UPDATE 2025.02.17
POST 2025.02.17
FXの初心者の中には、FXの利益をどのように計算するのか分からない方が多いのではないでしょうか。
FXの利益計算について学ぶことで、適切なリスク管理が行えるようになり、継続的に利益を出しやすくなります。
特に初心者のうちからこれを学んでおけば、相場で生き残れる可能性が高まるでしょう。今回は、FXの利益計算の要素、計算方法、シミュレーション、税金などについて解説します。ぜひ参考にしてみてください。
FXの利益計算の要素について解説します。FXの利益計算には、pips・レバレッジ・スワップポイント・証拠金・ロスカットといった要素が含まれます。これらは利益計算の基本的な要素であり、リスク管理や資金管理などを行う上で知っておくべきものです。各要素を正しく理解し、トレードに役立ててください。
利益計算において「pips(ピップス)」は、最も基本的な要素と言えます。pipsは「Percentage In Point」の略称であり、FXでは価格を表す共通の単位として使われています。FXにおいては対円の通貨の単位は円や銭、対ドルの通貨の単位はドルやセントというように、各国の通貨の単位はバラバラです。
このようなバラバラの通貨単位を、FXでは統一してpipsと表現しています。米ドル/円の場合、「1pip=0.01円=1銭」だと覚えておきましょう。米ドル/円を150円で買い、151円(1銭は小数点以下第二位の数字)まで上昇して決済した場合、利益は「1円=100pips」となります。
ユーロ/米ドルのような対円以外の通貨ペアでは、「1pip=0.01セント=0.0001ドル(小数点以下第四位の数字)」です。例えば、ユーロ/米ドルを1.05000で買い、1.0505で決済した場合、利益は「0.05セント=5pips」となります。通貨ペアによってpipsの計算は異なるので、しっかり覚えておきましょう。
レバレッジの言葉の意味は「てこの原理」で、ビジネス・金融では他人資本で大きな取引をすることです。FXにおいては、レバレッジを効かせる(活用する)ことで、少額の資金でも数十倍という大きな資金を動かすことが可能になります。
国内FXにおけるレバレッジは最大25倍(個人の場合)です。この倍率については金融商品取引法により定められており、25倍を超える取引は認められていません。
ただし、実効レバレッジは、取引数量や資産評価額(有効証拠金)によって変わります。算出方法は、「基準価格 × 取引数量÷ 資産評価額(有効証拠金)」となります。例えば、米ドル/円の基準価格が150円、取引数量が10,000通貨、資産評価額(有効証拠金)10万円の場合、計算式は「(150 × 10,000)÷ 100,000」となり、レバレッジは15倍です。この場合、レバレッジを効かせない(10万円で売買できるのは666.67米ドル)取引に比べ、投資した金額に対する利益や損失が15倍になります。
レバレッジを効かせると、利益だけではなく損失も大きくなることを理解した上で、取引数量や資産評価額(有効証拠金)をコントロールし、戦略的に活用することが重要です。
スワップポイントは、取引する通貨ペアの「金利差調整額」です。各国の通貨には日々変動するスワップポイントが設定されており、これらを得る主な条件は、ポジションをロールオーバーする(翌日に持ち越す)ことです。ポジションを保有しているだけで原則として毎日付与されるのは、非常に魅力的な点と言えるでしょう。
スワップポイントを得るには、通貨ペアごとにポジションの持ち方を意識する必要があります。例えば、金利の高い通貨を買って、金利の低い通貨を売った場合、米ドル/円やユーロ/円のような対円通貨ペアでは「買いポジション」を持つことで、スワップポイントが得られます。一方、ユーロ/米ドルやポンド/米ドルのような対円以外の通貨ペアでは、「売りポジション」を持たなければスワップポイントを得ることができません。(2024年12月1日現在)
スワップポイントが得られるポジションと反対のポジションを持った場合は、逆に支払いが発生することになります。また、状況によっては支払いのスワップポイントが大きくなることもあるため、中長期でトレードする際は事前に確認しておくと良いでしょう。
スワップポイントはロールオーバーするだけで付与される魅力的な要素ですが、ポジションの持ち方次第では支払いが発生することを念頭に置いてトレードをしましょう。
証拠金とは、FXでレバレッジを効かせて取引をする際に、FX会社に預ける資金のことです。証拠金の金額によってトレードできる数量が変わり、これが利益や損失に直結するため、非常に重要な役割を持っています。証拠金が多ければ多くのポジションを保有でき、逆に少なければ保有できるポジションは限られます。
必要証拠金は、取引をする際に必要な1通貨あたりの証拠金のことです。必要証拠金は通貨ペアごとに異なり、日々変動するのが特徴です。証拠金の額によってはトレードできる通貨ペアが限られてしまうため、トレードするFX会社で、必要証拠金を事前に確認しておくことが重要です。
取引必要証拠金の計算方法は「取引数量 × 基準価格 ÷ レバレッジ」で求められます。例えば、取引数量が10,000通貨、米ドル/円の基準価格が150円、レバレッジが25倍の場合、計算式は「10,000 × 150÷ 25」となり、必要な証拠金は6万円です。
なお、2010年7月までの日本では証拠金に規制がありませんでしたが、投資家保護の観点から段階的(2010年に取引額の2%以上、2011年に取引額の4%以上)に規制が導入されました。
ロスカットは、証拠金維持率(取引必要証拠金に対する資産評価額の割合)が一定の水準を下回った場合に、FX会社が強制的に全てのポジションを決済する仕組みです。例えば、証拠金維持率が50%を下回った場合にロスカットをするFX会社で、円安を予想して資産評価額が6万円、米ドル/円が150円の時に1万通貨の買いエントリーしたとしましょう。
この時の証拠金維持率は、6万円(資産評価額)÷6万円(取引必要証拠金)×100=100%となります。
その後、予想とは逆に146.9円まで下落した場合、含み損が3万1千円となり、証拠金維持率は2万9千円(資産評価額)÷6万円(取引必要証拠金)×100=48.3%となり、50%を下回ったのでロスカットが執行されます。
ロスカットがあることで、原則として証拠金以上に損失が大きくならないようになっています。つまり投資家の保護を目的とした仕組みです。ただし、予期せぬ変動により証拠金以上に損失が出る可能性があることも理解しておく必要があります。
なお、ロスカットが執行される証拠金維持率の水準や判定は、SBI FXトレードでは証拠金維持率50%未満の水準となり、ロスカット判定が原則20秒ごとに行われます。ただし、FX会社によっては、ロスカットの証拠金維持率の水準や判定が異なることには注意しましょう。
FXの損益計算方法を解説しながら、実際にシミュレーションしていきます。FXの損益計算をするための計算式は「獲得した円 × 取引数量」です。それでは、実際にシミュレーションしてみましょう。
まず、対円の米ドル/円で取引した場合を考えます。150円で買いポジションを持ち、151円で決済した時の獲得した円は1円になります。取引数量が50,000通貨だった場合、損益は「1円× 50,000通貨 = 50,000円」となります。
次に、損失を出した場合の計算です。150円で買いポジションを持った後に、149円まで下落したことで逆指値による決済が行われました。損をした円は-1円です。取引数量が50,000通貨の場合、損益は「-1円× 50,000通貨 = -50,000円」となります。
さらに、ポジションの種類(買い・売り)に応じて、スワップポイントも損益に加味する必要があります。米ドル/円の買いポジションを保有している場合はスワップポイントを損益にプラスし、売りポジションを保有している場合は損益から差し引かなければいけません。このように、損益計算はそれほど難しくないので、一度チャレンジしてみてください。
FXの利益(売買益・スワップ益)は10種類の所得税のうち「雑所得」扱いになり、申告分離課税(他の所得と分離して計算する課税方式)の対象です。FX以外で所得があり年間20万円超の利益が出た場合は、確定申告が必要になります。FX以外に所得が無い場合は、利益が48万円超になると課税対象だと覚えておきましょう。
FXの税率は「20.315%(所得税15% + 住民税5% + 復興特別所得税0.315%)」です。FXの税金は「FXで得た純利益(為替差益 + 累計スワップポイント - 必要経費)× 20.315%」で求められます。実際に税金を計算してみましょう。
今回は、為替差益300万円、累計スワップポイント10万円、必要経費20万円の場合における税金を計算してみます。計算式に当てはめてみると「(300万円 + 10万円 - 必要経費20万円」× 20.315%」となり、税金は589,135円です。
FXの利益にかかる税金には、「損益通算・繰越控除・確定申告」に関する注意点があります。FXで利益を出した場合は、全ての利益が課税対象になるわけではありません。あくまで損失や経費などを差し引いた、純利益の部分が課税対象となります。また、確定申告が不要になる場合もあるため、これから解説する税金の注意点を理解しておくと良いでしょう。
FXの利益は、特定の取引で生じた損益と相殺する「損益通算」が可能です。損益通算の対象となる取引には、他社でのFX取引・日経平均先物・商品先物取引・CFD取引などが含まれます。
例えば、A社のFX取引で100万円の利益を出したとしましょう。B社の現物先物取引では70万円の損失、C社のCFD取引で20万円の損失を出しました。損益通算すると「利益100万円 - (損失70万円 + 損失20万円)= 利益10万円」となります。
FXで課税対象になるのは、損失や経費を差し引いた純利益です。今回の例では、A社のFX取引のみを見れば100万円の利益が出ているものの、B社とC社の取引で90万円の損失が出ているため、損益通算すると純利益は10万円となります。
損益通算を行わない場合、利益100万円に対してそのまま課税されてしまう可能性があります。損益通算を活用することで節税が可能となるため、利益が出た際にはぜひ意識してみてください。なお、損益通算を行う場合は確定申告が必要になることも覚えておきましょう。
FXの利益は、損失を最大3年間繰り越せる「繰越控除」の対象です。例えば、今年の損失が200万円の場合に、繰越控除がどのように適用されるかを見てみましょう。損失を出した翌年(1年目)に、20万円の利益が出たとします。しかし、前年の損失が200万円あるため「20万円 - 200万円」となり、まだ180万円の損失が残ります。このため、1年目には課税されません。
2年目には100万円の利益が出ました。繰越控除できる損失が180万円残っているため「100万円 - 180万円」となり、引き続き80万円の損失が残ります。2年目も利益が出ないことで課税されません。
3年目には150万円の利益が出ました。繰越控除できる損失が80万円しかないため「150万円 - 80万円」となり、70万円の利益が残ります。繰越控除による損失が相殺されて、利益が出た70万円が課税対象となります。
このように、繰越控除を活用することで節税が可能となり、利益をより多く手元に残すことができます。ぜひ実践してみてください。
FXで利益を出したとしても特定の条件を満たす場合は、確定申告が不要になることもあります。FXの利益以外で所得がある給与所得者(会社員)は、年間の利益が20万円以下の場合は原則として所得税の確定申告が不要です。また、FX以外に所得が無い主婦や無職の方は、年間の利益が48万円以下の場合、確定申告が不要になります。
ただし、利益が20万円以下であっても、住民税の申告は必要だということを覚えておきましょう。会社員なら年間で20万円超、専業主婦や無職の方なら48万円超の利益が出た時には、必ず確定申告するようにしてください。もし利益が出ているのに確定申告を怠ると、脱税と見なされ、追徴課税される可能性があるので注意しましょう。
特に初心者が初めて年間で20万円超の利益を出した際には、確定申告の手続きに戸惑うかもしれません。そのため、利益が出る取引を行う段階で、FXの利益に関する確定申告の仕組みを学んでおくことをお勧めします。
【ご注意】
本ページ記載の内容はあくまで弊社における解釈でありますので、税金に関する詳細については、国税庁ホームページをご覧いただくか、税理士等の専門家や所轄の税務署にご確認いただきますようお願いいたします。
FXで獲得した利益は「獲得した円 × 取引数量」で計算できます。またFXで獲得した利益には税金がかかることも覚えておいて下さい。FXの税金は「FXで得た純利益(為替差益 + 累計スワップポイント - 必要経費)× 20.315%」で計算できます。為替差益だけではなく、スワップポイントにも税金がかかる点は注意が必要です。その他、税金に関する注意点も参考にしていただき、FXで利益を上げていきましょう。SBI FXトレードでは、証拠金・ロスカット・スワップポイント・つみたて外貨という4つのシミュレーションが利用可能です。初心者にもおすすめの使いやすいFX会社でもあるので、興味がある方は口座開設を検討してみてください。
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FX(外国為替証拠金取引)は異なる通貨を売買し、売買時のレートによって生じた差額で利益を出そうとする取引です。
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この記事を監修した人
SBIリクイディティ・マーケット株式会社
金融市場調査部長
上田眞理人