ニュージーランドドル特別レポート | SBI FXトレード 
  • ホーム
  • ニュージーランドドル特別レポート

ニュージーランドドル特別レポート
【2024年5月30日時点】

ニュージーランド

【基本情報】

【首都】 ウェリントン

【面積】 270,534㎢ (日本の約4分の3)

【人口】 520万人 (2023年3月 NZ統計局推計)

【元首】 チャールズ三世国王陛下 (英国国王)

【首相】 クリストファー・ラクソン(国民党)

【通貨】 NZドル

【経済規模】 名目GDP 2,490億米ドル (2023年) (IMF統計) 

       インフレ率 4.0% (2024年1-3月期) 失業率 4.3% (2024年1‐3月期) 

NZ経済を取り巻く基本情報

 ニュージーランドの人口は520万人と福岡県の人口とほぼ同規模であり、経済規模も限られていることから豪経済および世界経済の好不況の影響を受け易いとされています。また、オーストラリアと同様に最大の貿易相手国は中国ですが、オーストラリアが鉄鉱石や石炭を主な輸出産品としているのに対し、約30%近くを占める乳製品をはじめ食肉、木材など第1次産品の輸出額が輸出全体の60%以上となっています。もっとも、第一次産業がGDPに占める割合は約6%に過ぎず、第二次産業が約19%、そして第三次産業が約67%となっており、第一次産品の輸出とともに観光や留学受け入れなどサービス業が経済成長に貢献しています。
 2024年4月24日に発表された3月の貿易統計では、輸出額はキウイなど果物の輸出増にサポートされたものの、乳製品や肉、木材の輸出に下押し圧力が掛かり、前月比‐3.0%と2月の大幅増(前月比+8.9%)の反動もあり減少しました。ただ、輸入額も電気機械/機械製品に加え、日用品の輸入減などにより前月比-11.7%、前年比-24.8%と内需の弱さを背景に大幅に減少したことから、貿易収支は5.88億NZドルと10ヵ月ぶりに黒字となりました。

インフレ率

 輸入インフレ圧力が緩和、サービス価格も緩やかに鈍化し、さらには賃金上昇圧力も緩和しているものの、金融政策の影響を受けにくい家賃や保険料、地方税などのインフレ率の高止まりが続いているため、RBNZ(NZ中銀)政策委員会は、声明で「適切な時間内にインフレ率が目標水準に戻るよう政策金利を抑制的な水準に留める必要がある」との見解を示しています。

インフレと政策金利

 対ドルでのNZドル安による輸入インフレやコロナ禍からの景気回復によりインフレが進んだことに加え、コロナ禍対応の金融緩和によるカネ余りによって不動産市況が急上昇したため、RBNZは2021年10月以降昨年4月まで断続的に利上げを継続しました。

 足もとでは、食料品やエネルギーなど生活必需品のみならず、非貿易財やサービス物価に上昇圧力が掛かる中、異常気象の頻発による農業生産の低迷が続き食料インフレも高止まりしています。このような状況下、RBNZは「インフレが鎮静化していると判断するのは時期尚早」として政策金利を5.50%と高い水準で維持しています。他方、2023年後半の国内経済は物価高と金利高のほか、最大の輸出相手である中国経済が減速した影響で2四半期連続のマイナス成長となり、景気が減速する中で物価上昇が続く、いわゆるスタグフレーションに陥っています。
 2024年5月22日のRBNZ政策委員会では政策金利を7会合連続で5.50%に据え置くことを決定し、声明では「輸入インフレ圧力の後退やサービス物価の緩やかな鈍化を反映してインフレ率が低下している」とした一方で、「サービス物価の鈍化ペースは緩やかなものに留まっており、利下げ期待は後退している」との認識を示しました。
 また、議事要旨で「インフレの粘着度や生産性の低迷、賃金や物価設定行動の正常化のペースの不確実性に鑑み利上げの可能性を議論した」ことが明らかとなり、「インフレ目標達成には2月会合で想定されたよりも長期間政策金利を制約的な水準に維持する必要がある」と引き締めスタンスの長期化の可能性を示唆しました。さらに、政策金利のピーク予想を従来の5.60%から5.65%に引き上げ、利下げ開始時期を2025年7-9月期に先送りしました。スタグフレーション経済の中でもなお物価抑制への強い姿勢を見せた背景には、昨年の総選挙を経て誕生したラクソン政権が、NZ中銀の責務を「物価の安定」および「持続可能な雇用最大化」の二つから前者一つに絞ったことがあると思われます。

NZドルは堅調を持続

 ECBが6月に利下げ開始、英中銀が8月もしくは9月、FRBは11月か12月、さらには豪中銀も10‐12月期もしくは来年1‐3月期に利下げ開始が見込まれる中、NZ中銀の利下げ開始は来年7‐9月期に先送りされたことから、NZドルは対欧通貨やドル、豪ドルに対して堅調な値動きを続けています。さらに、日銀がようやく金融政策正常化に向けて始動したものの、依然として「次の一手」を巡り不透明感を払拭できない状況にあることから円に対しても堅調に推移しており、2007年7月24日の高値(97円79銭)を目指して更なる上値トライの可能性もありそうです。

提供:SBIリクイディティ・マーケット株式会社
お客様は、本レポートに表示されている情報をお客様自身のためにのみご利用するものとし、第三者への提供、再配信を行うこと、独自に加工すること、複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させることは出来ません。情報の内容については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。 また、これらの情報によって生じたいかなる損害についても、当社および本情報提供者は一切の責任を負いません。本レポートに表示されている事項は、投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、勧誘を目的としたものではありません。投資にあたっての最終判断はお客様ご自身でお願いします。