メキシコペソ特別レポート | SBI FXトレード 

メキシコペソ/円(MXN/JPY)

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メキシコ 基本情報

更新日:2024年8月15日

首都 メキシコシティ
面積 1,964,375㎢(日本の約5倍)
人口 約1億3,123万人(世界10位/2023年)
大統領 シェインバウム
通貨 メキシコペソ
経済規模 【GDP】1兆7,889億ドル 成長率+3.2%(2023年)
【インフレ率】5.57%(2024年7月)
【失業率】2.8%(2024年6月)

メキシコ レポート

更新日:2024年8月15日

金融政策と経済

 メキシコ中銀は、8月8日に開催した金融政策委員会で3月以来3会合ぶりに政策金利を0.25%引き下げ、10.75%としました。

 24年末のインフレ予想についてコア指数を3.9%に据え置いた一方、総合指数を6月時点の4.0%から4.4%へと中銀のインフレ目標 (2.0~4.0%) の上限を上回る水準に修正しました。

 インフレ再燃が懸念される中、景気の下支えを最優先にした今回の利下げは、5名の政策委員の内、3名が利下げ支持、2名が据え置き支持の票割れとなり、全会一致の決定とはなりませんでした。

 メキシコ経済は米経済の堅調にサポートされ、21年に前年比+5.7%成長したのに続き、22年が+3.9%、23年が+3.2%と3年連続で3%超の高い成長率を記録しました。

 中でも、オブラドール大統領が就任した2019年以降最低賃金を大幅に引き上げ、前ペーニャ・ニエト大統領時代の平均上昇率2.4%と比べ2020年には16.1%上昇するなど、平均上昇率が12.8%と5倍超となったことや、若者の就労支援のほか高齢者の年金拡充も推進し、貧困率を大幅に引き下げたことも個人消費を中心とした内需の押し上げに寄与しました。

 7月の消費者物価指数 (インフレ率) は前年比+5.57%と6月 (+4.98%) から上昇し、5ヵ月連続の上昇となり、しかも昨年6月以来となる5.00%を上回る大幅な上昇となりました。

 一方で変動の大きい生鮮食品とエネルギーを除いたコア指数は前年比+4.05%と低下傾向が続いています。

 前年比+8.87%と大きく上昇した青果価格や前年比+6.7%上昇した家庭用液化石油ガス (LPG) 価格が総合指数を押し上げる要因となりました。

 メキシコの昨年の年間成長率は+3.2%となりましたが、年前半は+3.6%だったのに対し年後半は+2.9%、さらに10-12月期は+2.3%となり、今年1-3月期には+1.6%へ減速しました。

 設備投資を含む固定資本形成や個人消費が低下したことが要因として挙げられます。

 1-3月期に景気減速が懸念される状況となりましたが、インフレの高止まりが警戒され利下げに踏み切れずにいたことが内需の減速につながったこと、さらに米経済の減速懸念が製造業の減産につながったことが要因となっていることなどを踏まえ、今回の中銀政策委員会では景気を最優先し、利下げ決定の判断に至ったと思われます。

 実際、製造業PMIは7月に49.6と好不況の節目とされる50.0を昨年9月以来初めて下回りました。

 また、7月30日に発表された4-6月期GDPは、自動車販売台数が前年比+10.5%と1-3月期(+3.5%)から大きく伸びたことなどが寄与して前年比+2.2%となりましたが、消費者信頼感指数は1-3月期の47.1から4-6月期も横這いで推移しており、景気回復に今一つ自信が持てない状況が続いています。

メキシコ経済を支える要因

・物流拠点として米国からの近さによるコスト削減と比較的安価な労働賃金

・米中摩擦加速に備えた中国生産拠点からメキシコへの移転

・2020年発効のUSMCA (米国/メキシコ/カナダ) の原産地規則

 メキシコ経済は財輸出の8割が米国向けであり、米経済への依存度が高いことから、上記の三つは、メキシコ経済の下支えに寄与すると思われます。

 米国/カナダ/欧州を中心に各国からのメキシコへの投資額は22年、23年と350億㌦を上回る規模で拡大している中、今秋の米大統領選でハリス/トランプ両候補のいずれが勝利しても対中制裁などが弱まる可能性は低いと思われ、今後もこうした各国からの投資拡大がメキシコ経済を支えると予想されます。

 米経済減速懸念は残るものの、海外からの投資ブームが大きく萎むことはないとみられます。また、資本装備の投資によって労働生産性が向上すれば、労働力不足や賃上げによるインフレの上振れを抑制することとなり、インフレなき成長軌道に回帰できるかもしれません。

 実際、コアインフレは低下を続けており、今回の利下げが景気減速に対して特効薬となるか注目されます。

MXNJPY

 ペソ円は、日銀の追加利上げ観測や米7月雇用統計を受けた米経済の減速懸念などを背景に円キャリートレードが急速に巻き戻されたことから、ドル円の141円70銭までの円高進行につれて8月5日に昨年3月以来となる7円09銭まで下落しました。

 しかし、金融市場の混乱が徐々に鎮静化する中、ドル円が一時148円台前半まで持ち直したこともあり、8月12日には7円87銭まで反発しました。

 日足・転換線 (7円63銭) を下値支持線として基準線 (8円09銭)、さらには7月10日の高値 (9円09銭) から8月5日の安値 (7円09銭) への下落幅に対するフィボナッチ61.8%戻しの水準にあたる8円33銭まで回復し、8月5日の7円09銭で底入れを確認できるか注目されます。

提供:SBIリクイディティ・マーケット株式会社

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