、それまでのトレンドが継続するケースも多く見られ、その場合には➁を上抜ける、又は下抜けることで、トレンドの継続シグナルとなります。ただ、50%や61.8%までの「押し」、「戻り」となる場合には、トレンド継続の確率は低くなると考えられています。そして、61.8%を超える場合には、トレンドの起点となった➀のポイントまで、又はそれ以上の動きとなるケースもよくあります。

フィボナッチ・リトレースメントは、大きなトレンドから小さな波動での上昇や下降でも適用することができ、また時間足や分足などにも適用できることから、比較的人気のトレードツールと言えます。

【提供:SBIリクイディティ・マーケット株式会社】

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【筆者紹介】

竹内 友浩
SBIリクイディティ・マーケット 金融市場調査部 副部長
国際テクニカルアナリスト連盟(IFTA) 認定テクニカルアナリスト
日本テクニカルアナリスト協会 検定会員

証券会社などでコモディティー、証券業務に従事、為替部門ではカスタマーディーラーとして勤務。現在、SBIリクイディティ・マーケット 金融市場調査部に所属、日々ディーリングルーム内で為替動向をウォッチ。SBI証券、SBIFXトレード、住信SBIネット銀行、Yahooファイナンス、雑誌などに寄稿