UPDATE 2025.06.17
POST 2025.06.17
FX取引において広く活用されているアルゴリズム取引。感情に左右されずに自動で取引できるなど、多くのメリットがある人気の取引手法です。
SBI FXトレードではアルゴリズム取引はできませんが、取引手法の一つとしてアルゴリズム取引の概要や具体的にできること、メリット・デメリットなどを解説します。併せて、個人トレーダーがFX取引で失敗しないためのポイントもまとめているので、ぜひ参考にして下さい。
FXのアルゴリズム取引とはどのようなものなのか、概要や具体的な手法、システムトレード・自動売買との違いなどを解説します。
アルゴリズム取引とは、人工知能(AI)やプログラムが過去の相場データや市場の傾向、統計的な情報などを分析し、自動的に取引まで行う手法の総称です。
トレーダーの感情や直感に頼らず、冷静に市場データを分析して取引を行うため、手動よりも高い精度での売買が可能になります。
複数の要素が複雑に絡み合い、変動の予測がしづらい外国為替市場においても、それらをAIが総合的に分析してタイムリーに売買の判断を下すため、手動では追いつかないようなチャンスにも対応できるのが特徴です。
また、スキャルピングやトレンドフォローといった複数の取引戦略を同時に活用できるのもアルゴリズム取引の強みです。このような異なる戦略を効率的に組み合わせることで、リスク分散と利益最大化の両立を目指します。
アルゴリズム取引で特に有名なのが「HFT」です。HFTは「High Frequency Trading」の頭文字を取った呼び名であり、日本語では「高頻度取引」と訳される手法です。
HFTは、アルゴリズムを用いて短時間で膨大な注文を処理する自動売買の一種で、手動では不可能な速度で取引を行えることから、FXだけではなく、株式・債券・商品市場などでも広く活用されています。
HFTの主なメリットは、トレーダー1人当たりの取引量が大幅に増加することで市場の流動性が高まる点です。流動性が高まることで、自身が出した注文が約定しやすくなったり、スプレッド(売買の価格差)が縮小したりといった恩恵があります。
一方で、HFTが引き起こすリスクも指摘されています。例えば、複数のトレーダーが一斉にアルゴリズム取引による売り注文を出すと、膨大な売り注文によって短時間で急激な値下がりが引き起こされる可能性があるのです。
アルゴリズム取引と混同されがちな用語に「システムトレード(シストレ)」と「自動売買」があります。いずれも決められた取引ルールにしたがってコンピューターが自動的に取引を行うという点は共通していますが、FX会社などによって多少定義が異なります。
例えば、自動売買による取引手法そのものを意味する言葉として「アルゴリズム取引」「システムトレード」「自動売買」と複数の呼び名があり、実際に自動売買を行う際の取引ルールを「アルゴリズム」や「ロジック」と呼ぶ場合があります。
システムトレードや自動売買は数ある取引手法の1つで、それを行うためのツール(システム)と、そのツールに設定しておく取引ルール(ロジック)がある、ということを構造的に区別して理解しておくことが大切です。
FXのアルゴリズム取引では、複数の戦略を組み合わせて活用するのが一般的です。ここでは、特に代表的な6つの戦略とその概要を解説します。
トレンドフォローとは、テクニカル分析における指標を用いて現在の相場のトレンドを特定し、その流れに沿って取引を行う戦略です。
代表的なテクニカル指標として、移動平均線やトレンドラインなどが挙げられます。移動平均線は、一定期間の価格の平均を算出し、そのラインが上向きであれば上昇トレンド、下向きであれば下降トレンドと判断する指標です。一方、トレンドラインは過去の高値や安値を直線で結ぶことで、大局的なトレンドを視覚化する指標です。
トレンドフォローは、上昇トレンドでは買いポジション、下降トレンドでは売りポジションと、その時のトレンドに乗って取引を行うため、その時のトレンドさえ特定できれば比較的安定した利益を得られる傾向にあります。
モメンタムは「勢い」や「はずみ」を意味する言葉で、モメンタム戦略は過去の値動きの変化を分析し、現在の相場の勢いや方向性を数値化する手法です。
モメンタムの数値がプラスであれば上昇方向、マイナスであれば下落方向を表し、さらにその数値の大小が方向性の勢い・強さを表します。実際の取引においては、これらの分析結果を基に、その時の値動きの勢いが強い方向に取引を仕掛けるのが基本で、その方向性が終了したことを意味するシグナルが出るまで同一の戦略を継続します。
アルゴリズム取引を活用すれば、短期的な相場の変動やトレンドの変化も見逃さずに捉えることができるため、高速取引と相性の良い戦略といえるでしょう。
アービトラージとは、複数の市場や取引所間で発生する同一商品の価格差を利用して利益を得る手法で、裁定取引とも呼ばれています。
基本的に、多くの通貨ペアは複数の市場・取引所で売買可能ですが、FX会社によって若干価格が異なる場合があります。この価格差を利用し、ある通貨ペアを価格が安い市場・取引所から買い、高い市場・取引所で売ることができれば、その差額が利益になります。
一般的にアービトラージはリスクが低いとされていますが、手動で価格差を見つけるのは簡単ではなく、相場の急激な変動による影響を受けにくくするためには、迅速な判断と取引が求められます。
手動ではやや難易度の高いアービトラージですが、瞬時に判断と取引が行えるアルゴリズム取引とは相性が良く、手動では不可能な速度と取引量で利益を狙えるのです。
ただし、市場間の価格差がほとんどない場合や、その価格差が縮まらない場合は、利益よりも取引コストの方が高くなる可能性があるため注意が必要です。
スキャルピングとは、非常にスパンの短い短期売買を繰り返し、わずかな価格変動から小さな利益を積み重ねていく高頻度取引戦略です。
スキャルピングにおける1回当たりの取引は数秒から数分程度と、他の手法に比べて極めて短いのが特徴で、多くの取引を積み重ねることでトータルの利益を狙います。スキャルピングを成功させるには、素早い判断力に加え、操作とシステム双方のスピードが求められるため、初心者にはやや難易度が高い戦略とされています。
ただし、それはあくまで手動でスキャルピングを行う場合の話であり、アルゴリズム取引であれば特別なスキルがなくてもある程度再現可能です。
平均回帰とは、市場の価格は常に上昇と下降を繰り返しているものの、「価格は時間の経過によって平均値に戻る」という統計的な概念に基づいた戦略です。
平均回帰では、移動平均線やボリンジャーバンドなどのテクニカル指標を用いて、現在の価格が過去の平均値から大きく乖離している通貨ペアを見つけ出し、平均値に戻ることを見越して取引を行います。例えば、平均値よりも大きく上昇している場合は、平均値に向かって下がることを見越して売りポジションを取り、逆に下落している場合は買いポジションを取ります。
手動で行う場合は、平均値から大きく乖離している通貨ペアを探すだけでも大きな手間を要しますが、アルゴリズム取引であればこのような手間を大幅に削減できます。
ただし、この戦略は長期的には安定した利益を狙いやすい反面、一時的な価格の変動や市場の新しいトレンドなどによって予測が外れるリスクもあるため注意が必要です。
センチメント分析とは、市場参加者全体の心理を読み解くことで今後の価格変動を予測する手法です。
テクニカル分析を基準にする戦略が多いのに対して、センチメント分析では海外を含むニュース記事やSNSでの発言など、多くのトレーダーや投資家の感情・考えなども考慮するのが特徴です。あらゆるソースから情報を収集・分析して、それらの感情や予測が市場にどのような影響を与えるかを予測した後、最終的にどのポジションを取るかを決定します。
市場全体の心理が楽観的、あるいは悲観的のいずれかに偏っているほど予測が立てやすく、その偏りが極端な場合は反転が近い可能性も視野に入れて戦略を立てます。
センチメント分析を手動で行う場合は、膨大な情報に目を通すだけでも非常に労力がかかりますが、アルゴリズム取引であれば膨大な情報も短時間で効率よく処理できるでしょう。また、感情に左右されず客観的な判断を下せるため、分析の精度向上も期待できます。
手動で取引を行う場合と比べて、アルゴリズム取引には以下3つの大きなメリットがあります。
個人のトレーダーは、感情の起伏によって取引の判断を誤るケースが多々あります。
「もっと利益を増やしたい」「損をしたくない」という意識が根底にあることで、適切なタイミングでの利益確定や損切りがなかなかできない傾向にあるためです。特に、損失が出ている場面で損切りの判断が遅れることで、さらなる損失の拡大を招くケースが少なくありません。
一方のアルゴリズム取引では、事前にプログラムされたロジックやルールに基づいて機械的に取引が行われるため、そもそも感情を挟む余地がありません。仮に何らかの理由で急激に市場が変動した場合でも、事前に設定された戦略にしたがって普段通りに、淡々と取引を行うだけです。
このように、感情的な判断ミスを排除して取引を行える点はアルゴリズム取引の大きなメリットと言えるでしょう。同時に、FXで長期的に利益を出し続けるためには、感情に左右されずに規律ある取引を行うことが非常に重要です。
外国為替市場は、月曜日のウェリントン(ニュージーランド)早朝から金曜日ニューヨークの夕方まで、ほぼ24時間取引が可能です。
アルゴリズム取引は、トレーダーが仕事をしていて忙しい時間帯や、夜間の睡眠中でもシステムが24時間体制で市場を監視し、利益を狙えるチャンスがあれば自動的に取引を実行します。そのため、トレーダーの個人的なスケジュールに左右されることなく、24時間いつでもチャンスを狙えるのです。
当然ながら、人間のように疲れて集中力やパフォーマンスが低下することもなく、休憩する必要もありません。時差の影響を受けず、24時間常にチャンスを狙い続け、同一のパフォーマンスを発揮し続けられるのは、アルゴリズム取引ならではの大きなメリットです。
日常生活が忙しく、取引に十分な時間を取れない人にとっても、理想的な手法といえるでしょう。
トレーダーとしての専門知識や経験がなくても取引できる点も、アルゴリズム取引のメリットです。
本来、FX取引には専門用語や分析手法の理解に加えて、高度な分析能力、市場の動向を見極めるための知識や経験が求められます。実際に、そのような知識を身につけるには多大な労力と時間がかかるため、なかなか一歩が踏み出せなかったり、実際の取引まで辿り着けなかったりする人も少なくありません。
一方のアルゴリズム取引では、システムにあらかじめ取引のロジックや戦略が組み込まれており、そのルールにしたがって自動的に取引が行われます。そのため、一般的に必要とされる素養がない初心者でもすぐに取引を開始し、利益を狙うことができるのです。
より精度を高めたい場合や、適切なリスク管理を行うためには、ある程度の知識が求められますが、アルゴリズム取引を活用することでFXを始めるハードルが大きく下がるのは間違いありません。
アルゴリズム取引には多くのメリットがある一方で、複数のデメリットも存在します。ここでは特に代表的な以下3つのデメリットについて解説します。
アルゴリズム取引は高度な取引を可能にしますが、どんなプログラムであっても万能ではないことを理解しておく必要があります。市場は常に経済指標の発表や予期せぬ政治的な出来事など、複雑に絡み合う予測不可能な要素の影響を受けるためです。
アルゴリズム取引で対応できるのはあくまでも事前に設定したルールの範囲内のことであり、決して全ての状況に適切に対応できるわけではありません。突然の価格変動やイレギュラーな市場環境においては、アルゴリズムが正常に作動しなかったり、適切な判断を下せなかったりする場合もあります。
アルゴリズム取引のこのような性質を正しく理解した上で、アルゴリズムに依存しすぎず、トレーダー自身も必要に応じて介入し、臨機応変に対応することが求められます。アルゴリズム取引はあくまで補助ツールの1つとして扱い、最終的な意思決定はトレーダー自身で行うことが重要です。
アルゴリズム取引を取り入れることで、かえってコストが高くなる場合があります。
システムの開発には、多大な開発費用や維持管理費などがかかっています。FX会社が提供するシステムを利用する場合、このコストを回収するためにスプレッドを広げたり、取引手数料を徴収したりすることがあり、結果的にトレーダーが負担する取引コストが増加する場合があります。
一見すると微々たる負担に見えても、取引を重ねるごとに細かなコストが積み重なり、結果的に手元に残る利益が減少する可能性があります。特に、スキャルピングのような細かな取引を繰り返す手法では、わずかなスプレッドや手数料の差が大きな負担になる場合があるため注意が必要です。
全てのシステムやFX会社に当てはまるわけではありませんが、アルゴリズム取引やシステムの利用にはこのような側面もあることを知っておき、必要に応じてチェックすることが大切です。
SNSやインターネット掲示板などにおいて、「FXアルゴリズム取引で必ず儲かる」「リスクゼロ」といった広告を目にすることがあるかもしれませんが、このようなプログラムは詐欺の可能性が高いため十分注意しましょう。
外国為替市場はさまざまな要素が複雑に絡み合うことで日々変動しており、それらを正確に予測することは事実上不可能であり、ましてや「必ず儲かる方法」など存在しません。
詐欺を目的としたプログラムは、主に経験の浅い初心者をターゲットにしている場合が多く、実際にはシステムやロジックには謳っているような効果がないにも関わらず、高額な費用を請求される可能性があります。
このような詐欺に遭わないためには、口コミや評判をしっかり調べるなどの情報収集を行うことに加えて、実績や信頼がある会社が提供しているものを選ぶなどの対策が重要です。
個人トレーダーがFX取引で失敗しないために、最低限押さえておくべきポイントや具体的な対策方法を4つ解説します。
FX取引で失敗しないためには、FXの基本的なロジックを学ぶことが必要不可欠であり、これはアルゴリズム取引を行う場合も例外ではありません。
例えば、基本的な用語やFX取引の仕組み、市場の動向に対する理解、チャートの読み方やテクニカル分析などの指標の理解などが挙げられます。これらの基礎知識を土台として、リスク管理の方法を学び、適切にリスクをコントロールするすべを身につけ、自分に合ったトレードスタイルを構築・確立していくことになります。
アルゴリズム取引を活用することで、これらの知識がなくても十分通用する取引を行えます。しかし、市場は常に変化し続け、手法やツールは多岐にわたり、トレンドもその都度移り変わります。このような環境下で利益の最大化を目指し、長期的に利益を上げ続けるためには、遅かれ早かれこのような基本的なロジックを学ぶ必要があるでしょう。
可能な限り早い段階でしっかりと基礎知識を身につけることが、安定した取引を行うための第一歩といえます。
FX取引を始める際には、少額から取引を始めることをおすすめします。不慣れなうちから大きな金額で取引を行うと、損失が過度に大きくなるリスクが高まるためです。
最初は利益を得ることよりも、環境に慣れることや経験を積むことを目的とし、リスクを抑えた少額取引で回数をこなすことが非常に重要です。少額取引を行う中で、ツールの操作方法や市場の動きなどの感覚を掴めるため、徐々にスキルが磨かれていきます。
1回あたりの取引に必要な資金が少なければ少ないほど回数をこなせるため、少額で取引を行いたい場合は最小取引単位が小さいFX会社を選ぶことが大切です。
最小取引単位とは、取引できる最小の通貨数量を指し、1通貨〜10,000通貨程度とFX会社によって異なります。1ドル=150円だった場合、1通貨は150円、1,000通貨では15万円の資金が必要になるということです。
最小取引単位が小さければ損失も小さくなるため、練習のつもりで安心して取り組めるでしょう。
損切りルールを定めておくことも非常に重要です。
「損切り」とは、損失が一定の範囲を超えた場合に、それ以上損失が拡大しないように取引を終了させることを指します。しかし、「損をしたくない」「きっと価格は戻るはずだ」などの感情に左右されて適切な損切りのタイミングを逃し、損失が拡大してしまうというのがよくある失敗例です。
外国為替市場の先行きを100%正確に予測することは困難であり、どんなに経験を積んだトレーダーでも全ての取引で利益を出すことは不可能です。そのため、損失が出ることを前提として、その損失をいかに最小限に抑えるかを考える必要があります。
このような失敗を未然に防止するために、感情に流されることなく損切りを実行できるよう、あらかじめルールを設定しておく必要があるのです。損切りルールは、取引1回当たりの損失額や損失率など、自分にとって計算しやすい方法で、損失として許容できるラインで設定すると良いでしょう。
特に初心者のうちは、レバレッジをかけすぎないようにすることも大切です。
レバレッジとは、少額の資金でその何倍もの大きな取引ができる仕組みです。少額で大きな利益を狙える一方で、損失も比例して大きくなる特徴があります。
レバレッジは、FX取引における大きな魅力ともいえる要素ですが、初心者がレバレッジをかけすぎたことで、早々に大きな損失を被ってしまうケースが少なくありません。少額取引のケースと同じく、初心者のうちはリスクを抑えながら経験を積むことを重視しましょう。
焦らず機会をじっくり待つことを意味する「相場は明日もある」という相場格言があります。レバレッジを効果的に活用するのは、しっかり準備をして利益を出せる確率を高めてからでも決して遅くはありません。
人工知能(AI)やプログラムを用いて、自動的に相場の分析や取引まで行うアルゴリズム取引。人間には不可能なスピードで膨大な作業をこなし、安定的な取引をサポートしてくれる優れたツールです。
取引に必要なことはあらかじめプログラムされているため、専門知識のない初心者でもすぐに取引を開始できる上、24時間チャンスを狙えるなどのメリットがあります。
一方で、FX初心者が失敗しないためには、レバレッジをかけすぎず、少額取引で回数をこなしながら経験を積むことが非常に重要です。
SBI FXトレードは業界トップクラスとなる「34種類」の通貨ペアがあり、1通貨単位から取引できるため、非常に少ない資金からFX取引が可能です。また、スプレッドは業界最狭基準となっており、利益を上げやすい環境が整っているため、初心者の方にも安心してご利用いただけます。
まずはSBI FXトレードで口座を開設し、FX取引を始めてみましょう。
SBI FXTRADE
FX(外国為替証拠金取引)は異なる通貨を売買し、売買時のレートによって生じた差額で利益を出そうとする取引です。
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この記事を監修した人
SBIリクイディティ・マーケット株式会社
金融市場調査部長
上田眞理人