UPDATE 2025.06.17
POST 2025.06.17
元々は「異常」や「例外」を意味する英単語であるアノマリー。金融業界でも通常の市場動向や理論では説明できない異常な現象やパターンを指します。そのような現象やパターンが特定の時期や条件下で観察されることがあり、金融業界におけるアノマリーとして知られています。
FXなどの投資において、アノマリーを知っているかどうかが取引の精度や勝率に大きく関わる場合もあります。
本記事では、アノマリーの概要や、長きにわたって語り継がれている具体的なアノマリーをご紹介します。アノマリーと近い意味で知られる「相場の格言」についてもまとめているので、ぜひ参考にして下さい。
まず始めに、一般的なアノマリーの意味やFXにおけるアノマリー、それらが発生する理由や注目される背景などのアウトラインを解説します。
「アノマリー(Anomaly)」とは、日本語で「異常」や「例外」を意味する言葉です。金融市場においても概ね同様の意味で扱われていますが、特に一般的な理論や法則で合理的に説明できないような値動きやパターンを指すものとされています。
アノマリーは、市場の通常の傾向から大きく外れた動きであり、経験的に繰り返し発生し、ある程度の規則性も認められます。しかし、調査や検証は困難であり、従来の理論では正確に説明できない現象や概念として知られています。
アノマリーの具体例として、「1月効果」や「セル・イン・メイ」「クリスマス効果」などが挙げられ、特定の時期になると相場が規則的な動きをするのが特徴です。また、アノマリーに該当する現象はいくつも確認されており、その種類や内容は多岐にわたります。
また、理論的に説明はつかないものの、一定の規則性があることから、アノマリーを重要な分析対象や取引の指標として扱っている投資家も少なくありません。
外国為替市場においても多くのアノマリーが存在します。
例えば、「月末のロンドンフィキシングに向けて、ポンドが買われやすくなる」という現象がよく知られています。ロンドンフィキシングとは、イギリスの為替市場で基準値となる「仲値」を決めるタイミングを指し、この時間帯は集中的にポンドが買われ、価格上昇が起きやすい傾向にあるとされています。
この他にも、1〜12月までの全ての月や、「月曜効果」などの特定の曜日や期間、時間帯などにおいて、数多くのアノマリーがあります。その多くが一定の規則性やパターン化された値動きを伴いますが、明確な理論や根拠があるわけではありません。
アノマリーは常に同じような現象が起きるとは限らない上、いつも利益をもたらしてくれるものでもありません。知っておくことで役に立つ場面があるのは確かですが、あくまでよく見られる傾向、ジンクス程度に留めておく必要があります。
アノマリーが発生する理由には、主に2つの見方があります。
1つ目は「市場が効率的ではなく、アノマリーはその証拠である」という見方です。金融市場は、全ての情報が即座に価格に反映されることが理想とされています。しかし、現実はその情報が不完全なものであったり、投資家が感情的な行動をとったりすることで、しばしば非効率的な動きになりがちです。このような要素が複雑に絡み合い、通常では説明できないパターンや価格変動が発生すると考えられています。
2つ目の見方は「計測の仕方が悪く、偶然の結果としてアノマリーが観察される」というものです。これは市場データの分析手法やモデルにおける誤差により、あたかもアノマリーが存在するように見えているだけで、実際には根拠はなく、長期的には意味のない現象であるという考え方です。
これら2つの見方が有力ではあるものの、今日においてもまだ正確な答えを導き出すには至っていません。
これらのアノマリーが注目される理由は、市場に参加するトレーダーに利益をもたらす可能性があるからです。
アノマリーが発生する理由は定かではありませんが、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などの従来の理論では説明できない現象は確かに存在しており、繰り返し発生・出現しているという事実があります。
また、AIの発展が著しい昨今においては、これまで以上に大量のデータを分析できるようになったことで、新たなアノマリーが発見されるケースも散見されます。
そして何よりも、相場は予測不可能であるにも関わらず、繰り返し発生するアノマリーを活用して利益を得ているトレーダーがいるのもまた事実です。
このように、アノマリーはトレーダーに利益をもたらす助けとなり得る概念のため、種類や内容を理解して自身の投資戦略に反映するのは有効な方法であるといえるでしょう。
ここからはアノマリーの具体例をご紹介します。
アノマリーには、特定の月・毎月特定の日・特定の時間や時期など、さまざまな規則性があり、その種類は多岐にわたります。
ここではまず1〜12月まで、それぞれの月ごとに認知されているアノマリーを見ていきましょう。
1月は「1月効果」と呼ばれるアノマリーが存在します。1月効果の内容は「1月の相場がその年全体の相場傾向になりやすい」というものです。
例えば、1月に市場が上昇した場合はその年全体の相場も上昇傾向になり、逆に1月が下落相場だった場合は、その年は弱気相場になる可能性が高いとされます。
この現象は、節目となる年の初めにポジションをリセットし、新たな戦略に取り組む投資家・トレーダーが多いため、通常よりも流動性が高まり、大きな価格変動が発生すると考えられています。
ちなみに、1月効果はFXのみならず、似た性質を持つ株式市場においても認知されているアノマリーです。
2月には「節分天井、彼岸底」という相場格言に基づくアノマリーがあります。
これは、「2月上旬の節分の時期に高値をつけて、3月中旬の彼岸の時期に安値をつける」というものです。
2月は米国債の償還や利払いが行われる時期であり、債券保有者の多くは満期日に合わせて払い戻す必要があります。その結果、外国為替市場では、米ドルを売って日本円を買う動きが活発化するため、円高ドル安傾向になりやすいとされているのです。
また、日本市場の参加者の多くが比較的たくさんの米ドルを保有しているため、この時期はドル売りが集中し、結果として円高になるとも言われています。
このアノマリーを把握することで、トレーダーは相場の変動を予測し、取引のタイミングを見極める際の参考にすることができます。
3月は、日本企業の決算期に関連したアノマリーが存在します。
3月末は多くの日本企業が決算を迎える時期であり、決算時は会社の資産を日本円で確保しておく必要があることから、外貨建てだった資産を日本円に交換する動きが活発化するためです。
同時期に同じ動きを取る企業が多くなることに加えて、大企業や輸出企業が動くことで大規模な資金移動が発生します。その影響が市場全体にまで及ぶため、3月は円高ドル安傾向になりやすい月として知られているのです。
また、大企業ほどの影響力はないものの、このような大きな動きに他の個人投資家や機関投資家などが追随することで、一層この傾向は顕著になると考えられています。
4月は、3月から一転して円安ドル高になる傾向があります。3月とは逆の動きになるだけで、相場が傾く原理は3月と大きく変わりません。
4月は多くの日本企業や政府機関にとって、新しい事業年度のスタートとなる月です。4月は輸入企業が事業に必要となる外貨を調達したり、あらゆる業界の企業が新年度の計画に基づいて新たな投資や資金調達を行ったりすることを目的として、日本円を売って外貨を調達する動きが活発化すると言われています。
この時期に同じ動きをする企業が集中することに加えて、米ドルを購入するケースが多いことから、4月は円安ドル高傾向が強まると考えられています。
5月は「セル・イン・メイ(Sell in May)」という有名な相場格言があります。
この格言は「5月に株を売れ」という意味で、株が売られることで株式市場が軟調傾向になり、リスク回避の動きが強まることで円高ドル安に傾くことを示唆しています。
このアノマリーは、日本国内のゴールデンウィークとアメリカのバカンスシーズンが近く、それぞれの投資家が休暇に入る前に利益確定売りを行うためです。
また、日本の大型連休は国内の市場参加者が極端に少なくなるため、普段よりも株価が大きく動きやすくなります。加えて、ゴールデンウィーク中も通常どおり営業している海外拠点を持つ日本企業が米ドルを売って日本円を買い続けることなども影響していると考えられています。
6月は、アメリカの株価が下落しやすいというアノマリーがあります。アメリカの大手ファンドや投資機関の多くは、6月に夏休みに入るためです。
日本の大型連休と同様に市場の参加者が減少し、取引量が縮小することが主な原因と考えられており、リスクを回避する動きが強まり、米国株式市場全体が軟調になる傾向があります。
米国株の下落を受けて、投資家は他の安全資産へのシフトを図るため、日本円に資金が流れやすくなると考えられています。
このような背景から、6月は円高ドル安傾向になるため、外国為替市場にも影響が及ぶ可能性があると心得ておく必要があるでしょう。
7月は「サマーラリー」と呼ばれるアノマリーがあります。
サマーラリーとは、夏のボーナスシーズンやバカンス前に米国株価が上昇傾向になると同時に、ドル高になることを意味するアノマリーです。
サマーラリーが発生する理由は主に2つあります。1つ目は、夏のボーナスを使って新たに株式投資をする人が増えることで、株式市場に資金が流れることです。2つ目は、多くのアメリカ人投資家が夏季休暇に入る前にポジションを調整したり、利益を確定させる動きを取ったりすることが挙げられます。
外国為替市場においては、7月はサマーラリーによってドル高傾向になる時期であることを理解しておきましょう。
8月は「夏枯れ相場」と呼ばれる現象が起こりやすくなります。この時期はアメリカやヨーロッパの多くの市場参加者が夏休みに入ることで取引量が減少し、相場全体が軟調になる傾向にあるためです。
さらに、8月は米国債の利払いが行われる時期とも重なっており、利払いを受け取る投資家が米ドルを売って円を買い戻すため、ドル安円高の動きが強まる時期でもあります。
日本国内においてもお盆休みによる大型連休があるため、市場参加者が減り流動性が低くなる傾向にあります。実際に、8月は過去に何度も急激な円高が発生している事例があるため、このアノマリーを把握しておくと共に注意が必要です。
9月は、多くの日本企業の中間決算の影響を受けて、円高ドル安になる傾向があります。
3月の本決算と同様に、日本企業の中間決算は外貨を日本円に交換する動きが活発化するためです。多くの会社が一斉に動くことで日本円の需要が増加し、大きな資金移動が起こるため、相場にもその影響が出ると考えられています。
また、9月は多くの投資家やトレーダーが休み明けとなり、市場参加者が増えて流動性が回復するため、大相場を形成しやすい時期としても知られています。
外国為替市場においては、大相場を伴いながら円高ドル安になる月と覚えておくと良いでしょう。
10月は、米国株価が下落しやすい「10月効果」と呼ばれるアノマリーがあります。
歴史的に見ると、1929年10月24日に世界恐慌を引き起こした「暗黒の木曜日」や、1987年10月19日に大暴落を記録した「ブラックマンデー」など、世界恐慌のきっかけとなった大きな出来事が重なった月です。
あまりに大きな出来事だったため、「10月=暴落の月」というイメージを持っている投資家も一定数存在しており、リスク回避を意識するトレーダーが増えることで、株式市場が軟調になりやすいと言われています。
外国為替市場における影響は、安全資産の1つである日本円に資金が流れやすく、円高ドル安が進行する傾向にあります。
11月は、ポジション調整によって9月から始まったトレンドが月末にかけて反転しやすい時期とされています。
9月から続いていた大きな動きが一旦収束して市場は落ち着きを取り戻しますが、11月の最終週は日本とアメリカ共に株価が上昇しやすい傾向にあります。
また、11月には感謝祭(サンクスギビング)というイベントがあり、米国市場が取引時間短縮や休場となる日があります。その影響で市場の参加者が減り、一時的に流動性が低下する場合もあるため注意が必要です。
12月は、欧米企業の決算時期によるドル高円安傾向と、クリスマス効果と呼ばれるアノマリーがあります。
12月は多くの欧米企業が年度末の決算準備を行う時期であり、資金を確保するために外貨を購入する動きが活発化します。これにより米ドルの需要が増加するため、相場がドル高に動きやすくなると考えられているのです。
一方のクリスマス効果は、欧米の市場参加者の多くがバカンスに入るため、市場参加者と取引量が減少し市場が閑散とする現象を指します。流動性は低下するものの、それまでのトレンドが崩れるケースは少なく、安定した値動きが続く傾向にあります。
ただし、これらはあくまで例年の傾向に過ぎません。流動性が低い市場では、ちょっとしたきっかけで大きな価格変動が起こる可能性があるため、油断は禁物です。
アノマリーには毎月のように起こるものもあります。代表的なものとして2つのアノマリーをご紹介します。
ロンドンフィキシングとは、ロンドンの外国為替市場において、銀行間の対顧客取引の基準となる価格である「仲値」が算出・公開される時間帯を指します。
日本時間で月末の日本時間24:00(夏時間)または25:00(冬時間)に行われるのが通例で、市場に大きな影響を与えることがあります。ロンドンフィキシングはポンドが買われやすくなり、結果的にポンド高になるというアノマリーです。
ロンドン市場は世界最大の外為市場でもあるため、ロンドンフィキシングで発表される仲値や基準価格は市場全体にも影響を及ぼします。また、多くの大手金融機関や企業が月末に取引やポンド決済を行う関係で、大量の資金移動に伴うポンド買いの需要が増加し、一時的にポンド高が進行すると考えられています。
このアノマリーは「市場が特定の方向に動きやすい」という性質のため、多くのトレーダーが注目しているのはもちろんのこと、知っておけば比較的戦略に組み込みやすいのも特徴です。
毎週水曜日は、スワップポイントに関するアノマリーが存在します。
スワップポイントとは、FX取引において金利の異なる通貨ペアを保有する際に発生する利息のことです。この金利差を利用することでスワップポイントを受け取れますが、金利差が逆転すると逆に支払いが発生するため注意が必要です。
スワップポイントは原則的に毎日付与されますが、週末分(土・日)のスワップポイントは木曜日の朝のロールオーバー時にまとめて3日分付与されるため、水曜日に取引が活発になる傾向にあります。
例えば、米ドル/円やオーストラリアドル/円などの高金利の通貨ペアを水曜日に保有したままロールオーバーすることで、木曜日に通常の3倍のスワップポイントを受け取れるため、この特典を狙ったトレーダーが水曜日に積極的に取引を行います。
結果として、日本円などの低金利通貨が売られる一方で、高金利通貨が買われるため、一時的に相場の変動が起きると考えられています。
なお、スワップポイントはトレーダーの中でも人気の高い仕組みですが、スワップポイント狙いで金利差だけを見て取引するのは危険です。通貨の価格はさまざまな要因で変動する上、高金利通貨は値動きが不安定なものも多いためです。
市場の動向次第では、ある日を境に保有している通貨の金利が逆転し、スワップポイントの支払いが発生する可能性もあるため注意しましょう。
イベント関連の主要なアノマリーとして、米大統領選挙とスーパーボウル指標の2つをご紹介します。
米大統領選挙は4年に1度行われ、市場に特定のアノマリーをもたらすイベントとして知られています。選挙のフェーズによってアノマリーが異なるため、フェーズごとに解説します。
米大統領選挙の前年は、全体的に市場のパフォーマンスが良くなる傾向にあります。現職の大統領が再選を目指して景気刺激策を打ち出すことが多いためです。
経済政策や財政政策を積極的にアピールすることで、再選後には株価や通貨の安定、さらには物価の上昇が期待されるため、市場では比較的前向きな期待感が広がります。
こうした期待感が投資家心理を押し上げ、株式市場ではリスクオンの動きが強まりやすく、外国為替市場でも高金利通貨が買われる傾向が見られます。
米大統領選挙が行われる年も、市場は比較的好調なパフォーマンスを示すことが多いとされています。
選挙結果に対する不透明感はあるものの、選挙戦に伴う期待感や、経済の安定を重視した政策が継続される傾向にあるためです。
このような背景から、リスクを取って取引を行う投資家が増え、株式市場が上昇すると考えられています。外国為替市場においてもドル買いが進みやすく、市場全体が比較的堅調に推移するのが通例です。
新大統領が就任する選挙翌年は、市場パフォーマンスが低迷する傾向にあります。新政権が実施する政策が不確定であることから、多くの投資家が取引に対して慎重になるためです。
また、新大統領が打ち出す政策が市場に悪影響を与える可能性もあるため、経済に対する不安感が広がることで株価が下落するケースがあります。
選挙翌年はリスク回避の姿勢が強まるため、ドル安や米株安になりやすく、外国為替市場でもボラティリティが高まる傾向にあるため注意が必要です。
米大統領選挙の2年後に行われる中間選挙の年も、パフォーマンスがやや低調になる傾向があります。
中間選挙年は、選挙後の不確実性や新政策の影響が引き続き市場に残り、投資家のリスク回避の動きが継続することが原因と考えられています。また、この時期は与野党の勢力が逆転する可能性もあるため、政治的な情報が市場に混乱や影響を及ぼしやすくなります。
市場はドル安や米株安になる傾向が強いため、これを考慮してポジションを建てることが重要です。
スーパーボウルとは、アメリカンフットボール(NFL)の年間チャンピオンを決める一大イベントで、この試合結果にまつわるアノマリーが「スーパーボウル指標」です。
スーパーボウル指標は、NFC(ナショナル・フットボール・カンファレンス)のチームが優勝すれば、その年のNYダウ平均株価が上昇し、AFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)のチームが優勝すれば株価が下落するというものです。
スーパーボウル指標は、歴史的な偶然から生まれたものであり、必ずしも経済や企業業績などに基づいているわけではありません。しかし、それでも多くの投資家に注目されている現象であり、実際にスーパーボウル後の市場動向を見極める際の"話題"や"参考材料"として広く知られています。
アノマリーに似たものとして「相場の格言」が挙げられます。
ある程度の規則性はあるものの、理論的には説明がつかない現象やパターンを指した言葉であるという点ではアノマリーと共通しています。一方で、長い歴史の中で現在に至るまで伝わっていることから、一定の根拠がある経験則・教訓として、今日も多くの投資家が取引を行う際の参考にしています。
「もうはまだなり、まだはもうなり」は、相場における価格の底値や天井を見極めることの難しさを表した格言です。
投資家が「もう底だ」と思ったタイミングでも、そこからさらに下落して下値を更新する場面を示唆しています。同様に、投資家が「まだ上がる」と期待している時は、相場は既に天井を打っていることが多いものです。
このような意味合いから、相場の動向を冷静に見極めることの大切さと、過信して早まった判断をしないようにという戒めとなっています。
時期や期間などの規則性は見られないものの、比較的頻繁に見られる現象であることから、取引に対する姿勢やスタンスに取り入れたい考え方といえるでしょう。
「売るべし 買うべし 休むべし」とは、相場における休むことの重要性を表した格言です。
常に相場が動き続けている中で、適切なタイミングで売買することはもちろん重要ですが、「時には休む」ということが売り買いと同じくらい大切であると強調しています。
しっかり休むことで集中力や冷静さを取り戻し、市場をじっくりと観察することで、次の大きなチャンスを掴みやすくなるためです。
特に相場が荒れている時や不確実性が高い時は、無理に取引を続けるよりも、思い切って休んだ方がリスクを減らせるケースも少なくありません。
外国為替市場はほぼ24時間市場が動いているため、一層この格言の重要性が増すといえるでしょう。
「相場は明日もある」とは、焦る気持ちを抑えてじっくり次の機会を待つことの大切さを表した格言です。
この格言は、投資や取引において急いで行動することの危険性を強調しています。株式市場や外国為替市場のような変動の激しい相場では、焦ることで冷静さを欠きやすく、自分にとって不利な決断を下してしまうことがよくあります。
相場と向き合う際は、短期的な価格の上下に惑わされず、冷静に長期的な視点で考えることが大切です。加えて、短期間で大きな利益を狙うよりも、長期的にじっくりと機会を見極め、必要に応じて待つことも重要です。
焦りからくる無計画な取引は往々にして損失を生むケースが多いため、常に「急がなくても、相場は明日もある」という気持ちのゆとりを持ちましょう。
「卵は1つのカゴに盛るな」とは、そのカゴがひっくり返ってしまった際に全ての卵が割れてしまう可能性があることから転じて、投資におけるリスク分散の重要性を表した格言です。
「卵を1つのカゴに盛る」というのは、全ての資金を特定の資産や投資商品に一点掛けするさまを例えており、万が一その投資が失敗した場合、一度に全ての資産を失ってしまう危険性があることを示唆しています。
複数の資産や投資対象に資金を分散させておくことを「分散投資」といい、その一部が損失を被ったとしても、他の部分でその損失を補える可能性があるため、リスクヘッジとして非常に有効です。
この格言は、リスクの分散を意識することで全体の安定性が向上し、より健全な投資環境を築けるという教訓です。
「人の行く裏に道あり花の山」とは、「他人と同じ道を選んでいては人並みの平凡な結果しか得られない」という意味の格言です。
これは投資だけではなく、ビジネスの世界においても同じであり、リスクを取って多くの方とは異なる考え方ややり方をした方が、結果的に大きな成功を掴みやすいという教えです。
多くの人が言っていることや、やっていることに追随する方が安心するのが人情ですが、大きな成功はまだ他の方が気付いていないチャンスを見つけること、勇気を持ってその道を進むことから始まります。
インターネットが生まれるはるか前から存在する格言ですが、SNSやインフルエンサーが大きな影響力を持つ現在においても十分に通用する教訓といえるでしょう。
「買いたい弱気 売りたい強気」とは、投資における心理的な葛藤や思い込みを表した格言です。
価格が下がった時は買いのチャンスであるはずが、「今よりもっと安くなるのではないか」と弱気になり、せっかくのチャンスを逃すことがあります。一方、価格が上がった時には売って利益確定のチャンスであるにもかかわらず、「今よりさらに上がるだろう」と強気になり、売るタイミングを逃してしまいがちです。
この格言は、自分の都合で立てた仮説や感情がかえって自らを縛ることになり、合理的な判断ができなくなった結果、どのような状況でも損失を被ってしまう危険性があることを示唆しています。
FX取引ではまさにこの格言のような状況に陥りやすいため、取引ルールの設定やツールによる自動売買を行うなどの工夫をすることが大切です。
「遠くのものは避けよ」とは、投資の際に不確実性が高いものは避け、身近で理解しやすいものに焦点を当てることの重要性を表した格言です。
ここでいう「遠くのもの」とは、経験や知識が浅いもの、情報が乏しく理解が難しいもの、物理的な距離がある遠隔地の商品や企業などを指します。こうした対象は、判断材料が不十分であることから、投資リスクが高くなる傾向があります。
逆に、投資対象に対して何かしらの知識や経験がある、または親近感や興味を持っている場合は、そのことが有利に働くケースが多いという教えです。
自分にとって縁遠いものよりも、なじみのある市場や商品を選んだ方が無難であり、成功しやすいといえるでしょう。
「押目(おしめ)」とは、相場が上昇トレンドである際に、短期的・一時的に価格が下がることを指し、一般的に「買いのチャンス」とされているタイミングです。
「押目待ちの押目なし」という格言は、投資家が買いのチャンスである「押目」を期待しているにもかかわらず、その下落がなかなか起こらずみるみる価格が上がっていき、買うに買えない状況を表しています。
つまり、絶好のタイミングは待ってもなかなか来るものではないため、ある程度納得できる価格やタイミングで行動してしまった方が結果的に良いという教訓です。
FX取引においても、少しでも有利な価格でポジションを立てたいと思うものですが、市場は予測通りに動くとは限らないため、柔軟かつ臨機応変な判断力が求められます。
「頭と尻尾はくれてやれ」とは、「押目待ちの押目なし」と同様に、投資における売買タイミングの重要性を教えてくれている格言です。
ここでいう「頭と尻尾」とは、株価や為替相場などの最安値と最高値を指しています。どちらも完璧に狙うのは困難であり、完璧なタイミングを待っていては売買のタイミングを逃すことにもなりかねません。
欲張って最安値で買い、最高値で売ることを目指すのではなく、適度なタイミングで買い、ある程度利益が出たタイミングで手仕舞い(決済)する余裕を持つことが、着実に利益を上げるコツといえます。
外国為替市場はほぼ24時間開いており、「相場は明日もある」という格言もあります。チャンスは何度でも来るため、無駄なリスクを追わず着実な利益を目指しましょう。
「利食い」とは利益を確定することで、「利益確定」や「利確」などと同じ意味で使われている言葉です。「利食い千人力」という格言は、利益が出た際は欲張らずにその時点で利益を確定させるべきであるという教訓です。
保有している銘柄やポジションにどんなに大きな含み益があったとしても、決済して利益を確定しなければ何の意味もありません。さらなる上昇を期待して持ち続けた結果、急な暴落などによってその含み益が消えてしまうかもしれないからです。
つまり、ある程度の利益が出たら、その時点で早めに手仕舞いを行うことが本当の利益と大きな安心感をもたらすということを意味しています。欲張ってより大きな可能性に賭けるのではなく、確実に利益を得ながら次のチャンスを待つ方が、結果的に安定した利益を得られるでしょう。
「相場は相場に聞け」とは、相場の動向を予測する際は、外部の情報や個人の感情に頼るのではなく、相場そのものに従うべきであるという格言です。
相場は多くの要素が複雑に絡み合って変動しているため、どんなに優れた分析であっても、たとえ投資のプロであっても、確実に予測をすることは不可能です。そのため、外部のどのような情報であっても、それが正しいとは限りません。
そのような不確実な情報に頼るくらいなら、相場そのものの動きやトレンドをよく観察・分析し、その結果にしたがって柔軟に対応する方が正確であり賢明であるという教えです。
外部から情報を集めて分析したり、参考にしたりすることももちろん大切ですが、それだけに偏るのではなく、相場そのものを分析するバランス感覚が大切といえます。
「強気相場は悲観の中で生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、陶酔の中で消えていく」とは、著名な投資家ジョン・テンプルトン氏による格言です。
この格言は、市場で何度も繰り返されている価格変動のサイクルと、市場参加者の心理的な変化との関連性を表しています。
上昇相場を意味する「強気相場」は、価格が上昇する兆しが見えず、市場参加者が総弱気や悲観に陥っている時に始まり、その後、市場参加者の大多数が楽観的な見方を持つ頃には成熟を迎えているものです。
そして、誰から見ても明らかな強気相場に、多くの方が過度の期待感や一種の陶酔状態にある中で崩壊していく、という一定のパターンが見られます。
この格言は、「人の行く裏に道あり花の山」と同じく、適切な売買タイミングや、市場参加者の多数派と逆の動きをすることの重要性を教えてくれています。
「ウォールストリートに見逃し三振はない」は、世界三大投資家の1人であるウォーレン・バフェット氏の格言であり、「個人トレーダーは全ての投資チャンスに対応する必要はない」という意味です。
プロの機関投資家は常に市場に参加し続け、どのような状況でも利益を狙い続ける必要があります。しかし、個人トレーダーはそんな無理をする必要はなく、自分にとって適切なタイミングや条件が揃った時だけバットを振る、つまり取引を行えば良いということを表しています。
個人トレーダーには、急がなければならない理由や期日、必ず達成しなければならない目標があるわけではありません。無理をせず自分のペースで投資に臨める立場にあり、余計なリスクを避けられるメリットがあるということを強調した格言として知られています。
「The trend is your friend.」という言葉は、ウォーレン・バフェット氏がよく口にする格言です。投資においてトレンドは友達とも言えるもので、トレンドに従うことが成功への近道であるという教訓です。
市場には上昇トレンドや下落トレンドなどの流れが存在し、それに逆らって取引を行うことは、大きな利益を狙える反面リスクも伴います。素直にトレンドに従えば無駄な損失を防ぎ、リスクを軽減することにもつながります。
明らかなトレンドがある時はその流れに逆らわず、適切なタイミングで市場に参加して、トレンドを利用して利益を得ることが重要です。
この格言は、投資家に対して常に市場のトレンドを見極め、それに従うことの重要性を表しています。
「Dead Cat Bounce(デッド・キャット・バウンス)」は、「死んだ猫でも高いところから落とせば弾む」という意味で、市場が大きく値を下げた後に、特に上昇する材料がなくても一時的に反発する様子を指した格言です。
大幅下落のさなかにしばしば見られますが、反発はあくまで一時的なものであり、その後さらに下落する傾向にあります。
この現象を価格の底値やトレンドの転換点だと誤認して買いに入ると、さらに価格が下がって損失を被る可能性があるため注意が必要です。
「Dead Cat Bounce」自体は現象そのものを表す言葉ですが、「押目待ちの押目なし」のように、売買タイミングの重要性を考えさせられる格言といえます。
アノマリーは、過去の市場の動きに基づくパターンや法則のようなものを指し、繰り返し同じような現象が起きているのは事実です。
しかし、これらの現象は理論的な裏付けや確固たるデータがあるわけではなく、理論的に説明できない経験則のようなものに過ぎません。そのため、アノマリーに過度に依存するのは危険であり、あくまで取引の参考程度にとどめておく必要があります。
特に、突発的なニュースや国際情勢の変化によって相場が大きく動く外国為替市場においては、アノマリーに頼りすぎることで不測の事態に巻き込まれる可能性もあるため注意が必要です。
アノマリーを把握しておくことや、それらを参考にすることが利益を得る手助けになるケースもありますが、他の分析手法と組み合わせて、根拠や戦略性を持って取引を行うことが非常に重要です。
最終的には、自身の分析力や判断力を向上させつつ、アノマリーを数ある指標の1つとして扱い、効果的に戦略に組み込むのが理想といえるでしょう。
データ的な根拠はなく、理論的には説明がつかないにもかかわらず、何度も繰り返される現象やパターンを表すアノマリー。
アノマリーには時期・曜日・時間帯などの定期的なサイクルで発生するものも多いため、把握しておくことで取引の精度が高まる可能性があります。しかし、これらはあくまで経験則や傾向の域を出ないため、データ分析やチャート分析などの他の手法と組み合わせることが重要です。
SBI FXトレードは業界トップクラスとなる「34種類」の通貨ペアがあり、1通貨単位から取引できるため、非常に少ない資金からFX取引が可能です。また、スプレッドは業界最狭基準となっており、利益を上げやすい環境が整っているため、初心者の方にも安心してご利用いただけます。
まずはSBI FXトレードで口座を開設し、FX取引を始めてみましょう。
SBI FXTRADE
FX(外国為替証拠金取引)は異なる通貨を売買し、売買時のレートによって生じた差額で利益を出そうとする取引です。
SBI FXTRADEは、スプレッドやスワップポイント、通貨ペア数など、業界最良水準のサービスをご提供しています。また、初心者の方から、上級者までご満足いただける取引ツールをご用意しております。
この記事を監修した人
SBIリクイディティ・マーケット株式会社
金融市場調査部長
上田眞理人