米ドル/円レート、今後の見通しを予想!特徴や取引のポイントを解説 | SBI FXトレード 

米ドル/円レート、今後の見通しを予想!
特徴や取引のポイントを解説

FX用語集

UPDATE 2024.12.26
POST 2024.12.26

米ドル/円レート、今後の見通しを予想!特徴や取引のポイントを解説

1. アメリカの基礎情報

アメリカ合衆国は、北アメリカ大陸に位置し、世界で3番目に広い国土(日本の約26倍)を有する多民族国家です。

首都はワシントンD.C.で言語は主に英語が使用されていますが、多様な文化が融合しているため一部地域ではスペイン語なども話されています。

アメリカは世界を代表する経済大国であり、政治、文化、技術革新においても世界をリードする存在です。経済においては、自由な競争が奨励され、様々な産業のイノベーションが生まれています。

アメリカの政治は、国民から直接選挙で選ばれ国政を率いる大統領制、50の州が独自の権限を持ちながら連邦政府と協力する連邦制、そして上院と下院からなる二院制議会によって支えられています。議会の上院議員は6年、下院議員は2年の任期で、法律制定、予算承認、大統領の任命承認など国の重要な決定に関わっています。

1-1. 米ドル(USD)ってどんな通貨?

米ドルは、国際間の取引で最も頻繁に使われる基軸通貨です。基軸通貨とは、他の通貨の価値を決める際の基準となる、国際的に最も信頼されている通貨を指します。

米ドルが基軸通貨として世界で広く利用されている理由は、アメリカ経済の安定性や世界各国からの信頼、そして高い流動性など様々な要因が複合的に作用しているためです。

米ドルは基本的に値動きが安定している通貨ですが、国内外の様々な情勢に影響を受けることがあります。

アメリカ国内では、中央銀行であるFRB(連邦準備制度理事会)が金利を上げると、米ドルへの投資の魅力が増し、米ドルが買われやすくなります。

また、世界のどこかで戦争やテロなどの地政学的なリスクが発生すると、安全な資産とみなされる米ドルに資金が流入し、米ドルが買われやすくなる「有事のドル買い」が進む傾向があります。

さらに、投資家心理により変動することもあり、景気の先行きに不安を感じると「リスクオフ」というリスク回避の動きが強まり、より安全な米ドルに資金が流入しやすくなります。

1-2. FX取引における米ドル/円の特徴

米ドル/円の特徴として、取引量が多く、常に多くの売買注文が出ていることや、流動性が高いためスプレッドが狭いことなどが挙げられます。スプレッドとは、売値(Bid)と買値(Ask)の価格差のことで、価格差が狭い方が売買を行う際に発生するコストが低くなるため、投資家にとって有利です。

ちなみに、日本時間の21時~6時の取引のことを「ニューヨーク外国為替市場」といいますが、これは実際の取引場所を指しているのではなく、この時間帯にアメリカの市場参加者が中心になって取引が活発化するため、FX相場が大きく動きやすいことを意味します。

また、午前9時55分には、金融機関が顧客との外国為替取引で使用する為替レートの基準となる「仲値」が決まります。

この時間帯は、円安ドル高が進みやすく、取引が集中して値動きが活発になる傾向にあります。値動きの変動幅を示す指標を「ボラティリティ」と言いますが、ボラティリティが高いと為替の変動が大きく、値幅を取りやすいことから短時間で大きな利益を生む可能性が高くなります。投資家にとっては、魅力的な時間帯と言えるでしょう。

さらに、毎月5日と10日のように5の倍数の日にち「ゴトー日」は、日本の輸入企業による決済が増加する傾向があります。海外への支払いのためにドルが多く買われるため、円安ドル高に動きやすいのが特徴です。

2. 米ドルが上昇する要因とは?

米ドルが上昇する要因として、一般的に以下のような要因が挙げられます。

2-1. 紛争やテロなどの地政学リスクの高まり

米ドルが上昇する要因の一つに、地政学リスクの高まりが挙げられます。地政学リスクとは、国家間の政治的な対立、紛争、テロなどの出来事が国際社会や経済に与える不安定な状況を指し、これらは、国際貿易の停滞、投資の減少、金融市場に不安定化などの影響を及ぼす可能性があります。

地政学リスクが高まると、投資家はリスク回避の行動を取ることが一般的です。そのため、安全資産である米ドルへの需要が高まり、その結果、米ドルが上昇する傾向があります。

2-2. 政府要人の発言や選挙などの政治的な関与

大統領や金融政策を担うFRB(米連邦準備制度理事会)の議長など、政府要人の発言によっても米ドルが上昇する可能性があります。

特に、財政出動や金融政策の変更は米ドルの価値に直接的な影響を与えるため、注意が必要です。財政出動とは、政府が景気刺激策として財政資金を公共事業などに投資して民間消費を促進する政策を指します。

また、大統領選挙も無視できない要素です。大統領選挙の年と就任後の翌年には、円安ドル高の傾向が見られることがあります。

2-3. 金融市場の予測を上回る経済指標の発表

経済指標は、国の景気を分析するため定期的に発表されますが、経済指標が金融市場の予測を上回る良好な結果を示すと、経済成長への期待が高まり、米国への投資が活性化し、米ドル買いへと動きが強まります。

経済指標には、雇用統計やGDP、消費者物価指数など様々あります。これらの指標は、一国の経済状況を把握するための重要なバロメーターです。詳細については、後ほど詳しく解説します。

2-4. 経常収支の改善や市場金利の上昇

ほかにも、米ドルが上昇する要因として、アメリカの経常収支の改善や市場金利の上昇などが挙げられます。

経常収支の改善は、米国の経済力や国際競争力が高まっていることを示唆し、投資家にとって魅力的な投資先としての評価を高めます。その結果、米ドルへの投資が増加し、通貨価値も向上します。

また、市場金利の上昇により、高利回りを期待できる米ドル建て資産への投資が増加し、米ドルの上昇が見込まれます。さらに、米国株の上昇も米国経済の好調を反映しており、米ドルの価値向上につながる要因の一つと考えられます。

3. 米ドルが下落する要因とは?

今度は反対に、米ドルが下落する要因についても把握しておきましょう。

3-1. 地政学リスクや投資家の金融不安の後退

地政学リスクや金融不安が緩和すると、投資家は安全資産である米ドルから、より高リターンが期待できるリスク資産(新興国通貨など)へと資金をシフトさせようとするため、米ドルが売られて下落しやすいという状況が生まれます。

例えば、イスラエルとイランの対立の沈静化など社会情勢が改善すると、投資家のリスク許容度が高まり、米ドルから資金が流出することも考えられるでしょう。

3-2. 政治危機や政権交代など政治リスクの高まり

アメリカの政治情勢は、通貨の価値に大きな影響を与えます。政治危機や政権交代などは、投資家心理を悪化させ、米ドルへの投資が敬遠され、下落しやすくなります。

3-3. FRB(連邦準備制度理事会)による利下げの決行

FRB(連邦準備制度理事会)が金融緩和政策の一環として利下げを行うと、米ドルが下落しやすくなります。

FRBが金利の引き下げ、あるいはその可能性を示唆する発言を行うだけでも、投資家は米ドルを売り、より高い金利を提供している他の通貨(例えばメキシコペソやトルコリラなど)に資金を移す傾向が強まります。その結果、ドル売りが進み、米ドルの価値が下がるのです。

3-4. 米国経済の先行き不透明感の高まり

アメリカ経済を不安視する投資家が増えると、米国株式市場の下落が進み、それに伴い米ドルも下落する傾向があります。

例えば、GDP成長率、雇用統計など主要経済指標が市場の予想を下回ると、経済の減速が懸念され、投資家心理は悪化し、景気後退への警戒感が強まります。その結果、リスク回避の動きが加速し、米国株が売られ、米ドルも下落することが考えられます。さらに、米利下げ観測が加わると、米ドル売りが一層進むこともあります。

4. 重要度が高いアメリカの主要な経済指標

ここでは、アメリカの主要な経済指標を紹介します。

4-1. 米国雇用統計

米国雇用統計は、アメリカの雇用情勢を示す統計で、景気状況を探る上で最も重要な経済指標のひとつです。毎月第1金曜日に米国労働省から発表されます。

この統計では、特に失業率や非農業部門雇用者数といった数値が注目されます。雇用は経済活動の基礎であり、米国の経済がどの程度活発に活動しているか、そして将来の経済成長がどの程度期待できるかを示す重要なバロメーターです。これらのデータはFRB(米連邦準備制度理事会)の政策決定に大きな影響を与えます。

4-2. FOMCの議事録・声明

FOMC(米連邦公開市場委員会)とは、FRB(米連邦準備制度理事会)が開催する会合で、米国の金融政策の決定機関です。年8回開催され、米国の経済状況やインフレ動向などを分析し、政策金利の目標を決定します。

FOMCの会合終了直後に発表される声明文は、市場への影響が大きく、発表直後に株式市場や為替市場が大きく動くこともあります。米国の経済だけでなく、世界全体の金融市場にも大きな影響を与えるため、市場参加者から注目されています。

4-3. CPI(消費者物価指数)

CPI(消費者物価指数)は、アメリカ都市部の消費者が日常的に購入する商品やサービス価格の平均的な変動を測る経済指標です。CPIが上昇すれば、物価の上昇に伴い消費者の実質的な購買力が低下し、インフレが進行していることを示します。

CPIは米労働省が毎月中旬に公表する経済指標で、政府や中央銀行が金融政策を決定する上で重要な要素となります。インフレ率が高すぎる場合は、金融引き締め政策が採られる可能性があります。

4-4. PCE(個人消費支出)

PCE(個人消費支出)は、米国の家計が一定期間に消費した財やサービスの総額を示す経済指標であり、米国の商務省経済分析局が発表しています。PCEはGDP(国内総生産)の約7割を占めることから、GDPの動きや消費トレンドを把握する上で重要な経済指標です。

CPIは都市部における家計の消費を対象とするのに対し、PCEは国民全体の家計消費を反映します。また、PCEの名目値を物価変動の影響を除いた実質値で割って算出されるPCEデフレーターは、FOMC(米連邦公開市場委員会)でも特に重要視されている経済指標です。

4-5. GDP(国内総生産)

GDP(Gross Domestic Product・国内総生産)は、国で一定期間(通常は1年間)に新たに生産された財やサービスの付加価値の合計額を指します。その国の経済規模を示す重要な経済指標で、GDPが大きく伸びれば経済が活発化していると言えます。

物価変動の影響を含めたGDPの額は「名目GDP」、名目GDPから物価変動の影響を除いたGDPの額が「実質GDP」で、経済成長率を測る際には実質GDPが用いられます。GDPデータは、アメリカ国内の景気だけでなく、他国との比較にも役立ちます。

4-6. ISM製造業景気指数

ISM製造業景気指数は、米国の製造業の景況感を示す経済指標です。製造業の購買担当者約350人を対象に、新規受注、生産、雇用、在庫、納期などに関するアンケート調査を行い、その結果を指数化してISM(Institute for Supply Management・全米供給管理協会)が毎月発表しています。

景気変動を先取りするため非常に注目されている経済指標です。ISM指数が50%を上回る場合は経済全体が拡大する可能性が高く、逆に50%を下回れば景気後退の兆候と捉えられています。

4-7. 小売売上高

小売売上高とは、百貨店やスーパーなどの小売業者が1ヶ月に販売した商品の総額を指します。つまり、消費者が実際に商品を購入した金額の合計であり、国民の消費行動を直接的に反映する経済指標です。

アメリカでは、GDP(国内総生産)の約7割を個人消費が占めているため、小売売上高はGDPの動向を予測する上で重要な経済指標となります。小売売上高が大きく伸びれば、GDPも増加する可能性が高く、逆に減少すれば、景気後退の兆候と捉えられます。

4-8. 住宅着工件数

住宅着工件数は、アメリカ国内でその月に新たに建設された住宅の数を示す数値で、アメリカ商務省が毎月発表している経済指標です。

住宅建設は、建築材料や家電製品など様々な産業に波及効果をもたらすため、経済全体の景気動向を予測する上で重要な経済指標となります。住宅着工件数が増加すると関連産業の生産活動が活発化し雇用も増加するため、経済全体の景気が上向く兆候と捉えられます。

5. FX初心者ならSBI FXトレードがおすすめ

米ドル/円は、投資家にとって魅力的な通貨ペアであるものの、世界経済の動向や各国の金融政策に大きく左右されます。常に最新の情報をチェックし、自分に合った投資戦略を立てることが重要です。

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この記事を監修した人

SBIリクイディティ・マーケット株式会社
金融市場調査部長
上田眞理人

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