UPDATE 2025.03.07
POST 2025.03.07
トルコリラは金利の高さが魅力的な通貨であり、特にトルコリラ/円での取引はスワップポイントを狙った長期保有のトレーダーに人気があります。しかし、今後の見通しやリスクについて知らずに取引を始めると、思わぬ損失を出してしまうかもしれません。
この記事では、トルコリラ/円の特徴や過去の価格推移、長期下落が続く理由、今後の見通しを解説します。また、近年トルコリラ/円で利益を出した・損失が出たトレーダーの特徴や、利益を出すための戦略、注意すべきリスク、おすすめのFX会社などもご紹介します。ぜひ、最後までご覧ください。
トルコはその地理関係から、ヨーロッパとアジアをつなぐ要衝として長い歴史を持つ国です。トルコ最大の都市イスタンブールや、奇岩地帯のカッパドキアは観光地として人気です。日本に対して友好的な国としても知られています。
まずはトルコの基本情報を見てみましょう。
面積 | 78万35㎢ |
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人口 | 8,537万2,377人(2023年) |
実質GDP成長率 | 4.5%(2023年) |
1人当たりGDP | 1万3,110ドル(2023年) |
出典:独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)『概況・基本統計』(2024年)
『2023年の実質GDPは4.5%の成長(トルコ)』(2024年)
トルコの面積は約78万㎢で、日本の約2倍の広さです。2023年の人口は8,537万人で若年層が多く、成長力のある国といえます。また、設備投資や個人消費が経済成長を支えており、実質GDP成長率は4.5%、1人当たりGDPは1万3,110ドルでした。
トルコはヨーロッパとアジア、中東を結ぶ位置にあり、地理的な優位性を生かして欧州向けの自動車輸出などが盛んです。また、NATO加盟国である一方、上海協力機構の対話パートナーとして中露との協力も進めています。地政学リスクに関しては、対立していたシリアやサウジアラビアなどとの関係修復が進んでいますが、解消されたとはいえません。
国内に目を向けると、トルコは慢性的な貿易赤字や通貨安、高いインフレ率に悩まされています。しかし、政策金利の高さはトルコリラの魅力を高める要因となっており、高い利回りを求めるトレーダーから人気です。
ここからは、トルコリラの特徴をご紹介します。
トルコリラの魅力だけでなく、デメリットについても把握しておきましょう。
トルコリラ/円の取引が魅力的である大きな理由は、トルコと日本の金利差が大きいことです。例えば、トルコ中央銀行が設定している政策金利(1週間物レポ金利)は、2025年1月23日時点で45.00%に達しています。
これは、アメリカの政策金利(フェデラルファンド金利、2024年12月26日現在)4.25%~4.50%や、日本の政策金利(無担保コール翌日物金利、2025年1月24日現在)0.50%などと比較しても、非常に高い水準です。
FX取引において高金利通貨が魅力的な理由は、スワップポイントを得られるためです。スワップポイントとは、通貨ペアの金利差から生じるものであり、トルコリラのような高金利通貨を金利の低い通貨で買い、翌日以降に持ち越すことで金利差分の利益を得られます。
金利差の大きい通貨ペアを使った取引についてより詳しく知りたい場合は、以下の記事を参考にしてください。
>>「高金利通貨ペア取引のメリットと注意点について解説」
ボラティリティとは、価格変動の度合いを指します。ボラティリティが大きいと高いリターンを狙える一方、リスクも増えるため注意が必要です。トルコリラはボラティリティが非常に大きい通貨であり、直近3年で約3分の1にまで下落しています。
しかし、トルコリラはFX会社によっては少額から取引できるため、取引金額や持ち越し金額を調整することでリスク管理が可能です。適切にリスクを管理すれば、FX初心者でも取引できるでしょう。
トルコ経済は外国資本に大きく依存しています。そのため、他の先進国の政策や経済状況の影響を受けやすい特徴があります。
トルコは慢性的な経常赤字国であり、国内の資金需要を満たすためには外国からの投資が欠かせません。外貨への依存度が高いことから、アメリカの雇用統計や各国の政策金利発表など、トルコとは直接関係のないようなイベントが、トルコリラの価格に大きく影響することがあります。
例えば、アメリカの政策金利が引き上げられると投資資金がアメリカに流れやすくなり、その結果、トルコリラが売られて価格が下がることがあります。
2008年のリーマンショックを境に、トルコリラ/円(TRY/JPY)は暴落しました。90円台だったトルコリラはその後の世界的な金融危機により急落し、2010年頃には50円台にまで落ち込みました。
2016年以降、アメリカとの関係の悪化が原因となってトルコリラは再び急落し、トルコリラ/円が15円台まで下がりました。そして、2021年には新型コロナウイルスによる観光客の減少などが影響し、トルコリラは約6円まで下落しました。
その後もトルコリラは回復することなく、現在は4円台で推移しています(2025年3月1日時点)。つまり、トルコリラは過去十数年にわたり下落を続けている状況です。
トルコリラが長期下落している主な理由は以下の3つです。
それぞれの理由を詳しく解説します。
トルコリラの下落は、インフレ率の急騰と、それを引き起こした金融政策に起因しています。
トルコではインフレが激しく進んでいます。インフレとは物価が全体的に上昇し、通貨の価値が下がる現象です。例えば、トルコではパンなど、生活必需品の価格が急騰しています。こうしたインフレは、特に輸入に依存する食品やエネルギーの価格上昇によって引き起こされました。
通常、インフレが進行すると、中央銀行は金利を引き上げることでインフレを抑えようとします。金利が上がると通貨の価値が高まり、インフレを抑制できるからです。
しかし、トルコでは2023年6月に政策金利引き上げサイクルに入るまで逆の政策がとられました。エルドアン大統領は「高金利は景気を冷やす」として、金利を上げない姿勢を続け中央銀行に圧力をかけていたと思われ、この政策がインフレを加速させる結果となりました。現在は高インフレも落ち着いてきており2025年は利下げサイクルを継続するとみられます。なお、エルドアン大統領の任期は2028年まで続く予定です。
インフレが進む中、「高金利の敵」を自任するエルドアン大統領の圧力に屈しトルコ中銀が断続的に利下げを実施してきたことが、インフレを加速させる結果となりました。
トルコリラの下落は、周辺諸国の情勢不安とも密接に関連しています。トルコは地理的にイスラエルやシリア、ウクライナなどの情勢が不安定な地域に近接しており、その影響を受けやすい位置にあるためです。
2023年にはイスラエルで実質的な戦争が勃発し、トルコに多くの難民が流入しました。これにより、国内の治安が悪化し、経済的な負担も増加しています。また2024年7月には、イスラム組織ハマスの最高指導者がイランの首都テヘランで暗殺されたことから、中東全体の緊張が高まりました。
このような地域特有の不安定さが、トルコリラの信頼性に影響を与えています。
トルコは自動車などの工業製品をはじめ、鉱物製燃料、鉄鋼などさまざまな品目を輸出していますが、慢性的な貿易赤字を解消できていません。貿易赤字となると、自国通貨を売って外貨を買うことになるため、自国通貨の価値が下がります。
トルコの貿易赤字の原因の1つは、トルコリラの長期低迷による輸入品の価格上昇です。つまり「トルコリラの下落→貿易コストが増えて貿易赤字が増える→さらにトルコリラが下落する」という悪循環に陥っています。
また、資源価格の高騰も貿易赤字の一因です。トルコはエネルギー資源を輸入に頼っているため、国際市場での石油や天然ガスの価格が上昇すると、貿易赤字がさらに悪化します。
現在のトルコリラ/円の下落要素がすぐに解消されることは難しいと考えられますが、長期的に見るといくつかの条件が整えば、上昇トレンドへの転換が見込まれるでしょう。
1つ目の条件は、インフレのさらなる落ち着きです。CPIは2024年11月に+47%まで減速、エルドアン大統領が2025年最低賃金引き上げ率を30%と発表、労働組合の求めた74%、2024年の49%よりも低かったこともあり、政策金利引き下げがあったとしてもインフレ再燃とはならないかもしれません。
2つ目の条件は、中東地域の緊張緩和です。先行きは不透明な状況ですが、もしヨーロッパ諸国との関係が改善すれば、トルコリラに対する市場の信頼が回復しやすくなるでしょう。
この2つの条件が満たされトルコリラにとって好材料が揃う状態になれば、短期的に4円台を底値として上昇が起こる可能性は十分あります。しかし、FX初心者であれば底値を予測するより、急騰の兆しとなる価格上昇を確認した後の押し目(一時的な価格の下落)を買う方が、エントリーのタイミングを計りやすいでしょう。
エントリーのタイミングの見極め方については、以下の記事で解説しています。
>>「FXの押し目買いと戻り売りとは?トレンドを見極めるコツを解説」
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トルコリラ/円は、金利差の大きさが魅力的な通貨ペアです。スワップポイントを狙った長期保有や、ボラティリティを活かした短期トレードで大きな利益を得られるチャンスがあります。
一方、急激な相場変動で予期せぬ損失が発生するリスクがあることには注意が必要です。初心者の場合、米ドル/円やユーロ/米ドルなどのメジャー通貨ペアで取引に慣れてから、トルコリラの取引に挑戦する方が利益を出しやすいでしょう。
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この記事を監修した人
SBIリクイディティ・マーケット株式会社
金融市場調査部長
上田眞理人