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カナダドル特別レポート
【2024年2月22日時点】

カナダ

【基本情報】

【首都】 オタワ

【面積】 998.5万㎢(日本の約27倍)

【人口】 約4,000万人 (2023年6月)

【首相】 ジャスティン・トルドー 【元首】 チャールズ3世 【総督】 メアリー・サイモン

【通貨】 カナダドル

【経済規模】 名目GDP 2,785.12(10億カナダドル) (2022年) 

       インフレ率:3.4% (2023年12月)   失業率:5.8% (2023年12月) 

金融政策とカナダ経済

 1月24日のカナダ中銀理事会では、昨年9月、10月、12月に続き4会合連続で政策金利を5.0%に据え置くことを決定。声明では「物価高と金利上昇が消費支出を抑制している」、「成長が弱いため供給が需要に追いつき、カナダ経済は緩やかな供給過剰の状態にある」との認識を示しました。一方、労働市場に目を向けると「求人件数がコロナ禍前の水準を回復し労働市場は緩和しつつあるが、賃金は依然4〜5%上昇している」としました。また、消費者物価指数は住宅関連の上昇を主因に12月に前年比+3.4%へ上昇。先行きについても今年半ばまではおよそ3%程度で推移し、2025年にカナダ中銀の物価目標である2%に向けて徐々に鈍化するとの見通しを示し、「基調的なインフレの持続を依然懸念している」としつつも、「必要に応じ政策金利を引き上げる用意がある」という文言を削除しました。

 カナダの昨年7‐9月期GDPは前期比‐1.1%と減速、4‐6月期が+1.4%と速報値(-0.2%)から上方修正されたことから「テクニカルリセッション」 (2四半期連続マイナス成長) を回避しましたが、失業率は昨年11月に昨年1月以来の5.8%まで悪化し、12月も同水準で高止まりしており、1月の中銀理事会で今年の成長率見通しを下方修正しています。また、カナダでは家計の負債比率が高く、負債の大半が3年~5年更新型の住宅ローンという状況にあり、金利動向の景気への影響が先進国の中でも最も大きい国の一つとされています。インフレは鈍化しているものの、失業率の高止まりが今後一段と悪化する事態となれば、景気対策として政策金利を引き下げる可能性もあります。そのため、今後発表される10‐12月期GDP(前期比)が7-9月期に続きマイナス成長となれば、中銀へ利下げを催促するきっかけとなるかもしれません。

米大統領選に向けて

 今秋の米大統領選は、現職のバイデン大統領が民主党候補として最有力視され、共和党ではトランプ前大統領が支持率を伸ばしており、2020年の戦いの再現となりそうな情勢です。トランプ前大統領はメキシコからの移民抑制策を主張していますが、バイデン大統領も同様の方向で動いています。今後の大統領選の行方次第では保護貿易主義の台頭を招く恐れもあり、メキシコ同様、カナダ経済も米大統領戦の行方に大きく左右されることになりかねません。

 カナダ中銀は、こうした米大統領選など政治的要因による自国経済への影響に配慮し、雇用情勢や個人消費の下振れへの予防的措置としてインフレ率の目標達成を待たずに政策金利の引き下げに動くことも想定されます。そのため、カナダドルは対米ドルで大統領選に向けて上値を切り下げる可能性があります。また、今年は、日銀がマイナス金利解除など正常化に向け動くことが想定されることから、現状110円近辺で底堅く推移するカナダドル円が年央に向けて徐々に値を下げることは十分考えられ、こちらも注意が必要です。

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