FXのスプレッドとは?取引への影響や変動する理由を紹介 | SBI FXトレード

FXのスプレッドとは?取引への影響や変動する理由を紹介

FX用語集

UPDATE 2025.05.02
POST 2025.05.02

FXのスプレッドとは?取引への影響や変動する理由を紹介

1. FXにおけるスプレッドとは?

スプレッドとは、直訳すると「広がり」を意味しますが、FXにおいては通貨ペアの売り値と買い値の差額を意味します。広い・狭いと表現されることが多く、スプレッドが広いとコストが高い、狭いとコストが安いということになります。

FXでは、投資家の売り値を「Bid(ビッド)」で表記し、買い値を「Ask(アスク)」で表します。

例えば、米ドル/円が「Bid150.10/Ask150.20」で取引されているとしましょう。この場合、米ドルを売る価格が、「1ドル=150.10円」となります。逆に米ドルを買う場合の価格は「1ドル=150.20円」となります。

この場合、差額の0.1円がスプレッドです。

ところで、テレビの番組内で表示される為替相場が「150.230〜150.430」と幅を持たせて表示されているのを見たことがある方は多いでしょう。テレビ番組内で表示されるのは金融機関間での為替相場の参考値を表しており、この場合150.230円が投資家の売り値であるBid、150.430円が投資家の買い値であるAskとなります。

ここからは、スプレッドがトレードに与える影響や、スプレッドを比較する際に重要な単位についてご紹介します。

1-1. スプレッドが広いと損?トレード利益に与える差を解説

FXを始める際には、スプレッドに注目すべきです。1回の取引では、スプレッドが1銭未満になることは珍しいことではありません。しかし、FXでは1日に何度も取引したり取引単位が大きくなったりするケースがあるため、スプレッドは無視できない要素です。

例えば、米ドル/円のスプレッドがA社では0.2銭、B社では0.5銭だったとしましょう。どちらも米ドルを1万通貨購入した際のコストは、A会社では20円ですが、B会社では50円となります。

1万通貨を取引した場合でも、スプレッドによるコストの差は30円です。FXの取引に慣れていない方は、この差ならどの会社で取引しても問題ないと思うかもしれません。しかし、FXは1度だけ取引するわけではなく、売買のたびに同等のコストがかかります。またレバレッジをかけるなどしてもっと大きな取引を行う場合、取引金額に応じてスプレッドによるコストが大きくなることも考慮すべきでしょう。

取引のコストを押さえ、手元に残る利益をなるべく減らさないようにするには、少しでもスプレッドが狭い会社を選ぶことをおすすめします。

また、スプレッドが狭い会社を利用すれば、より小さい値動きで利益を得られることにも注目すべきでしょう。さきほどのA社(スプレッド0.2銭)とB社(0.5銭)の例でいえば、買い注文を出した後に為替相場が狙った方向に0.4銭動いた場合、A社では売値が買値を上回りますが、B社ではまだ買値の方が高い状態になります。

さらに、通貨ペアによってもスプレッドは異なるため注意しましょう。例えば、米ドル/円が0.2銭で、ユーロ/円が0.4銭、ポンド/円や南アフリカランド/円が0.9銭などといったように、通貨ペアによっても異なります。これは、それぞれの通貨の流通量や需給による調達コストなどに差が発生するためです。

このように、通貨ペアによっても、FX会社によってもスプレッドは異なります。スプレッドが広いと、利益を出すのが難しくなります。できれば、少しでもスプレッドが狭い通貨ペアやFX会社を選んで取引を始めてみてはいかがでしょうか。

1-2. 覚えておきたいスプレッドの単位「銭」「pips」

スプレッドの単位には、2種類あることを理解しておきましょう。日本円を含む場合は、「銭」を使います。例えば、米ドル/円やユーロ/円、ポンド/円などでは、スプレッドの単位は「銭」です。

一方、日本円を含まない通貨ペアのスプレッドでは、「pip(ピップ)」を使います。例えば、ユーロ/米ドルや豪ドル/米ドル、米ドル/カナダドルなどでは「pips」となります。

pipは「percentage in point」の略で、通貨ペアの変動幅を示す最小単位のことです。pipの複数形がpipsとなります。

FXでは世界中の通貨を取り扱い、通貨ペアによって単位が異なります。それぞれの通貨に合わせてスプレッドを表示するのは分かりにくく、取引がスムーズに行われないでしょう。そのため、共通の単位として「pips」が登場しました。

1pipの値段はFX会社や通貨ペアによって異なりますが、SBI FXトレードの場合、1pip=0.0001通貨となります。例えばユーロ/米ドルであれば1pip=0.0001ドルです。

銭であってもpipであっても、小さい額であることが望ましいです。ユーロ/米ドルや豪ドル/米ドル、米ドル/カナダドルなど日本円を含まない取引を行う際には、1pipがどれほどの金額なのか、しっかり確認した上で取引を行いましょう。

2. なぜFX会社によってスプレッドが違うのか?

FX会社が決定するスプレッドには、各社が利用者にどの程度コストの負担を設定しているかという戦略のほか、各社の「カバー取引先」と呼ばれる提携金融機関の数やそのスプレッドなどが影響します。そのため会社ごとにスプレッドが異なるのです。

カバー取引先とは、銀行や証券会社などの金融機関のことです。FX会社はリスクを軽減するためにカバー取引先と提携し、顧客からの注文に対応できるようにしています。

カバー取引先はFX会社に対して独自の価格を提示するため、複数のカバー取引先を持つFX会社では自社に有利な価格を選ぶことが可能です。また、FX会社によって取引量や規模などが異なるため、取引量が多ければ、より多くの金融機関をカバー取引先とするのでその分スプレッドを狭くすることはできるでしょう。

FX会社を選ぶ基準には、通貨ペアの取り扱い数やスプレッドの狭さなどがありますが、カバー取引先の多さについても考慮しましょう。後述する通り、スプレッドは相場の急変などによって一時的に大きく変動する場合があるのですが、カバー取引先の多いFX会社は提示価格やスプレッドが安定しているため、そうしたリスクが少なくなります。

なお、SBI FXトレードのカバー取引先は、SBIリクイディティ・マーケット株式会社とバークレイズ・バンク・ピーエルシーの2社ですが、SBIリクイディティ・マーケット株式会社は約30社のカバー取引先を持っているため、低水準のスプレッドを実現しています。

2-1. スプレッドの原則固定・変動制とは

現在、多くのFX会社では、主要な通貨ペアに原則固定のスプレッドを採用しています。原則固定とは、その名の通り原則としてスプレッドが事前に提示した値で固定されることを指します。

これに対して、一部のFX会社やマイナーな通貨ペアでは、変動制のスプレッドが採用されていることがあります。この場合、スプレッドは外国為替市場の状況などによって変動します。

取引の度にスプレッドが変動すると利用者は取引しにくいため、現在は原則固定が主流となっていますが、原則固定だからといってスプレッドが変化しないわけではないことに注意してください。以下では、原則固定を採用していてもスプレッドが変動するケースや、そうした事例に備えるため、チェックしておきたいスプレッドの提示率について解説します。

2-2. 朝は高い?原則固定でもスプレッドが変動するケース

今では多くのFX会社が主要通貨のスプレッドを原則固定にしていますが、「原則」とある通り、以下のようなケースではスプレッドが広がることがあります。

  • 為替相場の急変時
  • 為替相場の流動性が低下している状況
  • 重要な経済指標が発表される時間帯

スプレッドが変動する状況として代表的なのは、政変や震災などによって為替相場が急変するタイミングです。

これまでに相場の急変があったケースとしては、2011年に発生した東日本大震災による急激な円高や、2016年にイギリスがEUから離脱した際の大幅なポンド安などが挙げられます。こうした状況では、スプレッドが広がります。

また、通貨の流動性が大きく低下した場合にも、通貨の調達が困難になりスプレッドが変動することがあります。流動性とは、売買量の多寡を示す言葉です。流動性が高い通貨ペアは取引量が多く、変動幅が比較的小さい傾向にあります。

クリスマスや年末年始などの時期は、投資家やトレーダーの多くが休暇に入るため、取引量が少なく、流動性が低い時期と言えます。また、週明けや週末の時間帯には、市場参加者が極端に少ないため、流動性が低いと言えるでしょう。

流動性の低下は、スプレッド拡大の直接的な原因になるだけでなく、為替相場の急変を引き起こし、それがスプレッドのさらなる拡大を招く場合もあります。

原則固定のスプレッドは安心して取引ができる点がメリットと言えます。しかし、上記のようにスプレッドが広がる可能性がある点は理解しておきましょう。

2-3. スプレッド提示率とは

原則固定のスプレッドを採用しているFX会社を選ぶ際には、スプレッド提示率を確認することが大切です。

スプレッド提示率とは、取引できる時間帯の中で、スプレッドが公開された基準以下になっていた時間の割合を指します。原則固定を採用する場合、FX会社には直近4週間程度でスプレッド提示率95%以上を維持することが求められます。

例えば、あるFX会社のWEBサイトに公開されている米ドル/円のスプレッドが0.2銭だとします。その会社のスプレッド提示率が96%だった場合、過去4週間の取引可能な時間帯のうち4%は、スプレッドが0.2銭を上回っていたことを意味します。

FX会社を選ぶ際にはスプレッドの狭さも大切ですが、提示率の高さにも注目することで、想定外のコストを抑えることができます。

3. 主要な通貨ペアのスプレッドを紹介

SBI FXトレードで取り扱っている主な通貨ペアのスプレッドの基準値は、以下の通りです。

通貨ペア スプレッド
米ドル/円 0.18銭
ユーロ/円 0.38銭
ポンド/円 0.88銭
豪ドル/円 0.48銭
NZドル/円 0.68銭
カナダドル/円 0.58銭
南アフリカランド/円 0.78銭
トルコリラ/円 1.58銭
メキシコペソ/円 0.18銭
スイスフラン/円 0.78銭
ユーロ/米ドル 0.30pips
豪ドル/米ドル 0.40pips
米ドル/カナダドル 1.50pips

※期間:2025年1月2日(木)7時00分~2025年2月1日(土)6時30分
※上記は、注文数量が1~1,000,000通貨の場合に適用されるスプレッドとなります。

ここからは、上記の中でも特に日本での取引が多い以下の3通貨ペアの特徴や、SBI FXトレードのスプレッド水準について解説します。

  • 米ドル/円
  • ユーロ/円
  • ポンド/円

3-1. 米ドル/円

米ドル/円は、米ドル/ユーロに次ぐ世界第2位の取引高がある通貨ペアです。2022年10月に発表された国際決済銀行(BIS)の調査によると、世界の為替相場での取引額の中で米ドル/円のシェアは、13.5%です。

米ドル/円は流動性が高いことも特徴として挙げられます。米ドルが世界で最も取引されている通貨であり、日本円がアジアの中で最も流通する通貨であるためです。

米ドル/円のスプレッドは、一部1.0銭を提示する会社もありますが、多くの場合0.2銭が一般的です。

米ドルと日本円がいずれも日本人にとってなじみ深い通貨ペアであるため、米ドル/円は初心者におすすめできる通貨ペアです。

3-2. ユーロ/円

ユーロ/円も、日本国内では人気が高い通貨ペアと言えます。ユーロは世界第2位の取引量を誇る通貨です。日本円の取引量は世界第3位であるため、2位と3位を組み合わせた通貨ペアであり、流動性が高いです。

一般社団法人金融先物取引業協会の調査によれば、2023年におけるユーロ/円の国内取引高は3,755億200万円で、米ドル/円とポンド/円に次ぐ量となっています。

ユーロ/円のスプレッドは、0.38〜0.4銭を採用するFX会社が多くなっています。

3-3. ポンド/円

一般社団法人金融先物取引業協会の調査によれば、ポンド/円は店頭外国為替証拠金取引での取引量が米ドル/円に次いで2番目に多い通貨ペアです(2025年1月)。英国は世界有数の経済規模を誇り、首都であるロンドンには世界最大級とも言える金融街があります。

政治的にも経済的にも世界から注目を集めている国であることから、ポンド相場の変動に関するニュースは日本国内にも入ってきやすいため、日本人にとって取引しやすい通貨と言えるでしょう。流通量が多く、比較的変動幅が大きいことから、短期トレードを好む投資家には特に注目されている通貨ペアです。

ポンド/円のスプレッドは、0.6〜0.9銭を採用するFX会社が多くなっています。

4. スプレッドの狭い会社で口座開設しよう

スプレッドとは通貨を買う時と売る時の価格差のことです。その差額が大きくなると利益が出にくくなるため、注意が必要です。スプレッドは、通貨ペアによってもFX会社によっても異なります。

最近では多くのFX会社が、利用者の利便性を重視し原則固定のスプレッドを採用しています。しかし、政変や震災などによって為替相場が急変した場合など、原則固定であってもスプレッドが変動する場合があることは理解しておきましょう。

FXを始める際には、スプレッドがなるべく狭く、スプレッド提示率の高い会社を選ぶことをおすすめします。SBI FXトレードは、業界最狭クラスのスプレッドを提供しており、口座開設はオンライン申込なら5分で完了します。少額から取引でき、気軽に試せるため、初めてFXをする方にもおすすめです。

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この記事を監修した人

SBIリクイディティ・マーケット株式会社
金融市場調査部長
上田眞理人

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