FXのナンピンとは?意味ややり方、メリット・デメリットなどを解説 | SBI FXトレード

FXのナンピンとは?意味ややり方、メリット・デメリットなどを解説

FX用語集

UPDATE 2025.05.28
POST 2025.05.28

FXのナンピンとは?意味ややり方、メリット・デメリットなどを解説

1. FXのナンピンとは?

ナンピンは、FX取引ではよく知られている戦略の一つです。保有している買いポジションが思っている方向と逆に進んで損失が出た場合、さらに買いポジションを追加して、平均取得単価を下げるという手法になります。ナンピン買いで平均取得単価を下げた場合、相場が戻った際に利益が大きくなるという点がメリットです。

なお、ナンピンという言葉や手法は江戸時代から使われていたといわれており、漢字では「難平」と表記します。この言葉には「難を平らにする」という意味があります。簡単にいえば「損失を平均化する」ということです。

2. ナンピンとドルコスト平均法の違い

ナンピンと間違いがちな用語に「ドルコスト平均法」があります。ドルコスト平均法とは、FX・株式・投資信託など価格が変動する金融商品を、常に一定金額ずつ定期的に購入していくという手法です。

ドルコスト平均法には、価格変動に左右されず、同じ商品(FXの場合は同じ通貨ペア)を継続して買うという特徴があります。この点が、価格変動に応じて同じ商品を買い増すナンピンとの違いです。

ちなみに、FXでも長期積立投資という形式でドルコスト平均法が利用できます。少額からFXにチャレンジしたいという方は、チェックしてみてはいかがでしょうか。

FXのドルコスト平均法については、「ドルコスト平均法とは?意味やメリットをわかりやすく解説」の記事をご覧ください。

3. FXでナンピンした場合の平均取得単価の計算方法

FXでナンピン買いを行った場合の平均取得単価の計算方法は以下の通りです。

{(価格×取得通貨数)+(価格×取得通貨数)+(価格×取得通貨数)}÷合計取得通貨数

以下で具体例を見てみましょう。

例1

  • 米ドル/円が150円の時、買い注文を入れ1万通貨保有
  • 米ドル/円が130円になったため、追加の買い注文を入れ1万通貨保有

この場合の平均取得単価は以下の通りです。

{(150円×1万通貨)+(130円×1万通貨)}÷2万通貨=140円

当初、150円で買っていたため、150円よりも円安状態にならないと利益が出ないはずでしたが、ナンピン買いで平均取得価格を下げたため、140円より円安で利益が出るようになりました。

例2

  • 米ドル/円が150円の時、買い注文を入れ1万通貨保有
  • 米ドル/円が130円になった時点で、追加の買い注文を入れ1万通貨保有
  • 米ドル/円が125円になった時点で、追加の買い注文を入れ1万通貨保有

{(150円×1万通貨)+(130円×1万通貨)+(125円×1万通貨)}÷3万通貨=135円

例2では、例1よりさらに円高が進んだ状態でナンピン買いを行った場合について試算してみました。最終的に3万通貨の保有になりますが、平均取得単価が下がっていることもあり、135円より円安になれば利益が出ることになります。

4. FXのナンピン手法の基本的なやり方・流れ

FXのナンピンの基本的なやり方について理解しておきましょう。簡単な流れは以下の通りです。

  • チャートの上昇を予測したら、買い注文を入れ、ポジションを建てる
  • 予想とは逆の方向に相場が進む
  • ナンピン買いを行い、平均取得単価を下げる

具体的には次のように利用します。

  • 米ドル/円の上昇(円安方向に進む)を予想し、150円で1万通貨分買い注文を入れる。
  • 予想に反して、米ドル/円が130円に下落(円高方向に進む)。この時点で含み損は20万円発生。その後も下落は続く。
  • 米ドル/円が120円になった時点で、1万通貨分の買い注文を入れる。結果として、平均取得単価は135円に下がる。

平均取得単価を下げると、最初に購入した150円まで価格が上昇しなくても、135円以上で利益が発生します。

5. FXのナンピンのメリット

FXのナンピン買いには、以下のメリットがあります。

  • 平均取得単価を下げることが可能
  • 大きな利益が期待できる

詳しく確認してみましょう。

5-1. 平均取得単価を下げることが可能

ナンピン買いを利用すれば、平均取得単価を下げることができ、含み損を解消するまでの時間を短縮できるというメリットがあります。

先の例でもご紹介しましたが、米ドル/円を150円で1万通貨購入し、140円に下落してもそのまま保有している状態の場合、150円に戻らない限り含み損は解消されません。

しかし、140円になった時点でナンピンを利用し、1万通貨の買い増しを行っておけば、平均取得単価を145円にまで下げられます。結果的に、150円に戻るまで待つ必要はなく、145円になれば含み損解消が可能になるのです。

5-2. 大きな利益が期待できる

ナンピン買いでは同じ通貨ペアを買い増すことによって、当初よりも多くのポジションを持てます。多くのポジションを保有することで、決済の際も大きな利益を得ることが可能です。

以下で確認してみましょう。
※手数料などは考慮していません。

例1. 米ドル/円:150円で1万通貨購入。その後、ナンピンの利用なし

例1の場合、購入後、米ドル/円が151円になると、利益が1万円出ます。しかし、150円以下の場合は利益が出ません。


例2. 米ドル/円:150円で1万通貨購入。その後、米ドル/円:140円の時点でナンピンを行い、1万通貨追加購入

例2では、ナンピンを行ったため平均取得単価が145円になりました。さらに2万通貨保有しています。この状態で、米ドル/円が147円になった場合、利益が4万円出ます。ナンピンのおかげで平均取得単価が下がるだけではなく、利益も大きくなるのです。

6. FXのナンピンのデメリット・リスク

FXのナンピンには以下のようなデメリット・リスクがあることも把握しておきましょう。

  • 損失が拡大する可能性がある
  • 強制ロスカットの可能性が高まる
  • 精神的なストレスを感じてしまう場合がある

6-1. 損失が拡大する可能性がある

ナンピン買いを行うと、平均購入単価を下げることができ、さらに保有ポジション数も増えるため、少し値動きが逆転するだけでも大きな利益が出る可能性があります。しかし、相場が戻らなかった場合、初めに買ったものをそのままにしておくよりも多くの損失が発生するというデメリットがある点を忘れないようにしましょう。

ナンピンの際は、「なぜ今ナンピンをした方がいいのか」を理解した上で取引してください。相場が逆転する見込みもないまま「とりあえず値下がりしたから追加で買う」という行為は絶対に避けるようにしましょう。

6-2. 強制ロスカットの可能性が高まる

FXはレバレッジを効かせた取引ができるため、証拠金の最大25倍までの取引ができるという特徴があります。例えば、レバレッジ25倍で米ドル/円が150円の時、1万通貨購入する際の必要証拠金は「150円×1万通貨÷25」で6万円です。

また、証拠金は取引中、一定水準以上を保有しておく必要があります。一定水準に至っているかを判定するためには証拠金維持率を確認します。証拠金維持率は以下の式で計算してください。

証拠金維持率(%)= 資産評価額 ÷ 取引必要証拠金 × 100

資産評価額が10万円、取引必要証拠金が6万円の場合、証拠金維持率は次の通りです。

10万円÷6万円×100=約166%

SBI FXトレードでは、証拠金維持率が50%を切るとロスカットが発動され、自動的に強制決済が行われます。

ナンピンでポジションを追加しても、価格が戻らなかったり予想とは逆の方向にいくと「証拠金維持率」が下がり、強制的に決済が行われる「強制ロスカット」の可能性が高くなるため注意してください。

6-3. 精神的なストレスを感じてしまう場合がある

ナンピンは相場が自分の予想通りに戻ることを想定して行う手法です。もし、想定が外れて相場が戻らない場合は損失が解消されません。人によっては心理的負荷が大きくなる恐れがあります。

精神的なストレスをなるべく避けたいという方にはナンピンが向かないこともあります。行う際は慎重に検討しましょう。

7. FXにおいて初心者にナンピンはおすすめできる?

ここまで、FXのナンピンのメリット・デメリットをご紹介しましたが、FXを始めたばかりの初心者には、あまりおすすめできる手法ではありません。その理由は、相場の逆行が続いた場合、損失が拡大するためです。

繰り返しになりますが、ナンピンは相場が予想と逆の方向に行った際に、戻ることを想定して行う手法です。相場が戻らずに逆の方向に進み続ける場合、損失が拡大する可能性が高くなります。FX取引の経験が浅い方や相場を読む自信がない方はナンピンを避けた方が良いでしょう。

もし、相場の動きに一喜一憂しないでFXを続けたいというのであれば、先にご紹介した長期積立投資での「ドルコスト平均法」を検討してみてはいかがでしょうか。

8. FXにおいてナンピンが向いている人の特徴

FX初心者にはナンピンは向いていないとお伝えしました。では、どのような方がナンピンに向いているのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

8-1. 資金管理などを徹底できる方

ナンピンを行ったとしても、必ず相場が予想した方向に戻るとは限りません。さらに、ナンピンをしたことで、強制ロスカットの可能性が高まる場合もあります。「証拠金維持率を常に把握できる」「追加で証拠金が必要ならばすぐに入れられる」など、資金管理などを徹底できる方が向いているといえるでしょう。証拠金維持率や強制ロスカットが何かをまだ理解できていない時点でナンピンに手を出すのは避けた方が無難です。

8-2. 十分な取引経験がある方

ナンピンは十分にFX取引経験がある方に向いています。自分なりの取引方法が確立している、FXの知識を十分に持っているというならばチャレンジしてみても良いでしょう。

また、ナンピンをした場合、値動きに合わせて次の手を打つためにも、今まで以上に相場の動きを細かに観察する必要があります。どのような動きになっても慌てず、自分が確立した戦略やルール通りに取引を続けられる方におすすめします。

8-3. 資金に余裕がある方

ナンピンを行いたいのであれば、資金に十分な余裕があるかも確認しておきましょう。ナンピンの利点は複数のポジションを持てる点です。資金が多いほど、多くのポジションを持つことができます。

とはいえ、むやみにポジションを増やし続けることはおすすめできません。資金の余裕も大事ですが、計画的に使うようにしましょう。また、資金があっても勝ち目のないナンピンは避けてください。戦略を立ててから実行しましょう。

9. FXにおいてナンピンを検討するタイミングの見極め方の例

ナンピンは、相場が予想と反対に動いている時に行うものです。しかし、「下落しているから買う」というものでもありません。タイミングを見極めて行ってください。

タイミングの見極め方はさまざまですが、代表的な方法として「価格が移動平均線からどれだけ乖離しているか」というものがあります。「移動平均線」とは、一定期間の価格の平均値を繋ぎ合わせ、折れ線グラフ化したものです。移動平均線からの乖離が大きい場合、価格が戻るケースが多くあります。

しかし、移動平均線を見るだけでは、ナンピンのタイミングは掴みにくいかもしれません。その際は「エンベロープ」というインジケーターを使って分析してみましょう。エンベロープとは、移動平均線を中心に上下に一定の幅を持たせた線のことです。価格がエンベロープの上側に接近した時が下落、下側に接近した時が上昇のサインとされています。

10. FXにおいてナンピンを効果的に使うためのポイント・注意点

FXをするにあたって、ナンピンを効果的に使うためのポイントや注意点を押さえておきましょう。

10-1. ルールを決めておき計画的なトレードを行う

ナンピンには、損失を出すリスクもあります。行う際はルールを決めておきましょう。例えば、「米ドル/円が〇円下落したらナンピンでポジションを追加する」「ナンピンを行うのは〇回まで」などです。

また、ナンピンに関するルールを決めたら、徹底して守ることも重要です。偶然、その時の取引で利益が出たとしても、最終的には損失が出る可能性が高くなります。気分に応じて取引スタイルを変えることは避けてください。

10-2. 損切りを行うラインを決めておく

ナンピンを行っても損失が出る場合もあります。その時に備え、損切りを行うラインをあらかじめ決めておきましょう。「この価格に至ったら損切りする」と、損切りのラインを決めることで、金銭的なリスクを抑えることができます。

10-3. 徹底した資金管理を行う

ナンピンを利用したFXを行いたい場合は、資金管理も重要になります。ナンピンは価格が予想と反対に動いた時にポジションを追加する手法です。そのため、事前にある程度の資金の準備はしておきましょう。また、ポジションの追加で、証拠金の追加や強制ロスカットのリスクが高まることも頭に入れておいてください。

ナンピン自体は何度でも行うことができます。ただし、無計画に行ってもリスクが高まるだけです。自分なりのルールを設け、根拠を持った取引を心がけましょう。

10-4. メジャーな通貨ペアを採用する

FXで場合によってはナンピンも使いたいというのであれば、メジャー通貨ペアを選ぶようにしましょう。メジャー通貨とは以下のようなものを指します。

  • 米ドル(USD)
  • ユーロ(EUR)
  • 円(JPY)
  • ポンド(GBP)
  • 豪ドル(AUD)
  • スイスフラン(CHF)
  • カナダドル(CAD)
  • ニュージーランドドル(NZD)

これらの中でも取引量が多いのは、米ドル・ユーロ・日本円です。

メジャー通貨は流通量が多く安定していることもあり、相場の変動がある程度読みやすいというメリットがあります。ナンピンのタイミングを見極めたいならば、メジャー通貨で取引するのがおすすめです。

10-5. 少額のナンピンから始める

これからナンピンにチャレンジしたい方は少額からスタートしましょう。少額であれば、リスクも低めに抑えられます。FXやナンピンの経験を積むのにも最適です。心理的な負担も軽減できます。

少額のナンピンにある程度慣れたところで、複数回のナンピンや高額のナンピンに挑戦してみてください。

11. FXのナンピンに関するQ&A

FXのナンピンについてよくある疑問とその回答を確認しておきましょう。

11-1. 無限ナンピンとは

無限ナンピンとは、ポジションの損益がゼロになるまでナンピンを続けることです。メリットとデメリットは以下の通りです。

無限ナンピンのメリット
  • 成功すれば損失を抑えることができる、もしくは利益を出すことができる
無限ナンピンのデメリット
  • ポジションをいくつも持つことになるため、損失が大きくなる可能性がある
  • 含み損を抱えて取引を繰り返すことになるため、精神的な負担が大きい
  • 資金が必要

無限ナンピンを行うと、損失を取り戻す可能性は高くなりますが、損失が大きくなる恐れもあります。さらに資金も必要になります。取引に慣れており、十分な資金が準備できる方に向いている手法といえるでしょう。

11-2. 初心者がナンピンをやるとどうなる?

ご紹介した通り、ナンピンは取引タイミングを見るのが難しい手法です。そのため、ある程度の取引経験がある方向けです。初心者が取引経験なしで無計画に行っても失敗する可能性が高いため、おすすめできません。

ナンピンを行いたいのであれば、まずはFXの経験を十分に積んでからにしましょう。

12. これからFXを始めるならSBI FXトレードがおすすめ!特徴は?

これからFXを始めるのであれば「SBI FXトレード」がおすすめです。その理由を4つご紹介します。

12-1. 豊富なペア数を用意

2025年5月現在、SBI FXトレードで取引できる通貨ペアは34種類です。米ドル、ユーロ、日本円といったメジャーな通貨だけでなく、ポーランドズロチやブラジルレアルといった日本ではあまりなじみのない通貨の取り扱いもあります。FXに慣れてきたら色々な通貨ペアで取引したいという方はぜひチェックしてください。

12-2. 各種手数料0円

SBI FXトレードでは以下の手数料が0円です。

  • 個人口座の開設
  • 法人口座の開設
  • 口座維持費用
  • 取引手数料
  • 出金手数料
  • ロスカット手数料など

コストを抑えて取引したいという方にはぴったりです。

12-3. 取引に役立つツールが充実

SBI FXトレードでは、FX初心者から上級者まで誰もが使いやすいツールが揃っています。

  • リッチクライアント版取引ソフト
  • Web版取引サイト
  • スマートフォン取引アプリ

これからFXを始めたい方だけでなく、ある程度取引に慣れており、さまざまなツールを使いながら取引したいという方にもおすすめです。

12-4. 業界最良水準のスワップポイント

スワップポイントとは、2ヵ国間の金利差調整分のことです。低金利の通貨を売り、高金利の通貨を買うと、日数分の金利差の利益が入ります。SBI FXトレードのスワップポイントは業界最良水準です。短期売買だけでなく、長期間保有して金利差の利益を得たいという方もぜひ検討してください。

13. FXのナンピンは経験を積んでから行おう!

FXのナンピンは、価格が予想と逆の方向に動いた場合に有効な手法です。同じ通貨ペアを追加で買い付けることで、平均取得単価を下げられます。結果的に、戻りがそれほどでなくても損失を防げるのです。

ただし、ナンピンはメリットばかりではありません。追加買付の時には費用がかかる、価格が戻らない場合は損失が大きくなる、というデメリットもあります。また、タイミングを見ながら取引をする必要があるため、FX初心者には難しい手法でもあります。

初心者のうちはナンピンを避け、経験を積んだ後に検討してみてはいかがでしょうか。また、これからFXを始める方はぜひ「SBI FXトレード」での口座開設をご検討ください。

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この記事を監修した人

SBIリクイディティ・マーケット株式会社
金融市場調査部長
上田眞理人

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