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メキシコペソ特別レポート
【2024年2月1日時点】

メキシコ

【基本情報】

【首都】 メキシコシティ

【面積】 1,964,375㎢(日本の約5倍)

【人口】 約1億3,000万人(世界10位)

【大統領】 アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール

【通貨】 メキシコペソ

【経済規模】 GDP 1兆4,250億ドル(2022年)

       インフレ率:4.66%(2023年12月) 失業率:2.6% (2023年12月)

【メキシコ経済と中銀の金融政策】

 米経済は、FRBの金融引き締めの影響も限定的に留め底堅さを維持し、ソフトランディング期待が高まっています。
 米経済への依存度が高いメキシコ経済も、失業率が昨年7月の3.1%を直近のピークに12月には2.6%まで改善が進むなど好調に推移しています。米国同様、金融引き締めの影響による景気下振れ懸念も限定的に留まる中、米国などが中国経済の減速を受けて、中国への依存度が高かったサプライチェーンの見直しを行ったことが追い風となり、対内投資が増加しメキシコ経済を支える要因となっています。
 そうした中、インフレの鈍化が顕著となり、メキシコ中銀は昨年5月に金融引き締めサイクルの停止を発表、以降6会合連続で政策金利を11.25%に据え置いており、実質金利の上昇もペソの堅調を支援しています。

【メキシコ経済の先行き】

 1月30日に発表された23年10‐12月期GDPは前期比+3.3%と四半期連続で+3.0%台の成長を維持したことから、通年でも2022年の成長率(+3.0%)を上回ると見込まれています。
 また、1月25日に発表された12月失業率は2.6%へ改善するなど昨年7月の3.1%を直近のピークに9月以降4ヵ月連続で3.0%を下回り、安定的に推移しています。

 12月のメキシコ中銀政策委員会では、6会合連続で政策金利を据え置いたうえで、インフレ見通しはなお厳しいとして、しばらくの間現行の政策金利を維持する必要があるとの考えを示しました。なお、1名の政策委員から2月政策委員会での利下げ検討の提案がありましたが、メキシコ経済は財輸出の8割が米国向けと米経済への依存度が高いこともあり、FRBの利下げを待って追随すると見られています。
 そのため、メキシコペソは、対ドルで昨年7月下旬に1㌦=16.62ペソまで上昇、反落も18ペソ台前半までに留めると年初には再度16ペソ台へ上昇し、その後も17ペソ台前半で堅調に推移、対円でも、昨年8月の高値(8円77銭)には及ばないものの、8円台半ばを中心に堅調地合いを維持しています。

【今後の注目】


失業率は自然失業率近くまで低下しており、今後追加的な労働投入の 余地が乏しいことから、労働の質を上げていくことが不可欠であり、労働生産性の向上が図れるかがポイントとなります。
こうした質の向上には一定の時間もかかることから、今後労働市場の逼迫が続くことになれば、インフレ再燃リスクが高まる可能性もあり注意が必要です。


今年6月に大統領選が予定されており、オブラドール政権を支える与党MORENA(国民再生運動)はオブラドール大統領側近のシェインバウム氏を擁立、野党は中道右派政党PAN(国民行動党)のガルベス氏を統一候補として擁立し、女性候補による事実上の一騎打ちとなると予想されています。
直近1月の世論調査ではシェインバウム氏が50%を上回る支持を得て大幅にリードしています。シェインバウム氏が勝利すれば、オブラドール政権同様、米経済に依存する政策運営となると見込まれるため、メキシコ経済の先行きは、米経済がその堅調を維持できるかにかかっていると言えます。


米国でも10月の大統領選に向けて共和党ではトランプ前大統領がリード、民主党からはバイデン大統領が勝ち上がると予想されていますが、両候補ともメキシコ国境への警備を強化する姿勢を示しています。
メキシコと米国との関係は、日米同盟関係とは異なり同盟条約がない非公式な同盟関係ですが、米国はメキシコに米市場を開放し、経済援助も行う良好な関係を維持しているのが現状です。バイデン大統領が再選されれば、現状の関係が維持されると見込まれますが、一方、トランプ前大統領が勝利した場合、NAFTA(北米自由貿易協定)の見直しなど米国に有利な政策に転換する可能性もあり、その場合、メキシコ経済への影響は避けられないため、メキシコにとっては、トランプ前大統領当選自体がリスクとなる恐れがあり、米大統領選も注目されます。

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