UPDATE 2025.05.28
POST 2025.05.28
これからFXを始める方は、FX取引におけるリスクについて十分な知識を持っておく必要があります。
FX取引においては、急激な相場変動が起きた際に負債を抱えるリスクがあり、その中でも特に「追証(おいしょう)」については正しく理解しておかなければいけません。
本記事では、以下の3点を中心に、追証について詳しく解説します。
「追証(おいしょう)」とは、「追加証拠金」の略称です。
FX取引においては、利用者がFX業者に対して証拠金を預けた上で取引を行います。FX取引では、証拠金として預け入れているお金の数倍~数十倍の取引が認められていますが、急激な相場変動によって、預け入れている証拠金では負担しきれない損失が出る可能性もあります。
そのため、証拠金として預けている資金が規定の数値を下回ると、それ以上の取引ができなくなる上、追証を入金するように求められます。
指定された期限以内に証拠金の入金を行い、証拠金不足を解消できないと、保有しているポジションが強制的に決済されて、含み損が確定損に変わってしまう恐れがあるので注意しましょう。
追証は、各営業日の取引終了時点の証拠金判定によって、証拠金維持率が100%未満となり証拠金規制対象となった場合に発生する追加の証拠金のことです。
証拠金維持率とは、預けている証拠金に対して、現在のポジションがどの程度の損失や利益を持っているかを示す割合です。
証拠金維持率は、以下のような計算式で導かれます。
【証拠金維持率の計算式】
証拠金維持率=資産評価額(※1)÷ 取引必要証拠金 × 100(%)
※1 資産評価額=預託金残高 + 損益評価額(※2) - 出金依頼額
※2 損益評価額=値動き × 数量 + 累計スワップポイント
資産評価額とは、FX口座に入金されている資金のことを指し、保有しているポジションによる損益評価額と、預託金の残高の合計から、出金依頼額を差し引いた金額です。
この資産評価額を取引必要証拠金で割り、100をかけてパーセンテージで表したものが証拠金維持率となります。
上の計算式に基づき、FX口座に100万円を入金し、1ドル150円の時に10万通貨(1,500万円分)の買い注文を入れた際の証拠金維持率について考えてみましょう。
証拠金維持率の仕組みを理解するには、レバレッジについても知っておく必要があります。
レバレッジとは、証拠金に対してどれだけの倍率で取引ができるかを表した数値ですが、多くのFX業者が、25倍のレバレッジを設定しています。そのため、先ほどの1,500万円分の買いポジションを持つためには、1,500(万円)÷ 25(倍)= 60(万円)の証拠金が必要となります。(取引必要証拠金)
FX口座に入金している金額が100万円であるため、レバレッジ25倍の場合、証拠金維持率は100(万円)÷ 60(万円)×100= 約166%となります。
FX業者の多くが、証拠金維持率が100%を下回った際に証拠金規制対象になるため、注文時には追証の心配はありません。
しかし、10万通貨の買いポジションを持ったまま米ドル/円の価格が下がると、1ドル146円以下になったタイミングで40万円以上の損失が生じます。そうすると、預託金残高と損益評価額の合計である資産評価額が60万円未満となり、証拠金維持率が100%を下回り、そのまま取引終了時間を迎えてしまうと、証拠金規制対象となり、追証が発生してしまいます。
相場の変動が大きいタイミングでは、証拠金維持率が下がるリスクが高まるため、追証が発生しやすいといえます。
経済指標の発表や要人発言、自然災害などの外的要因によって相場が急激に変動することがありますが、このように相場の変動が大きい時には、短時間で大きな値動きが発生し、保有しているポジションが一気に損失を抱える可能性があります。
その結果として、証拠金維持率がFX業者の規定の数値を下回り、口座の残高が不足して追証が発生しやすいといえます。
特に、週をまたいでポジションを保有する際は、追証のリスクについても頭に入れておくべきです。
追証とロスカットはよく混同されやすいので、改めて2つの違いについて確認しておきましょう。
追証とは、取引中に損失が発生し、口座の証拠金維持率が一定の基準を下回った時に、FX業者から追加の証拠金を求められることを指します。追証が発生した場合、指定された期限内に証拠金を追加入金しなくてはいけません。
一方でロスカットとは、利用者がポジションを保有している際、相場変動によって資金があらかじめ決められている証拠金維持率を下回った場合に、それ以上損失が膨らまないように強制的にポジションを決済する仕組みです。
つまり、簡単にまとめると、追証とロスカットは登場する場面は似ていますが、以下のように全く違うものといえます。
追証を求められた場合の対応方法は、以下の2つです。
追証を求められた際に、指定された期日までに追加証拠金を入金することで、現在のポジションをそのまま保有できます。
また、保有しているポジションの一部を決済することで口座残高を確保することでも、追証を解消できます。
①と②の併用も追証の解消方法としては適切なので覚えておきましょう。
ただし、相場変動等により証拠金維持率が100%以上に回復したとしても、不足額を解消しなかった場合には強制決済になるので注意が必要です。
FX取引において追証が発生するのを防ぐには、以下の4点を心がけておきましょう。
追証を防ぐには、少ない取引数量に抑えるのがおすすめです。取引数量が多過ぎると、相場が少し逆行しただけでも大きな損失を負う可能性が高まります。
レバレッジが高いと、少しの価格変動でもポジションに対する影響が大きくなり、証拠金維持率が急落して追証が発生するリスクが増大します。システム上ではレバレッジの変更ができないFX業者も多いですが、取引数量を抑える事で擬似的にレバレッジを抑え、追証が発生しづらい状況を作れます。
追証を減らすためには、取引口座に取引必要証拠金以上の資金を入金しておき、実質的にレバレッジを低くすることが非常に重要です 。
いきなり大きな利益を狙って大きな数量で取引せず、最初は少額で取引をして、慣れるまで経験を積むことがFX取引においては重要です。
追証を防ぐためには、相場の動向を常に把握し、適切なトレード判断を下すために勉強や分析が欠かせません。
FX市場は多くの要因によって影響を受けるため、経済指標や国際情勢、中央銀行の金融政策などの情報を継続的に収集し、それらを正しく解釈するスキルが重要です。さらに、テクニカル分析とファンダメンタルズ分析といった分析手法を身につけることで、追証やロスカットのリスクを避けた取引が可能となります。
知識や経験が不足していると、急な相場変動に対処できず、適切な損切りやポジションの調整ができないことが多く、結果として追証が発生するリスクが高まるでしょう。
為替市場や経済情勢は常に変化している上、FXの取引手法に関してもさまざまな研究がなされています。追証を防ぐには、そういった情報を継続してキャッチアップしていくことが非常に重要です。
追証を防ぐためには、損切りをすることも非常に大切です。
損切りとは、損失が一定の範囲に達した時にポジションを決済して損失を確定させることです。適切な損切りを心がければ、大きな損失に発展する前にリスクを制御でき、証拠金維持率の低下を防げます。
損切りルールの設定方法としては、「証拠金維持率が〇〇%になった段階で決済する」「損失が〇〇円に達した段階で決済する」などさまざまな手段があります。
損切りのルールをあらかじめ設定し、感情に左右されずに機械的に実行することで、追証発生のリスクを最小限に抑えることができるはずです。
本記事では、FX取引における大きなリスクである追証について解説しました。
取引数量を増やして大きなレバレッジで取引をしていると追証が発生するリスクが高まります。そのため、特に初心者の方は少ない数量で取引ができるFX業者を選ぶのがおすすめです。
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この記事を監修した人
SBIリクイディティ・マーケット株式会社
金融市場調査部長
上田眞理人