FXのボラティリティとは?通貨ペアや高くなる時間帯・時期、参考にしたい指標も解説 | SBI FXトレード

FXのボラティリティとは?通貨ペアや高くなる時間帯・時期、参考にしたい指標も解説

FX用語集

UPDATE 2025.05.02
POST 2025.05.02

FXのボラティリティとは?通貨ペアや高くなる時間帯・時期、参考にしたい指標も解説

1. FXのボラティリティとは?

FXにおけるボラティリティとは、為替相場の変動率の大きさを指します。

一般的に「ボラティリティが高い」といわれる場合は、短期間で大幅な価格の上下が発生している状況を指し、逆に価格が比較的安定しており、あまり変動しない状態を「ボラティリティが低い」と表現します。

ボラティリティが高い状況は、大きな値動きが期待できることを意味するため、多くのトレーダーは好意的に捉えます。ただし、値動きの大きさに応じてリスクも大きくなるため、必ずしもボラティリティが高い状態が良いとは限りません。

ボラティリティを活用して大きな利益を狙うには、ボラティリティに対する正しい知識や分析方法を身につけ、適切なリスク管理を行うことが重要です。

2. ボラティリティが高い通貨ペア・低い通貨ペアとは?

ボラティリティは市場の流動性に大きく影響を受けるため、通貨ペアによって大きく異なります。

流動性とは売買のしやすさを表す指標であり、市場に参加している売手と買手が多く、取引が成立しやすい状況を「流動性が高い」、逆の状況を「流動性が低い」と表現します。

一般的にはメジャーな通貨ペアは流動性が高く、価格が安定する傾向にあるため、ボラティリティは低くなります。一方、マイナーな通貨ペアほど流動性が低く、価格が急激に変動しやすいため、ボラティリティは高くなる傾向にあります。

それぞれの通貨ペアの一例は以下の通りです。

ボラティリティが低い通貨ペア(価格変動が安定しているメジャーな通貨ペア)

  • 米ドル/円(USD/JPY)
  • ユーロ/ドル(EUR/USD)
  • ユーロ/円(EUR/JPY)

ボラティリティが高い通貨ペア(価格変動が大きいマイナーな通貨ペア)

  • 南アフリカランド/円(ZAR/JPY)
  • トルコリラ/円(TRY/JPY)
  • メキシコペソ/円(MXN/JPY)

ただし、ボラティリティが低い通貨ペアでも、時間帯や時期によってはボラティリティが一時的に高くなる場合もあります。

ボラティリティを確認したい場合は、ランキングや一覧表を活用する方法もおすすめです。FX会社のサイトによっては、通貨ペアごとのボラティリティが期間別に集計され、ランキング形式やチャート形式などで表示されます。

ボラティリティは一般的にマイナー通貨の方が高くなる傾向にありますが、流動性などさまざまな要素によって左右されます。また、取引量の多い「ユーロ/円」「米ドル/円」がランキングに入ることもあり、全体的な値動きは比較的安定していながらも、重要な経済指標などによりボラティリティが高まることもある通貨ペアと考えられるでしょう。

ボラティリティのランキングは、Webサイトによって期間や集計方法(取引時間帯指定・時間足指定)を選択できる場合もあるため、自分にとって使いやすいWebサイトを見つけて活用しましょう。

3. FXのボラティリティが高くなりやすい時間帯や時期は?

FXのボラティリティは時間帯や特定の時期によっても変動し、これにはある程度の法則性があります。例えば、取引市場が開閉するタイミングや、重要な経済イベントなどが挙げられます。

ここでは具体例として、以下3つの時間帯や時期について解説していきます。

  1. ロンドン市場やNY市場が開いている時
  2. 仲値が決まる時間帯
  3. 要人発言・経済指標が発表された時

3-1. NY市場やロンドン市場が開いている時

FX取引において、ロンドン市場やNY市場が開いている時間帯は、特に市場参加者が多く流動性が高い時間帯です。

日本時間では、ロンドン市場は夏時間の場合15時頃(冬時間16時頃)、ニューヨーク市場は夏時間の場合20時頃(冬時間21時頃)から取引が開始され、20時(冬時間21時)頃から翌1時(冬時間2時)頃までは両市場が同時に開いているため、世界中のトレーダーが活発に取引を行います。

この時間帯は他の時間帯に比べて特に取引参加者が増えるため、マイナーな通貨ペアも含めて取引量が増加します。市場が活況になることで、マイナーな通貨ペアの取引が増えることに加えて、通常は価格が安定しているメジャーな通貨ペアでもニュースなどによって大きな動きが起こりやすくなるため、ボラティリティが高くなる傾向にあります。

3-2. 仲値が決まる時間帯

仲値(なかね)が決まる日本時間の9時55分前後も、ボラティリティが高くなりやすい時間帯です。

仲値とは、銀行などの金融機関が決定する、その日の取引における基準となる価格を指し、その1日は仲値の価格が適用されるのが一般的です。この仲値が決まる時間帯は取引が集中するため、ボラティリティが一時的に高まる傾向にあります。

また、ロンドン市場にも仲値と同様の制度があり、これをロンドンフィックス(フィキシング)と呼びます。ロンドンフィックスはロンドン時間16時(英国夏時間は日本時間の午前0時、冬時間は日本時間午前1時)に設定されており、ボラティリティが大きくなりやすい時間帯です。

3-3. 要人発言・経済指標が発表された時

要人発言や経済指標が発表された時も、ボラティリティが高くなる傾向にあります。

要人発言とは、政府や中央銀行の高官など、影響力のある人物が行う発言を指し、金融政策や経済の見通しに関する発言・発表などが代表的です。

一方の経済指標とは、国の経済状況を示すデータのことで、雇用統計・失業率・GDP・インフレ率などが挙げられます。要人発言同様に、これらの指標が発表されるタイミングもその指標の結果次第で価格変動が大きくなるため、多くのトレーダーが注目しています。

なお、FX取引ツールの中には、経済指標をカレンダーで確認できたり、これらの要人発言のニュースをチェックできたりする機能が搭載されているものもあるため、うまく活用すると良いでしょう。

4. FXでボラティリティを理解するメリットは?

FXにおいてボラティリティを理解することは、戦略やリスク管理の精度を高めることや、利益を最大化する可能性を高めることにもつながります。

ここでは、ボラティリティを理解することで得られる主なメリットを2つ解説します。

4-1. 利益確定や損切りのタイミングを見極めやすくなる

ボラティリティを理解することで、利益確定(利確)や損切りのタイミングを見極めやすくなるメリットがあります。

例えば、ボラティリティが高い時は設定していた利確ポイントまで短期間で到達することが多く、比較的スピーディーな意思決定が可能です。逆に、ボラティリティが低い時は値動きが緩やかなため、利確や損切りのタイミングを図りにくい傾向にあります。

また、ボラティリティ指標(インジケーター)などを活用することで、価格の変動幅をある程度予測できるため、適切な判断をするための目安にもなるでしょう。

4-2. リスク管理や取引戦略の構築に役立つ

ボラティリティを把握することは、リスク管理や取引戦略の精度向上にも役立ちます。

ボラティリティが高い時は、短期間で大きな利益を得られる可能性がある反面、急激な価格変動により大きな損失を被るリスクも高まります 。一方、ボラティリティが低い時は、安定した値動きでじっくり取引できる反面、利益を狙える機会も減少します。

このようなボラティリティの特性を理解しておくことで、取引数量やレバレッジを調整できるため、リスクを抑えた戦略的な取引が可能です。

5. ボラティリティが高い通貨ペアを取引する時の注意点!

ボラティリティが高い通貨ペアは価格変動が激しく、大きな利益を得るチャンスがある一方で損失を被るリスクも大きくなります。

ここでは、ボラティリティが高い通貨ペアを取引する際に、リスクを軽減するために特に知っておくべき2つの注意点を解説します。

5-1. 損失が大きくなるリスクがある

ボラティリティが高い通貨ペアは、大きな利益を得るチャンスがある一方で、損失も大きくなるリスクもあります。価格の急激な変動に対応できないと、短期間で想定外の損失をこうむる可能性があるためです。

ボラティリティが高い通貨ペアは、取引において素早く臨機応変な判断が求められるため、FX初心者は余裕を持って取引できるよう、ボラティリティが低い通貨ペアを選ぶのがおすすめです。加えて、ボラティリティに応じて取引数量を調整することもリスクの軽減につながるでしょう。

5-2. スプレッドが広がる可能性がある

ボラティリティが高い通貨ペアは、スプレッドが広がる可能性があることも理解しておく必要があります。

スプレッドとは、通貨ペアの買値と売値の差のことで、取引にかかるコストとなります。スプレッドが広がると取引コストが増加するため、結果的に利益が減少したり損失を出したりする可能性があることに注意しましょう。

ボラティリティが高い通貨や市場環境においては、突然スプレッドが広がるケースも珍しくないため、スプレッドの広さにも注意しながら取引を行うことが重要です。

6. ボラティリティの分析に役立つ指標(インジケーター)6選!

ボラティリティを分析するための指標は「インジケーター」と呼ばれており、取引の判断材料として多くのトレーダーに活用されています。

ここでは、以下の9種類の代表的なインジケーターの特徴や見方をご紹介します。

  1. IV(インプライド・ボラティリティ)
  2. HV(ヒストリカル・ボラティリティ)
  3. ボリンジャーバンド
  4. ATR(アベレージ・トゥルー・レンジ)
  5. DMI(方向性指数)
  6. VIX(ボラティリティ・インデックス/恐怖指数)

6-1. IV(インプライド・ボラティリティ)

IV(インプライド・ボラティリティ)は、オプション取引で将来の価格変動を予測するために用いられる指標で、「予想変動率」とも呼ばれています。

IVは、原資産価格・権利行使価格・金利・残存期間・原資産のボラティリティなどの要素から算出され、ボラティリティが上昇すればハイリスク、下降すればローリスクと判断できます。

IVが変動する要因には、市場の不確実性や大規模な経済イベントなどが挙げられ、重要な経済指標の発表前や要人発言が控えている時などに、IVが上昇しやすくなる傾向にあります。

IVを活用することで市場の先行きや価格変動を把握しやすくなるため、リスク管理の精度向上が期待できるでしょう。

6-2. HV(ヒストリカル・ボラティリティ)

HV(ヒストリカル・ボラティリティ)は、過去の価格変動を基に、将来のリスクを予測するための指標で、「歴史的変動率」とも呼ばれています。

HVが上昇している場合は、過去に上昇または下落による大きな価格変動があったことを示し、リスクが高まっている可能性を示唆します。逆に、HVが下降している場合は価格が安定しており、リスクが低いことを示しています。

HVの算出には、過去20日間や30日間における対象標準偏差や過去のデータが用いられるのが一般的です。HVは過去の値動きやボラティリティの実績を参考にしながら将来の価格変動を予測するため、相場の大きな変動を予測したり、ボラティリティの高い銘柄を見極めたりする際に役立てられています。

6-3. ボリンジャーバンド

ボリンジャーバンド

ボリンジャーバンドは、移動平均線と価格の標準偏差を基に、価格の変動範囲を分析するテクニカル指標で、一般的には20日移動平均線を使用しますが、取引スタイルに応じて期間を調整することも可能です。

ボリンジャーバンドでは、移動平均線の上下に描かれるバンドが価格の変動幅を示しており、実際の値動きはこのバンドの範囲内に収まる傾向にあります。そのため、バンドの幅が広がっている場合はボラティリティが高く、逆にバンドが狭くなっている場合はボラティリティが低いことを示します。

また、ボリンジャーバンドはボラティリティの分析以外に、トレンドの転換点を予測する際にも役立ちます。価格がバンドの上限または下限に接触した場合は、それまでのトレンドの反転を示唆することがありますが、強いトレンドが続く場合はさらにその方向に動くこともあるため、他の指標と組み合わせた分析が必要です。

6-4. ATR(アベレージ・トゥルー・レンジ)

ATR(アベレージ・トゥルー・レンジ)は、価格の変動幅における平均値を示す指標です。

具体的には、一定期間における以下の3つの中で、一番大きな値を採用し、その平均を取ることで算出されます。

  • 現在の高値と現在の安値の差
  • 現在の高値と前日の終値の差の絶対値
  • 現在の安値と前日の終値の差の絶対値

ATRは価格の変動がどれだけ激しいかを定量的に把握できる点が特徴で、ATRが上昇している場合はボラティリティが大きく、逆にATRが下降している場合はボラティリティが小さい状態を示します。

この指標はボラティリティの高低を客観的に評価できることから、特に損切りラインの設定やリスク管理に活用されています。

6-5. DMI(方向性指数)

DMI(方向性指数)は、価格の方向性を示すテクニカル指標で、価格が上昇・下降のどちらのトレンドにあるのか、またその強さを表しています。

DMI(方向性指数)

DMIでは、+DI(プラス方向の動き)と−DI(マイナス方向の動き)を比較し、これらが交差することでトレンドの方向を判断します。これにADX(平均方向性指数)という指標を加えることで、そのトレンドの強さも評価できるのが特徴です。ADXが上昇している時はトレンドが強く、ボラティリティも高いことを意味し、下降している場合はトレンドが弱く、ボラティリティも低くなっていることを示唆します。

この指標は、トレンドフォロー戦略と相性が良く、特にボラティリティの高い市場でのエントリータイミングを見極める際に役立つでしょう。

6-6. VIX(ボラティリティ・インデックス/恐怖指数)

VIX(ボラティリティ・インデックス)は、主に米国株式市場における投資家の心理的な不安感を測定する指標で、通称「恐怖指数」とも呼ばれています。

VIXは、S&P500株価指数オプションの価格を基に、今後30日間のボラティリティを予測するもので、VIXの数値が高いほど、市場参加者が今後の市場に対して不安や恐怖を感じていることを意味し、逆に数値が低い場合は、市場が安定していると見なされます。

一般的には、VIXが20以下の時は市場が安定し、20を超えるとその数値に応じて恐怖感が広がっていると判断できます。つまり、VIXの値が高ければ高いほど、狼狽売りなどによってボラティリティが高くなりやすいと考えられるでしょう。

7. FXでボラティリティを意識した取引のコツ

ボラティリティが高い時と低い時では、取引のやり方や手法が明確に異なります。ここでは、それぞれの状況に応じた具体的な取引のコツを解説します。

7-1. ボラティリティが高い時のトレード

ボラティリティが高い時は、短期間で大きな利益を得るチャンスが増える一方で、同時にリスクも高まる状況です。そのため、リスク管理を重視したトレード手法を選択することが重要です。

7-1-1. ブレイクアウト

ブレイクアウトとは、価格が一定のサポートラインやレジスタンスラインを突破し、新たなトレンドが発生する際を狙って取引を行う手法です。

この手法は、為替相場が長期間レンジ相場にある場合に有効で、レンジを突破するタイミングでボラティリティが高まる傾向にあり、大きな利益を狙える可能性がある点がメリットです。

一方、価格が予想とは逆に動く「だまし」や、ブレイクアウト後の急な価格逆転にも警戒する必要があります。

7-1-2. トレンドフォロー

トレンドフォローは、既に発生しているトレンドに乗る形でエントリーする手法です。

上昇トレンドの時は買い、下降トレンドの時は売りを行うのが基本で、トレンドが長期間続くほど大きな利益を得られる点がメリットです。また、トレンドに逆らわないため、比較的リスクを抑えやすい傾向にあります。

注意点は、トレンドの転換点を見極めるのが難しいことや、エントリータイミングを誤ると損失が拡大する可能性がある点です。

7-1-3. スキャルピング

スキャルピングとは、短時間で何度も取引を行い、小さな利益を積み重ねていく手法です。

ボラティリティが高い時は、短期的に見ると何度も利益を得るチャンスが来るため、数秒から数分以内で細かく取引を行うスキャルピングが向いています。ポジションを保有する時間が短いため、チャンスが多く損失を限定できる点がメリットです。

ただし、スキャルピングは短期間で何度も適切な判断をしなければならないため、技術や経験が必要不可欠であり、スプレッドにも注意が必要です。

7-2. ボラティリティが低い時のトレード

ボラティリティが低い時は価格が一定範囲内で推移しているため、ここまでにご紹介した手法で利益を狙うのは困難です。以下では、レンジ相場やボラティリティが低い時のトレードのコツをご紹介します。

7-2-1. レンジ相場の取引手法

レンジ相場では、価格が一定の範囲内で推移するため、価格がレンジの上限(抵抗線)に近づいたら売り、逆にレンジの下限(支持線)に近づいたら買いでエントリーする「逆張り」が基本です。

レンジ相場が続いている時はトレンドがなく、値動きの幅を予測しやすいため、このような手法が適しているとされています。ボラティリティが小さいため、スキャルピングほどではないものの、短期間で小刻みに利確や損切りの判断を繰り返す必要があります。

7-2-2. ブレイクアウトを待つ

レンジ相場では、ブレイクアウトを待つ方法も有効です。

価格がそのレンジをブレイク(突破)すると新たなトレンド相場へ移行するケースが多く、ボラティリティの高さやトレンドを活かした取引をしやすくなるためです。

ただし、ブレイクアウトはそれまでのレンジを突破した時点で成立するため、それまで辛抱強く待つことが大切です。ブレイクアウトが確認できたら、その時のトレンドの方向に沿って取引を行うことで利益を狙いやすくなります。

7-2-3. スワップポイントを狙う

レンジ相場では、スワップポイントを狙うのも良い方法です。

スワップポイントとは、異なる通貨間での金利差によって生じる利益を指し、ポジションを保有したまま翌営業日を迎える度に付与されます。ボラティリティが低い時は差益を狙いにくくなりますが、このような異なるアプローチであれば違った利益を狙えるでしょう。

ただし、金利差が変動することでスワップポイントが減少したり、逆に支払いが発生したりするため、価格と金利差の両方をチェックしておくことが重要です。

8. FXのボラティリティを理解し、指標を活用しながら上手に取引しよう!

ボラティリティは市場の状況や通貨ペアによって変動し、リスクと利益を効率的に管理する上で非常に重要な要素です。ボラティリティを測る指標は数多く存在しており、それぞれの特徴や読み取り方を理解しておくことで、ある程度の分析や予測が可能になります。

また、ボラティリティが高い時と低い時とでは、採用すべき手法や立ち回り方が大きく異なるため、状況に合った戦略を採用することが重要です。

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この記事を監修した人

SBIリクイディティ・マーケット株式会社
金融市場調査部長
上田眞理人

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