UPDATE 2025.08.26
POST 2025.08.26
FX初心者の中には、「FXでは建値を意識した方が良いと聞いたけど、どう意識したら良いの?」と思っている方もいるのではないでしょうか。「調べてみたけど、含み損と含み益の建値決済の違いがよく分からない」という方もいるかもしれません。
本記事では、建値の基礎知識や取引での活用ポイント、初心者が意識すべき点について詳しく解説します。建値を正しく理解すれば、取引のスキルが一段階レベルアップするでしょう。ぜひ参考にして、勝率を上げて下さい。
FXの建値とは、エントリー成立時のポジションの価格のことです。
ロングポジション(買い)の場合は買った価格、ショートポジション(売り)の場合は売った価格が建値になり、つまりは単にポジションの価格を示すということです。
しかし、建値は利益確定や損切りの判断基準になり、建値決済に使える重要な指標でもあります。
リスク管理や利益確保にも役立つため、FX初心者はぜひ覚えておきましょう。
FXの建値ストップとは、ポジションを保有して一定の含み益が出た後、損切りの注文(ストップロス)をエントリー価格に移動させる手法です。建値ストップを行えば、その後に価格が変動しても、損失を回避し、元本を守ることができます。
通常、損切りはエントリー価格よりも不利な位置に設定して損失拡大を防ぎますが、建値ストップでは、利益が出た時点でストップロスを建値に移動させます。よってその場合でも、プラスマイナスゼロでポジションを決済できるため、損失を早めに抑えられるのです。
スプレッド分のコストが発生するため、完全な損失回避とはなりませんが、利益を少し確保したい場合は、建値よりわずかに高い位置にストップを設定することで、わずかながら利益を得ながらリスクを管理することも可能です。
含み損が発生している時の建値決済は、ロングポジション(買い注文)で取引を開始した場合において、現在の価格が購入価格よりも低い状態を指します。
よって、この状態中は損失が生じています。そのため、注文時の価格に再び戻った時に建値で取引を終了することで、損失を最小限に抑えられます。
含み益が発生している時の建値決済は含み損の時とは逆で、ロングポジション(買い注文)で取引を開始した場合において、現在の価格が購入価格よりも高い状態を指します。
この状態中は利益が発生していますが、含み益がなくなっていく時に建値決済を行います。つまり、市場が戻り、利益が減っていく時に取引を終了することで、利益を確定させるということです。
含み損で建値決済するメリットは、以下の2点です。
それぞれ詳しく解説します。
現在損失が出ている状態であっても、建値まで価格が戻って建値決済できれば、含み損は発生しません。
仮に思った通りの取引ができなくても、最初のエントリー価格まで価格が戻れば、再度同じポジションに入ることができます。
思った通りのエントリーができなくても、新たなエントリーポイントを見つけるチャンスを得られるでしょう。
損切りは、FX取引の中でも判断に迷うポイントです。
含み損が出ている状態で損失を自分で確定させるため、特に初心者は難しさを感じるでしょう。
しかし、建値決済を行うことで「建値で損切りする」という見通しが立つため目標が明確になり、感情に左右されず落ち着いて取引を進めることができるでしょう。
自分で損切りを行うことが難しい場合は、逆指値注文などを使って自動的に建値決済することも有効な方法です。
含み損で建値決済するデメリットは、以下の4点です。
それぞれ詳しく解説します。
先述した通り、建値決済で損切りをして取引を有利に進められるのは、あくまでも価格が建値まで戻ることが前提にあります。
価格は必ずしも想定通りに動くとは限らず、含み損が出ているポジションで価格が最初の建値とは逆方向に動き、さらに損失が膨れ上がる恐れがあるのです。
そのため、含み損が出ている時はチャートを注視し、損失が膨れ上がらないよう注意しましょう。
建値に戻るまで時間がかかることもデメリットの一つです。また、建値での自動決済を設定しても、なかなか建値まで価格が戻らないこともあります。
通貨ペアによってはマイナススワップが発生するので、建値決済に時間がかかると損失につながります。また、トレードポジションが増えて管理が大変になることにも注意が必要です。
スワップポイントとは、取引をする通貨ペアの金利差のことで、低金利通貨を売り、高金利通貨を買うことで、スワップポイントを受け取ることができます。
ただし、高金利通貨を売って低金利通貨を買うと、逆にその金利差を支払わなければなりません。これをマイナススワップといいます。マイナススワップは、長く保有をするほど支払う金額が大きくなるので注意が必要です。
また、場合によっては建値まで戻らず、予想外の含み損が発生する可能性もあるため、建値での自動決済を設定しても、安心しきってはいけません。
この事態を回避するには、損切りする価格をあらかじめ決めておき、その価格を下回ったら損切りをして、それ以上の損失を出さない方法があります。併せて覚えておきましょう。
建値決済はエントリー時と同じ価格で決済するため、結果的にプラスマイナスゼロとなります。しかし、実際にはエントリーした時点で実質的なコストであるスプレッドが発生しているので、建値決済をしてもスプレッド分だけは損をすることになります。
スプレッドとは、売値と買値の差額のことです。例えば、海外旅行の際に両替をし、帰国時に余った外貨を日本円に戻す場合、買値と売値には差が生じています。スプレッドはこの価格差のことで、売買の度に発生します。そのため、実質的なコストとして扱われています。
先述した通り、建値決済は損切りの明確な目標になります。しかし、損切りをせずとも、その後ポジションが含み益に転じ、利益を伸ばせていた場面が生じることもあります。つまり、建値決済をしたがために利益を得るチャンスを逃してしまうということです。
例えば、価格が上昇している時にロングポジションを持っていた場合、一時的な下落で含み損を抱えた時に建値まで価格が戻って損切りを行うと、その後の上昇の利益を逃してしまう可能性があります。
建値決済は損失を抑えやすい反面、未来で得られるかもしれない利益を逃してしまうことがあることには留意が必要です。
そのため、建値決済だけを損切りの目標とせず、テクニカル分析などを組み合わせて総合的に判断することが望ましいでしょう。
テクニカル分析とは、チャートから過去の値動きを分析して、将来の値動きを予測することです。テクニカル分析をすることで、値動きの傾向やチャートパターンを読み取ることができます。適切な損切りのタイミングも把握できるでしょう。
含み益で建値決済するメリットは、以下の2点です。
それぞれ詳しく解説します。
このメリットは、含み損が発生している時の建値決済と同様です。
利益が出ている状態でも、利確する前に下落する可能性があります。しかし、価格が急に下落しても、建値決済なら含み損は発生しません。一度保有したポジションをできる限り伸ばして含み益を大きくすれば、勝ちやすくなるでしょう。
ただし、現在保有しているポジションが必ずしも含み益を伸ばせるとは限らないことに注意が必要です。場合によっては、価格が建値まで戻り、一転して含み損に変わってしまう可能性もあります。
そこで有効な方法が、あらかじめ建値付近に逆指値などを入れておくことです。逆指値で自動的に建値決済できるようにしておけば、安心してポジションの利益を伸ばせるでしょう。
2つ目のメリットは心理的負担が少なく安心して取引できることです。「今は価格が安定しているけど、後で下落して損失が出るかもしれない」と悩むことがないため、ストレスを感じることなく取引に集中できるでしょう。
特にFX初心者の場合、取引中の心理的な負担を減らすことは重要なポイントです。取引に慣れないうちは何かと心理的負担が大きい場面があり、不安に押しつぶされて適切な判断を下せなくなるからです。感情に左右されて判断を誤り、損失が出てしまうと、今度は損失を一気に取り戻そうとして感情が高ぶり、さらに損失を出してしまう恐れがあります。
しかし、先述したように含み益が出ている状態で建値決済をすると、その後は含み損を出すことはありません。仮に下落しても、損失が出る前に自動的に決済されます。つまり、そのポジションで負けることはなくなるため、後はただ推移を見ていれば良いだけです。「どうなるだろう」と心配にならずに済むでしょう。
この点は、必要以上に価格変動を気にしてしまう初心者にとって、心理的に助かる大きなメリットといえます。
含み益で建値決済するデメリットは以下の2点です。
それぞれ詳しく解説します。
このデメリットも、含み損で建値決済する時のデメリットと同様です。FXの仕組み上、建値と同じ価格で決済することでプラスマイナスとなり、結果的に利益も損失も出ない状態になります。しかし、FX会社は一定のスプレッドを設定しているため、実際はその分が実質的な損失になります。
1ドルを150円で買った場合を例に考えてみましょう。
買値と売値は違うため、価格が建値に戻って150円になったとしても、その時の売値は150円より低い金額になります。スプレッドが2円ならば、150円で買ったドルは、買値が152円になった時に売値が150円になるということです。
取引の回数が多いほど、スプレッドの負担は大きくなります。特に価格が大きく上昇した時は、スプレッドも一時的に大きくなってしまうため、取引を始める前はそのようなリスクも考慮する必要があります。
もう一つのデメリットも、含み損で建値決済するデメリットと同様、未来で得られるかもしれない利益を逃してしまうことがあることです。
先述した通り、建値決済をすることで損をすることはなくなりますが、その後、建値決済したポジション価格が大きく上昇する可能性もゼロではありません。建値決済をしていなければ、もしかしたら利益を得られていたかもしれないのです。また、なかなか価格が上下せず、建値付近で横ばいの動きを見せた後に、価格が急に上昇して大きな利益を得ることもあります。
ただし、これは結果論なので、値動きの予測に慣れていない初心者には特に起こりやすいでしょう。そのため、含み益がある状態で建値決済をすると、利益を得るチャンスを逃しやすいことに留意して取引を行うことが大切です。
FXにおける建値決済は、予定がありチャートを見ることができない時や寝ている時に使えます。
例えば、取引中に急用が入ってチャートを常にチェックするのが難しくなっても、建値決済を設定していれば、価格の変動や損失に直接的に影響されることなく、安心して取引を進められます。
また、FXは平日なら24時間いつでも取引ができるため、就寝前に予想外の利益チャンスが発生することがあります。しかし、就寝前に利益が出始めても、深夜の間ずっと取引を追い続けるのは体力的に難しい場合があります。
ここで建値決済を利用すれば、就寝中に取引が自動的に終了するため、取引を追わずとも安心して眠れるでしょう。深夜の利益チャンスを逃すことなく、安定した取引を維持することができるのです。
さらに覚えておきたいポイントは、ポジションが含み益を持つ状態で建値決済を行うことが理想であることです。
先述した通り、建値付近に指値などの決済注文を入れておき、含み益が含み損に変わらないようにして可能な限り損失を抑えましょう。
含み損が出ていても、一時的に建値付近に価格が戻りそうな時は、ポジションをリセットする方法として建値決済が有効です。
含み損が出る原因は、価格が逆方向のポジションを持ってしまうことです。今後の相場の動きを予測し直すためにも、建値決済を視野に入れた上で取引を行いましょう。
これまで説明した通り、建値決済は利益確定や損切りに有効であり、リスク管理の一部として利用される手法です。
それを踏まえた上で、建値決済を行う際の注意点は、以下の2つが挙げられます。
建値決済を行う際は、明確なルールを設けておくことが大切です。期待通りに価格が動かない場合、建値決済をしても含み損が生じることがあり、元の価格まで戻るとは限らないからです。
基本的に含み益が出ている時に建値決済をすれば、含み損が出ることはありません。しかし、含み損が出ている時に建値決済をすると、建値まで戻らずに損失が膨らむ可能性があります。損失を抑えるためにも、損失の許容範囲を確認した上で、損切ラインを設定しておきましょう。
また、過去の取引履歴をしっかりと記録し整理しておくことも重要です。それらから傾向を見いだすことで、建値決済を行うタイミングなど適切な判断材料を手に入れられるからです。加えて、建値決済後の動向を確認することで、今後の取引における修正点や改善点を見つけられるでしょう。
定期的に取引履歴を振り返り、特に建値決済を行った時は、その結果やその後の価格変動を細かく分析することが重要です。
FXの建値とは、取引開始時のポジションの価格を指し、ロングポジションでは買値、ショートポジションでは売値が建値です。建値は利益確定や損切りの判断基準になり、建値決済においても重要な役割を果たします。
建値決済とは、ポジションをエントリー時の価格(建値)で決済することです。含み損中の建値決済のメリットは、注文時の価格に戻った時に建値決済をすることで、損失を最小限に抑えられることです。含み益中の建値決済のメリットは、利益が減っていく時に建値決済をすることで、利益を確定させられることです。
このように、建値決済はリスク管理や利益確保に役立つ手法です。取引中に急用が入っても、建値決済を設定していれば、価格変動や損失を気にすることなく、安心して取引を進められます。また、FXは平日の場合、24時間いつでも取引ができるため、建値決済を設定しておくことで、就寝中も深夜の利益チャンスを逃すことなく、安定した取引を維持できるメリットがあります。
ただし、スプレッド分の損失が生じることや将来の利益を逃す可能性もあることには留意が必要です。また、建値決済をしても建値まで価格が戻らなければ無駄な含み損が出てしまうことにも注意しましょう。
建値決済を活用しながら効率よく利益を得るためにも、FX初心者はテクニカル分析と組み合わせるなどして取引を進めることが賢明です。
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この記事を監修した人
SBIリクイディティ・マーケット株式会社
金融市場調査部長
上田眞理人