FXにおける損切りとは?タイミングの見極めや注意点を解説 | SBI FXトレード

FXにおける損切りとは?タイミングの見極めや注意点を解説

FX用語集

UPDATE 2025.09.17
POST 2025.09.17

FXにおける損切りとは?タイミングの見極めや注意点を解説

1. FXにおける損切りの基本

FXにおいて長期的かつ安定した利益を出すには、損切りへの理解と活用が欠かせません。FXでは、相場が常に予想通りに動くとは限らず、適切な損切りができなかったことで、大きな損失につながることもあるでしょう。ここでは、損切りの基本的な意味に加えて、「ロスカット」や「ストップロス」との違いについても解説します。

1-1 損切りとは?

FXの「損切り」とは、保有しているポジションの損失を確定させる行為です。FXの相場は常に変動しており、思惑通りに動かないことも少なくありません。そこで重要になるのが、損切りによってリスクを最小限に抑えるという考え方です。利益を狙うことも大切ではあるものの、それ以上に「損失をどれだけ小さくできるか」が成功の鍵になります。

特に初心者は、含み損を抱えたまま「そのうち戻るだろう」と判断を先延ばしにしがちです。しかし、この考え方は非常に危険です。市場の流れが想定と逆行し続けると、損失は拡大し続けることになります。その結果、一度の取引で大きな損失を出し、資産を一気に失う可能性があるでしょう。適切なタイミングでの損切りは、FXにおけるリスク管理の基本であり、長期的に安定した利益を目指すために欠かせません。

1-2 損切りとロスカットの違い

「損切り」と「ロスカット」は、どちらも損失を確定させる行為ではあるものの、実行者とタイミングに違いがあります。損切りは、トレーダー自身の判断で相場の流れを見ながら早めにポジションを決済し、損失を最小限に抑えるための行為です。一方で、ロスカットはあらかじめ決められた損失ラインに達した際に、FX会社が強制的にポジションを決済する仕組みです。

損切りは、自発的な判断によるリスク管理であるのに対し、ロスカットは強制的な安全装置ともいえます。ロスカットに頼りすぎると、想定外の大きな損失が確定してしまう可能性もあるため、トレーダー自身が損切りラインを明確に決めて取引することが望ましいでしょう。

FXで資産を守るためには、ロスカットが発動する前に、自分のルールに基づいた適切な損切りを行うことが大切です。リスク管理能力は、FXで生き残るための重要なスキルといえます。

1-3 損切りとストップロスの違い

「損切り」は一般的に、相場の動きに応じてトレーダーが自ら判断し、ポジションを決済して損失を確定させる行為を指します。

一方で、「ストップロス」はあらかじめ設定しておいた価格に達すると、自動的に損切りが実行される仕組みです。仕事中など相場を常時チェックできない方にとっては、相場の急変に備える手段として有効でしょう。多くのFX会社は、ストップロス注文(逆指値注文)に対応しており、事前に設定すればルール通りの損切りが可能です。

つまり、損切りは損失を確定させる行為のことで、ストップロスは損切りをするための仕組みの一つということです。

2. ナンピンとドルコスト平均法の違い

FXで安定した利益を出し続けるためには、「損切りのタイミング」が極めて重要です。相場が想定とは逆に動いたときに、損切りのタイミングを誤ると、資産を大きく減らしてしまうこともあります。そのため、事前にルールを決めておくことが成功の鍵です。損切りのタイミングを見極めるには、主に「損失額」「値幅(pips)」「テクニカル分析」などの指標を使って判断する方法があります。それぞれの方法について解説していきます。

2-1 損失額で見極める

損失額で損切りのタイミングを見極める方法は、シンプルかつ実践しやすい戦略です。具体的には、「1回のトレードで1万円まで損失が出たら損切りする」といった金額に基づいたルールが挙げられます。また、「資産全体の〇%までの損失で決済する」といった、割合に基づいた損切りのルールも有効です。

こうしたルールを設けることで、感情に流されることなく、冷静な判断で損切りができるようになります。損失額や割合を損切りの基準に設定すると、リスクを可視化できるため、初心者でも実践しやすいといえるでしょう。

重要なのは、事前に「この程度の損失なら受け入れられる」というラインを明確にしておくことです。投資資金に対して無理のない損失額や割合を設定し、ルールに基づいた損切りを徹底することが、長期的な資産形成につながります。

2-2 値幅(pipsなど)で見極める

値幅(pips)で損切りのタイミングを決める方法も、FXにおける戦略のひとつです。たとえば、エントリーした為替レートから一定の値幅(pips)だけ逆行した際に、損切りするなどです。具体的には、新規に買いポジションを持った場合、損切りのタイミングを「10pips下がったら損切りする」と決め、逆指値注文を入れる方法があります。

この方法は、為替相場のボラティリティ(変動幅)を考慮してルールを設定できるのがメリットです。値動きが激しい通貨ペアは「広めの幅」を設定し、値動きが穏やかな通貨ペアは「狭めの幅」を設定するといった調整が行えます。

また、値幅(pips)を使うことで、相場の動きに基づいた損切りの基準を設けることが可能です。自分のトレードスタイルや通貨ペアの特徴に応じて、適切な損切り値幅を見極めることが成功の鍵となります。

2-3 テクニカル分析(チャート)で見極める

テクニカル分析(チャート)を使って損切りのタイミングを判断する方法は、より高度な戦略のひとつです。チャート上に表示される移動平均線やボリンジャーバンドなどのテクニカル指標をもとに、「このラインを下回ったら損切りする」などのルールを決めます。

たとえば、上昇トレンド中にエントリーしたとしましょう。その後、移動平均線を明確に割り込んだ時点で「上昇の勢いが失われた」と判断し、ルールに則り損切りを行います。移動平均線やボリンジャーバンドを活用するトレーダーは多く、相場の流れを視覚的に捉えやすいのが、この方法の特徴です。

ただし、テクニカル分析には「だまし」が発生することもあります。たとえば、一時的にラインを割り込んでもすぐに反発するケースもあるため、他の指標と併用することで精度を高める工夫が必要です。

3. 損切りを確定する注文方法

損切りを確実に実行するには、「自動的に損失を確定させる仕組み」を整えておくことが大切です。感情に左右されて損切りのタイミングを逃してしまうと、損失が拡大してしまう恐れがあります。そこで役立つのが、ストップ注文(逆指値注文)やOCO注文などの注文方法です。

これらの注文方法を活用すれば、あらかじめ設定した損切りポイントで自動的にポジションを決済してくれるため、冷静なトレードとリスク管理ができます。そこで、主な注文方法と特徴を解説していきます。

3-1 ストップ注文(逆指値注文)

ストップ注文(逆指値注文)とは、ある価格に達したときに発動される注文方法です。主に、損切りのために利用され、相場が一定のラインを下回った(または上回った)場合にポジションを自動的に決済します。

たとえば、150円で買った米ドル/円に対して、「149円まで下がったら売る」という逆指値注文を出したとしましょう。その後、価格が149円まで下がれば、自動的に損切りが実行されます。

最大のメリットは、感情に左右されずに損切りができることです。相場が下落しているなかで「もう少し待てば戻るかもしれない」と判断を迷うと、損失が拡大するリスクが高まります。しかし、逆指値注文を事前に設定しておけば、感情を排除して損失を限定できます。

また、急な相場の変動にも対応できるため、頻繁に相場を確認できない方にもおすすめです。逆指値注文の活用は、FXにおけるリスク管理の基本であり、損切りをする際に役立ちます。

3-2 OCO注文

OCO(One Cancels the Other)注文とは、「指値注文」と「逆指値注文」の2つを同時に出し、どちらか一方の注文が成立後、もう一方が自動でキャンセルされる仕組みの注文方法です。OCO注文を使うことで、利益確定と損切りの両方をあらかじめ設定できます。

たとえば、150円で買った米ドル/円を決済する場合に、「151円で利益確定・149円で損切り」といった注文が可能です。

このように、「相場が上昇すれば利益確定」「下落すれば損切り」となります。自動的にどちらかの注文が実行されるため、機会損失や過剰な損失を防ぎやすいです。

OCO注文は、トレードにおける出口戦略を明確にできる点で有効です。とくに、相場を頻繁にチェックできない方にとって、損切りと利確の両方を機械的に実行する手段として重宝されます。

3-3 IFD注文

IFD注文(イフダン注文)は、「新規注文」と「決済注文」をセットで出す注文方法です。ポジションを持っていない状態からトレードを開始する際に使われ、新規注文が成立すると、あらかじめ設定しておいた決済注文が自動的に発注されます。

たとえば、米ドル/円が150.5円の場合に、「150円になったら新規で買い」「149円まで下がったら損切り」といった一連の注文を同時に出すことが可能です。

このように、エントリーと同時に損切りラインも設定することで、取引の計画性や自由度が高まるうえに、リスク管理も徹底できます。

IFD注文(イフダン注文)は、相場を頻繁に見る時間が少ないトレーダーや、エントリーポイントを戦略的に決めたい方に向いています。感情に左右されない損切りを実現する手段として有効で、FX初心者にもおすすめの注文方法です。

3-4 IFDOCO注文

IFDOCO注文は、「IFD注文」と「OCO注文」を組み合わせた高度な注文方法です。新規注文に加えて、利益確定および損切りを同時に設定できる高度な注文方式といえます。エントリーから利確や損切りまで、一連の取引を自動化できるのが最大の特徴です。

たとえば、現在の米ドル/円が149円だったとしましょう。150円で新規に買い注文(IFD注文)を設定した場合、約定後に「151.5円になったら利益確定」「148.5円になったら損切り(OCO注文)」といった決済ができます。

相場が予想通りに動けば利益が得られ、逆に動けば自動で損切りが行われるため、感情に左右されない安定した取引が可能になります。

IFDOCO注文は、新規注文から決済(利確または損切り)までを一度の設定で自動化できるため、忙しいトレーダーやスイングトレードをする際におすすめです。計画的にトレードをして、損切りを自動化したい方にとって、強力な武器になる注文方法といえるでしょう。

4. 損切りする際の注意点

闇雲に損切りをしても、FXのトレードは上達しません。大切なのは、感情に左右されずに、自分で決めたルールのもと「適切な損切り」をすることです。

また、ナンピンや両建てといったリスク回避に見える戦略も、使い方を誤れば大きな損失に繋がります。ここでは、損切りを実行する際に特に注意すべき5つのポイントを紹介するので、ぜひトレードに役立ててみてください。

4-1 適切な損切りを心がける

損切りは、早く対応すればするほど損失を小さく抑えられる反面、頻繁に繰り返すことで「損切り貧乏」になるリスクも伴います。小さな損を積み重ねるあまり、結果的に資産が減るケースも少なくありません。

特に注意したいのは、冷静さを欠いているときの損切りです。冷静さを欠くと、本来耐えられる値動きにも損切りしてしまい、チャンスを逃す可能性があります。逆に、損切りを躊躇しながらポジションを持ち続ける状況も、リスクを高める恐れがあります。

重要なのは、事前に設定した明確な損切りルールに従い、感情を排して実行することです。損切りは損失を確定させる行為ではあるものの、同時に「次に生かすための戦略的撤退」でもあると捉えるようにしましょう。

4-2 安易なナンピンをしない

ナンピンとは、含み損が出ている状態で同じ通貨ペアをさらに買い増し(売り増し)、平均取得価格を下げる(上げる)手法です。相場が反転すれば大きな利益が出る一方で、下落(上昇)トレンドが続いた場合は、損失が膨らむリスクがあります。

特に、初心者は注意が必要です。相場の反転を正確に見極めることは経験者でも難しく、ナンピンを重ねるうちに資産を減らしてしまうことも少なくありません。

また、ナンピンは高いレバレッジで取引すると、証拠金維持率が低下し、ロスカットされやすくなります。ナンピンは高度なリスク管理とテクニカル分析の知識を必要とする手法であり、初心者が安易に取り組むべきではない戦略です。

初めから安易なナンピンに頼るのではなく、明確な損切りのルールを決めて取引をして、リスクを管理しつつ実践経験を積みましょう。

4-3 両建ては避ける

両建てとは、同じ通貨ペアで「買い」と「売り」のポジションを同時に持つことを指します。一見、損益を相殺できるように見えるでしょう。しかし、実際にはスプレッドやスワップポイントなどのコストが発生し、資金効率が悪くなるというデメリットがあります。

両建てをする背景には、損切りができずに迷う心理が働くことが多く、本質的には損失を先送りしているにすぎません。相場がどちらか一方向に大きく動いた際には、一方のポジションが大きな損失を抱えることになり、損切りのタイミングをさらに難しくしてしまいます。

初心者や中級者にとっては、両建ての運用は複雑です。結果的に、失敗するケースが多いため、基本的には避けるべき戦略といえます。損切りの必要がある場面では、潔くポジションを解消することが資産を守るうえで重要です。

4-4 自分で決めた損切りルールを守る

FX取引においては、「ルールを守ること」が重要なリスク管理の一つです。どれだけ優れた損切りルールを作っても、実行しなければ意味がありません。

損失が出たときに、「もう少しで戻るかもしれない」「今切ったらもったいない」と感じてしまうのは自然なことです。しかし、その迷いこそが損失拡大の原因となります。

トレーダーの中には、事前に定めた損切りラインを超えたにもかかわらず、ルールを破ってポジションを持ち続けた結果、大きな損失を被る方もいます。

自分で作ったルールは、自分自身が最も守らなければならない「資産防衛のルール」です。トレードごとに反省点を見つけ、損切りのルールを洗練させていきましょう。

4-5 失敗を受け入れる

損切りをためらってしまう理由のひとつに、「自分の判断が間違っていたことを認めたくない」という心理があります。しかし、FXは確実性のない投資であり、熟練したトレーダーでも損失を完全に回避できません。

大切なのは、損失が出たときに「失敗」として受け入れ、次の取引にどう活かすかを考える姿勢です。負けを認めることは悔しいかもしれませんが、その潔さが結果的にトレードの質を向上させます。

損切りは、「リスクを最小限に抑えるための戦略的撤退」です。冷静に失敗を認めることができれば、感情的な判断に流されず、より客観的なトレードができるようになります。継続的にFXで利益を上げたいのであれば、損切りを「学びのきっかけ」として捉えることが大切です。

5. 損切りできない理由

FX取引において、損切りは重要なリスク管理の手法にも関わらず、多くの初心者トレーダーが損切りをためらいます。損切りができない主な理由は、「損失を認めたくない心理」や「根拠のない期待感」です。これらの心理や期待感は、適切なリスク管理の妨げになり、損失を拡大させるリスクを高めます。損切りできない原因を正しく理解し、あらかじめルールを定めておくことが、長期的に安定したトレードにつながります。そこで損切りできない理由を解説するので、参考にしてみてください。

5-1 損失を認める抵抗感がある

FXで損切りができない理由の一つは、「損失を認めることへの心理的な抵抗」です。誰もが利益を出したくて取引を行っているため、「損失を確定する=失敗」と感じてしまいがちです。しかし、FXは確率と戦略に基づく投資であり、すべてのトレードで勝つことは不可能といえます。

とくに、初心者は「まだ上がるかもしれない」「ここで取引を終えたらもったいない」という希望的観測にとらわれやすいといえるでしょう。損切りとは、単なる損失確定ではなく「次のチャンスに備えて資金を守る行動」です。

経験を積んだトレーダーほど、機械的に損切りをする傾向があります。FXで長期的に生き残るためには感情的な取引を避け、事前に定めた損切りルールを冷静に実行することが欠かせません。損切りは恥ずかしいことではなく、リスク管理の要であると考えましょう。

5-2 根拠なく値が戻ると思いがちになる

トレーダーが損切りをためらうもう一つの要因は、「相場はいずれ元に戻るはず」という根拠のない期待感です。とくに、含み損を抱えても反発して利益が出た経験があると、その成功体験によって冷静な判断がしづらいです。

しかし、相場は不確実性に満ちており、一方向に大きく動くトレンドが続くことも珍しくありません。結果として、損失が大きくなるケースもあります。このような「戻るだろう」という思い込みは、トレードの大敵といえます。損切りは「負けを認めること」ではなく、「資金を守るための計画的撤退」であるという意識が大切です。

とくに、初心者は感情に流されやすいため、事前にテクニカル分析を活用し、損切りポイントを明確に設定しましょう。分析とルールに基づいた損切りをすれば、損失拡大のリスクを抑えられます。

6. 損切りしないとどうなる?

FX取引で損切りをせずにポジションを持ち続けてしまうと、結果として大きな損失を抱えるリスクが高まります。しかし、多くのトレーダーが感情に左右され、「もう少しで戻るかもしれない」と判断を先延ばしにしてしまうことが多いのも事実です。その結果、損失が拡大し、最悪の場合はロスカットによって強制的に取引が終了してしまうこともあります。損切りを怠ることのリスクを理解し、計画的に行動することが重要です。損切りをしないとどうなるのかを、具体的に解説していきます。

6-1 損失が増えてしまう可能性がある

FXで損切りをしないままポジションを保有し続けると、損失が予想以上に膨らんでしまうリスクがあります。相場は常に変動しており、自分の思惑と反対方向に大きく動くことも珍しくありません。

たとえば、為替レートが一時的に下がっただけと考えて損切りを見送ったとしましょう。しかし、結果的に下落トレンドへ突入し、含み損がどんどん拡大していくというケースもあります。このように損切りをしなかったことでロスカットされると、資産の大半を失う恐れがあるため、自身でルールを明確に定めて実行していくことで、大きな損失を避けることが可能です。

6-2 冷静な判断ができなくなる

損切りを先延ばしにすると、精神的なストレスが増し、冷静な判断力を失ってしまうことがあります。含み損が増え続ける状況では、「取り戻したい」「あと少しで反転するかも」といった焦りや期待が入り混じり、論理的なトレードが困難になります。

その結果、本来のルールを無視して、過度なレバレッジをかけたり、取引量を増やしたりするなどの無謀な行動に出やすくなるでしょう。このような状態に陥ってしまうと、精神的なストレスも大きくなり、トレードそのものが苦痛に感じられるようになります。一時的に利益を出せることはあるものの、長期的に見れば大きな損失につながる可能性があるでしょう。

冷静な判断力を保つためには、損切りのルールを明確に決め、それを感情に左右されずに実行することが大切です。FXで成功するためには、利益を追い求めるよりも、まず損失を最小限に抑える意識を持つことが最優先といえます。

7. 損切りできない心理とは?

FXにおいて損切りの重要性は理解していても、いざ実行するとなるとためらってしまう方は少なくありません。その背景には、単なる技術的な問題だけでなく、人間特有の心理が深く関係しています。多くのトレーダーは、取引で損失を出すことに強い抵抗感を抱き、感情に左右された判断をしてしまいがちです。このような心理的バイアスを理解し、感情的な取引を防ぐことが、安定したFX運用につながるでしょう。ここでは、損切りができない代表的な心理的要因を解説します。

7-1 費用と時間をかけると惜しむ気持ちが増す

FXで損切りができない理由のひとつに、「サンクコスト効果(埋没費用効果)」があります。サンクコスト効果とは、費やしたお金や時間、労力をもったいなく感じるあまり、判断が間違っていたと分かっていても損切りをためらってしまう心理現象です。

たとえば、ある通貨ペアに長時間の分析を行い、多くの資金を投入してエントリーしていたとしましょう。エントリー後に損切りが必要な状況になった場合でも、「これまでの努力が無駄になる」と感じ、損失を確定する決断が鈍ってしまうことがあります。

しかし、FXでは「どれだけ頑張ったか」より、「今後どうなるか」のほうが重要です。サンクコストにとらわれず、今後の損失リスクを冷静に判断するようにしましょう。適切なタイミングで損切りをすることが、大切な資産を守るポイントです。

7-2 得するうれしさより損した時の痛みが大きい

もうひとつの代表的な心理的要因は、「プロスペクト理論(損失回避理論)」です。プロスペクト理論は、同じ金額でも「得をした喜び」より「損をした痛み」のほうが強く感じられるという、人間の心理傾向を表しています。

たとえば、「1万円の利益が出たときの嬉しさよりも、1万円の損失を出したときのショックのほうが大きく感じる」といった場合です。このため、多くのトレーダーは損失を確定させる損切りを本能的に避けようとします。

この心理が働くと、含み損の状態でも「まだ損失が確定していないから大丈夫」と無意識に思い込み、損切りの判断を先送りしてしまいがちです。FXで生き残るためには、このような心理的バイアスに気づき、冷静に対処する必要があります。損切りは「負け」ではなく、「損失を最小限に抑えるための戦略的な判断」であるという意識を持つことが重要です。

8. 損切りがうまくいかない時のコツ

FXにおいて、損切りはトレーダーの資金を守るための重要な戦略です。しかし、損切りをうまくできず損失が積み重なることもあります。原因は、ルールの曖昧さや感情による判断ミス、戦略の不一致などです。損切りがうまくいかないと感じたら、闇雲にトレードをするのではなく、原因を明確にして改善することが重要です。ここでは、損切りがうまくいかない場合の具体的なコツを紹介します。

8-1 損切りのルールを見直す

損切りがうまくできないと感じたら、まず取り組むべきは「損切りルールの見直し」です。損切りの幅が広すぎれば大きな損失につながり、狭すぎると小さな値動きでも頻繁に損切りされ、資産が減ります。このような「損切り貧乏」に陥らないため、ルールが相場に合っているかを定期的に確認しましょう。

また、エントリーポイントが曖昧だと、そもそも損切り設定が適切に機能しません。たとえば、感覚的に取引を始めている場合、どこで損切りすべきかが明確でなく、結果的に損失を引き延ばしてしまうケースが多くなります。

改善するためには、過去の取引を振り返り、どの場面で損切りが遅れたのか、あるいは早すぎたのかを分析することが有効です。損切りのルールは一度作ったら終わりではなく、相場環境や自身のスキルに応じて見直していくことが重要です。

8-2 逆指値注文をする

損切りのルールを決めた後は、自動的に決済してくれる逆指値注文を活用しましょう。損切りがうまくいかない要因の多くは、感情に流されて判断がぶれてしまうことにあります。根拠のない希望的観測に頼ったり、損失を恐れる心理が働いたりすると、適切なタイミングでの損切りができません。

一方、逆指値注文を活用することで、自分のトレードルールに基づいて一定の損失が出たときに、感情に左右されることなくポジションを手放せるようになります。また、毎回のトレードで「どこで損切りするか」を明確にしておけば、後から判断に迷うこともなくなり、安定した取引につながるでしょう。

8-3 利益を狙いすぎない

利益を狙いすぎる気持ちが強すぎると、うまく損切りができない可能性があります。損切りに迷う背景には「一度に大きく稼ぎたい」という過剰な欲があることがあり、冷静な判断を失いやすくなるでしょう。大きな利益を狙ってリスクの高いポジションを持てば、思惑が外れたときに損切りが遅れ、結果的に資金を大きく失うリスクが高まります。

損切りは「損を確定する行為」としてネガティブに捉えられがちです。しかし、上級者であっても、損切りを行うことは避けて通れない基本戦略の一つです。むしろ、損切りを適切に行うことで損失を最小限に抑え、次のチャンスにつなげることができます。

利益を狙いすぎず、「損切りありき」でトレードを計画することが、安定した資産形成への近道です。FXでは、勝つことよりも「負けをいかに小さく抑えるか」という意識が、相場で生き残るための武器になります。

9. 損切りのタイミングを見極めて損失を抑えよう

FX取引において損切りは、損失の拡大を防ぐために欠かせない重要な手法です。感情に左右されず、あらかじめ決めたルールに従って損切りをすれば、冷静な判断ができます。損切りタイミングの見極め方や注文方法などをしっかりと理解し、適切な損切りで大きな損失を未然に防ぎましょう。適切な損切りを実践するには、整った取引環境も重要です。

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この記事を監修した人

SBIリクイディティ・マーケット株式会社
金融市場調査部長
上田眞理人

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