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南アフリカランド特別レポート
【2024年6月7日時点】

南アフリカ

【基本情報】

【首都】 プレトリア(行政)、ケープタウン(立法)、ブルームフォンテーン(司法)

【面積】 1,219,090㎢ (日本の3.2倍)

【人口】 約6,150万人 (2023年時点)

【大統領】 シリル・ラマポーザ

【通貨】 南アフリカランド

【経済規模】 名目GDP 3,777億ドル(2023年 IMF推計)

       実質GDP成長率0.6%(2023年 南アフリカ統計局)

       インフレ率:5.2% (2024年4月) 失業率:32.9% (2024年1‐3月期)

【政策金利】

 2024年5月30日の金融政策委員会では、6会合連続で政策金利を8.25%に据え置くことを決定しました。クガニャゴ中銀総裁は、「インフレ予想のリスクはほぼ均衡していると評価しているが、インフレ期待が高いため、期待を再び抑制するには可及的速やかなインフレ目標実現が求められる」との見解を示し、インフレの高止まりに懸念を表明しました。接戦となった2019年以来の総選挙の翌日の決定とあって「目立った行動を控え混乱を避けるために据え置くだろう」と市場は予想していました。

 5月22日に発表された4月消費者物価指数は、食品と非アルコール飲料の上昇率が鈍化したもののエネルギー価格の上昇により相殺され、小幅な鈍化に留まりました。4.6%と2023年6月以降11か月間中銀のインフレ目標(3.0~6.0%)の上限を下回った一方、2024年1月から中央値(4.5%)を上回る状況が続いていることが利下げ開始に踏み切れない要因となっています。

【総選挙】

 5月29日に実施された総選挙でラマポーザ大統領率いる与党アフリカ民族会議 (ANC) の得票率が40.18%と前回2019年(57.50%)から大幅減となり獲得議席数 (定数400) も159と前回(230議席)から71議席を失い、民主化後30年目にして初めて過半数割れとなりました。

 過半数割れとなった与党ANC(アフリカ民族会議)は、6月3日に第2党のDA(民主同盟)と連立を組む意向とされましたが、DAが難色を示したことから5日にANCは挙国一致内閣を検討しました。ラマポーザ大統領の続投に加え、政権参加の条件として大統領の退任要求を行わないことなどを掲げたこともあり、DAやMKは挙党一致内閣には加わらない意向を示しており、今後の大統領任命も含め連立政権誕生の行方は依然として不透明な情勢となっています。(6月7日時点)

【南ア経済】

 今回の選挙で得票率を大幅に減らした与党ANCが仮に連立政権を樹立した場合、大規模な財政支出を伴う景気対策を打ち出すことも想定され、歳出増による財政悪化が警戒されます。そのため、中銀は当面政策金利を据え置くと思われますが、慢性的な電力不足により景気が一段と悪化する事態に追い込まれた場合、利下げを余儀なくされることも想定されるだけに、政局のみならず金融政策の行方も不透明と言わざるを得ません。
 こうした中6月4日に発表された1-3月期GDPは、前期比‐0.1%/前年同期比+0.5%といずれも前期(+0.4%/+1.4%)から減速しました。また、1-3月期失業率も32.9%と前期(32.1%)から悪化するなど2020年4-6月期 (23.3%) を最後に一度も30%を下回ることがない状況が続いています。
 南ア経済は、慢性的な電力不足によるインフラの機能不全が幅広い経済活動の足かせになる状況が続いており、電力不足の克服に向けた民間部門を中心とする再生可能エネルギーへの投資が軌道に乗らないこと、加えて南ア最大の貿易相手国である中国経済の回復が遅れていることが南ア経済にとって逆風となっています。こうした中で政局が不安定化することは、南ア経済の回復をさらに遅れさせることとなり、結果として失業率が一段と上昇すれば、ANCの支持率低下が想定以上に進むことになりかねず、ANCが再生可能エネルギーへの投資促進を通じた電力不足解消など成長戦略の道筋を具体的に示すことが課題となりそうです。

 そして、為替市場に目を向けると、米国の年内利下げが視野に入ったことから、ランドの対ドルでの下値をサポートすると思われますが、ランド円については、今後日銀の政策正常化に向けた動きが進展すると見られていることもあり、日米金利差縮小を見込んで円買いが進むことも想定され、5月21日の8円66銭を目先の高値として再び8円割れへと沈むリスクに注意が必要です。

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