ポンド特別レポート | SBI FXトレード 

ポンド特別レポート
【2024年5月21日時点】

英国

【基本情報】

【首都】 ロンドン

【面積】 約243,610㎢ (日本の約3分の2) 

【人口】 約6,812万人 (2023年4月 IMF推計)

【元首】 チャールズ三世国王陛下 (2022年9月即位)

【首相】 リシ・スナク(2022年10月~)

【通貨】 スターリング・ポンド

【経済規模】 実質GDP 2兆2,294億ポンド (2022年)

       インフレ率:3.2% (2024年3月) 失業率:4.3% (2024年3月)

ロンドン市場が世界の外国為替取引高に占めるシェアは38%とトップ

ポンドの取引規模は米ドル、ユーロ、日本円に次いで第4位

※国際決済銀行(BIS)「2022 年外国為替市場及び店頭(OTC)デリバティブ市場に関する中央銀行サーベイ」の結果(2022年10月27日公表)

英中銀政策委員会

 2024年5月9日の英中銀政策委員会では、予想通り政策金利を2023年9月から6会合連続で5.25%に据え置きました。また、労働市場やサービス価格などのインフレ指標は緩和的になりつつあるものの、依然として高水準にあり引き続き注視していくとしました。
 また、ベイリー英中銀総裁は、次回6月20日の政策委員会までに発表される消費者物価指数や労働市場に関するデータを基に、利下げ開始についての判断を行うとの考えを示しました。同時に公表された金融政策報告書では、政策金利見通し/成長率見通しを2月時点から上昇修正し、失業率もより改善するとしました。

英国経済と英中銀の利下げ開始時期

 5月10日に発表された2024年1-3月期GDPは前期比+0.6%と3四半期ぶりにプラス成長となり、3月の月次GDP(対前3ヵ月)も1月、2月に続きプラス成長を維持するなど、英経済は弱いながらも景気後退局面を脱したと推測されます。
 また、3月消費者物価指数(CPI)は、ガソリン価格などの上昇が食料品価格の下落により相殺されたことから前年比+3.2%と鈍化基調が続いています。一方、コア指数は前年比+4.2%と鈍化基調にあるとは言え、依然として4.0%を上回って高止まりしており、サービス価格を中心にインフレ圧力は根強いと言えます。
 さらに、5月14日に発表された4月雇用統計の週間平均賃金 (賞与を含む)は3月と同じ伸びとなり、基本給ともども2022年後半以来の低水準となっています。
 なお、5月22日に発表される4月CPIは、4月からガス・電力市場局の定めるエネルギー価格の上限が引き下げられたことを反映して、一段と伸びが鈍化すると見込まれています。

 英中銀ベイリー総裁は、4月下旬に「行動を起こす前にインフレ率が2%まで低下していることを確認する必要はない」との考えを明らかにしており、ピル政策委員(チーフエコノミスト)も利下げ開始は近づいたとの見解を示しています。
 前述の通り、5月9日の英中銀政策委員会では、9名の政策委員の内2名が利下げを主張しましたが、今後の指標を踏まえ利下げを判断するとしています。そのため、市場では6月20日の政策委員会で8月1日会合での利下げを示唆するとの見方が優勢となっています。
 さらに、データ次第ですが、9月19日、11月7日、12月19日のいずれかの政策委員会で更なる利下げを行うと見られますが、スナク首相が2025年1月28日までに行わなければならない総選挙を「今年後半に実施する」と述べており、8月に利下げに踏み切った場合、追加利下げは11月が有力視されています。

ポンド/ドル

 ECBについては、6月の利下げ開始を織り込んでおり、その後も1回もしくは2回の追加利下げが想定されています。また、FRBも5月14‐15日に発表された4月卸売物価指数 (PPI) や消費者物価指数 (CPI) の鈍化が確認されたことから年内の利下げ開始観測が再燃しています。
 さらに、米国でも大統領選挙があるため、米英ともに利下げ時期を巡っては政治的スケジュールに振り回されるかもしれません。英中銀が8月に利下げしたとしても、FRBも9月に利下げする可能性があるため英米金利差の一段の拡大はないとの見方からポンド/ドルが大きく下げることはないと思われ、4月22日に付けた昨年11月14日以来の安値1.2300㌦で一旦底入れしたのではないか思われます。
 一方、3月8日に付けた昨年7月27日以来の高値1.2894㌦を上抜け1.30㌦台まで上昇するか否かは、今後の英米の経済指標と金融政策にかかっており、特に米国経済の行方に大きく左右されることになりそうです。

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