UPDATE 2025.06.27
POST 2025.06.27
「含み損」とは、FXで利益を出すことを考える上で非常に重要な用語です。
これからFXを始めようと考えている方は「含み損」についてしっかりと理解しておく必要があるといえます。
本記事では、FXにおける含み損の意味や、含み損を最小限に抑えるコツについて詳しく解説します。
FXにおける「含み損」とは、保有しているポジションに対する未決済の損失のことで、決済すれば損失が確定する状態を指します。
例えば、米ドル/円を150円で買い、未決済の状態で相場が130円まで下がった場合は、1ドルあたり20円の含み損を抱えていることになります。
一方で、同じように保有しているポジションに対して未決済の利益が出ている状態は「含み益」と呼ばれます。
米ドル/円を120円で買い、未決済の状態で相場が150円まで上がった場合は、1ドルあたり30円の含み益となっています。
含み損・含み益とは、実現損益と異なり、まだ実現していない損失や利益を指します。そのため、時間の経過とともに含み損が含み益に変わる可能性があり、同様に含み益が含み損に変わる可能性もあります。
初心者にとっては、それだけでストレスになって、冷静な判断が難しくなることもあるので、含み損についてしっかり理解していきましょう。
FX初心者の中には、含み損を解消できずに大きな損失を抱える結果となる方が多くいます。
多くの方が含み損を解消できない理由としては、以下の3つが挙げられます。
FX初心者にありがちですが、感情に基づいてトレードをしてしまい、数字や理性に基づいた判断を欠いてしまうと含み損を解消しづらくなります。
感情的なトレードを続けていると、相場が自分の予想とは逆に動いて損失が出始めた際に、冷静さを失い「いつかは回復するはず」「回復してもらわないと困る」といった根拠のない期待をしてしまうことになります。結局含み損が大きく膨らみ続け、損失に繋がってしまった、というのがよくあるケースです。
また、テクニカル指標などの明確な根拠に基づいた損切りラインを設定せずに、勘や感覚でトレードをしていると損切りの判断が遅れやすくなり、損失に繋がることも多いため、注意しましょう。
FX初心者の多くは、「常に市場に参加し続けたい」という心理から、相場の状況に関係なくポジションを持ちたがる傾向があります。いつでもポジションを持とうとすることを「ポジポジ病」とも呼びます。
このポジポジ病に陥ると、市場の動向に適応できずに無理なトレードを重ねたり、根拠のないトレードが多くなったりしてしまいます。
また、ポジポジ病は、含み損が発生してもポジションを維持したり、新たなポジションを持ったりすることで、損失がさらに拡大するリスクもあります。
無理にポジションを持とうとせずに、適切なタイミングでトレードすることが、損失を防ぐためには重要です。
複数の通貨ペアでトレードをしたり、一つの通貨ペアでもいくつかのタイミングで同時にエントリーしたりすることも初心者にとってはリスクがあります。
一度に複数のポジションを持つことで、リスクが分散されているように感じるかもしれません。しかし、それぞれのポジションの管理が難しくなるため、結果として損切りをするべきタイミングで損切りをすることができず、損失が膨らむリスクもはらんでいます。
複数のポジションを同時に持つ場合は、それぞれのポジションの動きを正確に追跡し、適切な判断を下さなくてはいけませんが、初心者にとってそのような冷静な対応は非常に困難です。
また、資金が分散されることで、あるポジションが含み損を抱えた場合、他のポジションのリスク管理がおろそかになる傾向もあります。
あらかじめ損切りラインと利確ラインを設定して注文を出すことができれば、利益を出すチャンスにもなり得ますが、初心者にとっては難しいでしょう。
初心者はまず一つのポジションに集中し、少しずつトレードに慣れることが大切です。
FXにおいて含み損を拡大させないためには、以下の6つのコツを意識しましょう。
これらを意識して日々のトレードに臨めば、劇的にトレードの成績が良くなるはずです。
FXでは、事前に損切りポイントを設定しておき、損切りポイントを守ってトレードをすることで、含み損の拡大を防げます。
損切りポイントとは、「含み損が一定額に達した時にそのポジションを決済し、損失を確定させる価格」のことです。これにより、相場が予想とは逆に動いても、損失が際限なく膨らむことを防ぐことができます。
FXで稼ぐためには、損切りポイントに従い機械的に損切りすることは必須といえます。特に、初心者は、感情に左右されて損切りをためらうシーンが多いですが、冷静な判断を下すために事前に損切りポイントを設定し、機械的に実行してリスク管理を徹底しましょう。
損切りポイントの設定方法については、「損切りのルールの決め方」で詳しく解説しておりますのでご覧ください。
逆指値注文は、含み損を抱えた際に損失が拡大するのを最小限に抑えるために効果的な手法です。
逆指値注文とは、価格があらかじめ設定した水準に達した時に、自動的にポジションを決済する注文方法です。これにより、急な相場変動による大きな損失を防ぎ、含み損が膨らむ前に自動的にトレードを終了させることができます。
あらかじめ逆指値注文を設定しておくことによって、「いつかは相場が回復するはず」といった根拠のない期待に頼ることなく、機械的にトレードできるため、損切りが遅れるリスクを防ぐことができます。
特に、相場が急変する可能性がある経済指標の発表時など、迅速な対応が難しい時に逆指値を設定しておくことで、リスクを効果的に管理することができます。
初心者こそ、逆指値注文を積極的に活用すべきといえるでしょう。
逆指値注文を活用するためには、前述した「損切りポイントをあらかじめ決めておく」ことが必須になります。逆指値注文を活用するためにも、損切りポイントの決め方もしっかり理解しましょう。
ナンピン(難平)とは、損失が出ているポジションに対してさらに買い増し(または売り増し)を行い、平均取得価格を下げる(または上げる)手法です。
例えば、米ドル/円を150円で購入した後に為替レートが下がった場合、損失を解消するには再び150円まで回復するのを待つ必要があります。しかし、140円まで下がった時点で同量の米ドル/円を購入すれば、平均購入価格は145円になり、そこまで回復すれば損失がゼロになります。
しかし、実際にはナンピンをしても損失額そのものが減るわけではなく、むしろポジションが増えることでリスクが拡大します。
また、相場が想定とは逆方向に進んだ場合、損失が急激に増えるリスクもあります。初心者は、ナンピンをすることで損失を取り返そうと考えがちですが、リスク管理が難しく、最悪の場合、含み損が一気に膨らむ可能性があるので避けるべきといえるでしょう。
含み損を抱えている場合は、ナンピンをするのではなく、損切りを行うことで、リスクを抑えましょう。特に初心者のうちは、リスクの高い手法に頼らないのがおすすめです。
FXにはレバレッジという仕組みがあり、FX会社に預けた証拠金を担保として、実際の資金の数倍〜数十倍の金額でトレードができます。
日本国内のFXでは、最大25倍のレバレッジが認められており、少額の資金で大きなトレードが可能ですが、過度にレバレッジをかけると、その分損失も大きくなるリスクも高まります。
特に、相場が不利な方向に動いた時に、急激に証拠金が不足し、強制ロスカットに追い込まれ、意図しないタイミングで損失が確定してしまう可能性もあるでしょう。
例えば、証拠金維持率50%を下回るとロスカットが発動するFX会社で、6万円の証拠金を預けて、米ドル/円が150円のとき、レバレッジ25倍では10,000ドルの注文をすることができます。このとき、10,000ドルの買い注文をすると証拠金維持率は100%となります。このまま、147円まで値下がりした場合、証拠金維持率が50%を下回り、強制ロスカットが発動して損失が確定します。
一方で、同じ条件で5,000ドルの買い注文をすると証拠金維持率は200%となります。このまま、147円まで値下がりしても、証拠金維持率は150%となるため、ロスカットは発動しません。
初心者は、証拠金の全額を使って取引するのではなく、リスクをコントロールしながら、含み損を最小限に抑えるトレードを心がけましょう。
FXにはリスクが伴うため、必ず余剰資金でトレードを行うことを心がけましょう。
余剰資金とは、生活費などの日常の支出に影響を与えない範囲の資金を指します。このような資金でトレードすることで、相場が不利に動いた場合でも冷静に対応でき、感情的なトレードを避けることができます。
また、余剰資金を使うことで、含み損が発生しても生活に支障をきたすことなく、適切なリスク管理が可能となるでしょう。
反対に、借金や生活費を使ってトレードを行うのは避けましょう。「絶対に損を出せない」という思いから、含み損を抱えた際に冷静な損切りができず、ロスカットに追い込まれる可能性があります。余剰資金以外の資金を使ってのトレードは、生活が破綻しかねない非常に危険な行為であるため、絶対に避けるべきです。
損小利大とは、損失を小さく抑えながら利益を大きく狙う戦略を指します。
たとえ勝率が低くても、一度の損失を小さく、一度の利益を大きくできればトータルで利益をあげられます。逆に、含み損を抱えた際に損切りできない方は、勝率が高くてもトータルで損失となってしまう可能性が高いでしょう。
例えば、10回トレードをした際に、1,000円の利益を9回出せたとしても、1回でも10,000円の損失が出ると、勝率は90%でもトータルでは1,000円の損失となってしまいます。反対に、勝率が50%に届いていなくても、適切な損切りによって損失を小さく抑えて、利益を伸ばせば、トータルで利益を生み出すことが可能です。
損小利大を実現するためには、損切りのラインを明確に設定し、ルールを守って損失を最小限に抑えるトレードを心がけるのが大切です。
FX経験が少ない初心者は、「今は含み損を抱えているけど、そのうち相場が回復するはず」と根拠のない思い込みに頼ってしまい、損切りのタイミングを逃してしまいがちです。
損失を最小限に抑えるための損切りは、FXで利益を上げるためには非常に重要ですが、初心者にとって損切りを確実に行うのは難しいのも事実です。
感情的なトレードや勘に頼ったエントリーを避けるためにも、初心者のうちから損切りのルールをあらかじめ設定し、ルールにしたがって機械的にトレードをすることを心がけましょう。
損切りのルールの決め方は、具体的には以下の3通りが挙げられます。
損切りルールを「値幅」で決める方法とは、あらかじめ自分が許容できる損失の範囲を具体的な価格の差(値幅)として設定するものです。
例えば、米ドル/円を150円で買った場合、事前に「1円下がったら損切りする」と決めておけば149円に下落した時点で決済します。
値幅による損切りはシンプルで、初心者にも理解しやすく、感情に左右されずに機械的に損切りを実行できる点がメリットです。
ただし、エントリーの都度損切りラインを考える必要があるため、やや手間がかかります。また、値幅の設定は主観的になりやすいため、相場の状況に応じて柔軟に調整する力も求められます。
損切りルールを「損失率」で決める方法は、トレードにおける総資金に対して、どれくらいの損失が発生した場合に損切りをするかをパーセンテージで設定するものです。
例えば、「投資資金の2%を超える損失が出たら損切りする」というルールを設定しておけば、1回の損失額を抑えられます。この方法は、具体的な値幅ではなく、資金の損失割合を基準にしているため、相場が大きく動いている際にも柔軟に対応できます。損失率を基準にすることで、リスクをコントロールしやすく、トレード全体の資金管理がしやすくなるともいえるでしょう。
また、値幅で決める損切りルールとは異なり、一度損失率のルールを決めておけば常にその基準にしたがって判断すれば良いため、取り入れやすく、実践しやすい方法といえます。
損切りルールを「チャート分析」で決める方法は、「サポートラインより下がったら損切り」または「レジスタンスラインより上がったら損切り」といったように、チャート分析に基づいて損切りラインを設定する方法です。
具体的には、買いポジションを持つ際、直近のサポートライン(価格が反発しやすい水準)を下回ったら損切りをする、または特定の移動平均線を割り込んだら決済するなどの戦略が考えられます。
この方法では、相場のトレンドや反発点を根拠に損切りを行うため、相場の動きに応じた柔軟で効率的なリスク管理が可能です。また、自分のトレードスタイルに合わせて最適な損切りルールを設定できるというメリットもあります。
ただし、チャート分析を正確に行うためには、一定の知識と経験が必要です。また、分析を誤ると損切りが遅れ、結果的に損失が大きくなるリスクもあるため、上級者向けの方法であるともいえるでしょう。
本記事では、FXで初心者が理解しておくべき含み損の基本と、含み損を最小限に抑えるための損切りルールの決め方などを紹介しました。
FXで安定して利益を上げるためには、損切りルールをしっかりと設定し、それを徹底して守ることで、感情に左右されない機械的なトレードを心がけることが最も重要といえます。
これからFXを始めようと検討している方は、まずは自分のトレードスタイルに合った損切りルールを明確にし、ルールに基づいたトレードを行うようにしてください。
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この記事を監修した人
SBIリクイディティ・マーケット株式会社
金融市場調査部長
上田眞理人