UPDATE 2025.04.15
POST 2025.04.15
中国人民元は中国の法定通貨であり、日本の外貨預金やFXを通じて投資が可能な通貨の一つです。中国の経済成長に伴う国際的な評価の向上や金利水準の高さを背景に、投資家の間で注目を集めています。この記事では、中国人民元対日本円の為替レートについて、現在の状況や過去の推移を詳しく解説します。
今後、中国人民元への投資を検討している方は、ぜひ参考にしてください。なお特記がない限り、為替レートは2025年2月時点のものとなっています。
中国人民元の為替レートは管理変動相場制により相対的に安定していますが、中国経済の成長や国際的な信用力の向上を背景に、対日本円では上昇傾向にあるのが特徴です。ここでは、中国人民元の価値向上の背景について詳しく説明します。
オンショア人民元は管理変動相場制を採用しており、中国当局によって毎日人民元の基準値が設定されています。基準値に対して、対ドル為替レートが1日最大2%までしか変動しないように制限されているのが特徴です。このため、中国人民元/円の為替レートは、米ドル/円のレートと連動する傾向があります。
オフショア人民元にはこうした規制がなく、為替レートの変動は自由です。そのため、オフショア市場では、市場参加者や取引量が多く、投資対象として取引しやすい環境が整っています。
自由な市場であるがゆえに、中国国内およびグローバルな状況の変化にいち早く反応する傾向にあります。短期的には大きな値動きをすることがあるため、リスク管理が必要です。特に、予測困難な経済イベントや政治的な出来事が発生した場合、オフショア人民元のレートが急速に、大きく動く可能性があります。
中国は現在、アメリカに次いで世界第2位のGDPを誇る経済大国です。中国の経済成長は驚異的であり、2024年現在、複数の中国企業が世界の時価総額トップ10にランクインするほどの影響力を持っています。
2016年には、国際通貨基金(IMF)が中国人民元を特別引き出し権(SDR)に組み込み、中国人民元は国際通貨としての地位を確立しました。
これを契機に、中国人民元は世界中の中央銀行が保有する外貨準備の一部となり、通貨としての信頼性を確立しました。中国人民元の取引量や保有割合が増加し、ますます国際金融市場における重要性が高まっています。
2024年6月時点での中国の政策金利は3.45%でした。その後7月に3.35%に、10月に3.10%に利下げしたものの、依然として日本より高い水準にあります。中国人民元の預金金利も日本円と比較して高水準であり、長期で預金に預ければ、潤沢な利息収入が期待できます。
しかし、2024年10月に利下げを行ったように、今後の金利動向には注意が必要です。今回の利下げは、中国国内の景気回復が期待される中で実施されましたが、景気悪化時には、経済を下支えする目的でさらに積極的な利下げが実施される可能性もあります。
金利収入が少なくなる要因となる利下げは、中国人民元の価値に直接影響を与える要因となります。幸い現状は目立った人民元安とはなっていませんが、利下げ幅が大きい場合には中国人民元安円高に転じて為替損失が発生するリスクもあります。政策金利の動向や、政策に影響を与えうる経済の変化には、常に着目していきましょう。
中国人民元/円の為替レートは、2025年2月時点で1元あたり21円前後の推移となっています。対日本円で見ると、中国人民元の価値は2024年初来5%以上上昇しました。過去5年間の動きを見ると、2019年にはアメリカの中国に対する関税強化の影響により、人民元は一時的に1元あたり14円台まで下落しました。
その後は中国政府の経済政策の進展や市場の調整が一巡したことにより、徐々に回復傾向を見せています。2020年後半以降は、ゼロコロナ政策により中国経済が一時的に停滞した局面があったものの、中国の経済成長による人民元の価値向上と日本円の低い金利水準により人民元高円安が進行しました。
新興国でありながら世界第2位の人口、経済規模を誇る中国の経済は、今後も堅調な成長が見込まれます。ただし、米国との対立や少子高齢化の進行、不動産市況の悪化といったリスク要因もあります。中国の経済動向や他国との関係性を注視しながら投資を検討しましょう。
中国人民元は、中国国内で法定通貨として使用されるオンショア人民元(CNY)と、中国本土以外で取引されるオフショア人民元(CNH)があります。また、為替レートは中国政府の規制や政策の影響を強く受けるのが特徴です。ここでは中国人民元の概要をご紹介します。
オンショア人民元は、中国国内の市場で取引されるものであり、政府の規制が強く適用されています。一方、オフショア人民元は中国本土以外の市場で取引されるもので、特に香港やシンガポールなどで広く取引されています。
オフショア人民元は、海外の投資家が自由に売買できる市場で、日本の投資家も通常はオフショア人民元へ投資します。オンショア人民元と比べて値動きが激しい傾向があるのが特徴です。
短期的にはオンショア人民元とオフショア人民元の為替レートが異なる動きを見せることがありますが、長期的にはほぼ同じ方向に動きます。
中国人民元の為替レートは、中国政府の意向や政策の影響を強く受けています。特にオンショア人民元は、政府による管理変動相場制が適用されており、為替レートの変動幅が制限されています。
オンショア人民元の価値は相対的に安定しているものの、市場の自由な取引が制限されていることから、オフショア人民元の為替レートに対する影響力は限定的です。オフショア人民元は、比較的自由な市場で取引されるため、流動性のある一般的な通貨と同様に、その時々の状況や需給に応じて値が動くのが特徴です。
近年でいえば、2016年以降はアメリカとの対立に伴う関税の引き上げが中国人民元の下落要因となる時期がありました。2020年以降では、ゼロコロナ政策の影響を受ける局面もありましたが、その後は中国の堅調な経済成長が土台となって中国人民元高円安が進んでいます。
2020年以降、中国人民元は日本円に対して着実に上昇傾向です。2020年には1.21%、2021年には14.60%、2022年には4.75%、2023年には5.11%と上昇し、2024年にはさらに8.43%の上昇を記録しています。
2022年と2023年には2015年以来となる1人民元20円台に到達しました。2024年1月以降は概ね20~22円台で推移しており、長期で見ると中国人民元の価格は引き続き上昇傾向です。
2024年1月から2025年2月18日までのオフショア人民元最安値は2024年9月16日の19.68円あたり、最高値は2024年7月11日の22.21円あたりとなっており、中国人民元は日本円に対して底堅いパフォーマンスを維持しています。中国経済の回復と日本の低金利政策が影響していると考えられます。
画像:CNH/JPY(SBI FXトレード WEB NEXT)
中国人民元は少額からFXで投資ができる他、金利差が大きく、スワップポイント収入が期待できる点が魅力です。ここからは、中国人民元でFX投資する魅力についてご紹介します。
中国人民元は米ドルやユーロに比べると為替レートが低いため、少額から取引できます。2025年2月時点では、中国人民元/円のレートは21円前後で推移しており、例えばレバレッジ25倍で1,000通貨単位を取引する場合、1,000円以下の証拠金で取引できる計算です。10,000円も預ければ、レバレッジを抑えた投資もできます。
少額取引であれば、初心者でもリスクを抑えて投資経験を積むことが可能です。損失を最小限に抑えながら取引できるため、徐々に投資に慣れていけます。また、中国人民元は新興国通貨としては値動きが穏やかなのが特徴です。その点でも、初心者が取り組みやすい通貨の一つといえます。
中国人民元/円の通貨ペアは金利差があるため、日本円を売って中国人民元を買うとスワップポイントを獲得できます。スワップポイントとは、通貨間の金利差によって発生する利益で、ポジションを保有している限り毎日発生します。
スワップポイントは、長期的なポジションを保有する投資家にとって魅力的な収益源です。中国人民元/円の通貨ペアで買いのポジションを持つ場合は、日本円の低金利と中国人民元の高金利の差額を毎日受け取れます。
なお、スワップポイントは頻繁に変動するため、毎日同じ利益を得られるとは限りません。金利政策の変更や為替相場の動向によってスワップポイントが変わることがあり、またFX業者によっても水準が異なります。
さらに、保有期間中は為替変動の影響を受ける点に注意が必要です。せっかくスワップポイントが手に入っても、中国人民元安が進めば損失が発生します。常に経済動向や為替相場を見ながら投資すべきかどうかを判断しましょう。
中国人民元/円相場の今後の動向と取引時の注意点についてまとめました。中国人民元に投資をする上での参考にしてください。
中国はゼロコロナ政策が終了したのち、一時は不動産市況悪化の影響を受けていました。しかし、政府のテコ入れ策やトランプ関税前の駆け込み外需により、2024年は5%成長の目標を達成しました。
今後数年間は中国の成長力は大きく低下するとの予測もあり、引き続きGDPや住宅市況、それに対する政府対応策を注視していく必要があります。経済が再び成長軌道に乗り中国共産党の目標を達成するには、年平均で4.7%強の実質成長が必要との計算もあり、今後発表されるGDPのベンチマークとなり得るかもしれません。
中国の経済状況や政治的なリスク、国際関係の変化などの不確定要素が多いため、為替相場の動向を常に注視する必要があります。
特に米中関係や中国国内の政策変更は、中国人民元に大きな影響を与える可能性があるため注意が必要です。米国の金融政策や貿易摩擦が中国経済の重しとなり、中国人民元が急落するリスクもあります。
また、低金利と言われる日本の動向にも注意しましょう。2025年1月には日銀で利上げが実施され、日本の政策金利は0.50%に上昇しています。現状はインフレが安定的に2%前後で推移する中、今後も利上げが実施される可能性があります。日中の金利差が縮小すれば、中国人民元安円高要因となります。
中国人民元の相場は、中国当局の意向によって大きく影響を受ける傾向があります。政策の変更や当局の発言などが為替レートに大きく影響を与えるため、取引を行う際には常に最新の情報を把握しましょう。
また、中国人民元は米ドルやユーロなどの主要通貨と比べて流動性が低い傾向にあります。相場が急激に変動する可能性があり、リスク管理に注意を払わなければなりません。中国国内の政治や経済状況の変化次第では、短期間で大きな値動きとなる可能性があるため、取引時には注意が必要です。
2024年10月には、中国人民銀行が政策金利の引き下げを発表し、不動産不況を背景に景気の先行きに不透明感が広がっています。景気悪化が現実のものとなると、中国人民元安が進む恐れがあります。また、政策金利が4%台となっている米ドルとの金利差が、中国人民元安の下落要因となるリスクもあるので注意しましょう。
中国人民元は2025年2月現在で政策金利が3.10%もあります。新興国通貨としては為替変動が緩やかな通貨でもあるため、スワップポイント狙いで長期運用するのに適した通貨です。為替レートの絶対値が低く、少額取引に適した通貨であるのも魅力の一つといえます。
一方で、さらなる政策金利の引き下げや中国国内の経済状況の悪化などによるスワップポイントの引き下げや、中国人民元安の進行には注意が必要です。投資する場合には、常に中国の経済や政治動向に着目していきましょう。
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この記事を監修した人
SBIリクイディティ・マーケット株式会社
金融市場調査部長
上田眞理人