FXにおけるレンジ相場とは?利益を上げるコツと注意点について解説 | SBI FXトレード

FXにおけるレンジ相場とは?利益を上げるコツと注意点について解説

FX用語集

UPDATE 2025.06.27
POST 2025.06.27

FXにおけるレンジ相場とは?利益を上げるコツと注意点について解説

1. レンジ相場とは

為替市場におけるレンジ相場とは、通貨の価格が一定の範囲内で上下し、明確な上昇や下降のトレンドが出ない状態を指します。ここでいう「レンジ」とは、価格の変動幅(値幅)のことであり、相場が一定の値幅内で推移するため「レンジ相場」と呼ばれます。

また、レンジ相場は「ボックス圏相場」や「往来相場」とも呼ばれ、いずれも価格が一定の範囲内で上下を繰り返す相場の状態を指します。

相場の行方を左右する材料が乏しい場合や、先行きが不透明な状況では、レンジ相場が発生しやすい傾向があります。実際、市場では全体の約7割がレンジ相場であるともいわれており、その頻度の高さからも、レンジ相場への理解は非常に重要です。
レンジ相場では、価格がサポートライン(下落が止まると予想される水準)に近づいたときに「買い」、レジスタンスライン(上昇が止まると予想される水準)に近づいたときに「売り」といった戦略がとられることが一般的です。このように、人によってはトレードしやすいと感じる場面でもあります。

ただし、レンジ相場はトレンド相場に比べて価格の変動幅が小さいため、大きな利益を狙うのは難しい傾向があります。そのため、細かい値動きを狙った短期的なトレードが中心となることが多いです。

2. レンジ相場の特徴

レンジ相場は、一般的に以下のような特徴があります。

  • 低いボラティリティ
  • 一定の価格帯での上下動

それぞれについて、簡単に解説します。

2-1. 低いボラティリティ

FXにおけるレンジ相場の特徴の一つに、「低いボラティリティ」があります。

ボラティリティとは、通貨の価格がどれだけ変動するかを示す指標で、変動幅や頻度の大きさを表します。ボラティリティが低い状態とは、価格の動きが小さく、安定していることを意味します。

レンジ相場では、新たな材料など大きく動くきっかけがないため、価格は一定の範囲内で上下を繰り返すだけになり、結果としてボラティリティが低くなります。

このような状況では、明確な売買シグナルが出難くなり、取引量が減少する傾向があります。そのため、トレードチャンスが限られ、一部のトレーダーにとっては利益を上げにくい環境となるでしょう。一方で、値動きが安定しているため、損失も比較的小さく抑えられるというメリットもあります。

レンジ相場では、こうした安定した価格の動きを活かし、レジスタンスライン付近で「売り」、サポートライン付近で「買い」といった戦略を用いることで、コツコツと利益を積み重ねることが可能です。

ただ、ボラティリティの低下は、相場が次に大きく動く前兆となることも多いため、トレーダーはその後の急変動に備えて警戒する必要があります。

2-2. 一定の価格帯での上下動

レンジ相場の特徴の一つに、通貨の価格が一定の価格帯の中で繰り返し上下するという点があります。

この「価格帯」は、サポートライン(下落が止まると予想される水準)とレジスタンスライン(上昇が止まると予想される水準)によって定義されます。一般的に、レンジ相場ではサポートラインとレジスタンスラインを平行に引くことができ、相場がその範囲を超えない限り、価格はその範囲内で往来します。

明確なトレンドが存在しないレンジ相場においては、価格がサポートラインに近づくと買い手が増え、逆にレジスタンスラインに近づくと売り手が増えるという、比較的シンプルな値動きが見られることが多いです。

3. インジケーターを利用したレンジ相場の見分け方

相場におけるインジケーターとは、チャート上やその下部などに表示される相場分析をサポートするツールです。為替相場の動きが示す意味を分かりやすく可視化したり、相場の方向性や注文・決済のタイミングを掴んだりするのに役立ちます。

現在の相場がレンジ相場かどうかを見分けるためには、以下の3つのインジケーターを活用するのがおすすめです。

  • 移動平均線
  • ボリンジャーバンド
  • RSI

一つのインジケーターだけで判断するのではなく、複数のインジケーターを組み合わせて確認することで、より確実にレンジ相場を見分けることができます。

3-1. 移動平均線

移動平均線とは、指定された期間中の価格の平均値を連続して算出し、それを線でつないだもので、相場のトレンドや方向性を把握するために広く利用されているインジケーターです。

短期(5日、10日、20日)、中期(25日、50日、75日)、長期(100日、200日)といった種類の移動平均線があり、それぞれ短期の価格変動や長期のトレンドを視覚的に把握することができます。

移動平均線を活用することで、相場の大きな流れの方向性やその強さを把握でき、今後の相場展開を予測する際に役立ちます。

一般的な見方としては、移動平均線が上向きまたは下向きになっている場合はトレンド相場、移動平均線が横ばいで推移している場合はレンジ相場と判断することができます。

3-2. ボリンジャーバンド

ボリンジャーバンドは、価格の変動幅(ボラティリティ)を分析するために使われるインジケーターで、移動平均線の上下に標準偏差の幅を設けた帯として表示されます。言い換えると、移動平均線を中心に、価格がどの程度ばらついているかを示す指標です。

ボリンジャーバンドは、価格が一定の範囲内に収まる傾向があるという統計的特性に基づいており、相場の過熱感や反転の可能性を判断する際に役立ちます。

また、バンド幅の広がり(エクスパンション)や縮まり(スクイーズ)は、ボラティリティの変化を示しており、現在の市場がレンジ相場かどうかを見分けるてがかりとなります。具体的には、ボリンジャーバンドがエクスパンションしている場合はトレンド相場の可能性が高く、逆にボリンジャーバンドがスクイーズしている場合はレンジ相場の傾向があると考えられます。

3-3. RSI

RSI(Relative Strength Index)は、一定期間における値動きの強弱を数値化したインジケーターです。RSIは、一定期間内の上昇幅と下降幅の強さを比較し、その結果を0~100の範囲で数値化したもので、一般的に70以上で「買われすぎ」、30以下で「売られすぎ」と判断されます。

30以下または70以上の場合は、トレンド相場の傾向にあり、50に近い数字であれば、レンジ相場の傾向にあるといえるでしょう。

4. レンジ相場でのトレード手法

レンジ相場の価格変動の傾向を利用し、以下の2つの戦略を立てられるでしょう。

4-1. レンジ内の短期トレードで利益を狙う

レンジ相場では、レンジ内での短期トレードを繰り返し、利益を積み上げていく戦略が基本となります。具体的には、レンジの下限であるサポートライン付近で買い、上限であるレジスタンスライン付近で売るといった手法が一般的です。

レンジ相場の特徴として、価格が一定の範囲内で上下動を繰り返す傾向があるため、サポートラインおよびレジスタンスラインに一定の信頼性があります。そのため、これらのラインを基準に、あらかじめ定めた一定のルールに従って売買を繰り返す機械的なトレード手法も有効です。

レンジ相場では値動きが比較的小さいため、一回のトレードで得られる利益は限定的ですが、勝率の高いトレードで小さな利益をコツコツと積み上げることで、最終的にトータルで大きな利益を目指すことが可能です。

4-2. レンジ相場のブレイクアウトを狙う

レンジ相場のサポートラインまたはレジスタンスラインを突き抜けて、トレンド相場に移行することを「ブレイクアウト」と呼びますが、このブレイクアウトを狙ってトレードする手法もあります。

ブレイクアウトが発生する主な理由は、レンジ相場のサポートラインやレジスタンスライン付近に、指値注文や逆指値注文などが集中しやすい点にあります。これにより、相場を一気に動かすエネルギーが蓄積され、ラインを突破した瞬間に急激な値動きが発生します。

特に、長期間にわたってレンジ相場が続いた場合、価格は一定の範囲内で収束し、トレーダーや市場参加者は新たな材料や経済指標の発表を待ちながらトレードを控える傾向があります。そうした中で、重要な経済指標の発表や市場の予期せぬニュースが出ると、価格が一気にサポートラインまたはレジスタンスラインを突破し、大きなトレンドが形成される場合があります。

ブレイクアウトは、大きな利益を狙いたい時に有効なトレード手法です。レンジ相場からトレンド相場へ移行する場面では、価格が一方向に大きく動く傾向があるため、うまくエントリーできれば、一度のトレードで大きな利益を得られる可能性があります。

ただし、レンジ相場からトレンド相場に移行する際に、必ず大きな値動きをするというわけではない点も注意が必要です。

5. レンジ相場で利益を上げるコツ

レンジ相場で安定して利益を上げるためのコツは、主に以下の4つです。

  • サポートラインとレジスタンスラインを引く
  • リスク管理を徹底する
  • レンジ相場になりやすい通貨ペアでトレードする
  • ボラティリティが増加するタイミングでエントリーしない

5-1. サポートラインとレジスタンスラインを引く

レンジ相場で安定的に利益を上げるためには、相場の傾向を正確に把握することが重要で、そのためにサポートラインとレジスタンスラインを引くことが欠かせません。

サポートライン付近では買い注文、レジスタンスライン付近では売り注文を行い、レンジ内で適切なタイミングで短期トレードを繰り返すことで、勝率を高めることが可能です。
同様に、レンジ内での短期トレードを狙う場合には、相場がこれら2つのラインを外れて動いた際にはエントリーを控え、相場の動向を見極めることが重要です。

5-2. リスク管理を徹底する

レンジ相場がブレイクすると、価格が急激に動くことがあり、一度のトレードで大きな損失を被る可能性があります。そのため、損切りラインをあらかじめ決めておくなど、リスク管理を徹底することが重要です。

レンジ相場は、価格がサポートラインとレジスタンスラインの間を往復する傾向がありますが、常にブレイクアウトする可能性を秘めています。

レンジ相場での短期トレードは、比較的高い勝率を維持しやすい一方で、一回ごとの利益は小さくなりがちです。そのため、ブレイクアウトによって一度大きく損失を出すと、収支が一気にマイナスとなる可能性もあります。

そのため、大きな損失を防ぐための予防策として、逆指値注文を事前に設定しておくなど、リスク管理を徹底するのがおすすめです。

5-3. レンジ相場になりやすい通貨ペアでトレードする

近しい経済圏に属する通貨ペアは、経済環境が似ているため為替相場が比較的安定しており、レンジ相場になりやすい傾向があります。具体的には、以下のような通貨ペアがレンジ相場を形成しやすいとされています。

  • 豪ドル/NZドル(AUD/NZD)
  • ユーロ/ポンド(EUR/GBP)

レンジ相場で安定的に利益を上げたい場合は、このように経済圏が近い通貨ペアでトレードすることが効果的です。

5-4. ボラティリティが増加するタイミングでエントリーしない

米国の雇用統計や失業率など、注目度の高い経済指標が発表される日は、特にボラティリティが高くなり、為替相場が急激に変動する傾向があります。

レンジ相場でのトレードでは、より安定したタイミングでの売買が基本です。そのため、政策発表や重要な経済指標の公表が予定されている場合には、事前にポジションを持つことを控え、発表後にボラティリティが落ち着くのを待つことが、利益を確保するための賢明な戦略といえるでしょう。

6. レンジ相場の注意点

レンジ相場でトレードを行う際の注意点として、以下の3点をおさえておきましょう。

  • 大きな利益を狙いにくい
  • 突然ブレイクアウトする可能性がある
  • だましがある

6-1. 大きな利益を狙いにくい

レンジ相場でのトレードでは、一定の値幅内での価格変動を利用し、小さな利益を積み重ねるのが基本となります。

一般的に、レンジ相場とは相場に明確なトレンドがなく、比較的安定している状態を指します。そのため、1回ごとのエントリーで得られる値幅(利益幅)も自然と小さくなりがちです。

例えば、米ドル/円が149円〜150円の範囲で推移しているレンジ相場では、150円付近で売り注文を入れ、149円付近で買い注文を入れるといったように、狭い値幅の中で繰り返しトレードを行うことになります。

このように、一回あたりの利益が小さくなるため、一度に大きな利益を狙いたいトレーダーにとっては、不向きな相場であるといえるでしょう。

6-2. 突然ブレイクアウトする可能性がある

レンジ相場でトレードを行う際は、サポートライン付近で買い、レジスタンスライン付近で売るというトレードを繰り返し、コツコツ利益を積み上げるという戦略が基本となります。

しかし、為替市場に絶対はないため、レンジ相場がブレイクアウトして価格が急激に変動する可能性は常にあります。

そのため、レンジ相場だから大丈夫と盲目的に売買を繰り返していると、予期せぬタイミングで大きな損失を負ってしまう可能性があります。

レンジ相場でのトレードは、比較的勝率が高くなりやすい一方で、一回あたりの利益は小さくなりがちです。そのため、相場が逆行してブレイクアウトした際に備えて、損切りラインをあらかじめ決めておくなど、徹底したリスク管理が不可欠です。
レンジ相場でトレードする際は、基本的に相場を常に確認できる状況にしておくことが望ましいです。外出や就寝などで相場から目を離す際には、レンジ相場だからと安心せずに、必ず逆指値注文を入れておくようにしてください。

6-3. だましがある

FX市場では、価格が一時的にレンジの外へ抜けたように見せかけた後、すぐに元のレンジ内へ戻ってしまう「だまし」も頻発します。
ブレイクアウトの可能性を考えて、レジスタンスライン(サポートライン)を突破した際に買い注文(売り注文)を入れるといった手法もありますが、必ず成功するとは限りません。
ブレイクアウトのタイミングを見極めるには、経済カレンダーなど各種経済指標も含めた総合的な判断が求められるため、初心者はブレイクアウトのタイミングを狙ったトレードは手を出さないほうがよいかもしれません。

7. レンジ相場を理解するとトレードに活用できる

レンジ相場とは、通貨の価格が一定の範囲内で上下し、明確なトレンドが見られない状態を指します。移動平均線やボリンジャーバンドなどのインジケーターを利用すれば、レンジ相場を比較的容易に見分けられるはずです。

レンジ相場では、適切なタイミングでエントリーをすれば、高い勝率でトレードを行うことが可能ですが、ブレイクアウトやだましのリスクも考慮し、損切りや逆指値注文などのリスク管理を徹底することが非常に重要です。

FX市場では、全体のおよそ7割程度がレンジ相場であるともいわれており、レンジ相場でのトレードができるようになるとトレードの機会が増えるといえます。本記事の内容を参考に、ぜひレンジ相場でのトレードに挑戦してみてください。

SBI FXトレードは業界トップクラスとなる「34種類」の通貨ペアがあり、1通貨単位から取引できるため、非常に少ない資金からFX取引が可能です。また、スプレッドは業界最狭基準となっており、利益を上げやすい環境が整っているため、初心者の方にも安心してご利用いただけます。

まずはSBI FXトレードで口座を開設し、FX取引を始めてみましょう。

最短5分口座開設はこちら無料

この記事を監修した人

SBIリクイディティ・マーケット株式会社
金融市場調査部長
上田眞理人

最短5分口座開設はこちら無料