トルコリラ特別レポート | SBI FXトレード 
  • ホーム
  • トルコリラ特別レポート

トルコリラ特別レポート
【2024年5月31日時点】

トルコ

【基本情報】

【首都】 アンカラ

【面積】 78.43万㎢ (日本の約2倍)

【人口】 8,537万人 (2023年)

【大統領】 レジェップ・タイイップ・エルドアン 【財務相】 メフメト・シムシェキ

【トルコ中銀総裁】 ファティヒ・カラハン

【通貨】 トルコリラ

【経済規模】名目GDP 9,202億ドル (2023年) 2023年の成長率 +4.5% 

      インフレ率:69.80% (2024年4月) 失業率:8.6% (2024年3月)

【高インフレ/リラ安からの脱却に向けて】

 トルコでは長年に渡り、エルドアン大統領の「高金利が高インフレを招く」との経済学の定石に反した認識の下、インフレが進行する中で利下げを継続した影響により通貨安が常態化し、国民からの不満が高まっていました。そのため、昨年の大統領選では、対立候補ケマル・クルチダルオール氏との決選投票にもつれ込み、辛うじて再選されたことから、経済・金融政策の見直しを迫られることとなりました。
 エルドアン大統領は、経済担当兼副首相や財務相、さらに中銀総裁に国際金融市場の信認回復を意識した人材を配置し、物価と為替相場の安定を目的として政策運営の正常化に向けて舵を切りました。実際、政策金利の大幅な引き上げのほか、通貨安の阻止に向けて為替保護預金制度(リラ建定期預金がリラ安により減価した場合の損失分を政府が補填)を解除しました。こうした政策正常化へのシフトはまだ道半ばではあるものの、今年3月に大手格付け会社フィッチ、5月にはS&Pがともにトルコの格付けを従来のBからBプラスに格上げしています。

【トルコ中銀政策委員会】

 5月23日の中銀政策委員会では、4月に続き2会合連続で政策金利を50%に据え置き、声明文では、4月同様「3月の利上げ効果を見極める時間を考慮した」と説明した上で、先行きの政策運営について「インフレリスクに引き続き細心の注意を払いつつ、インフレ基調の大幅かつ持続的な低下が確認され、インフレ期待が予想レンジに収束するまで引き締めスタンスを維持する」との考えをあらためて強調しました。
 インフレ率は、昨年6月の38.21%を底に9月に61.53%へ上昇して以降、8ヵ月連続で60.0%を上回る高水準が続いています。その要因として①2024年1月1日からの最低賃金の引き上げ、②リラ安による輸入インフレ、③異常気象による食料価格の上昇、④中東の緊張の高まりを受けた3月下旬から4月下旬の原油価格の上昇などが挙げられます。

【トルコ経済】

 トルコは、ロシアのウクライナ侵攻以降、徴兵を逃れるなどの目的で移住してきた多くのロシア人を受け入れてきました。しかし、最近は70%に迫る高インフレに加え、対ロシア経済制裁によりトルコでは銀行サービスを受けられないなどの理由からロシア人移民が減少していることで需要が抑制されるのではと期待されています。
 また、ロシア移民の減少は失業率の改善にもつながっているほか、今年1月に205万人へ減少した観光客数も4月には昨年10月以来の361万人まで持ち直しています。さらに、トルコ中銀の金融引き締め継続によって対ドルでのリラ安が底入れすれば、輸入インフレ圧力の緩和とともに向こう数ヵ月の内にインフレがピークアウトする可能性もあります。

 エルドアン政権は、インフレに苦しむ国民への救済措置として年初に最低賃金を666.75リラと2023年7月‐12月期(447.2リラ)から49%引き上げました。また、インフレの上昇が続く中、国民の金融資産の構成も変化しており、現預金の割合が減少し株式、投資ファンド、外貨預金の比率が上昇、外貨預金などの評価益により金融資産が増加しています。実質賃金の上昇や金融資産の増加に加え、実質金利がマイナスであることから短期借入も増加しており、消費者の購買力が拡大しており、結果としてトルコ経済を支えています。

【リラ安からの脱却に向けて潮目が変わるか?】

 政府の債務残高が大きく膨れ上がる状況の下、5月13日にユルマズ副大統領とシムシェキ財務相が率いる経済チームは包括的な財政緊縮策を公表、歳出削減を進め、予算配分の効率化を図ることでインフレ抑制につなげる意向を明らかにし、以下の具体策を示しました。

① 政府機関による財およびサービスの購入予算を1割削減
② インフラをはじめとする公共投資の投資規模を15%削減
③ 公共投資対象を進捗率が75%以上と完工間近なものおよび地震対応案件などに限定
④ 政府部門による新車購入や土地の購入などを向こう3年間停止
⑤ 公務員の新規採用は退職者数と同数とし総数増加を抑制

 トルコリラは、対ドルでは4月12日に33.02でリラ安が一服、さらにドル円の円安進行とともに対円でも3月11日の4円52銭を安値に5月29日には4円89銭まで上昇するなど1月23日に付けた年初来高値(4円93銭)に迫る水準を回復しています。
 こうした緊縮財政政策や正常な金融政策への転換に加え、高インフレの緩和や財政規律など経済ファンダメンタルズの土台を強化するなどして、独裁的ともいえるエルドアン政権の経済運営の様々な構造改革を進めることによってインフレのピークアウト、さらにはリラ安からの本格的な脱却を図れるか注目されます。

最短20分口座開設はこちら無料

提供:SBIリクイディティ・マーケット株式会社
お客様は、本レポートに表示されている情報をお客様自身のためにのみご利用するものとし、第三者への提供、再配信を行うこと、独自に加工すること、複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させることは出来ません。情報の内容については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。 また、これらの情報によって生じたいかなる損害についても、当社および本情報提供者は一切の責任を負いません。本レポートに表示されている事項は、投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、勧誘を目的としたものではありません。投資にあたっての最終判断はお客様ご自身でお願いします。