FXの一目均衡表とは?具体的な使い方と相場の流れを掴むコツ

「一目均衡表」は、時間軸での分析を主体とした、とても奥が深いテクニカル指標です。

一目均衡表は5つの線で構成されており、それぞれの線の特性を覚えることで戦略的な取引が実現します。

本記事では、一目均衡表の基本情報や使い方、相場の流れを掴むコツなどを初心者にもわかりやすく解説していきます。

一目均衡表は純国産のテクニカル指標

一目均衡表は、1936年に都新聞の商況部部長を務めていた細田悟一氏が発表した、純国産のテクニカル指標です。

当時、一目仙人というペンネームで活動していた細田氏は、約2,000人のスタッフと相場の流れを研究し続け、7年かけて一目均衡表を生み出しました。

一目均衡表には、「売り手と買い手の均衡が崩れた時、相場は大きく動く」という概念があり、「どちらが優勢か判断できれば、相場の行方は一目瞭然である」という考え方に基づいてチャート分析がされています。

一目均衡表を構成する5つの線

需給関係の分析に長けている一目均衡表をFXで利用できるように、まずは5つの基本補助線の見分け方を理解していきましょう。

一目均衡表を構成する5つの線

5つの基本補助線は、それぞれ独自の計算式で表すことができます。チャート上に線で描かれたものであれば、初心者でも簡単に見分けることが可能です。

具体的にそれぞれの線の特徴や見分け方を解説します。

基準線

基準線は相場の中期的な「トレンド」を示す線で、過去26日間の最高値と最低値の平均で表します。

基準線

たとえば、米ドル/円相場で過去26日間の最高値が110円、最低値が100円だった場合は105円が基準値となり、基準値を結んだものが基準線となります。

基準線が上向きであれば強い上昇、下向きであれば強い下落という判断も可能です。

転換線

相場の短期的なトレンドを示す転換線は、過去9日間にわたって最高値と最低値の平均を結んだ線です。

転換線の計算式

基準線と同じように、転換線が上向きであれば強い上昇、下向きであれば強い下落と判断できます。

先行スパン1

未来の値動きを分析する際に役立つ2本の線を、先行スパン1、先行スパン2と呼びます。

先行スパン1は短中期的なトレンドを示す線で、基準線と転換線の平均値を26日先(右側)にずらして表します。

先行スパン1の計算式

一目均衡表を活用する場合、このあと説明する先行スパン2と組み合わせる必要があります。

先行スパン2

長期的なトレンドを示す先行スパン2は、過去52日間の最高値と最低値の平均を26日先(右側)にずらして表します。

先行スパン2の計算式

先行スパン2は2ヶ月ほどの長期間で見るため、先行スパン1よりもだいぶ緩やかな動きになるのが特徴です。

雲(抵抗帯)

先行スパンと一緒に覚えておきたいのが、先行スパン1と2に囲まれた「雲(抵抗帯)」という部分です。

雲(抵抗帯)

雲は、一目均衡表で未来の値動きを予測する際によく利用され、雲の厚さや「ローソク足」の位置関係からチャート分析することができます。

遅行スパン

一目均衡表の5本の線の中で、最重要とされているのが遅行スパンです。

遅行スパンは、現在と過去の値動きを比較する際に活用され、当日の終値をそのまま26日前(左側)に記入するだけで表せます。

遅行スパン

終値のみ表示したシンプルな線となるため、その当時に売買した人の26日後の損益状態を簡単に確認できます。

一目均衡表の具体的な使い方と戦略

基準線をはじめとする一目均衡表の5つの線は、単独でみるだけではなく、他の線と組み合わせたチャート分析が可能です。

他のテクニカル指標と比べると非常に奥が深く、国内・海外で多くのトレーダーに幅広く活用されています。

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日足のみで使うのが一般的

一目均衡表は一般的に日足チャートで利用されており、日足を決める際の基本数値とされるのが「9」「17」「26」です。

これらの基本数値が選ばれているのは、先人の検証によって「最も効果的だ」といわれているからであり、他の日足で見る場合もあります。

デイトレードで一目均衡表を利用する場合でも、分足ではなく日足で分析するのが一般的です。

基準線と転換線を組み合わせる

基準線と転換線が交わった部分を見て、買い、または売りのシグナルと判断する戦略があります。

基準線と転換線を組み合わせる

交差ポイントから転換線が基準線を上に抜いた場合は「買いシグナル(ゴールデンクロス)」とされ、逆に転換線が基準線を下に抜いた場合は「売りシグナル(デッドクロス)」となります。

使い方としては移動平均線と似ており、交差ポイントが相場の転換の目安となることを覚えておきましょう。

ゴールデンクロスとデッドクロスのさらに詳しい解説は、関連記事の「ゴールデンクロスとデッドクロスを活用した取引方法」をご覧ください。

雲とローソク足の位置関係を見る

先行スパン1と2の間にある雲と、ローソク足の両方を見ることで、上昇トレンドと下降トレンドの判断材料にできます。

雲が上向きの場合は上昇トレンドと判断でき、逆に、下向きの場合は下降トレンドと判断可能です。

雲とローソク足の位置関係を見る

また、ローソク足が雲の下を推移している状態を「上雲」と呼び、上昇トレンドにおける「レジスタンスライン」となります。

ローソク足が雲の上を推移している「下雲」の場合は、下降トレンドにおける「サポートライン」となり、上雲か下雲かを見極めたチャート分析が可能です。

サポートラインとレジスタンスラインついてさらに詳しく知りたい方は、「サポートラインを活用した取引方法」をご覧ください。

遅行スパンとローソク足の位置関係を見る

26日前の終値で表す遅行スパンは、ローソク足より上にあれば強い相場、下にあれば弱い相場と判断できます。

遅行スパンは、ローソク足を上抜けすると価格と一緒に遅行スパンも上がる性質があり、ローソク足の上にある状態では、強気相場への転換が予測されます。

遅行スパンとローソク足の位置関係を見る

シンプルな材料でチャート分析できるのが、遅行スパンとローソク足の組み合わせであり、先の見通しを立てやすくなります。

一目均衡表で相場の流れを掴むコツ

一目均衡表の基本的な使い方を覚えたあとは、以下のような相場の流れを掴むコツを習得していきましょう。

一目均衡表で相場の流れを掴む

あらゆる角度から一目均衡表を分析することで、「根拠のある取引」が可能となり、リスクの高い取引を回避できるようになります。

時間の視点で分析する

時間の視点から行う分析は「時間論」と呼ばれ、一目均衡表を活用する場合に欠かせない要素です。

日足で分析する場合、基本数値は「9」「17」「26」となりますが、基本数値を加減して導かれた「33」「42」「65」「76」という複合数値も合わせて分析に用いられます。

基本数値と複合数値は、過去の膨大なデータから「変化が起きやすい数字(日数)」と考えられています。

トレンド転換の節目を意味する「変化日」や、強いトレンドにおける「加速日」を判断する際に活用できる数字となるため、一目均衡表を活用する際には時間軸での分析を重視しましょう。

波形パターンから分析する

チャートを描写し、波形パターンを分析することを「波動論」と呼び、未来の値動きを推測する際に活用できます。

波形パターンは相場の動きに応じて、I波動・V波動・N波動に分類されます。

基本波動

根本原理として、「I波動、V波動を繰り返して最終的にN波動に辿り着く」というのが波動論です。簡単に説明すると、「価格が上昇すると、N波動が確認できるまで下降しない」「下降し始めた場合も、N波動が確認できるまで上昇しない」という理論で相場を分析します。

上値・下値から天井と底を分析する

過去の相場の上値と下値を見て、次の上昇トレンドの終了ポイント(天井)と、下降トレンドの終了ポイント(底)を分析することが可能です。

「水準論」や「値幅観測論」と呼ばれるこの理論では、「どのくらい価格が上昇・下降するのか」という目標値を求めたい場合に活用されます。

目標値を求める計算方法は、V計算値・E計算値・N計算値・NT計算値の4種類が代表されます。

三役好転のタイミングを狙う

一目均衡表では、以下3つの買いシグナルが同時に見られた状態を「三役好転」と呼びます。

三役好転

  • 1.転換線が基準線を上抜いている

  • 2.遅行スパンがローソク足を上抜いている

  • 3.ローソク足が雲の上を推移している

三役好転の理論では、上記の条件が全て揃った場合に「強気相場の状態が続きやすい強力な買いシグナル」と判断されます。また、逆の条件が全て揃った状態を「三役逆転」と呼び、強力な売りシグナルと判断でき、売りのタイミングとなります。

注意しなければならないのは、3つの条件が揃ってからエントリーした時に、トレンドに乗り損ねる可能性があるという点です。そのため、条件が2つ揃った時点でエントリーすることも視野に入れ、ダマシにかからないように分析を行いましょう。

移動平均線やRSIなどと組み合わせる

一目均衡表は、時間軸での分析を主体に、さまざまな材料で未来の値動きや天井、底を予測するテクニカル指標です。

価格などに主眼を置いたその他のテクニカル指標を組み合わせることで、値幅の概念を加えたより高度な分析が実現します。

たとえば、「移動平均線」「RSI」「MACD」「ボリンジャーバンド」などが、一目均衡表と組み合わせられるテクニカル指標となります。

移動平均線 一定期間における終値の平均値の推移をグラフ化し、チャート上に表したテクニカル指標
RSI 相対力指数のことで、現在の相場の過熱感を判断するオシレーター系のテクニカル指標の代表格
MACD 移動平均線を基に、データと値動きを材料にして、より精度の高い分析を行うテクニカル指標
ボリンジャーバンド 移動平均線と、その上下にある値動き幅を示す2本ずつの線で表すテクニカル指標。

一目均衡表を使いこなしたい場合は、上記のテクニカル指標の使い方もマスターすることを検討してみてください。

初心者が一目均衡表を使う際の注意点

高度なチャート分析ができる一目均衡表は、使う際に注意点があります。

まず、一目均衡表の使い方をマスターしても、かならず利益が出るとは限らないことです。どのテクニカル指標にもいえることですが、必勝法は存在しないため、あくまで効果的なチャート分析であると捉えておきましょう。

続いて、先行スパン1と2の間にある雲を用いた分析が重要であることをご説明しましたが、雲に「ねじれ」が見られた場合は注意が必要です。

ねじれとは
先行スパン1と2が交差し、上下関係が逆転した地点を指す。
雲の「ねじれ」

「ねじれ」が見られた日を価格が通過する場合、トレンドが変化しやすい変化日と捉えられます。つまり、予想外の激しい値動きが起こる可能性もあり、FX初心者はできるだけ取引を避けるべきだといえます。

一目均衡表は、概念や理論に基づいた分析を行い、その他のテクニカル指標と組み合わせながら有効活用していきましょう。

FXのさまざま取引手法を有効活用しよう

純国産のテクニカル指標である一目均衡表は、時間論を軸にした高度なチャート分析が可能です。

基準線や転換線などの基本補助線を組み合わせた分析や、雲とローソク足の位置関係を見た分析により、未来の値動きを予測することができます。

FXで一目均衡表を有効活用したい場合は、時間論・波動論・水準論を理解し、他のテクニカル指標と組み合わせたより高度なチャート分析を行うことをオススメします。

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