UPDATE 2025.09.17
POST 2025.09.17
FX取引において「ピボット」という言葉の意味や使い方がよくわからず、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
ピボットは、FXのテクニカル分析で使われる指標の一つで、その特徴や活用方法を理解しておくと、特に短期トレードでは有効に活用できるでしょう。
この記事では、ピボットの基本的な意味から使い方、注意点まで詳しく解説します。FX初心者の方や、テクニカル分析を取り入れてFX取引をしたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
ピボットは、FXの短期トレードで使われる指標として知られており、一般的には「ピボットポイント」や「ピボットインジケーター」と呼ばれます(正式には「The Reaction Trend System」といいますが、一般にはあまり使われていません)。7本のラインで構成されており、その中心となる基準線が「ピボットライン(Pivot Line)」です。ピボットは使用する時間足によって、以下のように種類が分かれています。基本的な種類を押さえておきましょう。
種類 | 時間足 | 取引スタイル |
---|---|---|
デイリーピボット | 日足 | 短期トレード |
ウィークリーピボット | 週足 | 中長期トレード |
マンスリーピボット | 月足 | 中長期トレード |
なお、一般的に「ピボット」といえば、前日の終値、高値、安値から算出される「デイリーピボット」のことを指します。
ピボットは、全世界のプロトレーダーによって活用されている代表的なテクニカル指標の一つです。
ピボットを開発したのは、数多くのFXテクニカル指標を生み出した米国の投資アドバイザー、J・W・ワイルダー(J. Welles Wilder)氏です。
多くの革新的なテクニカル指標を開発したことから、「テクニカル指標の父」とも称されています。
ワイルダー氏が開発したテクニカル指標には、以下のようなものがあります。
FX取引において、ピボットを活用する際のメリットとデメリットを確認しておきましょう。
デメリットとしては「チャートが見づらい」という点が挙げられますが、それを上回るメリットが多いのが特徴です。
ピボットは、短期トレードに向いたテクニカル指標であるため、デイトレードに挑戦してみたい方は、ぜひ活用を検討してみてください。
続いて、ピボットの見方について解説します。まずは、ピボットを構成する7本のラインについて確認しておきましょう。
・ピボットを構成する7本のライン(上から順に)
R3(HBOP):レジスタンスライン3/ハイブレイクアウトポイント
R2:レジスタンスライン2
R1:レジスタンスライン1
PP:ピボットポイント(基準線)
S1:サポートライン1
S2:サポートライン2
S3(LBOP):サポートライン3/ローブレイクアウトポイント
中央の「ピボットポイント」を基準として、上に3本、下に3本のラインが引かれます。これら7本のラインはアクションポイントと呼ばれ、トレードの意思決定に使われます。
一般的に、価格がピボットラインよりも上に位置すれば上昇トレンド、下に位置すれば下落トレンドと判断されます。
サポートライン(下値支持線)
相場が下げ止まるポイントを結んだ線。サポートラインを下抜けた場合、下落トレンドに転換することが多いとされています。
レジスタンスライン(上値抵抗線)
相場が上昇を止めるポイントを結んだ線。レジスタンスラインを上抜けた場合、上昇トレンドに転換する可能性が高まります。
ピボットの計算方法について確認しておきましょう。まず、以下の3つのデータを準備します。
まずは、7本のラインの基準となるピボットポイント(PP)から計算します。
このラインは、値動きを予測する際の中心となる重要な基準線です。
計算式は以下の通りです。
(前日終値 + 前日高値 + 前日安値) ÷ 3 = ピボットポイント(PP)
この計算からもわかるように、ピボットポイントは前日終値・高値・安値の平均値で構成されます。
次に、ピボットポイントと最も近いレジスタンスライン1(R1)とサポートライン1(S1)を計算します。
・R1 = PP + (PP - 前日安値)
・S1 = PP - (前日高値 - PP)
続いて、レジスタンスライン2(R2)とサポートライン2(S2)を計算します。
・R2 = PP + (前日高値 - 前日安値)
・S2 = PP - (前日高値 - 前日安値)
最後に、もっとも外側に位置するレジスタンスライン3(R3)とサポートライン3(S3)を計算します。
・R3 = R1 + (前日高値 - 前日安値)
・S3 = S1 - (前日高値 - 前日安値)
前章で各ラインの計算方法を確認しましたので、ここではFXにおけるピボットの具体的な使い方やトレード手法について解説します。
レジスタンスライン1(R1)やサポートライン1(S1)は、逆張りのポイントとして意識されることが多いラインです。
さらに、R1やS1を突破してR2やS2に到達した場合も、過熱感が強まっている可能性があり、逆張りの判断材料になるケースがあります。
一方で、レジスタンスライン1・2やサポートライン1・2を突破して、レジスタンスライン3(R3/HBOP)やサポートライン3(S3/LBOP)に到達した場合は、逆張りではなく順張りが有効とされます。
ピボットは、単体でもトレンドの方向性や反転ポイントの目安として有効ですが、他のテクニカルインジケーターと組み合わせて使うことで、より精度の高いトレード判断が可能になります。
以下は、ピボットと特に相性の良い代表的なインジケーターです。
移動平均線とは、一定期間の終値の平均値を線で結んだ折れ線グラフで、テクニカル分析では非常に一般的な手法です。
移動平均線を使った分析では、価格のトレンド方向や、価格変動の傾向(勢い)を視覚的に把握できます。ピボットと組み合わせて使うことで、トレンドの継続や転換ポイントをより明確に判断することが可能になります。
ボリンジャーバンドは、アメリカの投資家ジョン・ボリンジャー氏が考案したテクニカル指標です。
移動平均線の上下に、標準偏差を基にしたバンド(帯)を描画し、ほとんどの価格がこのバンド内に収まるという統計的特性を利用しています。
価格が下限バンドに接近すると上昇のシグナル、上限に接近すると下落のシグナルとされ、トレンドの勢いと反転タイミングを判断する補助ツールとして活用されます。
MACD(マックディー)とは、移動平均線を応用したトレンド系インジケーターです。
指数平滑移動平均(EMA)は、最新の価格に重みを置くため反応が速く、短期トレードとの相性が良い点も特徴です。
RSIは、日本語では「相対力指数」とも呼ばれる、相場の過熱感(買われすぎ・売られすぎ)を判断するオシレーター系指標です。
一定期間の上昇幅と下落幅を比較し、価格が上昇傾向にあるか下降傾向にあるかを数値化します。
RSIの数値が高いほど買われすぎ、低いほど売られすぎと判断されます。
一般的に、70%以上は買われすぎ、30%以下は売られすぎとされ、反転の目安として利用されます。
ピボットは、FX取引においてトレンドや反転の目安を示す有効なテクニカル指標ですが、正しく活用するにはいくつかの注意点があります。これらを理解した上で、トレードに取り入れましょう。
FX取引を行う際は、ピボットから読み取れるトレンドの方向性を参考にすることは有効ですが、それだけに依存してポジションを建てるのは危険です。
エントリーには明確な根拠(複数の要素の一致や相場環境の確認など)を持つことが重要です。
たとえピボットの位置関係から「買い」や「売り」のチャンスと見えても、むやみにエントリーすると損失が膨らむ可能性があります。
ピボットだけでなく、RSI・MACD・ローソク足の形状など、他のテクニカル要素と組み合わせて判断しましょう。
ピボットの算出には「前日の終値・高値・安値」の3つのデータが用いられます。
これは、当日の相場分析に特化した指標であることを意味します。
したがって、翌日になると新たなデータで再計算されるため、長期的な分析には不向きです。
ピボットは、主にデイトレードやスキャルピングなどの短期トレード向けと理解しておきましょう。
ピボットは、価格が一定のレンジ内で上下する「レンジ相場」において有効な指標です。
一方で、強い上昇や下落が継続する「トレンド相場」では、ピボットによる反転サインが機能しないことがあります。
例えば、ピボットが示す「売りサイン」に反して価格がそのまま上昇し続けるようなケースです。
トレンド相場においては、ピボットのラインをあえて"ブレイクライン"として活用する順張り手法に切り替えるなど、柔軟な運用が求められます。
前述の通り、ピボットは短期分析向けの指標であるため、中長期の戦略を立てるには、他のテクニカル指標との併用が不可欠です。
例えば、移動平均線(トレンドの継続性)、RSI(過熱感の判断)、一目均衡表やフィボナッチリトレースメント(相場のバランスや節目の把握)などを組み合わせることで、トレードの総合的な判断力を高めることができます。
FX取引は常にリスクを伴いますが、複数の指標を用いた分析によって、そのリスクを軽減することが可能です。
ピボットとフィボナッチは、いずれも相場の転換点やトレンドの動向を分析するためのテクニカル指標です。ただし、その計算根拠や活用の考え方には明確な違いがあります。
フィボナッチは、「フィボナッチ数列」から導かれる黄金比(約61.8%や38.2%など)をベースにした分析手法です。
価格が上昇または下落した際に、その押し目(戻し)や戻り(調整)の水準を予測するのに使われます。
例えば、「フィボナッチ・リトレースメント」は、上昇や下降の起点と終点を結んで価格がどこまで戻すかを予測するツールとして広く用いられています。
一方、ピボットは前日の「終値」「高値」「安値」の平均値をもとに、その日の重要な支持・抵抗ライン(サポート/レジスタンス)を算出する指標です。
主に日内(当日)の相場における反発・ブレイクポイントを判断する目的で使われ、短期トレーダー向きのテクニカル手法といえます。
指標 | 計算根拠 | 主な用途 | 向いているトレードスタイル |
---|---|---|---|
ピボット | 前日の価格(終値・高値・安値) | 当日のサポート・レジスタンスの予測 | デイトレード・短期トレード |
フィボナッチ | 黄金比(数列) | トレンドの押し戻し・反発水準の予測 | 中〜長期トレードも含む多様な場面 |
どちらも有効なテクニカルツールですが、目的や相場状況に応じて使い分けることが重要です。
FXは、思い付きや勘に頼ってトレードしても、継続的に利益を上げるのは難しいものです。ピボットなどのテクニカル指標を活用し、根拠のあるトレード戦略を構築することが大切です。
これからFXを始めようと考えている方には、「SBI FXトレード」での口座開設をおすすめします。SBI FXトレードをおすすめしたい主な理由を3つご紹介します。
ピボットは、短期トレードに特化した有効なテクニカル分析手法です。
前日の終値・高値・安値というシンプルなデータから当日のサポート・レジスタンスを割り出し、エントリーや利確・損切りの目安を提供してくれます。
ただし、以下の点には注意が必要です。
そのため、ピボットをメインに据えつつも、MACD・RSI・移動平均線など他の指標と組み合わせて使うことで精度を高めることができます。
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この記事を監修した人
SBIリクイディティ・マーケット株式会社
金融市場調査部長
上田眞理人