香港ドルと日本円の為替レートは?今後の予想も解説 | SBI FXトレード

香港ドルと日本円の為替レートは?今後の予想も解説

FX用語集

UPDATE 2025.08.26
POST 2025.08.26

香港ドルと日本円の為替レートは?今後の予想も解説

1. 香港ドルと日本円の為替レート予測と過去の振り返り

1983年当時の香港は、中国返還(1997年)への不安、政治的な緊張と投機的な売りが重なった香港ドルの急落、通貨価値の不安定性により物価が乱高下し、企業活動や生活コストにも悪影響が出ていた等、深刻な通貨不安と投資家の信頼低下に直面していました。

これらの問題を解決するために、1983年10月、香港政府は為替レートを米ドルに連動させる制度(Linked Exchange Rate System)を導入しました。

香港ドル/円は、2011年に10円を割り込む水準となった後には持ち直し、2019年に起こった株価の瞬間急落や米中関係の悪化による下落がありつつも、2021年までは12円台から16円台で推移していました。

コロナショックにより2020年は厳しい状態が続きましたが、2021年になると中国や米国の景気回復の影響を受け徐々に回復しました。2024年以降は、米ドル高・円安が一層進んだことで香港ドル/円も上昇し、2025年8月現在、1香港ドル18円台で推移しています。

今後は、米ドル高の流れとなれば、香港ドルにも買いが集中し、堅調に高値を維持することが予想されます。中国企業の香港での上場ラッシュにより、レンジの上限付近を推移するとの見方もあります。

ただし、米国の経済が悪化すれば一転してドル安になり、香港ドルも下落する可能性があります。その点には十分に気をつけながら取引する必要があるでしょう。

2. 香港ドルとは?

香港ドルは主に香港で用いられる通貨で、民間銀行である香港上海銀行・スタンダードチャータード銀行・中国銀行の3行によって独自の紙幣が発行・運営されています。

1983年以降、香港ドルはドルペッグ制(固定相場制) を採用しています。これは、香港ドルの為替レートを米ドルに固定する制度です。さらに2005年には目標相場圏制度が導入され、為替レートは1米ドル=7.75〜7.85香港ドルの範囲内で変動するようになりました。つまり、米ドルの為替レートが上昇すれば香港ドルも連動して上昇し、米ドルが下落すれば、香港ドルも下落します。

※ドルペッグ制の仕組みについては、次項で詳しく説明します。

香港が政策的にドルペッグ制を維持していることで、いくつか注意すべきことがあります。

たとえば、どんなに香港や中国本土の経済が好調であっても、米国の経済が低迷していれば、その影響を受けて香港も利下げなどの金融政策を余儀なくされることになります。つまり、香港は独自の金融政策を取りにくいという制約があるのです。

さらに、中国政府が香港に対する統制を強めた場合、国際金融センターとしての香港の信頼性が揺らぎ、海外資金が流出するリスクも指摘されています。

このような要因を背景に、将来的に香港がドルペッグ制を維持するのは難しくなるのではないかという見方も出てきています。したがって、香港ドルでの取引を検討する際は、この制度の今後の行方や政治的・経済的動向にも注目する必要があります。

3. FXにおける香港ドルの特徴

FXにおける香港ドルの主な特徴は、以下の3つです。

  • 香港のドルペッグ制度
  • 中国との関係
  • 政治的影響

これらは為替相場にもかかわってくるため、香港ドルで取引を行う際はしっかりと理解しておきましょう。

以下、それぞれ詳しく解説します。

3-1.香港のドルペッグ制度

ドルペッグ制度の正式名は「Linked Exchange Rate System(聯繫匯率制度/連係匯率制度)」で、香港ドルへの信頼性維持、物価と為替の安定化、国際金融センターとしての地位維持を目的に、自国通貨の価値を米ドルに連動させ交換比率を一定にする制度です。したがって、香港の金融政策は、基本的に米国の中央銀行に相当するFRB(連邦準備制度理事会) の金融政策に沿って行われます。ドルペッグ制の連動性を保つためには、香港と米国、両方の金利の動きを揃えなければならないからです。

香港ドル/円で取引する際は、米ドルの為替相場と金利水準に連動していることに注目しながら進めるべきでしょう。

3-2.中国との関係

香港ドルは、中国とも密接にかかわっています。この背景には、香港市場で上場している中国株が香港ドルで取引されていることがあり、過去には中国の人民元と香港ドルを統一しようという動きもありました。しかし、現在はそのような動きはなく、1国2通貨制度はしばらく続くといわれています。

そのため、FXで取引する際は中国の経済政策の動向にも大きな注意が必要です。中国の不況が香港にも大きな影響を及ぼし、制度上はほとんどないと思われますが、香港に対する信認が崩れて海外資金が流出するような事態となれば、香港ドルが暴落する可能性もゼロではありません。

3-3.政治的影響

2019年に「逃亡犯条例」が改正されたことを受け、香港では住民による大規模な抗議デモが起こりました。これまでの高度な自治体制を損なう恐れがあることが懸念されたためです。

また、2022年5月には警察出身で強硬派といわれる香港行政長官が選出され、さらに、2024年3月23日には「国家安全条例」が施行されました。

このように、香港では中国共産党の支配が強まっており、政治リスクも高まりつつあります。今後も香港情勢は揺れ動く可能性が高く、FXの取引にも影響が及ぶことが予想されます。

4. 香港ドルに関連する主要な経済指標

香港ドル為替相場に影響を与える主要な経済指標は、以下の3つです。

  • 米国の雇用統計
  • 中国GDP成長率
  • 中国製造業PMI

それぞれ詳しく解説します。

4-1.米国の雇用統計

米国の雇用統計は、米ドル相場に大きく影響するため、ドルペッグ制度を採用している香港ドルにとっては重要な指標です。

雇用統計では、いくつかの指標がまとめて発表されますが、特に注目されているデータは非農業部門雇用者数と失業率です。

米国の雇用統計は、BLS(アメリカ合衆国労働省労働統計局) が毎月発表しています。発表時期は、12日を含む週から3週間後の金曜日(だいたい第1金曜日)で、日本時間の22:30 (夏時間は21:30)です。

4-2.中国GDP成長率

中国国家統計局が四半期ごとに発表しています。

中国のGDP成長率は、香港ドル相場に直接影響を与えることはありませんが、中国経済の動向を把握するために確認しておきたい指標です。特に、ドルペッグ制度が何らかの理由で変更された際は、最も注目すべき指標です。

中国GDP成長率は、中国国家統計局が四半期ごとに発表しています。発表時期は、1・4・7・10月中旬(15日前後)の日本時間11:00ごろです。

4-3.中国製造業PMI

中国製造業PMIは、購買担当者景気指数ともいい、中国の製造部門における経済活動を指数化した景気指標です。こちらもGDP成長率と同じように、直接的に影響することはありませんが、中国経済の動向をおさえるためにも確認しましょう。

中国製造業PMIは、中国国家統計局と中国物流購買連合会が発表しています。発表時期は毎月最終営業日の翌日(通常、月初の1日)で、日本時間の10:30です。

5. FX初心者に香港ドル/円の通貨ペアはおすすめ?

香港ドルは、アジアの金融市場の中でも特に大きな注目を集めている通貨です。金利水準は米国ドルより高く、米国と中国、どちらかの経済が好況になると香港ドルも同じ動きをみせることから、これまでと同じように成長が期待されています。中国の経済政策の動向に注意しながら取引すれば、FX初心者でも利益を狙えるでしょう。

通貨ペア選びに迷った際は、次のような特徴をもったペアがおすすめです。

  • 取引量が豊富
  • ボラティリティが適度にある
  • スプレッドが狭い

また、最初から複数の通貨ペアで取引をすると、大きな損失を出す恐れがあります。最初は少数の通貨ペアから取引を始め、少しずつ勝率を上げながら慣れていきましょう。

6. まずは少額から香港ドル/円で為替取引してみましょう

香港ドルは、香港の安定した金融市場やドルペッグ制度の採用により、安全な通貨として認知されている通貨です。今後も高値を維持することが予想されており、FX初心者でも挑戦しやすい通貨といえるでしょう。

一方で、中国や米国の経済・政治の影響を受けやすく、これまで保証されてきた優遇措置が規制される動きも高まってきています。これまでにはない値動きをすることも想定されるため、香港ドルのチャートをリアルタイムで把握しながら取引することが大切です。

大きな損失を出さないためにも、まずは少額から取引を始めてみましょう。

SBI FXトレードは業界トップクラスとなる「34種類」の通貨ペアがあり、1通貨単位から取引できるため、非常に少ない資金からFX取引が可能です。

また、スプレッドは業界最狭水準となっており、利益を上げやすい環境が整っているため、初心者の方にも安心してご利用いただけます。

まずはSBI FXトレードで口座を開設し、FX取引を始めてみましょう。

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この記事を監修した人

SBIリクイディティ・マーケット株式会社
金融市場調査部長
上田眞理人

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