DMI(Directional Movement Index)とは?見方や使い方、関連する指標やチャートに設定する方法を解説 | SBI FXトレード

DMI(Directional Movement Index)とは?見方や使い方、関連する指標やチャートに設定する方法を解説

テクニカル分析

UPDATE 2025.09.24
POST 2025.09.24

DMIチャート分析

1. DMIとは?

DMI(Directional Movement Index)とは、日本語で「方向性指数」と呼ばれ、相場の「トレンドの有無」と「その強弱」を数値化するテクニカル指標(インジケータ)です。FX業者が提供するチャートソフトでDMIを表示することで、値動きの方向や値幅の分析に役立てられます

DMIは、「テクニカル指標の父」とも称される著名なアナリスト、J.W.ワイルダーによって考案されました。ワイルダーは、RSIやストキャスティクスなどの逆張り系のテクニカル分析の指標(買われ過ぎ・売られ過ぎを検知して反対方向にポジションを取る指標)に限界を感じていました。そのため、トレンドの方向に沿ったトレードを行う「トレンドフォロー」に適した指標としてDMIを開発したのです。

DMIは、上昇・下降トレンドの方向を明確に示します。つまり、現在の相場が買いを狙うべき局面なのか、それとも売りを狙うべき局面なのかを判断するのに有用です。 さらに、相場の持続力やトレンドの強弱を把握しやすい点も特徴です。具体的には、単にトレンドの有無だけでなく、「強まっている」か「弱まっている」のかを判断するのにも適しています。これにより、トレンドが続く局面か否かを見極めてトレードを行いやすくなります。

ただし、DMIを正しく活用するためには、構成要素であるADX、+DI、-DIの理解が欠かせません。これらの意味と分析方法について見ていきましょう。

1-1. 用語解説:ADX

ADX(Average Directional Index)は、日本語で「平均方向性指数」と言い、トレンドの「強さ」を示す指標です。ADXは、上昇・下降の方向に関係なく、トレンドが強いほど数値が上昇します。自動車でいえば「スピードメーター」のような役割を果たすと考えると理解しやすいでしょう。

例えば、ある通貨ペアが上昇していてADXが上がり続けている場合、その上昇トレンドは強いと判断できます。一方、ADXが下がり始めたら、そのトレンドの勢いが弱まっている可能性があると考えられます。

このように、ADXはトレンドが続いているかどうかを見極め、トレードのタイミングを計る際の重要な判断材料です。さらに、ADXはチャート画面のテクニカル指標欄にグラフとしてプロットされるため、その形状から相場の加速や減速を直感的に把握できる点もメリットです。

このADXのメリットは、特にFX初心者にとって大きいといえます。なぜなら、ローソク足だけで相場の加速や減速を判断するには経験が必要で、強いトレンドが発生している場合ですらも、ローソク足が重なり合う局面では「トレンドが終わるのではないか」と判断に迷いやすいからです。

しかし、ADXが一貫して上昇している場合は、強いトレンドが継続している可能性が高いと判断できます。これにより、売り・買いの目線を安易に切り替えず、自信を持ってトレンドフォローを継続することが可能です。

ただし、ADXだけではトレードの方向性は分かりません。次に解説する+DI、-DIを合わせて確認することで、トレンドの強さだけでなく方向も把握できます。ADXは単独でも利用できますが、+DIと-DIとを組み合わせて使うことで、一目でトレンドの方向と強さを把握できる点が大きなメリットです。

1-2. 用語解説:+DIと-DI

+DI(Plus Directional Indicator)は、相場の「上昇力」を示す指標です。例えば、前日より高値の伸びが大きい場合には+DIが上昇します。これは買いが優勢であり、上昇トレンドが強いことを意味します。

一方、-DI(Minus Directional Indicator)は、相場の「下降力」を示す指標です。前日より安値の下落幅が大きいときに-DIが上昇します。これは売りが優勢であり、下降トレンドが強いことを示します。

±DIを確認する際は、両者の差にも注目しましょう。+DIと-DIの差が大きいほど、トレンドが強いと判断されます。例えば、+DIが高く-DIが低いときは、上昇トレンドが非常に強い状況です。このとき、ADXが上昇していると、トレンドの強さが裏付けられ、+DIと-DIの差が大きい場合のシグナルの信頼性がさらに高まります。

2. DMIの計算方法

DMIは、以下の4つのステップで計算できます。

ステップ1:DM(Directional Movement、方向性指標)の計算

DIを計算するために必要なDMは、以下の計算式で求めます。

  • +DM (アップ方向の変動)= 「当日の高値」 - 「前日の高値」
  • -DM (ダウン方向の変動)= 「前日の安値」 - 「当日の安値」


条件に基づき、算出した+DMと-DMを調整します。

  • +DMが0以下の場合、+DMは0とする
  • -DMが0以下の場合、-DMは0とする
  • +DMが-DMより大きい場合、-DMを0とする
  • -DMが+DMより大きい場合、+DMを0とする


ステップ2:1日の変動幅を表すTR(True Range)を計算

TRは、以下の3つの値の中で最も大きいものを採用します。

  • 当日の高値 - 当日の安値
  • 当日の高値 - 前日の終値
  • 前日の終値 - 当日の安値


ステップ3:DIを計算

+DIと-DIを求めるためには、設定期間NのDMとTRの合計を用います。

  • +DI = (N日間の+DMの合計 ÷ N日間のTRの合計) × 100
  • -DI = (N日間の-DMの合計 ÷ N日間のTRの合計) × 100


ステップ4:ADXを計算

トレンドの強さを示すADXは、まず1日ごとのDXを計算し、その後、一定期間のDXの平均値を求めます。

  • DX = |+DI - -DI| ÷ (+DI + -DI) × 100
  • ADX = DXのN日間の平均 = (DX1 + DX2 + DX3 + ... + DXN) ÷ N

上記の例は日足を基準にしていますが、時間足や分足でも同様の計算が適用されます。例えば、1時間足の場合は、1時間が1日に相当します。

次に、DMIの解釈の方法を見ていきましょう。まず、DIの数値については、一般的に明確な基準値を設けません。詳細は後ほど解説しますが、DIは数値そのものではなく、+DIと-DIとの相対的な位置関係によってトレンドの方向性や強さを判断するものだからです。

一方、ADXの数値は、以下のように解釈されます。

  • 25未満:トレンドが弱い(レンジ相場)
  • 25以上:トレンドが強い
  • 40~50以上:トレンドが非常に強い

トレンドフォロワーであれば、ADXが25以上のトレンドが出ているときにトレードチャンスを探せば、利益を得やすくなります。逆張りトレーダーは、ADXが25未満のときにトレードを狙います。ADXが25未満は、相場に明確なトレンドがなく、「もみ合い」状態であることから、この局面では、上限で売り、下限で買う逆張り手法が有効です。

3. DMIの使い方

ここからは、DMIの実践的な使い方として、パラメーター設定と売買シグナルについて解説します。さらに、間違った売買シグナル、いわゆる「ダマシ」を回避する方法にも触れます。

なお、ここで紹介する内容は、あくまで一例です。DMIを深く理解し、自分なりのチャート分析手法を確立しているトレーダーも多く存在します。

3-1. DMIのパラメーター設定

テクニカル指標の「パラメーター」とは、期間や倍率など、トレーダーが設定を調整できる要素を指します。DMIでは、期間を任意に設定できます。

初めてDMIを使う場合は、標準的なパラメーターの設定値である14期間を使用すると良いでしょう。ローソク足14本分に相当し、日足では14日間、1時間足なら14時間になります。これは、DMIの考案者ワイルダーが推奨した設定です。

DMIの期間を短く設定すると、価格変動に敏感に反応しやすくなるため、短期トレードに適しています。ただし、期間を短くするほどシグナルの信頼性が低下しやすい点がデメリットです。そのため、他の指標と組み合わせてシグナルを精査する必要があり、必ずしもエントリーポイントが増えるとは限りません。

一方、期間を長く設定すると、不規則な値動きによるダマシが減少し、中長期トレードに適した環境が整います。ただし、反応速度が遅くなり、エントリータイミングが遅れる可能性がある点には注意が必要です。

3-2. ゴールデンクロスを見る

DMIにおけるゴールデンクロスとは、+DIが-DIを下から上抜ける現象です。この際、上昇トレンドに転じる可能性が高まるため、買いエントリーのタイミングとされます。

具体的な活用方法としては、ゴールデンクロスが発生した時点で買い注文を出す手法があります。この時、ADXでトレンドの強さを確認すると良いでしょう。一般的には、ADXが25以上でトレンドが発生している時にエントリーすると、価格が順行する確率が高まり、勝率が向上しやすくなります。

ただし、ゴールデンクロスは優位性のあるシグナルではあるものの、必ずしもトレンドが継続するとは限りません。特にADXが低く、レンジ相場の可能性が高い局面では、「ダマシ」のシグナルが多発しやすいため、注意が必要です。

3-3. デッドクロスを見る

逆に、+DIが-DIを上から下抜ける動きが、DMIにおけるデッドクロスです。この時は、下落トレンドに変わる可能性が高まるため、売りエントリーのタイミングとされます。

具体的な使い方としては、ゴールデンクロスと同様に、クロスが発生したタイミングでエントリーする方法があります。シグナルの信頼性を高めたい場合は、ADXが25以上でトレンドが強く出ている場面を選ぶと良いでしょう。ADXが低い場合は、ダマシのシグナルが出やすいことにも注意が必要です。

もう一つの使い方は、ゴールデンクロスで買いエントリーしたポジションの決済シグナルとしてデッドクロスを活用する方法です。ゴールデンクロスで買いエントリー後に価格が上昇して含み益が出ている時に、デッドクロスが発生した場合、下落トレンドに転じる可能性が考えられます。

このような局面では、ポジションを決済して利益を確定する判断が有効です。これは、逆も同様で、売りポジションに対する決済サインとしてゴールデンクロスを活用することも可能です。

3-4. ダイバージェンスを見る

ダイバージェンスとは、価格の動きとテクニカル指標の動きが逆になる現象です。相場の変化を予測する手がかりの一つで、トレンド転換の兆しとされています。

例えば、価格が高値を更新しているのに、+DIやADXが下がっている場合は、価格と指標が逆の動きをしている「ダイバージェンス」が発生している状態です。ダイバージェンスが確認された場合、現在のトレンドが反転する可能性があるため、逆方向の取引を検討する場面となります。

価格が上昇しているのに+DIやADXが下降している場合、「弱気のダイバージェンス」が発生していると考えられます。この場合、売りエントリーのサインです。逆に、価格が下落している中で-DIやADXが上昇している場合、「強気のダイバージェンス」となり、買いエントリーのサインです。

ただし、ダイバージェンスが発生しても、すぐにトレンドが反転するとは限りません。特に、相場がレンジ状態や価格変動が小さい状況では、ダイバージェンスが頻発しやすく、ダマシとなるケースが多くなります。信頼性を高めるためには、他のテクニカル指標も併せて相場の動きを確認しましょう。

3-5. 「ダマシ」を警戒する

ダマシとは、一見トレンドが発生したように見えるシグナルが出たものの、実際にはトレンドが続かず、相場がすぐに反転する現象を指します。あらゆるテクニカル指標でダマシは発生し、トレーダーが損失を出す原因となります。

DMIのダマシの回避方法については既にいくつか触れましたが、重要なポイントをまとめると以下の通りです。

トレード場面を限定する

トレンドフォローを狙う場合は、ADXが25以上の時のみDIのシグナルを採用します。逆に、レンジ相場でトレードする場合は、ADXが25未満でトレンドがない時のみシグナルに従うと良いでしょう。

ADXを併用する

DIのクロスだけでエントリーせず、ADXや他の要素も併せて判断します。例えば、+DIが-DIを上抜けると買いシグナルですが、ADXが低い場合はダマシの可能性が高いため、注意が必要です。

直近のトレンド方向との整合性を確認する

前回のトレンド方向と現在のシグナルが一致している場合、ダマシの可能性が低くなります。例えば、直前に強い上昇トレンドが発生しており、買いシグナルが出た場合は、トレンドが継続する確率が高くなる傾向があります。

DMIでダマシを回避するには、各要素を個別に見るのではなく、総合的に判断することが大切です。最初は難しく感じるかもしれませんが、繰り返し検証することで理解が深まります。

4. SBI FXトレードでDMIを表示する方法

ここまでの解説で、DMIに興味を持ち、実際に使ってみようと考えた方もいるかもしれません。そこで、SBI FXトレードが提供する「Rich Client NEXT」を例に、DMIを設定して表示する手順をご紹介します。なお、DMIは「WEB NEXT」やスマートフォン取引アプリでも表示が可能です。ご利用の取引ツールに応じた方法については、各取引ツールのマニュアルをご参照ください。

①「Rich Client NEXT」を起動し、投資情報タブのドロップダウンからチャートをクリックして開きます。



②テクニカルの「設定」をクリックします。



③「インジケーター2」タブをクリックし、「DMI」にチェックを入れます。パラメーター設定で任意の期間を設定し、「適用」ボタンを押します。



④チャート画面のテクニカル指標表示欄にDMIが表示されます。

これで、DMIの設定は完了です。「Rich Client NEXT」は初心者にも使いやすい画面となっているため、DMIの設定も簡単にできるでしょう。

なお、取引ツールにDMIが搭載されていない場合もあります。DMIを利用したい場合は、「Rich Client NEXT」のようにDMIが設定できる取引ツールを提供しているFX会社を選ぶと良いでしょう。

5. DMIとあわせて活用したいテクニカル指標

DMIは、トレンドフォローに適したテクニカル指標です。価格が既に上昇・下降している状況で、その動きがさらに続くかどうかを見極める目的で活用されます。反対に、DMIはトレンドがないレンジ相場では機能しにくく、ダマシのシグナルが出やすい傾向があります。

この弱点を補うためには、オシレーター系の指標を組み合わせる方法が有効です。オシレーターには「振り子」「振動」という意味があり、価格の動きが一定の範囲で振動しているかどうかを判断する指標として活用されます。つまり、オシレーター系指標は、DMIが苦手とするレンジ相場における「買われ過ぎ」や「売られ過ぎ」を見極めるのに適しています。

DMIとの相性が良いとされるオシレーター系指標は、以下の2つです。

  • RSI(Relative Strength Index)

一定期間内の価格の上昇幅と下落幅を比較し、買われ過ぎや売られ過ぎを判断する指標です。

  • ストキャスティクス

一定期間の最高値・最安値に対する現在の価格位置から、相場の過熱感を判定する指標です。

以下、これらの指標の具体的な使い方やDMIとの併用例について解説します。

5-1. RSI

RSI(Relative Strength Index、相対力指数)は、一定期間の価格の上昇と下落の強さを比率で示すオシレーター系指標です。DMIとは異なり、レンジ相場での反転ポイントを捉えるのに適しています。

以下の計算式で求められます。

  • RSI = 100 - ( 100 ÷ (1 + 期間内の平均上昇幅 ÷ 期間内の平均下落幅) )

0~100%の範囲で表示され、一般的には70%以上だと買われすぎ、30%以下だと売られすぎと判断できます。


トレーダーは、RSIが70%以上の時に売りエントリーを検討し、30%以下の時に買いエントリーを考えるのが一般的です。

DMIとRSIを組み合わせることで、トレンドの強さと反転ポイントの両面から相場を分析できます。これにより、エントリーや決済の精度が高まる可能性があります。

例えば、DMIの+DIが-DIを上抜けし、ADXが上昇している際は、上昇トレンドが発生していると判断できる状況です。しかし、実際にはトレンドが出ておらず、価格が思ったように伸びないケースも少なくありません。

しかし、もしRSIが50以下程度であれば、たとえレンジ相場だったとしても、まだ上昇の余地があると判断できます。結果として、適切なタイミングで利益を確保したり、早めに見切りをつけて損失を少なくしたりできる点がメリットです。

5-2. ストキャスティクス

ストキャスティクスは、一定期間の価格レンジ内での現在の価格位置を測定し、相場の「過熱感」を判断するオシレーター系指標です。トレンドフォロー系のDMIとは異なり、レンジ相場での反転ポイントを捉えるのに適しています。

ストキャスティクスは、「%K」と「%D」という2本のラインで構成され、以下の計算式で求められます。

  • %K = (当日の終値 - 期間中の最安値) ÷ (期間中の最高値 - 最安値) × 100
  • %D = %Kの一定期間の単純移動平均


ストキャスティクスの数値は、0~100%の範囲で表示され、%Dの値を基準に80%以上だと買われすぎ、20%以下だと売られすぎと判断できます。

さらに、%Dと%Kの位置関係から売買シグナルを得ることもできます。具体的な判断基準は、以下の通りです。

  • 買いシグナル:%Kと%Dが20%以下に到達した後、%Kが%Dを下から上にクロスする(ゴールデンクロス)
  • 売りシグナル:%Kと%Dが80%以上に到達した後、%Kが%Dを上から下にクロスする(デッドクロス)


ストキャスティクスは、DMIと同様にゴールデンクロスやデッドクロス、ダイバージェンスの確認にも役立ちます。例えば、DMIとストキャスティクスの両方でゴールデンクロス/デッドクロスのシグナルが出た時にエントリーすることで、勝率が上がる場合があります。

6. DMIをFX取引に役立てよう

DMIは、RSIやストキャスティクスなどの逆張り系指標の弱点を補い、トレンドフォローに適したテクニカル指標として考案されました。DMIのADXや±DIの数値や位置関係を分析することで、エントリータイミングを見極めやすくなり、利益を狙いやすくなります。

「DMIを使ってトレードをしてみよう」と思った方は、少額トレードから始めてみてはいかがでしょうか。

SBI FXトレードは、業界トップクラスとなる34種類の通貨ペアがあり、1通貨単位から取引できるため、非常に少ない資金からFX取引が可能です。また、スプレッドは業界最狭水準となっており、利益を上げやすい環境が整っているため、初心者の方にも安心してご利用いただけます。まずはSBI FXトレードで口座を開設し、FX取引を始めてみましょう。

最短5分口座開設はこちら無料

この記事を監修した人

SBIリクイディティ・マーケット株式会社
金融市場調査部長
上田眞理人

最短5分口座開設はこちら無料