ポンド特別レポート | SBI FXトレード 

ポンド特別レポート
【2024年2月22日時点】

英国

【基本情報】

【首都】 ロンドン

【面積】 約243,610㎢ (日本の約3分の2) 

【人口】 約6,812万人 (2023年4月 IMF推計)

【元首】 チャールズ三世国王陛下 (2022年9月即位)

【首相】 リシ・スナク(2022年10月~)

【通貨】 スターリング・ポンド

【経済規模】 実質GDP 2兆2,294億ポンド (2022年)

       インフレ率:4.0% (2024年1月) 失業率:3.8% (2023年12月)

ロンドン市場が世界の外国為替取引高に占めるシェアは38%とトップ

ポンドの取引規模は米ドル、ユーロ、日本円に次いで第4位

※国際決済銀行(BIS)「2022 年外国為替市場及び店頭(OTC)デリバティブ市場に関する中央銀行サーベイ」の結果(2022年10月27日公表)

英中銀政策委員会

 2月1日の英中銀政策委員会では、「全会一致で現状維持」との市場予想に反して、政策委員9名の内、現状維持が6名、そして2名が利上げを支持した一方で、1名が利下げを支持する結果となりました。利上げ支持派は、紅海を航行する船舶に対するイエメンの親イラン武装組織フーシ派の攻撃が招くサプライチェーンの混乱によるインフレ再燃を警戒しています。
なお、同時に公表された金融政策報告における経済見通しは以下のようになりました。

また、鈍化基調が続くインフレ率は、昨年11月に前年比+3.9%とおよそ2年ぶりの水準まで低下しましたが、2月13日に発表された10‐12月期の賃金上昇率が市場予想を上回ったことから英中銀の早期利下げ観測が後退しました。しかし、2月14日に発表された1月消費者物価指数(CPI)は、たばこ税を引き上げた影響により12月からさらに上昇するとの予想に反し前年比+4.0%と12月から横這いに留まり、食品とエネルギーを除いたコア指数も+5.1%と市場予想を下回り11月から2ヵ月連続で横這いに留まりました。

一方、英中銀ベイリー総裁は「1月のCPIが市場予想を下回ったのは、12月が予想を上回った反動が要因であり、当局の金融政策に及ぼす影響は限定的」との見解を示した上で、「現状の金融政策をどの程度の期間維持するかを判断する段階に入った」として、当面は現状の金融政策を維持することを示唆しました。
今後発表される消費者物価指数、時間給賃金などのインフレ指標が予想を下回る結果となれば早期利下げ観測が高まり、ポンドは対ドル、対円で下落基調を辿ることになるかもしれません。ポンドドルは、昨年10月4日の1.2037㌦を安値に上昇を続け昨年12月28日に1.2827㌦を付けましたが、それ以降上値の重い動きとなり、FRBの早期利下げ観測の後退を受けて2月5日には1.2519㌦へ下落しており、心理的節目の1.2500㌦を下回ってこの水準が上値抵抗線となれば、下げ足が加速する可能性があります。

【英経済の先行き】

 3月6日に公表される予定の春季財政報告で経済成長押し上げ策に減税策が盛り込まれるとの観測があります。年内実施が見込まれる英議会総選挙前最後となるこの財政報告の機会を捉えて、野党・労働党を下回っている与党・保守党の支持率のてこ入れを図ることが目的とされます。昨年7‐9月期GDPが前期比-0.1%と低迷する英経済、さらには実質賃金の下落も続いており、減税を通じてこうした国民の不満を緩和することができるのか、具体的な成長促進策への評価がポンドの動向を大きく左右する材料として注目されます。ポンドの先行きはインフレ動向、英中銀の金融政策の行方にかかっていますが、同時に、与党・保守党の支持率低迷のまま総選挙を迎えることになれば、政局を巡る先行き不透明感からポンドが低迷する可能性もあるだけに今後の政局も注目されます。

提供:SBIリクイディティ・マーケット株式会社
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