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カナダドル特別レポート
【2024年6月14日時点】

カナダ

【基本情報】

【首都】 オタワ

【面積】 998.5万㎢(日本の約27倍)

【人口】 約4,000万人 (2023年6月)

【首相】 ジャスティン・トルドー 【元首】 チャールズ3世 【総督】 メアリー・サイモン

【通貨】 カナダドル

【経済規模】 名目GDP 2,888.92 (10億カナダドル) (2023年)  

       インフレ率:2.70% (2024年4月)   失業率:6.2% (2024年5月)  

金融政策とカナダ経済

 2024年6月5日のカナダ中銀金融政策委員会では、直近11ヵ月に渡り据え置いてきた5.00%の政策金利を0.25%引き下げ、2022年3月から2023年7月まで続いた金融引き締め政策から金融緩和政策に転換しました。また、インフレ率は2022年6月の8.1%をピークに2024年4月には2.7%まで鈍化し、コアインフレ率は2.6%まで低下しています。声明では「インフレ率が目標の2%に近づいているとの確信が強まっていることから、金融政策はもはやそれほど制約的である必要はない」とし、マックレム総裁は、「インフレが緩和し続け、目標の2%に持続的に向かうという確信がいっそう強まれば、政策金利のさらなる引き下げを期待するのは妥当」との考えを示した一方、「会合毎に政策金利を判断して行く」とも述べました。

 2024年5月31日に発表されたカナダ1‐3月期GDPは、在庫投資の減少が上昇率の抑制につながったものの、通信サービスや航空輸送に加え、家賃など家計のサービス支出が上昇を牽引し、前期比+1.7%と2四半期連続のプラス成長となりました。一方、6月7日に発表された5月の失業率は6.2%と、2022年1月(6.5%)以来の水準へ悪化するなど労働市場の逼迫度の低下や生産ギャップの拡大を示し、5日の利下げを正当化する結果となりました。

 カナダでは家計の負債比率が高く、負債の大半が3~5年更新型の住宅ローンという状況にあり、金利動向の景気への影響が先進国の中でも最も大きい国の一つとされています。インフレは鈍化基調にあるものの、失業率は悪化傾向にあり、今後一段と悪化する事態となれば、追加緩和を促す要因になります。

米大統領選挙に向けて

 2024年秋の米大統領選挙は、民主党では現職のバイデン大統領が、共和党ではトランプ前大統領が各党の候補者になることが確実視されており、2020年の戦いの再現となりそうです。トランプ前大統領はメキシコからの移民抑制策を主張していますが、バイデン大統領も同様の方向で動いています。今後の大統領選挙の行方次第では保護貿易主義が台頭する恐れもあり、メキシコ同様、カナダ経済も米大統領選挙の行方に大きく左右されることになりかねません。カナダ中銀は、こうした政治的状況の自国経済への影響に配慮し、雇用情勢や個人消費の下振れへの予防的措置として追加利下げに動くことも想定されます。一方、FRBは6月のFOMCで年内1回の利下げを想定と、3月時点の3回から減少、さらに今後のデータ次第では年内の利下げを見送る可能性も残されており、両国中銀の金融緩和姿勢の濃淡を背景にカナダドルが対米ドルで上値を切り下げる可能性があります。また、今後、日銀が国債買入れの減額、追加利上げなど正常化に向け本格的に動くことが想定されることから、現状113円~115円台で底堅く推移するカナダ円が年末に向けて徐々に円高基調に転換する可能性もあり注目されます。

 いずれにしても、カナダ中銀は、7月24日の次回会合では追加利下げを見送る可能性が高いものの、9月4日/10月23日/12月11日のいずれかのうち、少なくとも1回、あるいは2回の追加利下げに踏み切るかもしれないため、今後の対ドル、対円での動向から目が離せません。

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