UPDATE 2025.06.24
POST 2025.06.24
FXのファンダメンタルズ分析という言葉を知ったものの、「具体的に必要なデータやメリットなどが分からない」と疑問に思っているのではないでしょうか?
FXのファンダメンタルズ分析は、中長期のトレードに適している分析手法です。中長期のトレードを行う場合、ファンダメンタルズ分析が重要だといえるでしょう。
今回はファンダメンタルズ分析の基本から必要なデータ、活用するメリット・デメリット、活用方法、よくある質問まで解説します。ぜひ参考にしてみて下さい。
FXにおいて、中長期の相場を予想する際に有効な分析手法が「ファンダメンタルズ分析」です。ファンダメンタルズ分析を有効活用することで、大きなトレンドの波に乗れる可能性があり、結果的に大きな利益につながることがあるでしょう。ぜひファンダメンタルズ分析について理解を深めていただき、トレードに役立ててみて下さい。
ファンダメンタルズ分析とは、各国の経済状況や金融政策、地政学リスクなどを考慮して相場の流れを予測する分析手法です。ファンダメンタルズは「経済の基礎的条件」という意味があり、国の状況に影響する要因によって相場が動きます。国にとってポジティブな内容であれば通貨が買われて価値が上昇し、ネガティブな内容であれば通貨が売られて価値が下落するでしょう。
主に注目されるのは「経済指標」「金融政策」「財政政策」「要人発言」「地政学リスク」という5つの要素です。これらの要素は短期間で解決・変更されにくく、中長期にわたり続く可能性があります。
ファンダメンタルズ分析に慣れないうちは難しく感じ、内容が理解しにくいでしょう。しかし少しずつ専門用語や経済などについて理解していくことで、徐々に相場への影響や、今後の流れが見えてくるようになります。
FXには大きく分けて「ファンダメンタルズ分析」と「テクニカル分析」という2つの分析手法があります。ファンダメンタルズ分析は、各国の失業率やGDPなどの経済指標、金融政策、特定の地域の紛争や政治的緊張などの影響である地政学リスクなどから相場を予想する分析手法です。主に中長期トレードに適しているといわれています。
一方でテクニカル分析は、過去の価格や取引量などデータから相場を予想する分析手法です。テクニカル分析ではインジケーターと呼ばれる、チャート上に表示される指標を活用します。インジケーターで有名なものには「移動平均線」「MACD」「RSI」「ストキャスティクス」「ボリンジャーバンド」などがあります。
これらのインジケーターを使って相場を予想します。主に短期トレードに適している分析手法です。トレードを行う際は、トレードスタイルに合わせて分析手法を選択し、バランスよく組み合わせることが大切です。
FXのファンダメンタルズ分析を行う際に、主に注目され必要とされているのは「経済指標」「金融政策」「財政政策」「要人発言」「地政学リスク」の5つです。これらの要因は相場を大きく変動させる力があるため、注目しておく必要があります。5つの要因を詳細に解説するので、ファンダメンタルズ分析を行う際の参考にしてみて下さい。
経済指標は、国や公的機関が発表する信頼性の高い経済データです。今回は、特に注目される重要な経済指標をピックアップして解説します。
経済指標 | 特徴 |
---|---|
雇用統計 | 多くの経済指標の中でも注目度が高く、雇用関連のデータ(失業率や新規就業者数など)を示したもの。特にアメリカの雇用統計は発表後に相場が大きく変動することが多い。 |
GDP(国内総生産) | 各国の経済規模を示す重要な指標で、一定期間内に生み出されたモノやサービスなどの総額を示す。経済の勢いを判断する材料として使われ、特にアメリカのGDPが注目される。 |
小売売上高 | 消費者がモノやサービスに「いくら使ったか」の総額を示したデータで、個人消費の動向を把握するのに役立つ。景気の先行指標としても重要で、特にアメリカの小売売上高が注目される。 |
CPI(消費者物価指数) | 消費者が購入したモノやサービスの価格変動を測ったデータで、インフレやデフレの判断材料になる。特にアメリカのCPIが注目される。 |
ISM製造業景気指数 | アメリカの製造業の景気を示す経済指標で注目度が高い。製造業各社にアンケートを行い、結果をまとめて算出される。製造業の景気状態をいち早く把握できる。 |
経済指標を確認する際は、FX会社が提供している経済指標カレンダーの活用が便利です。重要指標の発表スケジュールや予想値、前回値などを簡単に確認できます。
金融政策は、中央銀行が経済状況を判断しながら金利や通貨量を調整する政策です。特に注目されているのが「政策金利」で、多くのトレーダーが注目しています。政策金利を調整する影響は以下の通りです。
また、政策金利は、スワップポイントにも影響を与えることを覚えておきましょう。
スワップポイントは、通貨間の金利差による利息に相当する額のことです。例えば、ある国の金利が引き上げられることで高金利通貨との金利差が小さくなってスワップポイントが減り、逆に金利が引き下げられることで高金利通貨との金利差が大きくなってスワップポイントが増えます。
金融政策は他の要因よりも分析の難易度が高めではあるものの、スワップポイント狙いのトレーダーは理解しておく必要があるでしょう。
財政政策は、政府が税金や公共事業などを通じて経済を調整する政策です。財政政策には主に以下のような例があります。
財政政策によって経済が活性化すれば、通貨が買われやすくなります。一方で、支出が過剰になり財政の持続可能性に疑問が生じると、通貨が売られる要因になります。また、政府の介入度合いにより、相場への影響力が変化することも覚えておきましょう。
このように、財政政策は国の経済状況や相場に大きな影響を与えます。財政政策の内容によっては中長期で注目されることがあるため、トレンドが発生した際にその波に乗ることで、大きな利益を得られる可能性があります。
要人発言は、各国の重要人物による発言のことです。会見やインタビューなどの場で発言することが多く、内容次第では相場に大きな影響を与えます。注目すべき重要人物は、以下の通りです。
特にアメリカのFRB関係者や地区連銀総裁の発言は、世界的に大きな影響を与えることがあります。要人発言が経済指標カレンダーで事前に分かっている場合には、それに向けて戦略を練ることができるでしょう。
ただし、予想外のタイミングで要人発言が行われるケースがあり、相場が急変するリスクがあります。そのため、他のファンダメンタルズ分析よりも、難易度が高めであることを理解しておきましょう。
地政学リスクとは、ある特定の国、地域が抱える政治的・軍事的な緊張の高まり、あるいは災害などの影響によりその国、地域あるいは世界経済の先行きが不透明になるリスクのことです。地政学リスクが高まることで国の経済状況が不安定になるため、先行きの不透明感から通貨が売られやすくなります。地政学リスクは中長期にわたり継続することが多く、中長期トレードの際に注目されやすい要因といえます。
近年では、コロナウイルスやロシアのウクライナ侵攻の影響により、相場が大きく変動しました。日本円を例に見てみましょう。コロナショックでは、世界的な先行きの不透明感から安全資産である日本円が買われて円高になりました。
一方、ロシアのウクライナ侵攻を受けて、各国で物価が高騰し、インフレを抑えるために政策金利が引き上げられました。対して日本は、引き続き低金利政策を維持していたため、高金利通貨である米ドルやユーロなどが買われ、日本円が売られたことで円安が進行しました。
このような地政学リスクは突発的に起こることがあり、事前に予測することが困難だといえます。日々のニュースで情報を収集しながら、中長期的視点で戦略を立てることが重要です。
ファンダメンタルズ分析のメリットは主に3つあります。
ファンダメンタルズ分析のメリットを把握しておけば、トレードの精度が上がり、利益を出しやすくなるでしょう。ぜひ覚えておいて下さい。
ファンダメンタルズ分析は、中長期トレード向きの分析方法です。ファンダメンタルズ分析では、各国の経済指標や金融政策、地政学リスクなどを考慮して相場を予測します。これらの要因は短期間で解決・変更される可能性が低く、中長期で相場に影響を及ぼすでしょう。
そのため、ファンダメンタルズ分析を行うことで、中長期のトレンドを予測しやすくなります。トレンドは短くても数週間から数ヶ月、長ければ数年にわたり継続する可能性があります。ファンダメンタルズ分析を活用して中長期のトレンドに乗ることができれば、安定した利益を確保しやすくなるでしょう。
短期で頻繁にトレードを繰り返すよりも、中長期で落ち着いてトレードしたい場合に有効です。
ファンダメンタルズ分析を活用することで、リスク管理がしやすくなります。ファンダメンタルズ分析を行うことで、重要な経済指標や金融・財政政策、要人発言を事前に把握しやすくなります。特に経済指標は経済指標カレンダーを見ておくことで、具体的な発表時間が分かります。
経済指標の発表前後は相場が不安定になりやすく、予測できない変動が発生しやすい状況です。事前に発表時間を把握しておけば「発表前後にトレードを行わない」といった対策が立てられ、予期せぬ変動リスクを抑えることができます。
金融・財政政策に関しても、ニュースを見て把握しておけば、事前にリスク管理がしやすくなるでしょう。ただし、突発的な要人発言や地政学リスクもあることを理解しつつ、常に警戒を怠らず備えておくことが重要です。
ファンダメンタルズ分析では、相場の変動タイミングが事前に予測しやすいという利点もあります。経済指標や中央銀行の金融政策の発表など、相場に大きな影響を与える要因は、あらかじめスケジュール化されていることがほとんどです。いつ相場が変動するのかを事前に把握することができ、トレードの準備をすることができます。
また、トレードのタイミングを事前に把握できる場合は、発表内容に応じた戦略を考えることも可能です。例えば、経済指標が良い結果になった時の戦略、悪い結果になった時の戦略を考えておけば、実際の結果に応じて臨機応変に対処できます。
突発的な要人発言や地政学リスクといった予測困難な要因を除けば、相場が変動するタイミングが分かりやすいことは、リスク管理にもつながるでしょう。
ファンダメンタルズ分析には、3つのデメリットがあります。
メリットだけではなくデメリットも把握しておくことで、よりトレードの精度が上がりやすくなるでしょう。ぜひ、デメリットに対する理解も深めてみて下さい。
ファンダメンタルズ分析は、短期トレードに向いていないといえます。ファンダメンタルズ分析の要因である経済指標や金融政策などは、短期の価格変動を予測するには不十分です。一時的に相場が変動する場合はあるものの、基本的には中長期にわたって影響を及ぼします。そのため短期の値動きに反応するとは限りません。
短期トレードに向いているのはテクニカル分析です。テクニカル分析は、過去の価格や相場のパターンなどを考慮したインジケーターを使用します。時間足やパラメーターを調整することで、短期トレードに適した環境を作り出せるでしょう。ファンダメンタルズ分析では判断しきれない短期の売買タイミングは、テクニカル分析を併用することで判断できるようになります。
ファンダメンタルズ分析を行って予測しても、場合によっては相場に影響を与えないことがあります。経済指標や金融政策などの結果が分かったとしても、相場が大きく変動するとは限りません。相場が予想外に変動しない理由としては、市場が経済指標や金融政策などの結果を、あらかじめ織り込んでいたことが考えられます。
事前の予想と結果が同じだった場合、相場が大きく変動する要因にはなりません。また、相場の材料となり得るニュースや経済指標が出たとしても、短期では変動しない可能性もあります。ファンダメンタルズ分析だけでは相場に影響を与えないケースがあるため、テクニカル分析と併用して総合的に判断することが大切です。
ファンダメンタルズ分析を行う際は、情報収集の大変さも理解しておきましょう。ファンダメンタルズ分析は、経済指標や金融・財政政策、要人発言、地政学リスクなどの多種多様な要因を把握する必要があります。これらの要因を把握するには、さまざまな経済専門サイトやメディアのニュースなどから入手しなければいけません。
また、数ある入手先から、どの要因が相場に大きな影響を与えるのかを取捨選択する手間もあります。相場の変動に関わりのない要因も多いため、適切な取捨選択を行うには、経済に対する知見を深めておくことが重要です。このようにファンダメンタルズ分析の情報収集は大変な部分があるため、自分なりに情報収集先をまとめておくと良いでしょう。
ファンダメンタルズ分析の方法としては、主に「市場の問題点を把握する」「問題の原因を知る」「原因のニュースや指標から読み解く」という3段階があります。ファンダメンタルズ分析を適切に活用するには、分析方法の流れを知っておくことが大切です。3つの分析方法の流れを解説するので、ファンダメンタルズ分析を行う際の参考にしてみて下さい。
ファンダメンタルズ分析の第1段階は、市場の問題点を把握することから始めましょう。市場の問題点を把握することで、影響を与えている要因が見えてきます。例えば、経済成長が鈍化しているのか、インフレが進んでいるのか、貿易摩擦が起こっているのか、中央銀行が政策金利を変更しようとしているのかなどが挙げられます。
また、「どの要素が、どの通貨に対して、どのくらいの影響を与えているのか」を理解することも大切です。市場の問題点に対して理解を深めることができれば、ファンダメンタルズ分析の精度が上がるでしょう。第1段階の準備として市場の問題点を把握し、要因を明確にしておくことで、ファンダメンタルズ分析に活かせるようにして下さい。
ファンダメンタルズ分析の第2段階として、市場の問題点が起きた背景である根本的な原因を知るようにしましょう。第1段階で把握した市場の問題点(経済成長の鈍化、インフレ高進、政策金利の変更、貿易摩擦など)について、背景にある具体的な原因を深く分析します。例えば、経済成長が鈍化している原因は、消費の低迷によるものなのか、他の外部要因によるものかなどを把握しましょう。
中央銀行による政策金利の引き上げが、インフレ抑制を目的としているのか、通貨安を防ぐためなのかといった意図や背景も理解することが大切です。このような原因のヒントは、経済指標や要人発言、ニュースなどから得られます。問題の原因を正確に知ることで、よりファンダメンタルズ分析の精度が上がるでしょう。
ファンダメンタルズ分析の第3段階では、原因をニュースや経済指標などから読み解いて相場を予測していきましょう。第1段階で把握した市場の問題点と、第2段階で理解した問題点の原因から、関連するニュースや経済指標をチェックして、相場への影響を見極めます。
例えば、インフレが問題の場合を考えてみましょう。インフレ関連の経済指標であるCPI(消費者物価指数)やPPI(生産者物価指数)などの数値次第で、政策金利が変更される可能性があります。政策金利が変更された時の動きを事前に知っておけば、相場への影響や値動きが予測しやすいでしょう。
以上のように、データを活用して相場の動きが予測できるようになり、トレードの精度を高められます。市場の問題点を把握した上で原因を知り、ニュースや指標から読み解くことを意識してファンダメンタルズ分析を行いましょう。
ファンダメンタルズ分析に関する、よくある質問を2つ紹介します。1つ目は「ファンダメンタルズ分析は意味がないのか?」、2つ目は「ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析はどちらがおすすめなのか?」です。ファンダメンタルズ分析に対する疑問を解消しておけば、より理解を深められるでしょう。ぜひ参考にしてみて下さい。
ファンダメンタルズ分析は、意味がない分析方法ではありません。経済指標や金融政策などの要因からファンダメンタルズ分析を活用すれば、中長期のトレンドを把握しやすくなります。経済の根本的な問題点から原因、流れなどを理解するために重要な分析方法だといえるでしょう。
国の経済状況や金利の変動などの要因を理解することで、中長期トレードの戦略を立てやすくなり、精度が上がるでしょう。ただし、ファンダメンタルズ分析は、万能な分析方法ではありません。中長期トレードには適しているものの、短期トレードへの活用には適していないと言えます。ファンダメンタルズ分析は、あくまで中長期トレードに有効な分析手法だと覚えておきましょう。
ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析は、一概にどちらが優れているとはいえません。それぞれに強みがあるため、トレードスタイルで使い分けることが一般的です。ファンダメンタルズ分析は、経済指標や金融政策、地政学リスクなど中長期で影響を及ぼす要因を分析して予測します。そのため、中長期のトレンドを予想する場合は、ファンダメンタルズ分析が適しているでしょう。
一方、テクニカル分析は、過去の価格やパターンなどを反映したインジケーターを分析して予測します。インジケーターは、短期の値動きから売買タイミングを予測するのに有効なので、テクニカル分析は短期トレードに適しているといえます。基本的には、ファンダメンタルズ分析は中長期トレード、テクニカル分析は短期トレード、と捉えるとよいですが、状況によっては両者を組み合わせて活用することも有効です。相場の状況や自分のトレードスタイルに応じて、柔軟に使い分けましょう。
ファンダメンタルズ分析は、「経済指標」「金融・財政政策」「地政学リスク」などの要因から相場を中長期で予測する分析方法です。ファンダメンタルズ分析の対象となる要素や原因を把握し、相場にどのような影響を与えるのかを見極めることで、中長期トレードの精度を向上させることができます。
SBI FXトレードでは、ファンダメンタルズ分析に必要な経済指標カレンダーやニュース速報などの情報を入手しやすい環境が整っています。スマートフォンのアプリでも活用できるため、気軽にファンダメンタルズ分析の勉強ができます。ファンダメンタルズ分析の精度を高めて利益を狙いたいのであれば、SBI FXトレードを活用してみて下さい。
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この記事を監修した人
SBIリクイディティ・マーケット株式会社
金融市場調査部長
上田眞理人