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トルコリラ特別レポート
【2024年2月1日時点】

トルコ

【基本情報】

【首都】 アンカラ

【面積】 78.43万㎢ (日本の約2倍)

【人口】 8,528万人 (2022年)

【大統領】 エルドアン 【財務相】 シムシェキ 【トルコ中銀総裁】 エルカン

【通貨】 トルコリラ

【経済規模】名目GDP 9,055億ドル (2022年) 2022年の成長率 +5.6%

      インフレ率:64.77% (2023年12月) 失業率:9.0% (2023年11月)

【高インフレ/リラ安を継続】

 コロナ禍からの回復やサプライチェーンに絡む供給不足によりインフレが高進したにもかかわらず、エルドアン大統領は、景気刺激策を最優先に21年3月に利上げを打ち止め、21年9月以降利下げを実施しました。高インフレ下での政策金利引き下げはトルコリラの急落やインフレの急激な進行を招き、2022年10月のインフレ率は、実に85.51%まで上昇しました。
 エルドアン政権は、リラ安に歯止めをかけるため、リラ建預金が満期到来した際、外貨換算でのマイナス分を政府が補填する預金保護策を導入するなど対策を講じたものの長続きせず、リラ安が再燃しました。その後、22年12月以降、エネルギー価格の上昇が一服したことからインフレは緩やかに鈍化し、昨年年6月には38.21%まで低下しましたが、12月には再び64.77%へ上昇するなどインフレが再燃、依然として高インフレが続くと見込まれます。

 昨年6月に新たな中銀総裁の下、2年3 ヵ月ぶりに金融引き締めに転じたものの、利上げ幅が予想を下回ったことから、リラ円は、7月18日に史上最安値となる5円11銭まで下落しました。その後、8月24日の政策委員会で政策金利を7.5%引き上げ25.0%にしたことでリラ円は5円75銭まで上昇しましたが、その後の利上げ継続にもかかわらずインフレの上昇が続き、今年1月2日には史上最安値を更新して4円70銭まで下落し、その後も5円00銭を回復できないまま軟調な値動きが続いています。
 直近1月25日の中銀政策委員会では政策金利を45.0%へ引き上げ、声明で「必要な金融引き締めは達成された。インフレ期待が中銀の予測レンジに収束するまで現行の政策金利の水準を維持する」として利上げ打ち止めの方針を示しました。また、インフレの先行きについて、5月に70-75%程度へ上昇後、年末時点には36%程度へ低下する見通しを示しました。しかし、エネルギーの輸入依存度が高いこと、最低賃金の大幅引き上げにより旺盛な個人消費が続くと予想されることなど中銀の見通し通りにインフレが低下基調に転じるか不安要素もあります。

【トルコ経済】

 エルドアン政権はインフレに苦しむ国民への対応措置として最低賃金を大幅に引き上げており、直近では年初から最低賃金を666.75リラと昨年7月~12月(447.2リラ)から49%増、昨年1月時点(333.6リラ)から100%増の引き上げを行っています。また、インフレの上昇が続く中、国民の金融資産の構成も変化しており、現・預金の割合が減少し株式、投資ファンド、外貨預金の比率が上昇、外貨預金などの評価益により金融資産が増加しています。実質賃金の上昇や金融資産の増加に加え、実質金利がマイナスであることから短期借入も増加するなど消費者の購買力が拡大しており、結果としてトルコ経済を支援する形となっています。
 しかし、インフレが上昇する中、通貨安_資産のリラからの逃避_が続く状況は決して健全と言えず、中銀は、インフレを抑制すべく昨年6月以降政策金利を段階的に引き上げ、今年1月に45.0%まで引き上げました。しかし、実質金利は依然20%を上回るマイナスとなっており、中銀が果たしてインフレ高進とリラ安に歯止めをかけることができるか注目されます。さらに、政府の債務残高が大きく膨れ上がっており、今後中銀が政策金利を据え置くことになれば、リラが急落するリスクもあり引き続き注意が必要です。

 リラ安やインフレの高止まり、経常収支の悪化といった状況を招いたエルドアン政権の政策の是正が求められますが、元々脆弱なファンダメンタルズの下、昨年10月以降の中東情勢の緊張がトルコ経済に及ぼす影響を見極める必要もあり、厳しい状況が続くと見込まれます。中銀の独立性は確保されつつあるものの、3月の統一地方選挙に向けてインフレの低下、経済の立て直しを目指す信頼性の高い経済政策を実行できないまま、議会の反エルドアン勢力が勢いを増すことになるか合わせて注目されます。

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