UPDATE 2025.06.27
POST 2025.06.27
FXの収入だけで生活する専業トレーダーに憧れる方は多くいます。実際、専業トレーダーの中には、時間や場所に縛られない生活を送りながら、会社員では得にくい高収入を実現している人もいます。
しかし、専業トレーダーになることは決して簡単ではありません。安定した収益を継続的に得るためには、クリアすべき条件や、トレーダーとしての適性が求められます。
そこでこの記事では、FXだけで生活するために必要な条件や利益の目安、専業トレーダーに向いている方・向いていない方の特徴、メリット・デメリット、FXで生活できるようになるためのステップなどを解説します。
FXの収入だけで生活することは可能ですが、決して簡単ではありません。専業トレーダーになるためには、以下の条件を満たす必要があります。
各条件について解説します。
FXだけで生活するためには、毎月安定して生活費を稼がなければなりません。他に収入源がない場合、トレードで生活費全般をまかなう必要があります。
つまり、短期的な大きな利益を得るよりも、年間を通じて安定した収益を確保できるスキルが欠かせません。例えば、1月に+50万円、2月に+40万円、3月に+60万円......といった一定以上の安定性が求められます。
逆に、1月に−50万円、2月に−100万円、3月に+300万円......といった不安定な成績では、トータルがプラスでも生活に悪影響が出る恐れがあるでしょう。最終的に大きな利益を得たとしても、それまでは経済的にも精神的にも負担がかかります。
安定的な利益を得るためには、長期的な視点でのテクニカル分析力や、日々の経済動向の分析力など、トレーダーとしての総合力が不可欠です。専業トレーダーは「特定の勝ちパターンさえ習得すれば生活できる」といった、簡単なものではありません。
例えば、チャートの週足や日足から相場環境を常に把握し、大きなトレンドを踏まえた上で、直近の値動きを分析してトレード戦略を構築するといった、高い勝率につなげるための継続的な努力が求められます。
専業トレーダーは、常に安定したメンタルを保つ必要があります。どれだけ高度なトレードスキルを持っていても、メンタルが崩れると正しく判断できず、トレードに悪影響を及ぼすことが多いためです。
特に、損失が発生した際は感情的になりやすいものです。動揺すると損切りをためらったり、次のエントリーで尻込みしてチャンスを逃してしまったりするでしょう。常に自分を律して、冷静にトレードルールに従い続ける精神力が求められます。
安定したメンタルは、自分のトレード手法に自信を持っているかどうかにかかっています。自分なりの手法を確立し、勝っても負けても淡々とトレードし続けられることが、専業トレーダーに求められる条件です。
FXで生活するためには、まず自分の毎月の生活費を把握し、それに基づいて必要な月収や目標となる利益を計算することが重要です。必要な金額はライフスタイルや住んでいる場所によって異なるため、家賃や食費、光熱費などのデータを集めて必要資金を見積もりましょう。
生活費の見積もりは、相場環境の変化や突発的な支出、自分の健康リスクなどを考慮し、一定の余裕を持たせることが重要です。あくまで目安ですが、毎月かかっている生活費に20%程度プラスして計算すると良いでしょう。
会社員として生計を立てている方は、現在の年収に基づいてトレードによる月収目安を計算するのも良い方法です。厚生労働省の調査によると、2022年(令和4年)の1世帯あたりの平均所得金額は、524万2,000円でした。月収にすると43万7,000円ほど安定して利益を得られれば、平均的な生活水準で暮らせると考えられます。
また総務省の統計によると、2人以上の世帯の消費支出(日常生活を営むために商品やサービスを購入した金額)は、1世帯あたり月29万3,997円でした。こちらも生活するために必要な収入の参考になるでしょう。
参考:厚生労働省「Ⅱ 各種世帯の所得等の状況」
総務省「家計調査報告 -2023年(令和5年)12月分、10~12月期平均及び2023年平均-」
専業のFXトレーダーとして活躍している方は、次のような特徴を持っています。
これらはFX初心者でも徐々に獲得できるスキルや条件です。順に見てみましょう。
FXでは意図した値動きにならない場合や、思わぬ損失が発生することはよくあります。このような状況でも感情に流されず、冷静にリスク管理に基づいたトレードを淡々と続けられる方はトレーダーに向いています。
リスク管理とは、トレードにおける損失を想定範囲内に抑える方法です。例えば、1回の取引による損失額を口座資金の2%以内に抑えられるように、レバレッジや損切り価格を適切に設定します。
このようなリスク管理を徹底できるトレーダーは、損失が発生しても精神的に大きく動揺しません。無理な取引を避け、冷静に次のチャンスを待てます。
FXで生活するには、トレード資金と生活費を分けるだけの余剰資金があると良いでしょう。FX取引には常にリスクが伴い、最悪の場合にはトレード資金を全て失うことがあるためです。
一般的に、専業トレーダーになるには、3〜6ヶ月分の生活費に相当する余剰資金が最低でも必要とされています。その期間にFXで利益が出なくても、余剰資金があれば生活費をFX口座から取り崩さずに済むため、トレードに影響が出にくいでしょう。
余剰資金は潤沢であるほど理想的です。万が一大きな失敗をしても再チャレンジできる保険になり、生活費を稼がなければならないというプレッシャーも軽くなります。気持ちに余裕があれば、良いトレード判断にもつながり、資金が増える好循環が生まれやすくなるでしょう。
外国為替市場は常に変動しており、相場を取り巻く環境も日々変わります。そのため、勉強や情報収集が好きで、知識を継続的にアップデートできる好奇心と向上心は、プロのトレーダーに必須の要素です。
FX初心者であれば、まずは用語やツールの使い方から覚え、テクニカル分析・ファンダメンタルズ分析などの勉強も必要です。こうした勉強は、手法を確立した専業トレーダーになった後も続きます。
例えば、新しい分析ツールや取引プラットフォームは次々と登場しています。今後は、AIを活用したトレード手法も増えるでしょう。トレードの世界で長く生き残っていくためには、学び続ける意欲を持つ必要があります。
経済の動向や分析に興味がある方は、専業トレーダーに向いています。為替相場の値動きは各国の経済状況と密接に関連しており、市場環境は刻々と変わるためです。特に、スイングトレードやポジショントレードといった中長期の取引では、広い視野で経済の動きを理解する力が欠かせません。
専業トレーダーの多くは、日頃から経済ニュースを把握する習慣が自然と身についています。また、経済動向と値動きを結びつけながら、楽しんで分析している方も多く見られます。
FX初心者の中には、経済ニュースやレポートを読む習慣がない方もいるでしょう。しかし、日々の情報収集を続けるうちに知識が増し、大局観や相場観が徐々に身につきます。これらは、専業トレーダーになくてはならないスキルです。
専業トレーダー向きとはいえない方の特徴には、以下が挙げられます。
これらは多くのFX初心者の特徴とも重なりますが、考え方やスタンスを見直すことで改善できる部分もあります。それぞれ順に見てみましょう。
「この取引だけは負けたくない」「1日の収支がプラスでないと我慢できない」といった勝敗にこだわった考え方では、専業トレーダーを目指すのは難しいといえます。FXで一度も負けずに勝ち続けることは現実的に不可能です。どれだけ経験を積んだトレーダーでも、損失は避けられません。
FXは「トータルでプラスになれば良い」という考え方が重要です。つまり、個々の取引の勝敗に固執するのではなく、確率や統計に基づいて考えなければなりません。
仮に勝率が低くても、リスクリワード(損失に対する利益の比率)が高ければ、トータルでプラスにすることが可能です。例えば、1回の取引での損失が1に対して、利益が2であれば、勝率33.3%以上で収益はプラスになります。
リスク管理や長期的に考えることが苦手な場合も、専業トレーダーとして生活することは難しいでしょう。専業トレーダーはビジネスの経営者と似た面があり、ギャンブラーではないからです。
例えば、大きな利益を狙って常に高いレバレッジで過剰なリスクを取る方法は、専業トレーダーとしては不向きです。こうしたいわゆる「ハイレバトレード」は、一時的に資金を増やせる可能性はあるものも、長期的には大きな損失を抱えてしまう確率が高いでしょう。
また、短期的な値動きに惑わされやすい方も、FXを長く続けるのは難しい傾向にあります。例えば「目先の価格変動に反応して、計画にないポジションを取ってしまう」「ニュースを見る度に相場観が変わる」といった場合は、安定的に利益を出しづらいでしょう。
プレッシャーに弱く、感情のコントロールが苦手な場合、専業トレーダーとして安定して稼ぎ続けることは難しいといえます。
こうした方の多くは、予想外の価格変動に直面すると、損失を確定させたくないという思いから、含み損が大きくなるまでポジションを持ち続けてしまう傾向にあります。また、恐怖や焦りからポジションを早めに手仕舞いし、利益を伸ばせないことも多いでしょう。
プレッシャーに強くなるには、損切りや資金管理のルールを決め、感情よりもルールに忠実に従うことが重要です。FXの収入だけで生活することは、ただでさえプレッシャーが大きいため、感情が入り込む余地をなるべく減らす必要があります。
FXのみで生活できるようになると、以下のようなライフスタイルを実現できます。
それぞれの魅力を見てみましょう。
FXは、自分の都合に合わせて取引の時間を決めたり、チャートを分析したりできるため、時間に縛られない生活が可能です。外国為替市場は月曜日から金曜日まで24時間開いており、時間的な制約が少ないため、自分のライフスタイルに合わせてトレードできます。
チャートを常に監視する必要もありません。あらかじめ新規注文や利益確定・損切りの価格を設定しておけば、自動的に注文を執行できます。FX会社によっては、相場の動きに応じて損切り価格を自動的に調整する「トレール注文」と呼ばれる機能も利用できます。
FXは、インターネット環境とスマホもしくはパソコンがあれば、どこでも取引できます。自宅に限らずカフェや公園など、場所を選ばずにトレードできるのが大きなメリットです。
また、一般的なビジネスパーソンと違い、通勤の必要もありません。移動による時間や費用、心身のエネルギーの無駄がなく、常にリラックスできる環境でトレードできる生活が手に入ります。
FXは個人で行うため、仕事上の上司や同僚、取引相手といった人間関係に悩まされることがありません。他人から自分の考え方や価値観に干渉されることもなくなるでしょう。
ただし、自宅で全てが完結するため、他人との接触が減り、社会的なつながりが希薄になりやすいことには注意が必要です。趣味を通じて人と交流したり、定期的に友人・知人と会ったりするなど、孤独を感じない息抜きの方法を確保しておくと良いでしょう。
FXだけで生活する上では、次のようなデメリットがあることも知っておくべきです。
対処方法と共に解説します。
FXだけで生活する場合、大きく稼げる月もあれば損失を出してしまう月もあり、収入が不安定になるリスクがあります。また、トレードスキルが高くても、相場の動きが不規則で損失が出やすい時期や、レンジ相場のように値動きが小さく、利益を伸ばしにくい時期もあるでしょう。
収入が不安定なリスクを減らすには、普段からの資金管理が重要です。例えば、「1回のトレードによる損失は口座資金の2%以内に抑える」、「口座資金が前月のマイナス6%に達したら、しばらくトレードを休む」などの資金管理ルールは、リスクを抑える有効な手段として広く知られています。
専業トレーダーには、生計を立てなければならないというプレッシャーが重くのしかかります。特に損失が出た場合には、そのプレッシャーは強まり、冷静な判断を失いやすくなるでしょう。
このプレッシャーに慣れるには、兼業トレーダーの段階で小規模のトレードから始め、トレーダーとしての金銭感覚を養う必要があります。つまり、損益を金額ではなく、資金に対する割合で考える感覚を鍛えましょう。
例えば「100万円を99万円に減らした(1万円損した)」ではなく、「資金の約1%の損失が出た」と考えます。そして、勝率やリスクリワードを計算すると許容量や次の戦略が立てられるため、一喜一憂せずにトレードを続けやすくなるでしょう。
専業トレーダーは、収入が安定していても、社会的には無職として扱われることがあります。個人事業主として開業届を提出しても、継続的に大規模な取引を行い安定的収入があるといった例外を除けば、FXトレーダーの収入は事業所得として認められないといった理由から、税務署で否認されることが一般的です。
無職と見なされる場合、例えばクレジットカードの発行や賃貸契約の審査などで不利になる可能性があります。これらは、日常生活に重大な影響を与える恐れがあるため注意が必要です。
FXの収入だけで生活できるようになるには、どのようにステップアップすれば良いのでしょうか。ここでは、一般的な流れを4つのステップに分けて解説します。
焦らず着実に成長することが、専業トレーダーへの最短ルートです。
FXで生計を立てられるようになるには、まず基礎的な知識を学ぶことから始めましょう。専門用語やチャートの読み方、重要度の高い経済指標、使用するツールの種類など、基本をしっかりと理解することが大切です。
費用をかけずに手軽に学びたい方におすすめの方法は、インターネット上のコンテンツを使った学習です。SBI FXトレードでは、最初に覚えておきたい基礎知識を初心者にも分かるように、やさしく解説しています。中・上級者にステップアップするためのFX取引に関するコラムも充実しているので、ぜひご活用ください。
>>「初心者向けFXの基礎知識」
基礎的な用語や相場分析の手法、注文方法などを理解できたら、少額からトレードを始めてみましょう。実際に資金を使って取引することで、自身のプレッシャーへの耐性やリスク許容度、トレードスタイルの向き・不向きなどをより深く理解できるからです。
リスクを最小限に抑えるためには、1通貨単位から取引できるFX会社を選ぶことで、非常に少ない資金でトレードを練習できるのでおすすめです。米ドル/円のレートが1ドル150円の場合、6円程度から取引できます。
トレードに慣れてきたら、毎月安定した利益を目指しましょう。まずは、現実的に達成しやすい月利2%程度を目標にすると良いでしょう。小さな成功を積み重ね、徐々に自信をつけることが重要です。
利益が安定してきたら、少しずつ取引額を増やしても構いません。ただし、リスク管理を徹底し、無理な取引は避けることが大切です。リスク管理は専業トレーダーになってからも不可欠な要素ですので、早い段階から意識しておくことが重要です。
また、すべての取引を記録して、定期的な振り返りを徹底することも大切です。安定した利益を目指す成長段階は、勝ちパターンや負けパターンを分析・発見し、自分に合ったトレード手法を確立する時期でもあります。
毎月の利益が生活費を上回るようになれば、専業トレーダーを目指すか検討します。ただし、自分の手法と相場状況が偶然かみ合っているだけの可能性もあるでしょう。一概にはいえませんが、数ヶ月~1年ではなく、数年以上にわたって安定的に利益を出せるか確認してから検討する方が安全です。
また、投資資金とは別の余剰資金(生活資金)が十分にあるかどうかも大切なポイントです。FXで利益が出ない時期が続いても、半年以上の生活費がまかなえることが目安になります。
さらに、専業トレーダーとして失敗した時のことを考えておくことも重要です。再就職や家業を継ぐといった具体的な道を考えておくと、心理的なリスクも抑えられます。
スワップポイントとは、金利が異なる通貨を売買する際に発生する金利差調整分のことです。高金利の通貨を買い、低金利の通貨を売るポジションを持つことで、保有日数に応じたスワップポイントを受け取れます。
しかし、スワップポイントだけで生計を立てている方は少数です。スワップポイント狙いの取引は、長期間ポジションを保有するスイングトレードやポジショントレードで有効です。スワップポイントは預金における利息のようなものであるため、単独で生計を立てるには多額の資金が必要になります。
実際、多くの専業FXトレーダーの主な収入源は、為替取引の売買差益(キャピタルゲイン)であり、スワップポイントはあくまで副次的な収入源にとどまります。そのため、一般的にはスワップポイントの収入は控えめに考えた方が良いでしょう。
メインの取引はメジャー通貨ペアでデイトレードを行いつつ、少額資金で高金利通貨ペアのスイングトレードによりスワップポイントを得るといった、トレードスタイルの組み合わせが有効です。
スワップポイントや高金利通貨ペアの詳細については、以下の記事も参考にしてください。
>>「高金利通貨ペア取引のメリットと注意点について解説」
FX専業トレーダーは、利益が出たら確定申告が必要です。FX取引で得た利益は雑所得の一種である「先物取引に係る雑所得等」として扱われ、申告分離課税方式が適用されます。税率は以下の通りです。
合計:20.315%
また、損失が出た年でも、損失を翌年以降に繰り越すためには確定申告が必要です。FXによる損失は、その損失額を「損失繰越控除」として最長3年間繰り越せます。これにより、翌年以降に利益が出た場合、損失分を差し引くことで税金を軽減できます。
なお、兼業トレーダーでも年間の利益が20万円を超えると確定申告が必要です。確定申告についての詳細は、税務署や専門家にご確認ください。
参考:国税庁「No.1522 先物取引に係る雑所得等の課税の特例」
初心者に向いているのは、以下の条件を満たすFX会社です。
数あるFX会社の中でも、SBI FXトレードは上記の条件を高水準で満たしています。ポイントを以下にまとめました。
SBI FXトレードはサービス水準の高さから、オリコンの顧客満足度調査の初心者部門で6年連続第1位に選ばれています(2025年時点)。
専業トレーダーになることは簡単ではありません。まずはトレードに慣れて経験と知識を蓄えること、そしてメンタル面を鍛えることが大切です。トレーダーとして一歩ずつ着実に成長していきましょう。
SBI FXトレードは業界トップクラスとなる34種類の通貨ペアがあり、1通貨単位から取引できるため、非常に少ない資金からFX取引が可能です。また、スプレッドは業界最狭基準となっており、利益を上げやすい環境が整っているため、初心者の方にも安心してご利用いただけます。
まずはSBI FXトレードで口座を開設し、FX取引を始めてみましょう。
SBI FXTRADE
FX(外国為替証拠金取引)は異なる通貨を売買し、売買時のレートによって生じた差額で利益を出そうとする取引です。
SBI FXTRADEは、スプレッドやスワップポイント、通貨ペア数など、業界最良水準のサービスをご提供しています。また、初心者の方から、上級者までご満足いただける取引ツールをご用意しております。
この記事を監修した人
SBIリクイディティ・マーケット株式会社
金融市場調査部長
上田眞理人