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テクニカル教室

第3回「移動平均線編 その2」

掲載日:2019年08月01日

価格と移動平均線の位置関係に着目した「グランビルの法則」とは別に、短期移動平均線と中期移動平均線の2本を使用して相場の転換を測る方法があります。短期移動平均線が中期移動平均線を下側から上抜ける形をゴールデンクロスといい、短期移動平均線が中期移動平均線を上側から下抜ける形をデッドクロスといいます。一般的に、ゴールデンクロスは買い、デッドクロスは売りとして広く使われています。

移動平均線の日柄は重要であり、ここでは短期線を10日、中期線を20日に設定しています。2つのパラメーターを近づけると両線の間隔が縮まり、広げると間隔が広がります。間隔が狭いと判断が難しくなり、間隔が広いとシグナルが遅くなることから、丁度良い日柄を設定することが大切です。

短期移動平均線と中期移動平均線のクロス(交差)にはいくつかのクロスパターンがあり、その形によって転換の信頼度も変わってくると考えられます。ゴールデンクロス、デッドクロスそれぞれ①~⑤までパターンがあり、パターンの信頼度も①~⑤(高~低)の順となります。

チャートを見てわかる通り、相場の動きとシグナルのタイミングを比較すると、移動平均線のシグナルは実際の相場の転換からだいぶ遅れているのが分かります。このことから、中長期の相場の方向性を見極めるのに有効ですが、短期的な転換を見極めるのにはやや適していないと言えるでしょう。

現在のチャートでは?

現在の南アフリカ・ランド/円の日足チャートを見てみましょう。

10日移動平均線(青色ライン)と20日移動平均線(赤色ライン)がデッドクロスしており、ここから軟調な展開が予測できます。クロスパターンで見ると、両線が下向きで交差していることから、売りの①に該当し、比較的信頼度の高いパターンであることから、ここからの動きが注目されます。

下げ継続の条件としては、20日移動平均線が10日移動平均の上側に位置していることであり、この形が崩れる場合には方向性が転換となるケースもあります。また、①や②のように移動平均線から価格が乖離する場合にも、転換につながることがあります。その場合には、価格の動きに敏感な10日移動平均が上向きになるがどうかで、見極めることもできます。

そして、前回のグランビルの法則のシグナルパターンもあてはめて、今後の方向性を見極めていきましょう。

【提供:SBIリクイディティ・マーケット株式会社】

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【筆者紹介】

竹内 友浩
SBIリクイディティ・マーケット 金融市場調査部 副部長
国際テクニカルアナリスト連盟(IFTA) 認定テクニカルアナリスト
日本テクニカルアナリスト協会 検定会員

証券会社などでコモディティー、証券業務に従事、為替部門ではカスタマーディーラーとして勤務。現在、SBIリクイディティ・マーケット 金融市場調査部に所属、日々ディーリングルーム内で為替動向をウォッチ。SBI証券、SBIFXトレード、住信SBIネット銀行、Yahooファイナンス、雑誌などに寄稿